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オン抵抗(面積規格)とは

オン抵抗(面積規格)とは、オン抵抗に素子の面積を掛けた指標です。 英語ではspecific on-resistanceと呼び、RonAと書きます。単位は mΩ·cm² で、素子の大きさによらず作りの良さを比べられます。ただし単独では意味を持たず、耐圧と組にして初めて比べられる量です。面積を小さくできるほど、同じ性能の素子を安く作れます。

大きく作ればオン抵抗は下がるので、面積を掛けて大きさの効果を消す

Section titled “大きく作ればオン抵抗は下がるので、面積を掛けて大きさの効果を消す”
面積を掛ける理由
チャネル面積 A面積 2Aオン抵抗 Rオン抵抗 R/2R×AR/2×2A = R×A
面積を2倍にすると並列のチャネルが2倍になり、オン抵抗は半分になります。オン抵抗に面積を掛ければどちらも同じ値になり、作りの良さだけが残ります。

オン抵抗は低いほうが良い値ですが、そのまま比べると誤ります。トランジスタは、細いチャネルを何本も並列に並べた構造です。素子の面積を2倍にすれば本数も2倍になり、オン抵抗は半分になります。大きく作っただけの素子が上位に来るのはこのためです。オン抵抗そのものは作りの良さと大きさの積なので、素子どうしを比べるには大きさの効果を取り除く必要があります。

面積を掛けると、単位面積あたりどれだけ電流を通せるかという値だけが残ります。面積が小さいほど、同じ性能を安く作れます。世代の改良もこの値で語られ、ROHMは第4世代のSiC MOSFETで、第3世代と比べて単位面積あたりのオン抵抗を約40%下げたとしていました。

耐圧とオン抵抗は逆を向くので、組で比べる

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層の厚さと2つの値
薄い層厚い層電圧を支える層電流電流の通る距離耐圧が低くオン抵抗も低い耐圧が高くオン抵抗も高い
電圧を支える層を厚くすると耐圧は上がりますが、電流の通る距離も伸びてオン抵抗が上がります。どちらか片方だけなら良くできるので、2つは組で比べます。

電圧を支える層を厚くすれば耐圧は上がり、電流が通る距離も伸びてオン抵抗が上がります。片方だけを良くするのは簡単で、両方を揃えた値だけが比較の材料になります。

パナソニックが開発したGITは、オン抵抗が2.6 mΩ·cm²、オフ状態の耐圧が800 Vです1。同社は、これがGaN系のノーマリオフトランジスタとして報告された中で最良の値だとしています。最良とするのは、2つの値を同時に満たした点です。

2つを1つの数にまとめる方法もあり、耐圧VBの2乗を面積規格のオン抵抗で割ったVB²/RonAが性能指数として使われます。住友電気工業は、GaNのショットキーバリアダイオードで面積規格のオン抵抗0.71 mΩcm²、耐圧1100 V超を報告しています2。同社はこの性能指数が1.7 GW/cm²で、GaNとSiCのショットキーバリアダイオードとしてそれまでに報告された中で最も高いとしています。耐圧が2乗で効くので、同じオン抵抗なら耐圧を上げた素子ほど指数が大きく出ます。同じ論文では、電極面積1.1×1.1 mm²の素子で順方向電圧1.46 Vのとき6 Aを流し、耐圧600 Vを示しています。

GaNは速い走行と高い電子濃度で、同じ耐圧の面積を小さくする

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オン抵抗を下げる道は2つあり、電流の担い手を増やすか、走行を速くするかです。GaNでは2DEGの濃度と移動度がこれにあたります。

ロームは、2DEGでは不純物によるキャリアの散乱が起きず、高速なキャリア走行を達成できるとしています3。これが走行の側です。同時に、分極で呼び込まれる電子の濃度も高く保てます。2つが重なるため、同じ耐圧でシリコンより小さい面積に収まります。

実機の値は、動的オン抵抗の分だけ大きく出る

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動的オン抵抗の測定条件
ゲート信号オン 10 µsオフ 90 µsオン抵抗静的な値20%未満時間
10 µsのオンと90 µsのオフを繰り返し、オンの直後にオン抵抗を測ります。imecの測定では、25℃から150℃まで分散が20%未満に収まりました。

面積規格のオン抵抗は、静止した状態の実測値です。スイッチング直後に測る動的オン抵抗は、別の指標です4。スイッチング直後は電子が捕まって抵抗が上がるため、動的オン抵抗のほうが大きく出ます。imecの測定では、10 μsオン・90 μsオフの条件で、25℃から150℃の全温度域で分散が20%未満でした。

実機の導通損失を見積もるには、面積規格の値に分散の分を上乗せします。カタログの値だけで熱設計を組むと、余裕が足りなくなります。

良い値は、耐圧か結晶の質を差し出して得る

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面積規格のオン抵抗を下げるには、電圧を支える層を薄くするのが最も直接的ですが、耐圧が下がります。2DEGを濃くすればオン抵抗は下がりますが、AlGaNの組成を上げるぶん歪みが強くなり、欠陥が増える向きへ振れます。良い値は、耐圧と結晶の質のどちらかを差し出して得る量です。

オン抵抗(面積規格)とは何ですか?

オン抵抗に素子の面積を掛けた指標です。単位は mΩ·cm² で、素子の大きさによらず作りの良さを比べられます。

なぜ面積を掛けますか?

素子を大きく作れば並列の数が増えてオン抵抗が下がるからです。面積を2倍にすると抵抗は半分になり、面積を掛けるとこの効果が打ち消されます。

どのくらいの値ですか?

パナソニックはノーマリオフ型のGITで2.6 mΩ·cm²を報告しています。同じ素子の耐圧は800 Vです。住友電気工業はGaNのショットキーバリアダイオードで0.71 mΩcm²、耐圧1100 V超を報告しています。

なぜ耐圧と組で比べますか?

厚く作れば耐圧は上がり、電流の通る距離が伸びてオン抵抗も上がるためです。片方だけを良くするのは簡単なので、2つをまとめたVB²/RonAのような性能指数でも比べます。

どうすれば下がりますか?

電流の担い手を増やすか、走行を速くするかです。GaNでは2DEGの濃度と移動度がこれにあたります。

実機での値とは同じですか?

異なります。スイッチング直後は電子が捕まって抵抗が上がるため、動的オン抵抗のほうが大きく出ます。

製品選びではどう使いますか?

耐圧を揃えたうえで、面積規格のオン抵抗を比べます。素子が小さいほど同じ性能を安く作れるためです。

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