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SiGe(シリコンゲルマニウム)とは

SiGe(シリコンゲルマニウム)とは、SiとGeを任意の比率で混ぜた単結晶で、Si基板の上では押し縮められた状態のまま成長する材料です。 ナノシートGAAでは、ソース・ドレインのエピ層、Siシートのあいだを埋める犠牲層、pチャネルそのものの3か所に出てきます。

1つの材料がひずみを加える役、後で除去される役、電流を流す役をすべて担えるのは、Siとの格子の大きさの違いと、その違いが転位を生み始める厚さの上限があるからです。

4.18%の差が意味すること
SiGe格子間隔の差 4.18%臨界膜厚まで:縮めて収める縦が伸びる列は下地とそろい、縦が伸びる超えると:1列分が余る余った列が界面で途切れるSiGe / GeSi 下地
格子間隔の差4.18%は、Si 25個ぶんとGe 24個ぶんが同じ長さになるという意味です。余る1個は、膜を縦へ伸ばして吸収するか、界面で列を終わらせて転位として残るかのどちらかになります。

Geの格子定数は0.56579nmで、Siより4.18%大きくなります1。この4.2%の格子不整合のため、Si基板上のGeエピタキシャル層は貫通転位密度が高く、表面も粗くなります。通常の成長で10^8 cm^-2を超える貫通転位密度が、傾斜バッファと研磨の併用で2.1×10^6 cm^-2、アンチモンを界面活性剤として使う方法で5.4×10^5 cm^-2まで下がった例があります。

SiとGeを混ぜたSiGeでは、この差はGe濃度に比例して小さくなります。4.18%にGe濃度を掛けて計算すると、Ge濃度30%のSi0.7Ge0.3とSi単体との格子の差は1.2%あまりです。差が小さいほど、転位を伴わずに積める厚さは厚くなります。

臨界膜厚を超えると、ひずみが転位に変わる

Section titled “臨界膜厚を超えると、ひずみが転位に変わる”

格子不整合があっても、ある成長膜厚(臨界膜厚)までは横方向の格子定数を下地にそろえたまま弾性的にひずみ、この範囲の成長をシュードモルフィック(擬似格子整合)成長と呼びます2。臨界膜厚を超えると、ひずみのエネルギーを緩和するために転位を伴う格子緩和が始まり、成長層は本来の格子定数に戻っていきます。この転位はデバイス特性に有害なので、多くの半導体デバイスでは格子整合成長か、臨界膜厚以下のシュードモルフィック成長を使います。

臨界膜厚hcには、MatthewsとBlakesleeらのモデルがあります3。面内の格子定数を一致させる代わりに、弾性変形で面に垂直な方向の格子が伸び縮みする状態は、coherent成長またはpseudomorphic成長と呼ばれます。Si上のSi1-xGexのような間接遷移型では、[001]方向のひずみによってxy面のXバンドとz方向のXバンドがエネルギー的に分離し、ひずみがバンド構造そのものを変えます。

SiGeを使う工程は、すべて臨界膜厚を超えない厚さの範囲で設計します。Ge濃度を上げてひずみを大きくするほど、その上限は薄くなります。

ナノシートGAAでは、同じSiGeが断面の3か所で別々の役を担う

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Ge濃度の違いと役割
Si 基板ソースGe 35〜40%ドレインGe 35〜40%Ge 30% 犠牲層9 nmSi ナノシートSiGeSi 基板
左右のブロックはGe 35〜40%で、内側へチャネルを押します。積層の中のGe 30%の層は、後で除去されるためにあります。Si層とSiGe層はどちらも約9nmで、比率どおりに描いています。

Si、SiGe、リンドープSi(SiP)といったSi系材料は、先端トランジスタでひずみを生み、チャネルとソース・ドレイン領域を作るために使われます4。ナノシートGAAのプロセスフローは5、Si/SiGe積層の形成から始まり、S/D領域のSi/SiGeのリセス、ドープエピ成長によるソース・ドレイン形成、ゲート溝の中でのSiGe選択エッチングによるナノシートSiの橋の形成へと進みます。このフローの中で、SiGeは積層の一部であり、ソース・ドレインの材料であり、最後に除去される層でもあります。

