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自己整合コンタクトとは

自己整合コンタクトとは、ゲートを窒化シリコン膜で包んでおき、層間絶縁膜の酸化膜だけを速く削るエッチングでコンタクト穴を開ける作り方です。 穴がゲートの上へ乗り上げても、窒化膜が削られる速さのほうが遅いため、穴はゲート間の隙間へ落ちます。

ゲートピッチが縮んだとき、穴の周りの余白を残したまま穴を細くする方法と、余白をなくして材料のエッチング速度の違いに頼る方法があり、後者が主流になりました。

露光の合わせ余裕を、エッチングの選択比で置き換える

Section titled “露光の合わせ余裕を、エッチングの選択比で置き換える”

コンタクト穴をゲートの間へ落とす工程には、2つの寸法予算が乗ります。1つは露光の重ね合わせ誤差、もう1つは穴そのものの寸法ばらつきです。従来のコンタクトは、穴の周りに余白を取り、この2つの和をその余白で吸収します。ゲートピッチが縮むと、余白のほうが先に尽きます。

自己整合コンタクトでは、穴がゲートの上にかかることを許します。その代わり、ゲートの上面と側面をシリコン窒化膜で包み、層間絶縁膜の酸化膜を削るエッチングが窒化膜の上で遅くなるようにします。露光の合わせ余裕を、エッチングの選択比で置き換える作り方です。

サイドウォールスペーサは、ドレイン部のドーパント構造をセルフアラインで作るためだけでなく、ゲートとソース/ドレイン領域を分離するためにも使われており1、その耐久性がゲートとソース/ドレインのコンタクト構造とプロセスを制約します。スペーサは注入のマスクであると同時に、コンタクト工程で削られる膜でもあります。

同じずれでも結果が変わる
従来:余白で吸収ソース・ドレインずれるとゲートに触れて短絡自己整合:選択比で吸収ソース・ドレイン窒化膜で止まり、隙間に落ちるゲート窒化膜本来の穴の位置
従来のコンタクトは周りの余白で重ね合わせ誤差を吸収し、自己整合コンタクトは酸化膜と窒化膜のエッチング速度の差で吸収します。

速度差が足りなくなると、穴はゲートと短絡する

Section titled “速度差が足りなくなると、穴はゲートと短絡する”

削る速さの差は重合膜の収支で決まり、その差は有限です。フルオロカーボンプラズマは主に絶縁膜加工に使われ2、用途には、キャパシタ形成などの高アスペクト比加工(HARC加工)、SAC加工、LDD用スペーサ加工があり、Cu配線のデュアルダマシン加工も重要な工程になっています。自己整合コンタクトは、この4つの用途の1つです。

ホール径が100 nm程度までは比較的垂直な形状を保てる場合もありますが、それより微細になると、ホールの中間部が樽型に膨らむボーイングが目立ち、パターン間の短絡マージンが下がります。自己整合コンタクトが守るのは、この短絡マージンです。穴の途中が横に膨らめば、ゲートを包む窒化膜に横から当たる量が増えます。

日立製作所中央研究所の根岸伸幸氏と伊澤勝氏は、2007年時点の検討で、Ar/C5F8/O2の混合ガスとUHF-ECRプラズマエッチング装置を使い、Ar流量が800 ml/minでは穴の中間部の側壁に堆積が見られず、500 ml/min、200 ml/minに下げると側壁の堆積量が増えることを示しました2。電極温度を高くすると側壁への付着係数が下がり、ラジカルが穴の奥まで運ばれます。両者を組み合わせると、ホールのトップ寸法を保ったままボーイング量が56.3 nmから15.2 nmに下がりました。ボーイングが起きる位置のアスペクト比はホール径によらず約4、側壁の堆積膜が途切れる位置のアスペクト比は約3で、いずれもほぼ一定でした。

代償もあります。HARC加工では高いエッチレートと高いマスク選択比を同時に求められるので、付着係数が高く比較的厚いフルオロカーボンポリマーを堆積させてマスクを守りながら、1〜3 keVの高エネルギーイオンでエッチングします。厚い重合膜と高エネルギーイオンの組み合わせはマスクを守れる一方で、レジストの突き抜けという別の不良を招きます。

ボーイングを抑える条件
ボーイング量調整前56.3 nm調整後15.2 nmAr流量を800から200 ml/minに下げる電極温度を上げる厚い重合膜と高エネルギーイオンでレジストの負担が増える
Ar流量を下げて電極温度を上げると、穴の側壁への堆積が増え、ボーイングは56.3 nmから15.2 nmに減りました。

窒化膜の厚さには、削り抜けの余裕と直列抵抗の2つの要求がかかる

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ITRS 1999年版は、スペーサ材料に堆積酸化膜、ポリシリコンの熱酸化膜、堆積シリコン窒化膜、およびこれらの組み合わせが使われてきたとし、シリコン窒化膜や酸窒化膜を酸化膜より良い代替材料としています1。同じ1999年版は、シングルドレインのエレベート構造では寄生直列抵抗を抑えるためにサイドウォール膜厚が5〜10 nmである必要があり、ゲート絶縁膜並みの信頼性と安定性も求められると見ていました。約20 nm以下では、最良の熱酸化膜でも、シリコンの選択エピタキシャル成長やシリサイドプロセスにさらされると欠陥を生じやすくなると見ていました。

1999年版の表では、コンタクト接合部に対するサイドウォールスペーサ厚はMPUの物理的なゲート長の0.94倍で、その幅は±33%程度です。厚くすれば削り抜けまでの余裕が増え、薄くすれば寄生直列抵抗と穴の断面積が有利になります。1つの厚さに2つの要求がかかっています。

