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NOR型フラッシュメモリとは

NOR型フラッシュメモリとは、メモリセルを並列につなぎ、どの番地にも直接手が届くようにしたフラッシュメモリです。 メモリセルをDRAMと同じように並列につなぐ形なので、ランダムアクセスができ、NAND型より高速にアクセスでき、プログラム格納用メモリとしての用途が多くなります1。代わりにセル2個ごとに要る接点が面積を取って集積度でNAND型に劣り、書き込みも遅くなります。NOR型が勝てるのは、容量より「置いた場所ですぐ動く」ことが価値になる起動コードの領域です。

並列か直列か、セルのつなぎ方が速さと容量を分ける

Section titled “並列か直列か、セルのつなぎ方が速さと容量を分ける”

フラッシュメモリには、NOR型とNAND型の2種類があり、両者を隔てるのはセルのつなぎ方です。NOR型はメモリセルを並列に配置してランダムアクセスとデータの高速読み出しを可能にし、NAND型はメモリセルを直列に配置してNOR型より高密度に並べ、大容量化を実現しています2。NOR型は1984年に舛岡富士雄氏(当時東芝勤務)が発明し、1988年にインテルが商用のNOR型フラッシュメモリを発売しました3。

NOR型は1個のメモリーセルごとにビット線・ソース線へ直につながるため、読み出しが数十nsと高速です。1つ1つのセルが配線に直接つながっているので、目的の番地へ一足飛びに届きます。NORフラッシュのビットセルの基本的な例は、Nチャネルのトランジスタで、フローティングゲートの電圧がしきい値電圧を超えるとオンになります4。

NAND型は、32〜64個のメモリーセルを直列につなぎ、コンタクト領域を複数のメモリーセルで共有するので、小面積・大容量を実現できます5。数珠つなぎなので目的のセル1つへ直接は届きませんが、配線との接点を共有できるぶん詰め込めます。

セルのつなぎ方と接点の数
NOR型(並列)ビット線接点はセル2個に1個セルNAND型(直列)ビット線…32〜64個を直列、接点を共有
NOR型はセルごとにビット線へつながるので、どのセルにも直接届きますが、接点がセル2個に1個の割合で要ります。NAND型は32〜64個を直列につないで接点を共有し、実効セル面積をNOR型の1/2以下にしています。

接点がセル2個に1個要るので、高集積化に限界がある

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NOR型フラッシュメモリは、データストレージ用途のNAND型と違い、信頼性が高く、読出し速度が高速で、高速なランダムアクセスを特徴とします6。一方で、並列につなぐメモリセル2個につき1個の割合でビット線コンタクトを設けるので、コンタクトがレイアウト面積を取り、高集積化には限界があります。記憶する部分と並んで、そこへ届くための配線の口が場所を取ります。

NAND型は記憶素子を直列につなぐことで面積のオーバヘッドを減らし、NOR型の1/2以下の実効セル面積を実現しています6。

読み出しは速く、書き込みは電流が大きいので遅い

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NOR型は、読み出しと書き込みで性能が逆を向きます。フローティングゲート型のNOR型は、チャネルを流れるホットエレクトロンをフローティングゲートへ注入して書き込みます7。このホットエレクトロン書き込みのためにソースとドレインの間に5Vの電位差があり、2010年の時点ではチャネルを100nm以下に縮めることが困難でした5。

書き込み時にはソースとドレインの間に電流が流れるので消費電流が大きく、並列書き込みが難しく、書き込みの速度が遅いという問題があります5。一度に大量に書こうとすると電流が大きくなりすぎるので、並べて同時に書けません。NOR型は、NAND型に比べて読み出し速度やランダムアクセス性は高いものの、集積率は劣り、書き込みが遅いなどの欠点もあります3。

書き換えには回数の上限もあります。書き込み消去サイクルがデータシートの上限を超えると、セルが情報を保つ能力が時間とともに落ちうるので、最悪の場合は故障することがあります7。特別な用途では、必要な保持を満たすためにウェアレベリング、データのリフレッシュ、ECCなどの設計技法が要る場合があります7。

格納した場所のまま実行できるので、起動コードを置く

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NORフラッシュメモリは、電源がなくてもデータを保持する不揮発性ストレージの一種で、組み込みシステムでの実行インプレース(XIP)を可能にします8。XIPとは、プログラムを別のメモリへ移さず、格納したままの場所で実行することです。インフィニオンは、NANDフラッシュと違って高速なランダムアクセスができるため、NORフラッシュがコードの保存や直接実行に最適だとしています。

一般にプログラムコードの格納に使われるNOR型と違い、NAND型はランダムアクセスが遅く、プログラムの実行はDRAMなどへデータを転送したうえで行われます6。転送のひと手間の有無が、電源を入れてすぐ動く必要のある機器で起動時間を左右します。

プログラムが実行されるまでの経路
NAND型NANDDRAMCPU転送実行NOR型NORCPU格納した場所で実行(XIP)
NAND型はランダムアクセスが遅いので、いったんDRAMへ転送してから実行します。NOR型は格納した場所からそのまま実行できるので、起動時のコードでは転送のひと手間がなくなります。

マイコンは通常キャッシュをもたずにフラッシュメモリから直接プログラムを読み出し、プログラムがランダムアクセスを要求します6。そのため、連続した読出しだけでなくランダムアクセスも速い必要があります。

