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パワーモジュールとは

パワーモジュールとは、スイッチ素子とダイオードを1つの筐体へまとめ、配線と絶縁と放熱まで含めて提供する部品です。 数百アンペアを流すと、この3つが設計を左右します。パワーモジュールは3つを筐体の中で解いた状態で出荷されるので、使う側は端子をつなぎ、指定された冷却をするだけで済みます。選ぶ軸は定格電圧と定格電流の2つで、世代ごとの進歩は素子の薄型化から筐体の小型化へつながります。

数百アンペアでは、配線と絶縁と放熱を筐体の中で解く

Section titled “数百アンペアでは、配線と絶縁と放熱を筐体の中で解く”
モジュールの断面
IGBT端子配線ダイオードDBC絶縁基板絶縁層で電位を分けるベースプレートヒートシンク熱の流れ
チップはDBC絶縁基板に載り、配線で端子へつながります。熱は絶縁層を通って下のヒートシンクへ流れ、電位は絶縁層で分けられます。

小信号の回路であれば、トランジスタを基板へ載せて配線すれば動きます。数百アンペアを流すとなると話が変わります。

電流の変化が速いほど、配線のわずかなインダクタンスが大きな電圧を生みます。素子の耐圧を超える跳ね上がりが出ればそこで壊れるため、素子どうしを短く太く結ぶ必要があります。絶縁では、数千ボルトの電位差を持つ端子と、放熱のために外へ出したい金属面を、電気的に分けたまま熱だけ通す必要があります。この絶縁は、使う環境での電気的なストレスに製品寿命の全期間にわたって耐えなければなりません1。放熱が要るのは、損失が熱になるからです。チップの温度が上がれば特性が変わり、寿命も縮みます。

モジュールの中には、同じ機能か別の機能のチップが複数入っています1。組み合わせの例は、IGBTと還流ダイオード、サイリスタ、整流用ダイオードです。富士電機の製品では、モジュールを構成するのはIGBTとダイオードの素子です2。Danfossは、数十アンペア級を扱う用途の多くがチップと放熱面の電位を切り離した絶縁型のモジュールを使っているとし、それを初めて商品化したのは1975年のSEMIKRONだとしています。

SiCのモジュール向けには、住友ベークライトがガラス転移温度230 °Cの封止材の量産を2026年に始めています。

熱を逃がす性能と信頼性は、ヒートシンクへの取り付けに左右される

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大出力のモジュールでは、動作で生じた損失をヒートシンクから逃がし、データシートが定める最高温度を超えないようにする必要があります3。そのためInfineonは、モジュールの取り付け工程を熱の性能と信頼性を左右する重要な工程とし、その信頼性は車載用途で決定的だとしています。同社のHybridPACK 2は、ベースプレートにピンフィンを並べた点がほかのモジュールと違い、液冷の効きを熱の面で高めるとしています。

定格電圧と定格電流の組み合わせで、候補が絞られる

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種類ごとの定格電圧
75 V650 V1700 V6500 V定格電圧(対数目盛)パワーMOSFETIGBT 標準タイプ車載IGBT J1フルSiCHV-SiCダイオードHVIGBT 標準タイプ
三菱電機のモジュールは、パワーMOSFETの75〜150 Vから、HVIGBTとダイオードの6500 Vまで、種類ごとに受け持つ電圧の帯が分かれています。SiCの2種は1200〜3300 Vの帯にあります。

パワーモジュールを選ぶときの2つの軸は、定格電圧と定格電流です。三菱電機の種類ごとの定格4は次のとおりです。

種類定格電圧定格電流
パワーMOSFETモジュール75V〜150V100A〜300A
IGBTモジュール 高速タイプ600V〜1200V200A〜600A
IGBTモジュール 標準タイプ650V〜2000V75A〜600A
IGBTモジュール NXタイプ650V〜1700V35A〜1000A
IGBTモジュール LV100タイプ1200V〜2000V800A〜1800A
IGBTモジュール 多レベルインバータ用1200V〜1700V185A〜1200A
HVIGBTモジュール 標準タイプ1700V〜6500V600A〜2400A
HVIGBTモジュール Xシリーズ デュアルタイプ1700V〜4500V450A〜1200A
フルSiCモジュール1200V〜1700V75A〜1200A
ハイブリッドSiCパワーモジュール1200V100A〜600A
HV-SiCパワーモジュール1700V〜3300V185A〜1200A
車載IGBTモジュール J1シリーズ650V600A〜700A
車載SiC/Siモジュール J3シリーズ750V〜1300V350A〜800A
ダイオードモジュール1200V〜6500V200A〜1800A

