抵抗変化メモリとは
抵抗変化メモリとは、情報をセルの抵抗値の違いとして記憶する不揮発メモリです。 電極で金属酸化物を挟み、パルス電圧で抵抗を動かします。記憶の担い手が抵抗なので、構造は電極と膜だけで済みます。ただし同じ「抵抗が動く」現象にも機構が 2 つあり、どちらを使うかで微細化の効き方が逆になります。
酸化物を電極で挟むだけの構造で、5 ns 以下のパルスで書ける
Section titled “酸化物を電極で挟むだけの構造で、5 ns 以下のパルスで書ける”基本的なセル構造は、抵抗変化材料である金属酸化物を電極で挟んだキャパシタ構造です1。セルにパルス電圧を印加して抵抗値を変え、情報を記憶します。書き込み・消去の動作は 5 ns 以下のパルス電圧で可能で、高速性も備えています。セル構造が単純なため微細化・積層化が容易で、1 桁以上の大きな抵抗変化が得られ、多値化も可能です。こうした特長から、超高密度化が期待されています。
寸法の一例として、imecの素子は厚さ5 nmのHfO2層を30 nmのTiN下部電極とHf(10 nm)/TiN上部電極で挟み、素子の大きさは40 nm×40 nmです2。高抵抗状態(HRS)から低抵抗状態(LRS)へ移す操作を「セット」、その逆を「リセット」と呼びます。
抵抗変化材料は、ペロブスカイト型など複数の金属元素と酸素からなる多元系金属酸化物と、一種類の金属元素と酸素からなる二元系金属酸化物に分かれます1。実用化に向けた開発では、CMOS プロセスとの親和性が高い NiO や TiO2 などの二元系金属酸化物を用いる場合が多くあります。
抵抗が動く場所で、フィラメント型と界面型に分かれる
Section titled “抵抗が動く場所で、フィラメント型と界面型に分かれる”フィラメント型では、金属酸化物内に導電性フィラメントが形成され、電圧印加によりその一部が開閉することで抵抗変化が発現します1。フィラメントが形成される過程をフォーミングと呼びます。遷移金属酸化物を使うOxRRAMでは、フィラメントの切り替えは酸素欠陥の移動に基づきます2。
界面型は半導体的な金属酸化物を用いたセルで多く観測され、金属電極との界面全体で抵抗変化が発現します。界面型の抵抗変化の起源としては、空間電荷制限電流の効果、界面の電荷トラップ効果、電気化学的効果による酸素欠陥の移動、電子相転移などが提案されています。動作特性は、電流-電圧特性の違いによってユニポーラ型とバイポーラ型にも分類されます。材料と電極の組み合わせが、型を決めます。
微細化で消費電力が下がるのは、界面型
Section titled “微細化で消費電力が下がるのは、界面型”フィラメント型ではセルの抵抗値が素子面積によらずほぼ一定なので、微細化による消費電力抑制の効果がごく小さくなります1。界面型ではセルの抵抗値が素子面積にほぼ反比例して変化する一方、書き込み・消去電圧は素子面積と無関係なので、微細化により消費電力を抑制できます。
その代わり、界面型は抵抗値が面積に依存してばらつきを拾います。フィラメント型は面積に鈍い反面、微細化しても電力が高いままです。
フィラメント型の保持は、セットとリセットのパルスの組み方で変わる
Section titled “フィラメント型の保持は、セットとリセットのパルスの組み方で変わる”フィラメント型のOxRRAMには、データ保持の不良があります。imecは、セットのパルスがフィラメントから余分なイオンを取り除くのに足りないと、イオンが酸素欠陥と再結合して保持不良になるとしています2。
保持の評価でも、imecはアレイではなく単一のセルを使い、保持のベーク温度でセット、読み取り、リセットを繰り返すサイクルを少なくとも1500回回しています。そのうえで、短く振幅の大きいリセットパルスと長いセットパルスを組み合わせるとLRSの保持を大きく改善できるとし、リセットの直後にセットすると、間を置いた場合より保持が悪くなるとしています。保持はセルの材料だけでなく、書き込みの手順でも決まります。
積むには、セルを選ぶ層が要る
Section titled “積むには、セルを選ぶ層が要る”大容量化のためにクロスポイント構造が採用され、クロストーク電流を防ぐためにダイオード整流特性を示すセレクタ層が必要になります3。セル自体が単純なほど配線の交点へ詰め込みたくなり、そのとき選んだセル以外を通る電流の問題が出てきます。微細化・積層化の容易さは、このセレクタ素子とセットで初めて使えます。
単純な構造で面積あたりの容量は上がりますが、交点へ詰め込むほどセレクタ素子が不可欠になります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”抵抗変化メモリとは何ですか?
情報をセルの抵抗値の違いとして記憶する不揮発メモリです。電気的に書き込みと消去を行えます。
どんな構造ですか?
抵抗変化材料である金属酸化物を電極で挟んだキャパシタ構造です。imecの素子では、厚さ5 nmのHfO2を30 nmのTiN下部電極とHf(10 nm)/TiN上部電極で挟み、大きさを40 nm×40 nmとしています。
どのくらい速いのですか?
書き込み・消去の動作が 5 ns 以下のパルス電圧で可能です。
どんな材料を使いますか?
材料は多元系金属酸化物と二元系金属酸化物に分かれます。実用化に向けた開発では、CMOS プロセスとの親和性が高い NiO や TiO2 などの二元系金属酸化物を用いる場合が多くあります。
動作機構はいくつありますか?
フィラメント型と界面型の 2 種類に分類されます。電流-電圧特性の違いでは、ユニポーラ型とバイポーラ型にも分かれます。
フォーミングとは何ですか?
フィラメント型で、金属酸化物内に導電性フィラメントが形成されるプロセスです。
微細化すると消費電力は下がりますか?
型によります。フィラメント型では抵抗値が面積によらないため効果がほとんどなく、界面型では抵抗値が面積にほぼ反比例するので微細化により消費電力を抑制できます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 相変化メモリとは── 熱で相を変える方式
- セレクタ素子とは── 積むために要る相方
- STT-MRAMとは── 磁化で記憶する方式
- 強誘電体メモリとは── 分極で記憶する方式
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- 1電子情報通信学会:知識ベース 10群4編5章「新規メモリ」ieice-hbkb.org abcd
- 2
- 3日本板硝子材料工学助成会:研究成果報告 43「セレクタフリー相変化メモリの創成」(2025年)nsg-zaidan.or.jp ↩