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エッジ配置誤差(EPE)とは

エッジ配置誤差(EPE)とは、パターンのエッジが設計上の位置とどれだけ離れているかを表す量です。 寸法と重ね合わせを別々に規格内に収めても、両方のずれが同じエッジに重なれば、エッジは設計から大きく外れます。EPEはそのエッジ1本ぶんの合計を見ます。両側のエッジを別々の露光で作る層では、重ね合わせのずれがそのまま寸法の誤差になり、許容値は二乗和で決まります。位置の許容値は寸法の数倍あるので、多くの層ではEPEの大きさを重ね合わせが決め、EUVの細い配線ではそこに確率的なばらつきが加わります。

EPEは、寸法のばらつきと位置のずれを1本のエッジで合わせた量

Section titled “EPEは、寸法のばらつきと位置のずれを1本のエッジで合わせた量”

EPEは、レジスト像のエッジが設計で狙った場所からどれだけ離れているかを評価する尺度です1。矩形のマスクパターンとレジストパターンのエッジを比べると光回折により差が生じ、解像限界付近ではエッジ部分の欠けが大きくなって差が広がります。

寸法(CD)は同じパターンの2つのエッジのあいだの距離で、EPEは1つのエッジと設計位置の距離です。そのためEPEには、寸法のばらつきに加えて、パターン全体の位置のずれ、つまり重ね合わせが入ってきます。

同じずれが線と隙間に与える影響
1回の露光で両端を作る線δx幅は同じ別の露光で両端を作る隙間δx広がる狭まる第1露光第2露光・ずれた線設計位置
1回の露光で両端を作る線は、全体がずれても幅が変わりません。両端を別々の露光で作る隙間では、同じずれが片側を広げて反対側を狭め、位置のずれが寸法の誤差になります。

位置のずれはオーバーレイ計測で測ります。アライメント(重ね合わせ)精度は露光パターンと下地層との位置ずれで、下地層に付けたアライメントマークとレジストパターンの位置を比べて求めます2。同一露光装置での精度をDedicated Chuck Overlay、異なる露光機間の精度をMatched Machine Overlayと呼び分け、別々に管理します。Overlayは、基板側の位置と重ねるパターンの位置の差で与えられるベクトル量で、標準偏差の3倍で表します3。

別々の露光で作ったエッジでは、重ね合わせの誤差が寸法の誤差になる

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Pitch Splittingでは、異なる露光でエッジが形成されるパターンにおいてOverlayエラーがCDエラーとなり、実現が難しいと考えられるほど厳しい重ね合わせ精度が要求されます4。EPEという管理量が現場で必要になったのは、この場面です。

ピッチをpp、第1露光と第2露光で形成される線幅をw1w_1とw2w_2、重ね合わせ誤差をδx\delta xとすると、できあがるスペースは p−w1+w22±δxp - \frac{w_1 + w_2}{2} \pm \delta x になります。スペースの誤差は両方の露光の線幅と重ね合わせ誤差の影響を受け、さらにエッチバイアスの変動も加わります。

2つの露光が重なってクリティカルパターンを形成する相関のあるケースでは、CDUの要求は通常は重ね合わせより厳しいため、CDUのバジェットにオーバーレイを含める必要があります3。CD均一性バジェットの総額に、位置の項が加わります。2つの露光が個別にパターンを形成する無相関のケースでは、全体のCD変動は個々の露光のCD変動の二乗和になり、クリティカルなパターンのサイズは重ね合わせ誤差と無関係です。同じマルチパターニングでも、どちらのケースかで管理する量が変わります。

隙間の6.4ナノメートルは、寸法3.3と重ね合わせ5.5の二乗和

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ITRS2009版の要求値をまとめたダブルパターニングとスペーサへの要求表では5、ハーフピッチ52ナノメートルの2009年の欄で、両側のエッジが1回の露光で決まる線の寸法管理値が3σで3.3ナノメートルです。LELEやLFLEに要求される重ね合わせは3σで5.5ナノメートル、平均のずれの上限は0.8ナノメートル、両側のエッジが別々の露光で決まる隙間の寸法管理値は3σで6.4ナノメートルです。

