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データ保持とは

データ保持とは、メモリが蓄えた値を、書き直しを挟まずに保てる時間です。 DRAMでは、キャパシタの電荷がリーク電流で消えるまでの時間にあたります。保持を決めるのは、蓄えた電荷がどれだけ漏れるかです。DRAMでは最も漏れやすいセルが全体の書き直しの頻度を決め、その書き直しに帯域と電力を払い続けます。

DRAMの保持時間は、キャパシタの電荷が漏れ切るまでの時間

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DRAMは電源が入ったままでも値が消えるため、ミリ秒単位で書き直しを繰り返します。DRAMのセルはデータをキャパシタの電荷として蓄え、その電荷は時間とともに漏れて、やがてデータが失われます1。値を持っているのが受動素子のキャパシタで、閉じたトランジスタからも電荷が少しずつ漏れるからです。リフレッシュせずに安全にデータを保てる時間を、そのセルの保持時間1と呼びます。

DRAMは信号電荷の消失を補うため、一定時間ごとに読み出し・増幅・再書き込みという一連の動作をすべてのメモリセルへ行う必要があります2。増幅を担うのはセンスアンプです。一般的なDRAMのリフレッシュ間隔は64 ms級です。

メモリセルからのリーク電流には種々の伝導機構があり、微細化に伴って増える傾向があるため、精密な制御が要点になります。

全セルを最も短いセルに合わせて書き直すので、帯域と電力を払う

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最短のセルが間隔を決める
蓄えた電荷時間読み出せる下限最も短いセル保持の長いセル最短の保持時間リフレッシュ(全セル同じ間隔)
リフレッシュの間隔は、最も保持の短いセルが下限を割る前に収まるよう決まります。保持の長いセルも同じ間隔で書き直されるので、その分は不要な書き直しになります。

今のシステムは、保持時間の最も短いセルを守れる頻度ですべてのセルをリフレッシュしており、保持の長いセルには不要なリフレッシュになっています1。カーネギーメロン大学のグループは、リフレッシュはエネルギーを浪費し、メモリ要求と干渉してシステム性能も下げる1と指摘しています。この動作の間、メモリは外からの読み書きを待たせるので、保持時間は使えるメモリ帯域の割合に直結します。

セルごとの保持時間は、一度測れば決まる値ではありません。同グループは温度を制御したFPGAの試験装置で、主要DRAMメーカー5社の市販DDR3チップ248個から保持時間のデータを集めました1。そこで、ほかのセルに入っているデータで保持時間が大きく変わるデータパターン依存性と、一部のセルの保持時間が予測できない形で時間とともに変わる可変保持時間1の2つを確かめています。

IGZOの2T0Cセルは、オフ電流を2桁下げて保持を時間の単位へ伸ばした

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2T0Cセルの保持時間の推移
保持時間(対数目盛)202020212023DRAMのリフレッシュ間隔 64 ms400秒超1,000秒超4.5時間超IGZOの2T0Cセル
目盛は1段で10倍です。2T0Cセルの保持は2020年の400秒超から2023年の4.5時間超へ伸び、64 msで書き直す一般的なDRAMとは桁が違います。

酸化物半導体チャネルを使う2T0Cセルの保持時間は、2020年に400秒超、2021年に1,000秒超、2023年に4.5時間超へ伸びました3。2021年のIEDMでimecが示したセルは、1,000秒超の保持に加えて、10¹¹回を超える読み書きに耐え、書き込み時間は10 ns未満でした3。IGZOトランジスタのゲート長を14 nmまで縮めても、100秒超の保持を保っています3。imecは、2T0Cの保持を一般的なDRAMのリフレッシュ間隔の約1,000倍としています。

保持時間を左右するのは、トランジスタが閉じているときに漏れる電流です。IGZOの抽出オフ電流は、2020年の実証で3×10⁻¹⁹ A/μm、2023年の最適化で3×10⁻²¹ A/μm未満へ、2桁下がりました。同じ期間に、保持時間も400秒超から4.5時間超へ伸びています。

