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フォトンショットノイズとは

フォトンショットノイズとは、同じ露光量でも、ある場所へ届く光子の数が確率で揺れる現象です。 光子は整数個でしか届かず、平均の数が少ないほど揺れの割合が大きくなります。EUVは光子1個のエネルギーが大きく、届く数が少ないので、この揺れが線の途切れやブリッジとして表に出ます。露光量を上げれば揺れの割合は下がりますが、1時間に通せる枚数が減ります。

EUVの光子は1個のエネルギーが大きく、届く数は約14分の1になる

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EUVリソグラフィは波長13.5 nmで動作します1。従来の露光で使われる193 nmより、1桁以上短い波長です。光子1個のエネルギーは波長が短いほど大きいので、波長が短いほど、光源のエネルギーは少数の光子に分配されます。

同じエネルギーなら、光子の数は波長に比例します。波長の比193÷13.5に当てはめると、同じ露光量で届く光子の数は13.5 nmで約14分の1です。

同じ露光量で届く光子
波長193 nm波長13.5 nm(EUV)1個のエネルギー 11個のエネルギー 約14光子の数 14光子の数 1同じ露光量
同じ露光量を当てても、13.5 nmの光子は1個のエネルギーが193 nmの約14倍あるので、届く数は約14分の1になります。

フォトンショットノイズは、光子のエネルギーと波長の基本的な関係から生じます。装置の性能ではなく、物理の原理に由来するばらつきです。光は連続した波としても扱えますが、1か所に届く光子が数えられるほど少なくなると、サイコロを数回振ったときのような確率的なばらつきが現れます。

揺れの大きさは平均の平方根で、数が少ないほど割合が大きい

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光子は量子の粒なので整数個でしか届かず、端数を受け取ることはありません2。届く数の揺れは、ポアソン分布で表すのが一般的です2。揺れの大きさは信号の平方根になるので、光子の数が増えるほど、相対的な揺れは小さくなります3。

この限界は検出器を良くしても消えません。CCDカメラでは、暗電流や読み出しの雑音がない理想的な検出器でも、2500個の電子の信号ではS/N比が2500÷50=50を超えません3。ふつうの照明条件では、光子ショットノイズは光を検出するあらゆる系にとって自然の根本的な限界です3。

同じ平方根の関係を前の節の比に当てはめると、193 nmで2500個届く露光量を13.5 nmで当てたとき、届く光子は約175個になり、揺れの割合は2%から約7.6%に上がります。光子の数が約14分の1になると、揺れの割合は約3.8倍になる計算です。

光子の数と揺れの割合
揺れの割合平均の光子数 N2%約7.6%2500約175193 nm13.5 nm(同じ露光量)揺れの割合 = √N ÷ N
光子の数の揺れは平均の平方根なので、平均が2500個なら揺れの割合は2%です。同じ露光量の13.5 nmで約175個に減ると、約7.6%に上がります。

冷却で暗電流の雑音をほぼ除いたカメラでは、光が弱いうちは読み出し雑音が光子の揺れを上回ります3。露光時間を延ばして光子を集めると、やがて光子の揺れが読み出し雑音と暗電流の雑音をともに上回ります3。光子を集めて揺れの割合を下げる操作は、リソグラフィでは露光量を上げることにあたります。

露光量を上げても、線の途切れと不良の下限は残る

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揺れは確率的パターン不良として現れ、マイクロブリッジ、線の途切れ、コンタクトの欠けや結合になります。どれも場所ごとの揺れから生じます。

光子の数が増えれば、揺れの割合は小さくなります。露光量の高いレジストを使うと、マイクロブリッジによる不良は減ります1。一方で、線の途切れによる不良と一定の下限は同じ位置に残ります1。

露光量で動く不良と動かない不良
不良の確率マイクロブリッジ線の途切れ下限1時間に通せる枚数露光量 →
露光量の高いレジストでマイクロブリッジは減りますが、線の途切れと不良の下限は同じ位置に残ります。露光量を上げたぶん、1時間に通せる枚数は減ります。

下限が残るのは、光子の数のほかにもばらつきの原因があるためです。レジスト材料の分子の配置そのものがばらつき、imecの記事はその対策として、レジストを硬くする逐次浸透合成を挙げています。

露光量の上限は、1時間に通せる枚数で決まる

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露光量を上げるとは、同じ場所へ長く光を当てることです。1枚あたりの時間が伸び、1時間に通せる枚数が減ります。

imecは、公称220枚毎時の生産速度を前提にした比較4を示しています。この値が、露光量の上限を実務の側から定めます。imecが線とスペースで20%超の露光量削減を成果に挙げているのはこのためで、同じ品質を小さい露光量で得る工夫が、そのまま利得になります。

高NA EUVでは膜が薄くなり、吸収する光子も減る

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高NA EUVでは焦点深度が浅くなるため、レジストを薄くします。膜が薄いほど、吸収する光子の数も減ります。

ピッチ16 nmの線には、20 nmより薄い膜が必要です5。解像度のために膜を薄くする要求と、揺れを抑える要求は相反します。メタル酸化物レジストが検討されるのはこの板挟みへの応答で、薄い膜でも吸収と転写の力を保てる材料を探す流れです。吸収を高める材料の開発も並行して進んでいます。

露光量、膜厚、感度のどれを動かしても代償がある

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露光量を上げれば揺れの割合が下がる代わりに、1時間に通せる枚数が減り、装置あたりの費用が上がります。レジストを厚くすれば吸収する光子は増えるものの、浅い焦点深度と細い寸法の条件と衝突します。感度の高い材料を使えば露光量を減らせますが、感度と解像とばらつきのうち、同時に良くなるのは二つまでです。

フォトンショットノイズとは何ですか?

同じ露光量でも、ある場所へ届く光子の数が確率で揺れる現象です。揺れの大きさは平均の数の平方根なので、数が減るほど揺れの割合が大きくなります。

なぜ EUV で目立ちますか?

EUVは波長13.5 nmで動作し、波長が短いほど光源のエネルギーが少数の光子に分配されるためです。同じ露光量で届く光子の数は、193 nmの約14分の1になります。

光子 1 個のエネルギーは何で決まりますか?

波長です。波長が短いほど1個のエネルギーは大きく、フォトンショットノイズはこの光子のエネルギーと波長の関係から生じます。

どんな不良になりますか?

マイクロブリッジ、線の途切れ、コンタクトの欠けや結合です。どれも場所ごとの揺れから生じます。

露光量を上げれば消えますか?

消えません。露光量の高いレジストを使うとマイクロブリッジによる不良は減りますが、線の途切れによる不良と一定の下限は同じ位置に残ります。

対価は何ですか?

露光量を上げるほど1時間に通せる枚数が減ります。imecは公称220枚毎時という前提で比較しています。

材料でも対応しますか?

あります。imecの記事では、レジストを硬くする逐次浸透合成が挙げられています。吸収を高める材料の開発も並行して進んでいます。

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