寸法と重ね合わせの二乗和
2009年の欄の二乗和線の寸法3.3nm重ね合わせ 5.5nm隙間 6.4nm重ね合わせの取り分2回露光(LELE/LFLE) 5.5nmシングル露光 10nmスペーサ方式 11.9nm
隙間の寸法管理値6.4ナノメートルは、線の寸法3.3ナノメートルと重ね合わせ5.5ナノメートルを2辺とする直角三角形の斜辺です。同じ表は、作り方ごとに重ね合わせの取り分を変えています。

3.3ナノメートルと5.5ナノメートルの二乗和の平方根は6.4ナノメートルで、隙間の値は寸法の項と重ね合わせの項の二乗和そのものです。両者を単純に足すと過大になり、寸法の項だけで見積もると過小になります。

同じ欄のシングル露光の重ね合わせは、3σ10ナノメートルです。Pitch Splittingの要求は従来のトレンドに比べて一世代以上厳しく、シングル露光を基準にすると、重ね合わせ精度で1/2以下、寸法均一性で1/21/\sqrt{2}以下という値が必要5と報告されています。

位置と寸法では、許容値の桁が違います。ゲートCDを3σ1.3ナノメートル未満に制御するプロセスと、重ね合わせ誤差を3σ5.7ナノメートル未満に収める制御手法は、困難な課題の表3で別々の課題です。位置の許容値は寸法の許容値の約4.4倍で、多くの層ではEPEの大きさは重ね合わせで決まります。

母集団が4つに割れ、ピッチウォーキングが平均に隠れる

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両側のエッジを別々の露光で作る層では、1つの3σで形状を表すのが難しくなります。パターンは各露光で形成されるラインまたはスペースと、その組み合わせで決まる部分で構成されるため、計4つの組み合わせを考える必要があります5。母集団が4つになり、ラインアンドスペースの繰り返し単位がライン、スペース、ライン、スペースになるため、Pitch Walkingと呼ばれる周期構造が発生します。

原因は先ほどの式の ±δx\pm\delta x です。ずれは片側の隙間を広げ、反対側を同じ量だけ狭めるので、平均が同じでも狭い側の隙間が先に規格の下限を下回ります。面内の平均寸法を合わせるレシピでは、この偏りは平均の中に隠れてしまいます。スペーサ方式の欄には、二峰性の空間分布を前提にしたSpace Uniformity(Bi-Modal)3σという行があり、同じ欄で4.5ナノメートルです。分布が2つの山に割れることを、要求値の側から先に認めた行です。

EUVの配線の端では、重ね合わせと確率的なばらつきが予算を使う

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ブロックの端とスペーサの幅
スペーサ線金属の溝ブロック16nm±8nm端が線の中央短すぎ:切り残し長すぎ:隣を挟む
ブロックの端の理想はスペーサ線の中央で、±8ナノメートルの変動を許すと、その幅は16ナノメートルの線幅と重なります。端が溝の中に止まれば切り残すおそれがあり、隣の溝まで伸びれば隣の配線を挟むおそれがあります。

EUVの細い配線では、端の位置がEPEの問題になります。imecは2017年、N5相当のBEOLをEUVで量産する方式の検討で、溝を切るブロックの幅と位置の局所的なばらつきが、配線の先端と上下の層をつなぐビアとの重なりを決める6と整理しています。局所ばらつきの最大の要因は、使える光子がレジストとどう反応するかの統計的な揺らぎ、つまり確率的なノイズだとしています。これに重ね合わせを加えた金属先端位置のEPEは、約5ナノメートル(3σ)です。imecは、隣り合うビアを直接置かない設計規則にすれば、ビアに対する配線先端の延長で十分な余裕を取れるとしています。

