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スイッチング損失とは

スイッチング損失とは、素子をオンとオフの間で切り替える途中に生じる損失です。 理想のスイッチはオンのとき抵抗ゼロ、オフのとき電流ゼロです。実際の素子では切り替えに時間がかかり、その途中で電圧が残ったまま電流が流れ始めるので、両方が同時に立つ時間に熱が出ます。1回ぶんは小さくても回数で積み上がるため、受動部品を小さくしようと周波数を上げるほど、この損失が全体の中で重くなります。

電圧と電流が重なった時間の積が、1回ぶんの損失になる

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1周期の電圧・電流と損失
ターンオンターンオフオン期間電圧電流電圧×電流ターンオン損失ターンオフ損失時間
スイッチング損失のもとになる電圧と電流の重なりは、ターンオンとターンオフの途中に生じます。1周期のスイッチング損失は、この2つの山の面積の和です。

オフからオンへ移る途中では、ドレイン電圧が下がりながらドレイン電流が上がるので、両方が同時に立つ時間が必ず生まれます。切り替えの遷移の間、素子を流れる電流と素子にかかる電圧の積が正の値になることが1、スイッチング損失の原因です。その積を時間で足し合わせた量が、切り替え1回あたりの損失になります。切り替えに要する時間が短いほど、この積み重ねは小さくなります。

損失はターンオンとターンオフで、1周期に2回生じます。スイッチング損失の合計は、ターンオン損失とターンオフ損失の和です。

ロームはGaN HEMTを、オン抵抗が低く高速スイッチングに対応し、低い電力でゲートを駆動できる素子としています2。切り替えの過渡を計算で追う道具もあります。東芝デバイス&ストレージのG2モデルは、パワーデバイスの容量の非線形性を表すSPICEモデルで3、同社は過渡シミュレーションに向くとしています。

周波数を上げると、損失の比重が切り替え側へ移る

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周波数と損失の内訳
損失スイッチング周波数導通損失スイッチング損失インダクタを小さくできる
スイッチング損失は切り替えの回数に比例して増え、導通損失の上に積み上がります。周波数を上げるほど全損失に占める切り替えの分が大きくなり、その代わりにインダクタを小さくできます。

導通損失はオンのあいだずっと生じ、スイッチング損失は切り替えの回数に比例します。周波数を上げると1秒あたりの切り替え回数が増えるので、全損失に占めるスイッチング損失の割合が上がります。

それでも周波数を上げるのは、コイルやコンデンサといった受動部品を小さくできるからです。Infineonは、スイッチング周波数を上げると過渡応答の性能が上がり、インダクタンスを下げられるので変換器全体の大きさと費用が下がるとしています1。ロームはGaNを、低消費電力化と周辺部品の小型化を同時に目指す素子としています。

導通側では、パナソニックがノーマリオフ型のGITについてオン抵抗2.6 mΩ·cm²、耐圧800 V4を報告しています。この低いオン抵抗が、導通損失の側を押し下げます。

ソフトスイッチングは、重なる時間そのものを減らす

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ハードスイッチングとZVS
ハードスイッチングゼロ電圧スイッチング(ZVS)電圧電流損失電圧電流電圧ゼロで電流が立つ時間
ハードスイッチングでは電圧が下がりきる前に電流が流れ始め、交わった部分が損失になります。ZVSでは電圧がゼロになってから電流が流れるので、重なりが生じません。

ソフトスイッチングは、電圧か電流のどちらかがゼロの瞬間に切り替え、重なる時間そのものを小さくする手法です。ゼロ電圧スイッチング(ZVS)とゼロ電流スイッチング(ZCS)という用語で、ハードスイッチングと区別します。ロームはLLC共振型コンバータとTotem-pole PFCの臨界モードを代表例として挙げ、これらの回路でのGaN HEMTの寿命と信頼性を論じています。

重なりを減らしても、動的オン抵抗の増加を見込んだ寿命の検討が要る

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切り替えの重なりを減らした後も、オフの間に高い電圧がかかることは変わりません。その間に電子が捕まれば、オンへ移った直後の抵抗が上がります。ロームは、ソフトスイッチング動作に着目した寿命と信頼性の考え方を、実機試験とシミュレーションの結果を使って示しています。

そのため、スイッチング損失を減らす工夫と、動的オン抵抗による導通損失の増加は、別々に見積もる必要があります。片方を減らしても、もう片方はそのまま残ります。

小型化の利得は、部品と制御の複雑さで払う

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周波数を上げると受動部品が小さくなり、電源全体が軽く薄くなります。そのかわり切り替えの回数が増え、スイッチング損失の比重が大きくなります。ソフトスイッチングは重なりを減らせますが、共振のための部品と制御が増え、動作範囲が狭くなります。速く切り替えるほどノイズも増え、対策の部品が要ります。小型化の利得は、制御の複雑さで買う量です。

スイッチング損失とは何ですか?

素子をオンとオフの間で切り替える途中に生じる損失です。電圧が残ったまま電流が流れ始めるため、両方が同時に立つ時間が生まれ、その積が熱になります。

導通損失と何が異なりますか?

発生する場面です。導通損失はオンのあいだずっと生じ、スイッチング損失はターンオンとターンオフの瞬間ごとに、1周期に2回生じます。

周波数を上げるとどうなりますか?

切り替えの回数が増えるため、スイッチング損失の割合が上がります。いっぽうインダクタを小さくでき、変換器の大きさと費用が下がります。

GaN が有利なのはなぜですか?

切り替えに要する時間が短く、充放電する電荷も小さいためです。ロームはGaN HEMTを、オン抵抗が低く高速スイッチングに対応する素子としています。

ソフトスイッチングとは何ですか?

電圧か電流のどちらかがゼロの瞬間に切り替える手法で、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)とゼロ電流スイッチング(ZCS)があります。重なる時間そのものを減らします。

どんな回路で使いますか?

ロームは、LLC共振型コンバータとTotem-pole PFCの臨界モードを代表例として挙げています。

ソフトスイッチングなら安心ですか?

ソフトスイッチング動作でも、オフの間の高い電圧は残るので、動的オン抵抗の増加に着目した寿命の考え方が要ります。ロームは加速試験による寿命予測の方法を示しています。

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