ジャンクション温度とは
ジャンクション温度とは、素子の接合部そのものの温度です。 ケースや周囲の温度より高く、寿命と定格を実際に左右するのはこの値です。
測れるのはケースや周囲の温度で、壊れるのは接合部です。そのため熱抵抗を通して内側の温度を推し量ります。
熱はチップ・はんだ・ケースを直列に通り、熱抵抗の合計が温度上昇になる
Section titled “熱はチップ・はんだ・ケースを直列に通り、熱抵抗の合計が温度上昇になる”熱抵抗は温度の伝えにくさを表す値で、単位時間での発熱量あたりの温度上昇量、単位は ℃/W です1。発熱点で発した熱は、チップの熱抵抗、はんだの熱抵抗、ケースの熱抵抗を通って伝わります。
ケース温度 Tc を 25℃ と定めたときの飽和熱抵抗が Rth(jc) です。段がすべて直列なので、合計がそのまま温度上昇になります。
10℃ 上がるごとに寿命が縮み、125℃は40℃の約560倍の加速になる
Section titled “10℃ 上がるごとに寿命が縮み、125℃は40℃の約560倍の加速になる”温度加速性は活性化エネルギー Ea と呼ばれる尺度で表され、値は故障メカニズムごとに異なります2。Ea を 0.80 eV と仮定すると、125℃ の高温動作試験は実使用条件 40℃ に対して約 560 倍の加速性を持ちます。1,000 h の連続動作試験は、実使用条件の 560,000 h、約 64 年の連続使用に相当します。
短いパルスでは、過渡熱抵抗を使う
Section titled “短いパルスでは、過渡熱抵抗を使う”過渡熱抵抗は熱抵抗の経時変化です。発熱点の熱は時間を経るごとに伝導して各部位の熱抵抗を通過し、それにしたがって温度が上昇します。ケース温度 Tc を 25℃ と定めたときの熱抵抗の時間変化を Zth(jc) と呼びます。
短いパルスでは熱がチップの内側にとどまるため、定常の Rth(jc) を当てると温度上昇を過大に見積もります。時間軸を添えた値が要ります。
定格も故障率も、温度に左右される
Section titled “定格も故障率も、温度に左右される”新電元工業のパワーMOSFET技術資料では、絶対最大定格の表にチャネル温度 Tch が並びます。定格そのものが温度で書かれています。
ルネサス エレクトロニクスの例では、試験条件下の故障率 5.1×10⁻⁶ (1/h) を加速係数で除して、約 9 FIT を得ています。ただし、限界を超えるような過度の温度では実使用と別の故障を誘発することがあり、注意を要します。加速には上限があります。
温度を下げる代わりに、放熱の費用か性能を払う
Section titled “温度を下げる代わりに、放熱の費用か性能を払う”ジャンクション温度を低く保てば寿命が延び、定格にも余裕が出ます。その代わり放熱の部材と面積が要り、費用と体積が増えます。動作の電流を絞れば温度は下がるものの、得られる性能もそのぶん下がります。高い温度で加速試験を行えば短期間で寿命を見積もれますが、実使用と別の故障を誘発する温度域があります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ジャンクション温度とは何ですか?
素子の接合部そのものの温度です。ケースや周囲の温度より高く、実際の寿命を左右するのはこちらの値です。
どうやって求めますか?
発熱量に熱抵抗を掛けた温度上昇を、ケース温度へ足します。熱抵抗の単位は ℃/W です。
熱はどこを通りますか?
発熱点の熱は、チップの熱抵抗、はんだの熱抵抗、ケースの熱抵抗を通って伝わります。
Rth(jc) とは何ですか?
ケース温度 Tc を 25℃ と定めたときの飽和熱抵抗です。
短いパルスではどう求めますか?
熱抵抗の経時変化を表す過渡熱抵抗 Zth(jc) を使います。
温度が上がると寿命はどうなりますか?
縮みます。Ea を 0.80 eV と仮定すると、125℃ の試験は実使用 40℃ に対して約 560 倍の加速性を持ちます。
実際の故障率はどう出しますか?
試験条件下の故障率 5.1×10⁻⁶ (1/h) を加速係数 560 で除して、約 9 FIT を得ます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”2件を表示
- 1新電元工業:パワーMOSFET 技術資料 J540-1shindengen.co.jp ↩
- 2ルネサス エレクトロニクス:半導体信頼性ハンドブックrenesas.com ↩