SAQPとブロックを組み合わせる方式では、ブロックの端の位置が問題になります。ブロックが短すぎれば溝を切り残すおそれがあり、長すぎれば隣の溝を挟むおそれがあります。imecは、ブロックの端はスペーサ線の中央にあるのが理想で、スペーサの端に対するブロック端の変動の予算は最大±8ナノメートルとしています。この予算の主な消費者はここでも重ね合わせと確率的なばらつきで、局所の変動は約6ナノメートル(3σ)です。imecは、3σで要求を課し、ウェハ面内のCDUなど他の要因を小さく抑えられれば、16ナノメートルのスペーサ幅でiN7向けのSAQPとブロックの方式に十分な予算が取れると見込んでいます。

測る点は、露光ごと・ラインとスペースごとに分けて配る

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2枚のマスクが転写したパターンは形状と寸法、そして材料まで別々になるため、各露光による寸法と重ね合わせは、どちらのものかを見分けて測る必要があります。CD-SEMやOCDで測る点を、露光ごと、ラインとスペースごとに分けて配る作業になります。

局所のばらつきも別に切り分けます。同じ露光ショット内の局所のばらつきをローカルCD均一性と呼び、解像限界付近ではレジスト成分の不均一分布、露光ドーズ量、光学コントラストで決まるとされています。

装置の仕様値と現場の値は、別々に管理します。2009年度の時点で、最新の露光装置の重ね合わせ精度の仕様値は3ナノメートル以下でしたが、プロセスに起因するアライメントマークの変形や歪み、ウェハの歪みの影響も大きくなっています。仕様値は、下地の状態が良いときの上限にあたります。

残差を締める調整は、スループットや感度や計算時間とぶつかる

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位置については、まず補正の次数を調整します。高次ディストーション補正は、ショット中心に対してX、Yの2次以上の関数で表されるショット形状の変形に対して、ウェーハ側またはマスク側の投影像を変形させ、ショット全体の形を合わせる補正です1。光リソグラフィでは投影光学系内のレンズの変位で、スキャナーではマスクとウェーハの相対位置の変位で補正します。次数を上げれば残差は減りますが、露光装置には精度の改善だけでなくスループットの向上も求められています。補正のために測る点を増やすほど、この2つの要求は両立しにくくなります。

歪みを露光前に測る方法もあります。ニコンは、フォトマスクとシリコンウェハの位置がずれないよう、複数のセンサーでnmレベルの位置合わせを行っているとしています7。同社は露光前に歪みを計測してフィードフォワードで補正する考え方を示し、Litho Boosterやinline Alignment Station(iAS)を挙げています。露光では数十回のフォトマスク交換を繰り返し、露光装置の性能を左右する3つの技術は、投影レンズの解像度、重ね合わせ精度、スループットです。この方法では、露光装置とは別に設置する装置1台分の設置面積と工程が増えます。

寸法については、主に露光量を調整します。解像度、ラフネス、感度の3つはRLSトレードオフと呼ばれる関係にあり、ラフネスを減らす最も単純な方法は露光量を増やすことです5。一方、EUVでは光の利用効率が非常に低いため、10ミリジュール毎平方センチメートル以下の高感度レジストが強く求められています。エッジのラフネスを減らす方向は、感度の要求と相反します。

マスク側の余裕は、誤差の拡大率で決まります。MEEFはマスク上の寸法誤差がウエハ上で拡大される比率で1、ダブルパターニングではマスクの高精度化も厳しく求められます。MEEFが大きい層では、フォトマスクの寸法と位置の誤差がそのままEPEに加わります。

エッジを1本ずつ調整する方法がOPCです。モデルベースOPCは、パターンごとのシミュレーションで光近接効果を予測し、それが小さくなるようにマスクパターンを補正する技術です8。光近接効果は対象パターンを中心とした半径約2マイクロメートルの範囲のパターン配置で決まり、約4×4マイクロメートルを1単位として計算を繰り返すため、チップ全面では数億回を超える計算が必要です。補正を細かくするほど、計算時間が増えます。