インフィニオンは、NORフラッシュが信頼性の高いブートコードの保存が必須な自動車用ECU、産業用コントローラー、通信インフラで不可欠だとしています。同社は製品の機能として、不変のルート・オブ・トラストによるセキュアブートと、クラウドからメモリまで保護されたリモートのファームウェア更新8を挙げ、SEMPER X1についてはLPDDRインターフェースとNORフラッシュを組み合わせた世界初のLPDDRフラッシュとしています8。マイコンをはじめ、高い信頼性が求められるルーター、プリンタ、デジタルカメラ、GPS、車載機器、携帯電話など、HDDが使えない環境でもファームウェアの格納に使われます3。2010年の時点では、携帯電話・PC・デジタルテレビ・DVDプレーヤーなどのプログラムの格納に使われていました5。

保持年数と書き換え回数は、条件つきの仕様値になる

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データ保持は、最後の書き込みから確実にデータを保てる時間です。ルネサスは、自社のNORフラッシュでは一般に20年で、消耗の程度と温度を定めた条件での値だとしています4。インフィニオンは、Endurance Flexアーキテクチャで、ワークロードに応じて最大100万回のP/Eサイクルか、25年間のデータ保持に対応するパーティションを構成できるとしています8。書き換え回数を取るか保持年数を取るかを、領域ごとに選ばせる設計です。

ウィンボンドは、130nmノードで製造されたNORフラッシュは1メモリセル当たり4,000個の電子を蓄えているとし、漏れを控えめに月1個、10年で120個と見積もっても、セルの電荷量への影響は無視できるとしています9。NOR型の微細化は、1986年には1.5µmノードが最先端でしたが、約20年後には65nmノードで製造されるようになりました9。

「NORは割高」は容量しだいで、境目は256Mbと512Mb

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コードストレージ向けには、信頼性が高く長期間データを保持できるNORフラッシュを選ぶ、というのが業界の一般的な想定です。自社のSLC NANDをNOR型の代替として提案するウィンボンドは、2018年の技術記事で9、この想定が実際に当てはまる範囲は限られるとしています。NORフラッシュとNANDフラッシュは技術の進化速度が違うので、相対的な利点や欠点も日々変わるからです。

チップ面積の内訳
256Mb以下512Mb以上メモリアレイ周辺回路(ロジック・チャージポンプ)
256Mb以下ではロジックやチャージポンプなどの周辺回路がチップのコストの大きな部分を占め、セルの小ささが効きにくくなります。512Mb以上ではメモリアレイが面積の大部分を占めるので、ビット単価の安いNANDが有利になります。

同社は、最大で256Mbのコードを有する組込みアプリケーションでは、NORフラッシュの価格がNANDフラッシュ以下にとどまるとしています。256Mb以下の低容量では、ロジックやチャージポンプなどの周辺機能がチップのコストの大きな部分を占め、メモリアレイだけが支配的な要素ではないためです9。逆に512Mb以上ではダイ面積の大部分をメモリアレイが占めるので、ビット単価の安いNANDのセルがNORに対してはっきり有利になるとしています9。セルの小ささが値段に響くのは、大容量の側です。

マスクROMは、バグを直すにも製造プロセスまで戻る

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1990年代までは、プログラムをマスクROMに格納することが主流でした6。マスクROMでは、プログラムにバグがあった場合に製造プロセスまで戻らなければ変更できず、開発期間が長くなります。書き換えられるフラッシュメモリなら、間違いが見つかっても工場からやり直さずに済みます。

NOR型フラッシュメモリとは何ですか?

フラッシュメモリの一種です。メモリセルをDRAMと同じように並列につなぐのでランダムアクセスができ、NAND型より高速にアクセスできるため、プログラム格納用メモリとしての用途が多くなります。

NAND型との差はどこですか?

セルのつなぎ方です。NAND型はビット線へ直列につなぐ単純な構造なのでNOR型より集積度を上げやすく、データ格納用の大容量メモリとしての用途が多くなります。

なぜ集積度で劣るのですか?

並列につなぐメモリセル2個につき1個の割合でビット線コンタクトを設けるので、コンタクトがレイアウト面積を取り、高集積化に限界があるためです。NAND型はコンタクトを共有して、実効セル面積をNOR型の1/2以下にしています。

どのくらい速いのですか?

NOR型は1個のメモリーセルごとにビット線・ソース線へ直につながるため、読み出しが数十nsと高速です。

何に使われているのですか?

組み込みシステムで、プログラムを格納した場所のまま実行するXIPに使われます。インフィニオンは、信頼性の高いブートコードの保存が不可欠な自動車用ECU、産業用コントローラー、通信インフラで不可欠だとしています。

読み出しが速いなら書き込みも速いのですか?

違います。ホットエレクトロンで書き込むため書き込み時にソースとドレインの間に電流が流れ、消費電流が大きく並列書き込みが難しいので、書き込みの速度が遅くなります。

NOR型は常に割高なのですか?

条件によります。ウィンボンドは、最大で256Mbのコードを有する組込みアプリケーションではNORフラッシュの価格がNANDフラッシュ以下にとどまるとしています。低容量ではロジック回路やチャージポンプ回路などの周辺機能がチップ面積の大部分を占め、512Mb以上ではメモリアレイが大部分を占めてNANDのビット単価の安さが効くためです。

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