コンテンツにスキップ

EUV(極端紫外線)とは

EUV(Extreme Ultraviolet、極端紫外線)とは、波長13.5nmの光です。 ほぼX線の領域にあたる光で1、DUVの193nmより1桁以上短い波長を使い、より細かいパターンを分離します。代わりに、この光はあらゆる物質に吸収され、空気にも吸収されます。レンズも透過型のマスクも使えないため、光源からウェーハまでを鏡と高真空で組むことになり、この1点がEUV露光装置の作りを丸ごと決めています。

波長を14分の1以下にすると、描ける寸法が大きく下がる

Section titled “波長を14分の1以下にすると、描ける寸法が大きく下がる”

光には回折という性質があり、波長より十分小さな構造は像としてにじみ、分離が難しくなります。描ける最小寸法はCD=k1×λ/NA\mathrm{CD} = k_1 \times \lambda / \mathrm{NA}2で表されます。CD\mathrm{CD}は臨界寸法(critical dimension、描ける最小の寸法)、λ\lambda(ラムダ)は光の波長、NA\mathrm{NA}は開口数(光学系がどれだけ広い角度の光を集められるかの数値)、k1k_1は製造プロセス側の条件をまとめた係数です。

λ\lambdaが小さいほど、NA\mathrm{NA}が大きいほど、CD\mathrm{CD}は小さくなります。ASMLは、短い波長と大きな開口数を組み合わせ、k1k_1を物理的な限界へできるだけ近づけることで、より小さな寸法に届くとしています。k1k_1の物理的な限界は0.25なので、3つの手のうちk1k_1には床があります。

EUVは1つ目の手を選び、193nmから13.5nmへ移りました。分子が14分の1以下になるので、k1k_1とNA\mathrm{NA}をそのままにしても、この式が返す寸法は大きく下がります。ASMLは、EUVリソグラフィがムーアの法則を前進させ、新しいトランジスタ設計とチップアーキテクチャを支えているとしています1。使い分けは層単位で、EUVはチップの中で最も込み入った層を描き、残りの層はさまざまなDUV装置で描かれます。

空気にも吸収されるので、光路をすべて鏡と高真空で組む

Section titled “空気にも吸収されるので、光路をすべて鏡と高真空で組む”

13.5nmの光は、レンズを通そうとしてもガラスの中でほとんど吸収し尽くされます。そこでEUV露光装置は、レンズの代わりに複数の多層膜ミラーで光をウェーハへ導き、マスクのパターンを4分の1に縮めて写します1。マスクも透過型にはできず、干渉を使って光を反射する多層膜の反射体になります。

空気にも吸収されるので、光源からウェーハまで、光が通る経路と光が当たる部品のすべてを高真空に置きます。ウェーハは精密なロボットアームがエアロックを通して真空の内外へ運び、ASMLはその位置決め精度を25µm、ウェーハ表面の温度の均一さを2mK以内としています。

EUV露光装置の光路
高真空スズのプラズマ13.5nmの光照明系の鏡照明系の鏡幅 4反射型マスク投影系の鏡投影系の鏡ウェーハ幅 1
レンズの代わりに多層膜の鏡で光を折り返し、マスクも鏡として使います。光源からウェーハまで全体が高真空の中にあり、マスクのパターンはウェーハ上で4分の1の大きさになります。

光源は、毎秒5万個のスズの粒をレーザーで2度打つ

Section titled “光源は、毎秒5万個のスズの粒をレーザーで2度打つ”

EUV露光装置の中で最も特殊なのは光源です。直径およそ25マイクロメートル(0.025mm)の溶けたスズの粒を毎秒70メートルの速さで飛ばし3、まず弱いレーザーパルスを当てて平たい円盤の形へ潰します。続いて強いレーザーパルスで蒸発させ、EUV光を放つプラズマにします。この一連の動作を、毎秒5万回くり返します。ZEISS SMTは、後段の主パルスがスズを20万℃(華氏でおよそ36万度)へ加熱し、太陽の表面のおよそ40倍の高温のプラズマへ変えるとしています4。

EUV光源は、スイッチで光を点ける装置というより、飛んでくる粒へレーザーを当て続ける装置です。粒の速さ、レーザーが当たる時刻、当たる瞬間の粒の形がそろった回に、EUV光が生まれます。1段目の弱いパルスで円盤へ潰すのも、強いパルスが受け取る面積を広げてEUV光の量を稼ぐためです。

