縦型チャネルトランジスタ(VCT)とは
縦型チャネルトランジスタ(VCT)とは、電流が基板に対して縦方向に流れるように、チャネルを縦に作ったトランジスタです。 DRAMのセルトランジスタに使うとセル面積を4F²まで縮められ、現在の大容量DRAMが使う6F²のセルと比べて、原理的にメモリセル面積を3分の2にできます1。DRAMは寸法を縮めて容量を増やしてきましたが、平面のトランジスタのままでは、セル面積を縮めにくくなっています。トランジスタを縦にすると、そのかわりに工程の難しさが増します。勝負を分けるのは、縦のトランジスタをキャパシタや周辺回路とどう積み、どのチャネル材料で熱工程を乗り切るかです。
縦にすると、平面の占有面積を増やさずにチャネル長を取れる
Section titled “縦にすると、平面の占有面積を増やさずにチャネル長を取れる”縦型チャネルトランジスタはチャネルの長さを縦方向にとるので、平面上の占有面積を増やさずにチャネル長を確保できます。平面のトランジスタを90度回し、縦になったチャネルをゲートで囲む形です2。この形は3D NANDがすでに使っていて、メモリセルを縦に積んで1本のストリングにし、横向きのワード線でセルを選びます。作るときは酸化膜とワード線の層を交互に積み、先端のドライエッチング装置で積層を貫く円筒形の穴を掘ります。
DRAMでは、セルトランジスタはDRAMセルの構成要素で、ワード線とビット線の交点に置かれます。縦型にするのは、このセルトランジスタです。
4F²のセルは、6F²のセルの3分の2の面積になる
Section titled “4F²のセルは、6F²のセルの3分の2の面積になる”F²は設計ルールF(最小加工寸法に相当)の2乗を意味し、4F²はその4倍です。IEDM 2023では、セル面積を4F²に縮小した成果の発表が目立ちました1。ASMはDRAMのセルの6F²から4F²への移行をエピ装置の伸びの要因に挙げています。
キオクシアのOCTRAMは、円筒形のIGZOトランジスタをキャパシタの上に作る
Section titled “キオクシアのOCTRAMは、円筒形のIGZOトランジスタをキャパシタの上に作る”キオクシアは2024年12月、南亜科技と共同で酸化物半導体トランジスタを使う新しいDRAM(OCTRAM)技術を開発し、IEDMで発表しました3。発表は米国サンフランシスコで開かれたIEDMで、12月9日(現地時間)に行われました。OCTRAMは、縦型に円筒形で作った酸化物半導体(InGaZnO)トランジスタをセルトランジスタに使います。同社は、4F²のレイアウトができるので、従来のシリコントランジスタを使う6F²のDRAMより大容量化が期待できるとしています。
同社はInGaZnOトランジスタの製造プロセスと構造を最適化して、高いオン電流(15μA/cell)と非常に低いオフ電流(1aA/cell)を示しました。オフ電流が低いので、従来のDRAMより消費電力を下げられると期待されています。キャパシタの上にInGaZnOトランジスタを作る「キャパシタ1stプロセス」を採用し、先進のキャパシタ技術とInGaZnOトランジスタ技術を組み合わせた構造にしています。
IEDM 2023では、CXMTなどとSamsungが4F²向けの縦型を発表した
Section titled “IEDM 2023では、CXMTなどとSamsungが4F²向けの縦型を発表した”IEDM 2023では、CXMTなどの共同研究グループが、次世代の4F²DRAMセルに向けた高性能で低SSのGAA接合レス縦型チャネルトランジスタを発表しました1。キャパシタは正六角柱の形をした積み上げ型です。Samsungは、サブ10nm世代の4F²DRAMセルに向けたシングルゲートIGZO縦型チャネルトランジスタを発表しました。Samsungは、コア回路と周辺回路の上にセルアレイをモノリシックに積層しています。
IGZOは製造の熱工程に弱く、キオクシアは熱に強いIAZOを提案している
Section titled “IGZOは製造の熱工程に弱く、キオクシアは熱に強いIAZOを提案している”酸化物半導体のトランジスタでは、熱への安定性を上げることが課題です。キオクシアは、従来の酸化物半導体であるIGZOを使うと、メモリの製造に要る熱工程でトランジスタが正しく動かなくなるとしています4。そこで同社は、熱への安定性が高い酸化物半導体としてInAlZnO(IAZO)を新たに提案しました。IAZOを使い、ゲートがチャネルを囲む3次元積層向けの縦型チャネルトランジスタをゲート長40nmで作り、トランジスタ動作を初めて示したとしています。
縦にする代償は、材料と積み方と作り分けの組み直し
Section titled “縦にする代償は、材料と積み方と作り分けの組み直し”縦型にするとセル面積は小さくなりますが、チャネルを縦に作る工程、キャパシタとの積み方、周辺回路との作り分けを一から考え直す必要があります。キオクシアはキャパシタの上にトランジスタを作る順番を選び、Samsungは周辺回路の上にセルアレイを積んでいます。IGZOを使えばオフ電流は小さくなりますが、シリコンとは違う材料の工程を組み込む必要があります。
4F²の次の候補は、キャパシタを省いたセルの3次元化
Section titled “4F²の次の候補は、キャパシタを省いたセルの3次元化”PC Watchの連載は、DRAMの技術ノードがサブ10nm世代に入ると4F²セルによる面積縮小も限界に近づくとし、その次の候補に、キャパシタを省いたDRAMセルの3次元化を挙げています1。中国科学院微電子研究所は、IGZOをチャネルにした縦型チャネルトランジスタによるキャパシタレスDRAM技術を3件発表しています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”縦型チャネルトランジスタとは何ですか?
電流が基板に対して縦方向に流れるように、チャネルを縦に作ったトランジスタです。DRAMのセルトランジスタに使うと、セルの面積を小さくできます。
4F²とは何ですか?
セル面積を、最小加工寸法Fの2乗の何倍かで表したものです。4F²はF²の4倍で、現在の大容量DRAMが使う6F²のセルと比べて、原理的に面積を3分の2にできます。
なぜ縦にすると面積が小さくなりますか?
チャネルの長さを縦方向にとるので、平面上で占める面積を増やさずにチャネル長を確保できるからです。平面のトランジスタを90度回して、チャネルを縦に立てた形です。
どんな材料を使いますか?
シリコンのほか、IGZO(InGaZnO)などの酸化物半導体が使われます。キオクシアのOCTRAMは、縦型に円筒形で作ったInGaZnOトランジスタをセルトランジスタにしています。キオクシアは熱に強い材料としてInAlZnO(IAZO)も提案しています。
IGZOを使う利点は何ですか?
オフ電流が非常に小さいことです。キオクシアは、オン電流15μA/cellと、オフ電流1aA/cellを示しています。
どの会社が開発していますか?
IEDM 2023では、SamsungがIGZOの縦型チャネルトランジスタを、CXMTなどの共同研究グループがGAA接合レスの縦型チャネルトランジスタを発表しています。キオクシアは南亜科技と共同でOCTRAMを発表しました。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- DRAMセルとは── トランジスタ1個とキャパシタ1個の記憶単位
- IGZOトランジスタとは── オフ電流が非常に小さい酸化物半導体のトランジスタ
- 3D DRAMとは── 4F²の次の候補になるセルの積層
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- 1PC Watch:福田昭のセミコン業界最前線 次世代DRAMの研究開発成果が続出する12月開催のIEDM 2023pc.watch.impress.co.jp abcd
- 2imec:次世代3D NANDフラッシュのzピッチ微細化imec-int.com ↩
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