容量も増えます。ITRS 2013年版は、SiNのκ値を6超としています3。ゲートの上面と側面を同じ材料で包むので、ゲートと拡散層のあいだの寄生容量が増えます。

同じ窒化膜が、研磨とウェット処理でも止める役を担う

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自己整合コンタクトを支える窒化膜は、エッチング工程のほかに、研磨と薬液の工程でも減ります。

サリサイドの形成後に酸化膜と窒化膜をCVD法で成膜し、その上にBPSG膜を成膜して層間絶縁膜にします。CMPで平坦化してもポリシリコン部とソース/ドレイン部でBPSG膜の厚さに差が残るため、先に成膜した窒化膜をポリッシングストッパーとして使い4、その後に窒化膜と酸化膜をエッチングしてコンタクトホールを開けます。同じ窒化膜が、研磨を止める役とエッチングを止める役を続けて担います。

ITRS 2013年版は、フロントエンドの平坦化の用途として、窒化膜を除去してSelf-Aligned Contacts(SAC)のために酸化膜の上で研磨を止める工程3を挙げ、コンタクトプロセスが絶縁膜の上で研磨を止める方法から、絶縁膜と窒化膜の組み合わせを研磨する方式へ移ってきたとしています。

薬液でも同じ選択比が必要です。ステラケミファは、HSNシリーズがシリコン窒化膜に対して高い選択比でシリコン酸化膜をエッチングでき5、従来のBHFと同じシリコン酸化膜のエッチレートのまま、酸化膜と窒化膜のエッチレート選択比を上げられるとしています。シリコン熱酸化膜に対しては、数十Å/min程度の遅いエッチレートから数千Å/min程度の速いエッチレートまで対応しています。

スペーサ幅と残膜を測り、装置は高選択比で応える

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ITRS 1999年版は、スペーサ幅とそのオーバーエッチ依存性が、スペーサエッチの異方性の度合いだけでなく、ゲート電極の形状や、スペーサ絶縁膜の堆積時の膜厚制御と堆積状態にも左右されるとして、非破壊でスペーサ幅を測る手法の開発が必要だとしています1。メインエッチでバルク材料の大部分を除去し、オーバーエッチで仕上げる多段のエッチングについても、インターフェロメトリなどでメインエッチの終了前に残りの膜厚を測ることを強く望んでいます。

DRAMの積層キャパシタでは、コンタクトのサイズが0.1 μmでアスペクト比が10以上になると1999年版は見込み、セルフアラインの高アスペクト比コンタクトエッチングと、エッチング後の十分な洗浄方法の開発を課題としていました。エッチストップと接合へのダメージを抑えながら、CDと選択性を保つことが技術的な挑戦になると見ていました。

東京エレクトロンは、Tactrasシリーズ6で用途に応じて高アスペクト比エッチング、マスクと絶縁膜のエッチング、BEOLの絶縁膜エッチング向けの仕様を提供し、搭載するエッチングチャンバーを、形状を作るときのウェーハ面内均一性、ウェーハ間ばらつきの抑制、高選択比を実現するよう設計したとしています。

自己整合コンタクトとは何ですか?

ゲートを窒化シリコン膜で包んでおき、層間絶縁膜の酸化膜だけを速く削るエッチングでコンタクト穴を開ける作り方です。穴がゲートの上へ乗り上げても、窒化膜が削られる速さのほうが遅いため、穴はゲート間の隙間へ落ちます。

従来のコンタクトと何が違いますか?

予算の置き場所です。従来はコンタクト穴の周りに余白を取り、重ね合わせ誤差と寸法ばらつきをその余白で吸収します。自己整合コンタクトは余白を削り、そのぶんを酸化膜と窒化膜のエッチング速度比、つまり選択比で吸収します。

なぜ窒化シリコンなのですか?

ITRS 1999年版は、シリコン窒化膜や酸窒化膜を酸化膜よりも良い代替材料としています。サイドウォールスペーサには、堆積酸化膜、ポリシリコンの熱酸化膜、堆積シリコン窒化膜、およびこれらの組み合わせが使われてきました。

選択比が不足すると何が起きますか?

ゲートの頭や肩を覆う窒化膜が尽き、コンタクト金属がゲートへ届いて短絡します。逆に選択比を稼ごうとしてフルオロカーボンの重合膜を厚くし、高エネルギーイオンを併用すると、レジストの突き抜けという別の不良へ移ります。

現場では何を調整しますか?

側壁保護膜の付き方を左右する希釈ガスの流量と電極温度、窒化膜の厚み、オーバーエッチの長さです。日立製作所中央研究所の根岸伸幸氏らが同社装置で検討した結果では、Ar流量を800 ml/minから500、200 ml/minへ下げると穴の側壁への堆積量が増えました。

何を測ると異常が分かりますか?

穴の断面形状と、ゲートとコンタクトの間のリーク電流です。根岸氏らの検討では、Ar/C5F8/O2の混合ガスによる加工で、ボーイングが起きる位置のアスペクト比がホール径によらず約4でほぼ一定で、Ar流量の最適化と電極温度の高温化を組み合わせるとボーイング量は56.3 nmから15.2 nmへ下がりました。

代わりに何が悪くなりますか?

ゲートの周りを窒化シリコンで包む分の寄生容量と、工程数が増えます。ITRS 2013年版は、SiNのκ値を6超としています。ゲートの周りにも同じ材料を使うので、容量が増えます。

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