スズの粒から13.5nmの光まで
毎秒70m約25µm溶けたスズの粒弱いパルス円盤に潰す強いパルス約20万℃のプラズマ13.5nmの光毎秒5万回くり返す
EUV光は、飛んでいる粒にレーザーを2回当てて作ります。1回目で粒を円盤に潰し、2回目で約20万℃のプラズマにして13.5nmの光を出させ、これを毎秒5万回くり返します。

鏡もマスクも、多層膜で光を跳ね返す

Section titled “鏡もマスクも、多層膜で光を跳ね返す”

EUVの鏡は、家庭の鏡のような1枚板とは作りが違います。ASMLは、レンズを使えば光が装置の中で吸われてしまうため、真空チェンバーの中で超平滑な多層膜の鏡を使う光学系を新たに作りました5。同社の鏡は1枚あたり、EUV光の反射を最大にするよう選ばれた100層を超える膜を載せ、表面を原子1個分より小さな粗さまで磨いています。ドイツの国土の大きさへ拡大しても、いちばん高い「山」が1mmにとどまる平らさです。それでも、光は鏡で反射するたびに減っていきます。

ZEISS SMTは、EUV用の光学系ひとつが高さおよそ1.5m、質量およそ3.5トン、3万5千点を超える部品からなるとし4、露光装置全体はスクールバスほどの大きさで質量はおよそ200トンとしています。膜の厚さは数nm、装置の質量は200トンという桁の開きが、この技術の姿をよく表しています。

マスク側も同じ作りで、EUVマスク用のブランクスには、EUV光を反射するための多層膜が基板(サブストレイト)の上に付いています6。この素材を作るのは日本の材料メーカーで、HOYAはEUV用マスクブランクスおよびフォトマスクの開発を進めています7。

多層膜の内部にある乱れは膜の内側にとどまるため、露光と同じ13.5nmの光を当てて反射光の変化として検出するアクティニック検査が要ります。レーザーテックは、アクティニックEUVパターン付きマスク検査システムのACTISシリーズと、EUVマスクブランクス検査のABICSシリーズ8を製品にしています。1枚の鏡やマスクで膜の重なり方が乱れれば、その乱れはウェーハ上の像へそのまま届きます。EUVの歩留まりの話がしばしば材料と検査の話になるのは、このためです。

EUVは光の名前で、DUVとは光学系・マスク・雰囲気の3点が違う

Section titled “EUVは光の名前で、DUVとは光学系・マスク・雰囲気の3点が違う”

EUVは光そのものの名前で、EUVリソグラフィはその光でパターンを描く手法、EUV露光装置はその手法を実行する装置です。求人票や装置カタログでは3つとも「EUV」の一語へ縮めて書かれることが多く、前後の文から対象を拾う場面が出てきます。ASMLは、この技術の産業化に向けた取り組みが1994年に始まり、同社を含む半導体業界の企業連合が最初の試作機を届けたとしています。

EUVとDUVは波長が13.5nmと193nmで、そこから装置の作りが決まります。DUVは透明なレンズと透過型のマスクを空気中で使え、EUVは鏡と反射型のマスクを高真空の中で使います。同じ「露光装置」という呼び方でも、光学系・マスク・雰囲気の3点が別物です。EUVは名前のうえでは紫外線の一種ですが、ガラスも空気も吸収してしまう点は、可視光よりX線の性質に近いといえます。

High-NAは、波長はそのままで開口数を0.33から0.55へ上げる

Section titled “High-NAは、波長はそのままで開口数を0.33から0.55へ上げる”

波長を下げきったあと、解像度をさらに上げる手段が開口数です。EUVリソグラフィの次世代技術はHigh NA(高開口数)と呼ばれ、High-NAは開口数0.55の世代を指します。ASMLは、開口数0.55の新しい光学系が13.5nmのEUV光源を用いてより高いコントラストを与え、わずか8nmの解像度で描画でき、EXEプラットフォームが2025年から2026年の量産を支えるとしています1。同社は、開口数0.33のNXEシリーズの解像度を13nm、開口数0.55のEXEシリーズを8nmとしています。