最後のエッジは、エッチング後に決まります。CD制御は、エッチング前のマスク寸法に対するエッチング後の寸法のシフト量を制御することで2、その面内差と疎密差も制御します。加工変換差は近接する被加工面積が広く加工残留物の発生量が多いほど大きく、これもマスクパターンで補正しておく必要があります。ドライエッチングの疎密差は、エッチング後の測定で初めて数値に出ます。

スペーサ方式は、寸法を膜厚に任せて重ね合わせの取り分を広げる

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作り方そのものを替えると、EPEの主な要因が変わります。Spacer技術では、スペーサで形成されるパターンの寸法はその膜厚で決まる単一の寸法だけになり、ラインを形成する場合はウェハ全面が同じライン幅になります4。寸法が膜厚の制御性で決まるため、スペーサで形成される部分のCDUはレジストパターンのCDUより優れているとされています。

だから重ね合わせの取り分も広くとれます。同じ要求表では、スペーサ方式の重ね合わせが11.9ナノメートルで、LELEやLFLEの5.5ナノメートルより広く、シングル露光の10ナノメートルよりも広い値です。

その代わり、工程が増えます。Spacerダブルパターニングで形成できるパターンは基本的に輪郭パターン、つまりドーナツ状のパターンになるため、別のマスクで切断したり、さらに別のマスクでパターンを追加したりする工程も必要です。切断用のマスクにも、重ね合わせ誤差が生じます。SADPを選ぶと、周期の寸法は膜厚で決まり、端の位置は追加マスクの重ね合わせで決まることになります。スペーサ法、LFLE方式、LELE方式が並ぶなかで、露光同士の重ね合わせ精度は非常に厳しくなってきます9。

エッジ配置誤差(EPE)とは何ですか?

パターンのエッジが、設計上の位置とどれだけ離れているかを表す量です。レジスト像のエッジが、設計で狙った場所からどれだけ離れているかを評価する尺度として使います。

寸法(CD)とはどこが違いますか?

基準の取り方が違います。寸法は同じパターンの2つのエッジのあいだの距離で、EPEは1つのエッジと設計位置の距離です。そのためEPEには、寸法のばらつきに加えて、パターン全体の位置のずれ、つまり重ね合わせが入ります。

どのくらいの数字になりますか?

ITRS2009版の要求値をまとめた要求表では、2009年の欄で、1回の露光で決まる線の寸法管理値が3σで3.3ナノメートル、2回露光の重ね合わせが3σで5.5ナノメートル、別々の露光で決まる隙間の寸法管理値が3σで6.4ナノメートルです。imecは2017年、EUVの金属配線の先端位置で約5ナノメートル(3σ)のEPEを示しています。

なぜ隙間の許容が線より大きいのですか?

別々の露光で決まる2つのエッジの間の寸法なので、重ね合わせのずれがそのまま隙間の幅に加わるためです。表の6.4ナノメートルは、線の3.3ナノメートルと重ね合わせの5.5ナノメートルの二乗和の平方根に一致します。

現場では何をどう測りますか?

寸法をCD-SEMやOCDで測り、重ね合わせを下地のアライメントマークとレジストパターンの位置の差として測ります。2枚のマスクが転写したパターンは形状と寸法、そして材料まで別々になるため、どちらのものかを見分けて測ります。

何を調整するとEPEが変わりますか?

露光機の高次アライメント補正、露光前のウェハ歪み計測、露光量、OPCの補正、エッチングの寸法シフトです。どれも残差を締める向きに動かすと、スループット、装置台数、レジスト感度、計算時間、面内差のどれかが逆を向きます。

スペーサ方式にすると楽になりますか?

重ね合わせの取り分は広がり、同じ要求表の2009年の欄で11.9ナノメートルです。代わりに寸法がスペーサの膜厚制御へ移り、輪郭パターンを切断したり追加したりするマスクの工程が増えます。

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