GAA(ゲートオールアラウンド)とは
GAA(Gate-All-Around)とは、電流が流れるチャネルの4面すべてをゲートが囲むトランジスタ構造です。 3nm以下の回路で採用され1、チャネルのどの部分もゲートから遠くならないため、閉じたときに漏れる経路が減ります。性能の伸びしろは、チャネルを線ではなく幅を選べる板にした点にあり、代わりにシートを浮かせる工程が製造の難所として加わります。
4面を囲むと、ゲートから遠い場所がなくなる
Section titled “4面を囲むと、ゲートから遠い場所がなくなる”FinFETは、チャネルを立てて3面をゲートで囲むことで制御力を稼ぎました。残る1面は、Finが基板とつながっている底面です。
GAAはここを断ちます。チャネルを基板から切り離して浮かせ、周囲をすべてゲートで包みます。Samsungは、FinFETではゲートとチャネルが三次元で接するのに対し、GAAは電流のより細かい制御を可能にし、チャネル制御性を最大化するとしています1。囲む面が3から4へ増えると、チャネルのどの部分もゲートの支配下に入ります。
囲む効果は短チャネルの指標に出ます。imecは、バルクSi基板の上に置換メタルゲートの工程で作った横型Siナノワイヤのトランジスタで、ゲート長24nmのとき2サブスレッショルドスイング65mV/dec、DIBL42mV/Vを得て、性能はFinFETの参照素子と同等の水準だったとしています。
線では電流が足りず、薄く幅広い板を積む
Section titled “線では電流が足りず、薄く幅広い板を積む”チャネルを浮かせるだけなら、細い線状にする道もあり、実際そうした構造も検討されてきました。ところがSamsungは、従来のワイヤ型チャネルは断面がわずか1ナノメートル程度しかなく、流せる電流量が制限されるとしています1。細くすれば囲みやすい代わりに、通せる量が足りなくなります。
そこで断面を横へ広げ、板状にします。同社は、MBCFET(Multi Bridge Channel FET)技術が薄く幅広いナノシートを複数層積み重ねることで、性能と電力効率の両方を高めるとしています1。厚みは薄いまま保って囲みやすさを維持し、幅で断面積を稼ぐ設計です。板を何枚か重ねればその分だけ電流の通り道が増えるので、駆動力は積層と幅の2つの軸で調整します。
積層したナノシートは、FinFETより先の微細化の候補として実証されてきました。IBMは積層ナノシートのGAAで、ゲート長12nm、コンタクテッドポリピッチ44/48nmという厳しい設計ルールでも良好な静電特性3を報告しています。
幅を選べることが、FinFETにない設計の自由度になる
Section titled “幅を選べることが、FinFETにない設計の自由度になる”FinFETでは、駆動力を増やす手段はFinの本数でした。整数の本数だけで増やすため、選べる値は飛び飛びです。Samsungは、ナノシートの幅がチップの特性に応じて調整でき、設計の柔軟性が高まるとしています1。幅は連続的に選べるため、必要な駆動力へ細かく合わせられます。
しきい値電圧の作り分けも、シートの間の狭い隙間で求められます。IBMは、幅の広い積層シートでシート同士の間隔を詰めたまま、仕事関数金属の置き換えと複数のしきい値電圧を実証しています。
SiとSiGeを積んでからSiGeだけを抜き、シートを浮かせる
Section titled “SiとSiGeを積んでからSiGeだけを抜き、シートを浮かせる”浮いたシートは、最初から浮いた形で作るわけではありません。imecによれば、ナノシートはエピタキシャル成長させたSiとSiGeの多層膜でチャネルを決めます4。SiGeは犠牲層で、置換メタルゲートの工程の中のチャネル解放で取り除かれます。抜いた隙間にゲートが入り、Siのシートが4面から囲まれます。Siナノワイヤの試作でimecは、STIの緻密化を750℃で行い、ワイヤを確実に解放するのに欠かせない、SiGeとSiの急峻な界面を保ちました2。
FinFETにはなかった部品も1つ増えます。ナノシートには、ゲートとソース・ドレインの間を絶縁して容量を下げる追加の誘電体、インナースペーサが要ります。形成の工程では、積層したSiGe層の外側の部分を横方向のエッチングで後退させます4。imecは、このインナースペーサの組み込みをナノシートの工程の流れで最も複雑なモジュール4と位置づけ、高いエッチング選択比と精密な横方向のエッチング制御が要るとしています。imecや装置メーカーがGAAの新工程の中心に挙げるのも、SiGeを横から抜く選択エッチです。