光学系を作るZEISS SMTは、従来のEUVリソグラフィが開口数0.33で動き、High-NA-EUVでは0.55になるとし9、チップ上で10nmを下回る光学解像度に届き、同じ面積へおよそ3倍の構造を載せられ、2026年から次世代チップの生産を支えるとしています。同社によると、投影光学系は4万点を超える部品からなり質量はおよそ12トン、照明系はおよそ6トンで、鏡1枚は現行のEUV用のおよそ2倍の大きさ、10倍の質量になります。NXEとEXEの5nmの解像度の差のために、光学系がひと回り育った形です。

開口数0.33と0.55
NXEシリーズ 解像度13nmNA 0.33EXEシリーズ 解像度8nmNA 0.55集める光の広がりウェーハ
開口数は、光学系が集められる光の角度の広さです。波長13.5nmのまま開口数を0.33から0.55へ広げた世代で、ASMLが示す解像度は13nmから8nmになります。

この用語に対応する装置と製造メーカー

Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”

装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 2社/2family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22

出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。

EUVとは何ですか?

EUV(Extreme Ultraviolet、極端紫外線)は波長13.5nmの光で、ほぼX線の領域にあたります。DUVより波長が1桁以上短く、チップの中で最も細かい層の描画に使われ、残りの層はDUVで描かれます。

なぜ波長を短くするのですか?

光の回折で、波長より十分小さな構造は像がにじんで分離が難しくなるためです。最小寸法はCD = k1 × λ / NAで表され、波長λを短くするほど小さな寸法を描けます。

なぜ反射光学系を使うのですか?

13.5nmの光はあらゆる物質に強く吸収され、レンズのガラスの中でほとんど吸収し尽くされるためです。EUV露光装置は複数の多層膜ミラーで光をウェーハへ導き、その途中でマスクのパターンを4分の1に縮めます。

なぜ真空が要るのですか?

空気にも吸収されるためです。光源からウェーハまで、光が通る経路と光が当たる部品のすべてを高真空に置き、ウェーハはエアロックを通して真空の内外へ運びます。

マスクも反射型ですか?

反射型です。EUVのマスクは干渉を使って光を反射する多層膜の反射体で、膜の内部の乱れも欠陥として働きます。レーザーテックは、パターン付きマスク検査のACTISシリーズと、マスクブランクス検査のABICSシリーズを製品にしています。

High-NA EUVとは何ですか?

開口数を0.33から0.55へ上げた次世代のEUVです。ASMLは、開口数0.55の光学系でより高いコントラストと8nmの解像度で描画でき、EXEプラットフォームが2025年から2026年の量産を支えるとしています。

描ける最小寸法は何で決まりますか?

CD = k1 × λ / NA の3つの量で決まります。λは波長、NAは開口数、k1はプロセス側の条件をまとめた係数で、k1の物理的な限界は0.25です。手は、波長を短くする、開口数を上げる、k1をその限界へ近づける、の3つです。

EUVの光はどうやって作るのですか?

直径およそ25マイクロメートルの溶けたスズの粒を毎秒70メートルで飛ばし、弱いレーザーパルスで平たい円盤へ潰してから、強いパルスで蒸発させてプラズマにします。この動作を毎秒5万回くり返します。

プラズマの温度はどのくらいですか?

ZEISS SMTは、後段の主パルスがスズを20万℃(華氏でおよそ36万度)へ加熱し、太陽の表面のおよそ40倍の高温のプラズマにするとしています。

EUVの鏡は普通の鏡と同じですか?

違います。ASMLの鏡は1枚あたり100層を超える膜を重ねた多層膜ミラーで、表面は原子1個分より小さな粗さまで磨かれています。ドイツの国土の大きさへ拡大しても、いちばん高い山が1mmにとどまる平らさです。

EUVとDUVの違いは何ですか?

波長と、そこから決まる装置の作りです。EUVは13.5nm、DUVは193nmで、DUVは透明なレンズと透過型のマスクを空気中で使い、EUVは鏡と反射型のマスクを高真空の中で使います。光学系・マスク・雰囲気の3点が別物です。

EUVマスクブランクスとは何ですか?

EUVマスクになる前の素材で、EUV光を反射するための多層膜が基板(サブストレイト)の上に付いています。HOYAは、EUV用マスクブランクスおよびフォトマスクの開発を進めています。

9件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9