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トンネル磁気抵抗とは

トンネル磁気抵抗とは、薄い絶縁層を挟んだ2つの磁性層で、磁化の向きが平行か反平行かによって抵抗が異なる現象です。 この差が、そのまま1ビットになります。抵抗の差で1ビットを取り出す点は、他の不揮発メモリと同じです。しかし磁化の反転は電荷の出入りを伴わず、書き換えの回数で桁違いの寿命が得られます。読み出しの余裕を決めるのは、平行と反平行で抵抗がどれだけ違うかを示すMR比です。

2つの磁性層の向きがそろうと、トンネル電流が流れやすくなる

Section titled “2つの磁性層の向きがそろうと、トンネル電流が流れやすくなる”
抵抗が変わる仕組み
平行低抵抗電子が通りやすい数nm反平行高抵抗電子が通りにくい固定層(CoFeB)MgO 障壁自由層(CoFeB)
2つの磁性層で厚さ数nmの絶縁層を挟みます。磁化が平行なら電子が通りやすく低抵抗、反平行なら通りにくく高抵抗になり、その差が1ビットです。

磁気トンネル接合は、厚さ数ナノメートル程度の非常に薄い絶縁体か半導体を、2層の強磁性体の電極で挟んだ素子です1。挟まれた層をトンネル障壁層と呼び、2つの強磁性層の磁化の向きが平行か反平行かで素子の電気抵抗が変わります。片方の磁化を動かさずに保ち、もう片方の向きで情報を記憶します。

imecがメモリ向けに示す接合は、CoFeBの強磁性の固定層と自由層で、薄いMgOの誘電体層を挟んだ構造です2。読み出しでは接合に電流を流し、その磁気抵抗を測ります。磁気トンネル接合は、スピン移行トルク磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)の主要構成要素です3。

性能はMR比で測り、大きいほど読み出し信号が大きい

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極低温と室温のMR比
100%0%MR比極低温室温100%以上ほぼ0全単結晶の半導体素子92%2016年の素子
強磁性半導体と半導体障壁の全単結晶素子には、極低温で100%以上のMR比を示すものもありますが、室温ではほぼ0になります。2016年に発表された素子は、室温で92%を示しました。

MR比は、磁気抵抗素子の電気抵抗値が変わる割合を百分率で表した値で、素子の代表的な性能指数です1。この値が大きいほど、大きな読み出し信号が得られます。

半導体をトンネル障壁にした素子では、室温でMR比を保つことが壁でした。強磁性半導体を電極、非磁性半導体を障壁層にした全単結晶TMR素子は、極低温では100%以上のMR比を示すものもあります1。しかし室温ではMR比がほぼゼロになるという大きな問題がありました。通常のTMR素子は障壁に絶縁体を使いますが、縦型スピンFETに使うTMR素子は半導体を障壁にする必要があります。

産業技術総合研究所1は2016年9月に、室温でMR比92%のTMR素子を開発したと発表し、詳細は同年9月20日にPhysical Review Appliedのオンライン版に掲載されるとしました。成膜には蒸着の一種である分子線エピタキシー法を使い、単結晶Feの下部電極の上に厚さ0.4〜0.7ナノメートルの単結晶MgO層を成長させています。産総研は、障壁層と上部の強磁性電極を単結晶にしたことで電子が波の性質を保ったまま伝わるようになり、MR比が大きくなったと考えています。

直径2.3nmでも、150℃の保持と10ナノ秒の動作を保った

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接合直径を同じ縮尺で
2020年の素子2.3 nm150℃で保持10 ns 動作2021年の Quad-MTJ18 nm10年以上の保持6×10¹¹回以上の書込10 ns 書き込み消費電力2割減
東北大学の接合は、直径2.3nmまで小さくしても150℃で保持特性を保ち、18nmのQuad-MTJでは10年以上の保持と6×10¹¹回以上の書き込み耐性を示しました。

東北大学は、直径がわずか原子10個程度(2.3ナノメートル)の世界最小高性能磁気トンネル接合素子を開発したとしています3。この素子は、車載応用が可能な150℃でも高いデータ保持特性(熱安定性)を維持しながら、DRAM置き換えに必要となる10ナノ秒での高速低電圧動作を実証しました。

東北大学は、界面磁気異方性を増大することで、薄い磁性層膜厚でも素子の高性能化を実現できるとしています3。この構造では、2つの磁性層がMgO挿入層を介した静磁気結合によって単一の磁性層のように振る舞います。

界面を4重にしたQuad-MTJは、10年以上の保持と1兆回の書き換え耐性を同時に満たした

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Quad-MTJは4重界面の強磁性磁気トンネル接合素子です。東北大学は、従来の2重界面(Double-MTJ)では1X nm世代で困難だった特性を実現し、X nm世代の最先端の半導体プロセスデザインルールに適合するとしています4。

東北大学は、Quad-MTJが18nmの極微細接合加工後に10年以上のデータ保持特性と1兆回に到達する書き換え耐性を同時に達成できると、世界で初めて実証したとしています4。書き込み耐性は6×10¹¹回以上、書き込み動作は10ナノ秒、消費電力は2割低減で、低い書き込みエラー率も同時に達成しました。この4つを同時に満たすことが、ロジックへ載せる条件になります。

小さくするほど容量は増え、熱的な安定性は下がる

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接合を小さくすれば面積あたりの容量が上がり、微細なプロセスへ載せられます。その代わり熱的な安定性が下がり、保持特性を別の設計で補うことになります。界面の数を増やせば薄い磁性層でも性能が出る一方、積層の工程が増えます。書き込みを速くすれば遅延は縮みますが、必要な電流が増えます。

トンネル磁気抵抗とは何ですか?

薄い絶縁層を挟んだ2つの磁性層で、磁化の向きが平行か反平行かによって抵抗が異なる現象です。この差を1ビットとして記憶し、接合に電流を流して抵抗を測ることで読み出します。

どんな素子で使いますか?

磁気トンネル接合(MTJ)で使います。MTJはSTT-MRAMの主要構成要素で、CoFeBの固定層と自由層でMgOの薄い絶縁層を挟んだ構造が使われています。

どこまで小さくなりますか?

東北大学は、直径がわずか原子10個程度(2.3ナノメートル)の世界最小高性能磁気トンネル接合素子を開発したとしています。

高温でも保持は保たれますか?

東北大学は、直径2.3ナノメートルの素子が、車載応用が可能な150℃でも高いデータ保持特性を維持するとしています。

速度はどのくらいですか?

東北大学は、同じ素子でDRAM置き換えに必要となる10ナノ秒での高速低電圧動作を実現したとしています。

書き換え回数はどのくらいですか?

東北大学は、18nmのQuad-MTJで6×10¹¹回以上の書き込み耐性を実証したとしています。同じ報告で、1兆回に到達する書き換え耐性と10年以上の保持を同時に達成したと発表しました。

どうやって微細化したのですか?

東北大学は、静磁気結合を有する積層構造で界面磁気異方性を増大し、薄い磁性層でも高性能化を実現したとしています。2つの磁性層はMgO挿入層を介して、1つの磁性層のように振る舞います。

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