シートの間隔は性能にも効きます。imecのチームは、縦に並んだ2枚のナノシートの間隔を13nmから7nmへ詰めると、AC性能が10%向上した4と示しました。一方で浮かせたシートには特有の不良もあり、IBMは長いチャネルの素子でシート同士が貼り付く現象をなくしたこと3、シートの下を通る漏れを抑えるために標準のバルク基板上で誘電体分離を示したこと、外部抵抗を下げるために周囲を包むコンタクトを評価したことを報告しています。
Samsungは3nmで初期生産を始め、第2世代で電力を最大50%削減するとしている
Section titled “Samsungは3nmで初期生産を始め、第2世代で電力を最大50%削減するとしている”Samsungは、GAAアーキテクチャを適用した3nmプロセスノードの初期生産を開始し5、第1世代が5nmと比べて消費電力を最大45%削減、性能を23%向上、面積を16%削減し、第2世代では最大50%削減・30%向上・35%削減になるとしています。同社はMBCFETについて、供給電圧を下げることで電力効率を高め、駆動電流能力を増やすことで性能を高め、FinFETの性能限界を破るとしています。ナノシートの最初の適用先は高性能・低消費電力のコンピューティング向けの半導体チップで、モバイル向けプロセッサへ広げる計画です5。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- デバイス製品開発の工程ページ── 工程分類と、この工程の公開求人
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
- FinFETからGAAで得る性能と増える工程|負担はシート解放と内側スペーサから── 移行で増える工程
- GAA製品はSamsungとIntelが自社チップ|TSMCのN2系はAMDとMediaTek ── GAAを使った最初の製品
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”GAAとは何ですか?
3nm以下の回路で採用されるトランジスタ構造で、電流が流れるチャネルの4面すべてをゲートが囲みます。チャネルを基板から浮かせるので、ゲートから遠い場所がなくなります。
FinFETと何が違いますか?
囲む面の数です。FinFETではゲートとチャネルが三次元で接し、底面は基板とつながったままです。GAAは4面を囲むことで電流のより細かい制御を可能にし、チャネル制御性を最大化します。
MBCFETとは何ですか?
SamsungのGAA技術の名称です。同社は、MBCFET(Multi Bridge Channel FET)技術が薄く幅広いナノシートを複数層積み重ねることで、性能と電力効率の両方を高めるとしています。
なぜナノシートなのですか?
線状のチャネルでは電流が不足するためです。従来のワイヤ型チャネルは断面がわずか1ナノメートル程度しかなく、流せる電流量が制限されます。厚みを薄いまま幅を広げれば、断面積を稼げます。
設計の自由度はどう変わりますか?
ナノシートの幅をチップの特性に応じて調整でき、設計の柔軟性が高まります。FinFETでは本数を整数で増やすしかなかった駆動力の刻みが、幅の調整で連続的に選べます。
どのくらい効果がありますか?
Samsungは、GAAを適用した第1世代3nmが5nmと比べて消費電力を最大45%削減、性能を23%向上、面積を16%削減し、第2世代では最大50%削減・30%向上・35%削減になるとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- FinFETとは── 3面で囲む前の世代
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- 2imec:横型Siナノワイヤによるゲートオールアラウンド MOSFET の実証imec-int.com ab
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- 4imec:Entering the nanosheet transistor eraimec-int.com abcd
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