役ごとのGe濃度には開きがあります。中国科学院微電子研究所のグループが2017年に公開した22nm PMOSの論文では6、ソース・ドレインの選択成長がSi1-xGex(0.35 ≤ x ≤ 0.40)、ボロン濃度1〜3×10^20 cm^-3です。復旦大学のグループが2023年に公開したチャネルリリースの論文では7、犠牲層はSi0.7Ge0.3、Si層とSiGe層がそれぞれ約9nm厚で3周期です。この2例では、押す役が高Ge、消される役が中Geという住み分けです。

Ge濃度は、ひずみ・エッチ速度差・臨界膜厚を同時に動かす

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Ge濃度は3つの量を同時に動かします。1つ目は圧縮ひずみの大きさで、これはひずみシリコンとして駆動電流に直結します。2つ目はSiとのエッチ速度差で、これはチャネルリリースの選択比になります。3つ目は臨界膜厚で、こちらはGe濃度が上がるほど薄くなります。

復旦大学のグループは、選択エッチングの根拠として、Si-Si結合の2.31eVとSi-Ge結合の2.12eVというエネルギー差を挙げています。Ge濃度が上がるほど弱い結合の割合が増え、フッ素系の中性種に対する反応しやすさの差が大きくなります。除去しやすさは、Ge濃度そのものから来ています。

ソース・ドレインのGe濃度を犠牲層より高くするのは、チャネルを押す力と、後で除去する層との区別の両方が必要だからです。インナースペーサがチャネルリリース時のエッチストッパーとして入るのも、同じSiGeという名前の層を、除去する層と残す層に分けるためです。

正孔の流れやすさと引き換えに、厚さの上限と転位による歩留まり低下を負う

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SiGeを使うと、正孔が流れやすくなり、Siとの選択エッチングが可能になり、GAAのシート間隔をエピの膜厚で決められます。代わりに、臨界膜厚という厚さの上限があり、Ge濃度ごとにプロセス条件を見直す必要があり、転位が入ると後の工程では取り返せないので歩留まりが下がります。プロセス担当の判断の多くは、この3つの兼ね合いです。

SiGeとは何ですか?

SiとGeを任意の比率で混ぜた単結晶です。Si、SiGe、リンドープSi(SiP)といったSi系材料は、先端トランジスタでひずみを生み、チャネルとソース・ドレイン領域を形作るために使われます。

なぜSiの上でひずむのですか?

Geの格子間隔がSiより大きいためです。Geの格子定数は0.56579nmで、Siより4.18%大きくなります。Siの格子間隔へ合わせて育つと、SiGeは面内で押し縮められます。

臨界膜厚とは何ですか?

弾性変形だけでひずみを吸収できる厚さの上限です。格子不整があっても、臨界膜厚までは横方向の格子定数を下地と一致させたまま弾性的にひずみ、この範囲の成長をシュードモルフィック(擬似格子整合)成長と呼びます。

臨界膜厚を超えるとどうなりますか?

成長膜厚が臨界膜厚を超えると、ひずみのエネルギーを緩和するために転位を伴う格子緩和が始まり、成長層は本来の格子定数に戻っていきます。この転位はデバイス特性に有害です。

ナノシートGAAのどこにSiGeが入りますか?

3か所です。ナノシートGAAのプロセスフローでは、Si/SiGe積層フィンの犠牲層、ソース・ドレインのドープエピ層に加え、pチャネルそのものをSiGeにする選択肢があります。

犠牲層のGe濃度はどのくらいですか?

復旦大学のグループが2023年に公開した論文の試作では、犠牲層がSi0.7Ge0.3、Si層とSiGe層がそれぞれ約9nm厚で3周期積まれています。

ソース・ドレインのGe濃度はどのくらいですか?

中国科学院微電子研究所のグループが2017年に公開した22nm PMOSの論文では、Si1-xGexの組成が0.35から0.40の範囲で、ボロンを1〜3×10^20 cm^-3含みます。犠牲層より高いGe濃度です。

Ge濃度を上げるとどうなりますか?

圧縮ひずみもSiとのエッチ速度差も大きくなる代わりに、格子緩和が始まる厚さが薄くなります。同じSiGeという名前でも、役ごとにGe濃度と厚さの組み合わせが変わります。

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