オフ電流が小さいのは、酸化物半導体のバンドギャップが広いためです。imecは、IGZOトランジスタの極めて低いオフ電流が、保持時間、リフレッシュの頻度、消費電力に効くとしています3。低い温度で成膜できることは、配線層の上へ載せられる条件にもなっています。

温度と微細化は、どちらも保持を縮める

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温度が上がるとリーク電流が増えます。2T0Cセルの直近の実測は室温で10,000秒、85℃で7,000秒で、この依存を示しています。フラッシュメモリについても、Infineonはマイコンのフラッシュについて、保持が接合温度に強く左右されるとしています4。トランジスタが縮むとリークが増えて保持が短くなり、書き直しの頻度が上がります。

保持の数値は、温度と寸法がそろって初めて比べられます。室温の値だけで製品の余裕を見積もると、実装した後の高温で足りなくなります。

NANDでは電荷の出入りでしきい値の分布が広がり、値が化ける

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しきい値電圧の分布
しきい値電圧セルの数読み出しの基準値が変わるビット書き込み直後時間がたった後
時間とともにセルの電荷が増えたり減ったりすると、しきい値電圧の分布が広がって低い側へずれます。そうしてビットの値が変わり、データが壊れます。

NAND型フラッシュメモリでは、データ保持は特定の番地にデータを壊さずに確実に保てる時間5を指します。KIOXIAは、時間とともにトランジスタの電荷が増えたり失われたりすると、しきい値電圧の分布が広がって負の側へずれ、ビットの値が変わってデータが壊れる5と説明しています。

保持を縮めるのは温度だけではありません。KIOXIAによると、一般に書き込み消去サイクルが積み重なり、周囲温度が高いほど、保持時間は短くなります。保持の値はメーカーが示すもので、利用者がふつう測れるものではありません5。メーカーは、最大の書き込み消去回数と周囲温度のプロファイルが決まれば、その利用者にとって最悪の場合の保持を計算できるとしています5。

マイコン内蔵のフラッシュでは、保持は年の単位で示されます。InfineonはXMC1000のプログラム用フラッシュとEEPROM用フラッシュが最長20年のデータ保持に対応し、最後の書き込みから20年間その内容が有効としています4。この保持時間は、マイコンに電源が入っているかどうかに関係しません4。

保持・速度・面積は、二つを取ると一つが下がる

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保持を伸ばすには、漏れる電流を下げるか、蓄える電荷を増やすかです。電荷を増やす側はキャパシタの面積で払い、漏れを下げる側は材料と工程の選択肢を狭めます。酸化物半導体は漏れの側で桁を稼ぎますが、シリコンより移動度が低いため、読み書きの速さで別の条件が付きます。

データ保持とは何ですか?

メモリが蓄えた値を、書き直しを挟まずに保てる時間です。DRAMではキャパシタの電荷がリーク電流で消えるまでの時間、NANDでは特定の番地にデータを壊さずに保てる時間にあたります。

一般的な DRAM はどのくらいですか?

リフレッシュ間隔は64 ms級です。imecは、2T0Cセルの保持がこの間隔の約1,000倍だとしています。

IGZO を使うとどこまで伸びますか?

2T0Cセルの保持は2020年に400秒超、2021年に1,000秒超、2023年に4.5時間超へ伸びました。直近の実測は室温で10,000秒、85℃で7,000秒です。

何が保持時間を左右しますか?

閉じているときに漏れる電流です。IGZOの抽出オフ電流は2020年の3×10⁻¹⁹ A/μmから、2023年に3×10⁻²¹ A/μm未満へ下がりました。

温度による差はありますか?

あります。温度が上がるとリークが増え、室温で10,000秒の保持が85℃では7,000秒に縮みます。フラッシュメモリでも、保持は接合温度に強く左右されます。

微細化するとどうなりますか?

トランジスタが縮むとリークが増えて保持が短くなり、書き直しの頻度が上がります。

保持が伸びると何が得ですか?

書き直しに使う帯域と電力が空きます。読み書きに使える時間が増え、待機時の消費も下がります。

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