系統の電圧が耐圧クラスを、負荷の電流が定格電流とパッケージの大きさを決めます。この2つが決まれば、候補はかなり絞られます。Danfossは、IGBTモジュールを費用対効果が高く成熟した解として、ドライブ、風力発電、そして今では電気自動車でも好まれる部品1と位置づけています。

電流はチップの並列で増やし、接続の抵抗と面積で払う

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上から見た配置
DBC 1枚複数のDBCを並列IGBTダイオードDBC絶縁基板追加の接続で面積と抵抗が増える
定格の大きいモジュールは、チップを載せたDBCを複数並べて組みます。DBCどうしを結ぶ追加の接続が場所を取り、端子の抵抗を増やします。

より大きな定格電流は、モジュールの中でチップを並列にして実現します1。定格の大きいモジュールが複数のDBC絶縁基板で組まれる理由の一つもここにあり、DBCどうしを結ぶ追加の接続が場所を取り、端子の抵抗を増やします。

並列にしたチップが完全に同じ条件で動くことは保証できません。Danfossは、複数のMOSFETチップを並列につないだモジュールでは完全な対称性を保証できないため、1チップで保証された最大値を超えるアバランシェエネルギーを使ってはならないとしています1。チップを増やしても、アバランシェ耐量は足し算になりません。

IGBTモジュールのスイッチングのふるまいは、構造に由来する内部の寄生容量と、内部と外部の抵抗で決まります1。

素子を薄くすると、損失、温度、寸法の順に効く

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富士電機は第7世代Xシリーズで、モジュールを構成するIGBTとダイオードの素子を薄型化・小型化し、インバータ損失10%低減、チップ温度11℃低減、およそ36%の小型化を示しています2。

素子を薄くすると導通損失が下がり、損失が下がるとチップ温度が下がり、温度に余裕ができると同じ冷却でより多くの電流を扱えるため、必要な面積が減って筐体が小さくなります。モジュールの世代交代が「小型化」として語られるのは、この鎖の末端が寸法だからです。

パワーモジュールとは何ですか?

スイッチ素子とダイオードを1つの筐体へまとめ、配線と絶縁と放熱まで含めて提供する部品です。富士電機のモジュールを構成するのは、IGBTとダイオードの素子です。

なぜモジュールにまとめて使うのですか?

大電流では配線のインダクタンスと放熱が設計を支配するためです。素子どうしを短く太く結び、絶縁基板で電気的に分けたうえで熱を逃がす構造を、あらかじめ作り込んだほうが確実に性能が出ます。

ダイオードが一緒に入っているのはなぜですか?

モータのような誘導性の負荷では、スイッチを切った瞬間に電流の行き場が要るためです。逆向きに電流を流す経路を還流ダイオードが受け持ち、スイッチと対で必要になるので同じ筐体へ入れます。

どんな定格がありますか?

三菱電機の製品では、IGBTモジュール標準タイプが650V〜2000V/75A〜600A、NXタイプが650V〜1700V/35A〜1000A、HVIGBTモジュール標準タイプが1700V〜6500V/600A〜2400A、パワーMOSFETモジュールが75V〜150V/100A〜300A、ダイオードモジュールが1200V〜6500V/200A〜1800Aです。

定格はどう選びますか?

系統の電圧と負荷の電流で決まります。電圧が耐圧クラスを、電流が定格電流とパッケージの大きさを定めるため、この2つが決まれば候補はかなり絞られます。

世代が変われば何が変わりますか?

富士電機は第7世代Xシリーズで素子を薄型化・小型化し、インバータ損失10%低減、チップ温度11℃低減、およそ36%の小型化を示しています。損失が減れば温度が下がり、同じ冷却で扱える電流が増えるため、筐体が小さくなります。

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    富士電機:IGBTfujielectric.com ab
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    三菱電機:Power Modulesmitsubishielectric.com ↩