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セレクタ素子とは

セレクタ素子とは、クロスポイント構造のメモリで、読み書きしたい 1 つのセルだけへ電流を通すための選択素子です。 メモリ素子と一対になって積まれます。配線の交点へメモリを作り込めば、面積あたりの容量は最大になります。しかし交点はすべてつながっているため、1 つを選ぶ手を足して初めて、どのセルも読めます。

選んだ 1 つ以外を回る電流を、整流で止める

Section titled “選んだ 1 つ以外を回る電流を、整流で止める”
スネーク電流
ワード線ビット線選んだセル非選択セル読み出し電流スネーク電流
選んだセルを読むとき、電流は選んでいないセルを通って回り込みます。この回り込みを止めるのがセレクタの整流です。

PCRAMには、大容量化のためにクロスポイント構造が採用されています1。クロスポイント構造では、メモリ素子と一対になって上部に選択素子(セレクタ)が配置されます。目的のメモリ素子の抵抗を読み取るときに、他の素子を通って回り込む電流をスネーク電流と呼び、クロストーク電流を防ぐためにダイオード整流特性を示すセレクタ層が必須です。選択素子がなければ、スネーク電流は選んでいないセルを通って流れます2。

効くのは読み出しの誤りだけではありません。非線形なセレクタを組み込むと、配線の抵抗による電圧の降下が大きく減り3、非選択の接合を通る漏れ電流と配線を流れる電流の両方が減ります。容量を稼ぐ構造ほど、この素子が要ります。

求められるのは、小さな面積と大きな駆動電流と、メモリに合う極性

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縮めたときの電流密度
縮める前素子を縮める縮めた後駆動電流は比例して下がらない電流密度が大きく上がる
メモリ素子を縮めても駆動電流は同じようには小さくならないので、縮めたセレクタを流れる電流密度が大きく上がります。

imecは、高密度の用途では、メモリアレイの面積を最も食わない2端子のセレクタが望ましいとしています2。セレクタには、メモリセルの抵抗状態を切り替えるのに必要な電流を流せる大きな駆動電流も要ります。メモリ素子を縮めても駆動電流は同じようには下がらず、縮めたセレクタの電流密度が大きく上がる点を、imecは課題に挙げています。

極性も合わせる必要があります。pnダイオードは一方向にしか働かないユニポーラの素子で、抵抗変化型メモリの多くはバイポーラで切り替わるため、imecは両方向に働くセレクタが要るとしています。ReRAM のようにセル構造が単純で微細化・積層化が容易4な方式ほど交点へ詰め込まれ、選ぶ手の負担が増えます。ReRAM の 5 ns 以下という書き込み速度も、選んだセルへ電圧が正しく掛かって初めて使えます。

量産のOTSは、層が増えて熱に弱い

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現在量産されているクロスポイント構造のPCRAM(3D-XPoint)では、セレクタ層にオボニックスイッチ(OTS)材料が使われ1、材料自身が整流性を示します。オボニック閾値スイッチングとは、さまざまなアモルファスのカルコゲナイド材料で、電圧を上げていくと電流が急に増える現象2を指します。OTS はしきい値電圧を越える電圧印加で ON/OFF 状態を高速に切り替えられる一方、それ自身がアモルファス相なので耐熱性に乏しく、熱擾乱の影響を受けやすい材料です。

imecは、これまで研究された多くのカルコゲナイド材料で、耐えられる熱バジェットが300℃未満にとどまり、後に続く抵抗メモリ素子の加工には低すぎるとしています。imecが試作したTiN/GeSe/TiNのセレクタは、GeSe膜をPVDで5 nmまで薄く成膜し、素子全体の大きさを50 nmまで縮めています。

日本板硝子材料工学助成会の研究報告は、OTS が中間電極層やカーボン緩衝層を必要とし、その複雑な素子構造が更なる高集積化の妨げとなっているとしています。

NbTe4なら、メモリ層が整流を兼ねる

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セレクタを積むか、兼ねるか
OTSセレクタを積む配線OTSセレクタ中間電極層メモリ層配線NbTe4(セレクタフリー)配線アモルファス相PN接合結晶相配線切り替え 20 ns
OTS方式はメモリ層の上に別のセレクタ層を重ねます。NbTe4では、相変化でできるアモルファス相と結晶相の界面そのものがPN接合になり、セレクタ層を省けると期待されています。

同じ研究は、新しい相変化材料としてNbTe4 を提案しています1。NbTe4 は高抵抗な結晶相からジュール加熱で低抵抗なアモルファス相へ変化し、GST と異なり、この相変化に伴ってキャリアタイプが変わります。そのため、結晶/アモルファス相の界面に PN ダイオードを自己形成でき、研究はセレクタ層フリーな微細構造の実現を期待しています。

研究ではセレクタフリーのメモリ素子を設計・作製し、半導体デバイス分析装置(Keysight B1500A)で電気特性を評価しました。パルスI-V特性から、このP-N接合によるセレクタのスイッチング速度は20 nsで、メモリのスイッチング速度に匹敵する1と確認しています。層を減らせば、積める高さが増えます。

層を足すか、材料の幅を狭めるか

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セレクタを足せば交点ごとに 1 つのセルを選べ、クロスポイントで容量を稼げます。その代わり積層の層数が増え、加工の難度と厚みが上がります。OTS は高速に切り替わるものの、アモルファスゆえ熱に弱く微細化が難しくなります。メモリ側に整流を兼ねさせれば層を減らせますが、材料の選択肢が狭まります。相変化メモリでも抵抗変化メモリでも、選ぶ手が要る事情は同じです。

セレクタ素子とは何ですか?

クロスポイント構造のメモリで、読み書きしたい 1 つのセルだけへ電流を通すための選択素子です。メモリ素子と一対になって、その上部に配置されます。

なぜ必要なのですか?

クロストーク電流を防ぐためです。そのために、ダイオード整流特性を示すセレクタ層が必要です。セレクタがないと、選んでいないセルを通って電流が流れます。

回り込む電流に名前はありますか?

目的の素子以外を回り込む電流を、スネーク電流と呼びます。

量産では何を使っていますか?

現在量産されているクロスポイント構造のPCRAM(3D-XPoint)では、セレクタ層にオボニックスイッチ(OTS)材料が用いられています。

OTS はどう動くのですか?

しきい値電圧を越える電圧印加により、ON/OFF 状態を高速に切り替えられます。アモルファスのカルコゲナイド材料で、電圧を上げていくと電流が急に増える現象を使います。

何が課題ですか?

OTS は中間電極層やカーボン緩衝層を必要とし、その複雑な素子構造が更なる高集積化の妨げとなっています。多くのカルコゲナイド材料は耐えられる熱処理が300℃未満で、後の工程には低すぎるとimecは指摘しています。

要らなくする道はありますか?

あります。NbTe4 は結晶/アモルファス相の界面に PN ダイオードを自己形成するため、セレクタ層フリーな構造が期待されています。このPN接合のスイッチング速度は20 nsで、メモリに匹敵すると確認されています。

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