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ボディダイオードとは

ボディダイオードとは、MOSFETの構造上、ソースとドレインの間に形成される寄生ダイオードです。 部品として足さなくても必ず付いてきて、インバータやブリッジ回路では実際にこの経路を電流が流れます。

そのため、ダイオードとしての速さと順方向電圧が、回路の損失と雑音を左右します。効いてくるのは、蓄えたキャリアを抜く逆回復の電荷と時間です。この電流は、相手側の素子がオンする瞬間に重なって損失になります。

pベースとnドリフトの接合が、そのままダイオードになる

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どこにあるか
ソースソースゲートn+p ベースn ドリフトドレイン電極pn 接合ゲートドレインソースボディダイオード
ソース電極がpベースにも触れているので、pベースとnドリフトのpn接合が、ソースからドレインへ順方向のダイオードとしてMOSFETに並列に入ります。

nチャネルの縦型パワーMOSFETでは、ソース電極がpベースにも触れています。そのためpベースとnドリフトのpn接合が、ソースからドレインへ向かう順方向のダイオードとして、素子の中に1つ並列に入ります。ルネサスの資料も、構造上ソースとドレインの間にできるダイオードを、ボディダイオードまたは寄生ダイオードと呼んでいます1。

ダイオードとして使える電流にも定格があります。ソース電流の最大定格は、ゲート・ソース間を短絡した状態でボディダイオードに許容される順方向電流の最大値です2。

逆へ切り替えると、蓄えた少数キャリアが抜けるまで逆に流れる

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逆回復の波形
IDR 15.4 A-dIDR/dt=100 A/μsIrr 10 AQrr 0.6 μCtrr 135〜220 ns0順逆時間ダイオード電流
順方向に流していた電流を切り替えると、ゼロを越えて逆向きにピークIrrまで流れ、少数キャリアが抜けきるとゼロへ戻ります。その時間がtrr、逆向きの面積がQrrです。

内蔵ダイオードに順電流が流れている状態で電圧を逆へ反転させると、逆回復動作に入ります2。このとき、順方向の間に蓄積した少数キャリアが放出されます。単位時間あたりの電流の下降度合いをdi/dt、電圧の上昇度合いをdv/dtと呼びます。

少数キャリアが完全に放出されるまでの時間が逆回復時間trr、そのとき流れる電流が逆回復電流Irr、その時間積分値が逆回復電荷量Qrrです。trrとQrrは、逆回復電流が流れ始めた時点から数えた時間と、その時間積分値です。データシートの例では、trrが135〜220 ns(IDR = 15.4 A、-dIDR/dt = 100 A/μs)、Qrrが0.6 μC、ピーク逆回復電流Irrが10 Aです3。

デッドタイムには電流がここを通り、順方向電圧が損失になる

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ブリッジ回路での電流
デッドタイム入力GNDオフオフインダクタボディダイオードを電流が通る上側がオンオンオフ逆回復電流がターンオンに重なる
デッドタイムには上下ともオフで、インダクタの電流が下側のボディダイオードを通ります。続いて上側がオンすると、下側のダイオードの逆回復電流が上側を通って流れ、そのターンオンに重なります。

MOSFETがオンする前後のわずかな時間、つまりデッドタイムの間は、電流がこのダイオードを通ります。同期整流では、この順方向電圧のぶんだけ損失が乗ります。

順方向電圧VDSFも定格の1つで、最大値の例は30.8 Aにおいて-1.7 Vです3。ソース・ドレイン間ダイオード順電圧VSDは、ゲート・ソース間を短絡して規定の条件でソース電流を流したときの電圧です2。

逆回復の電流は、相手側の素子のターンオンに重なる

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trrが長くIrrが大きいほど、相手側の素子の損失とリンギングが増えます。ボディダイオードへ電流を流す用途には、trrが短く、Irrが小さく、順電圧の低い素子が向きます。スーパージャンクション構造やSiCが候補です。

壊れ方の心配は小さくなっています。ルネサスは、ボディダイオードの破壊耐量は大きく向上し、寄生バイポーラトランジスタの動作を抑える構造上の対策も取られたため、通常の使い方では破壊の問題はほとんど起きないとしています。ただし還流ダイオードとして使う場面のように、順電流を流した直後に逆電圧がかかると、回路と動作条件によってはMOSFETが壊れることがあり、注意が要るとも述べています。

速くする手段には、それぞれ代償がある

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ボディダイオードが速ければ、デッドタイムの損失とリンギングが小さくなります。その代わりライフタイム制御などの工程が加わり、順方向電圧が上がることもあります。外付けの高速ダイオードを並列にすれば逆回復は改善しますが、部品と実装の面積が増えます。順電圧の低い素子を選べば導通損は減るものの、逆回復の電荷が大きくなる組み合わせもあります。

ボディダイオードとは何ですか?

MOSFETの構造上、ソースとドレインの間に形成される寄生ダイオードです。寄生ダイオードとも呼ばれ、部品として足さなくても素子に必ず付いてきます。

どこにできるのですか?

nチャネルの縦型MOSFETでは、ソース電極がpベースにも触れています。pベースとnドリフトの接合が、そのままダイオードになります。

どんな項目がデータシートに載りますか?

順方向電圧VDSF、逆回復時間trr、逆回復電荷量Qrr、ピーク逆回復電流Irrです。

逆回復とは何ですか?

内蔵ダイオードに順電流が流れている状態で電圧を逆へ反転させたときの動作です。順方向の間に蓄えた少数キャリアが放出され、すべて抜けるまで逆向きに電流が流れます。

実際の値はどのくらいですか?

データシートの例では、trrが135〜220 ns、Qrrが0.6 μC、Irrが10 Aです。

順方向電圧はどのくらいですか?

同じ例で、VDSFの最大値は30.8 Aにおいて-1.7 Vです。

なぜ気にするのですか?

ブリッジ回路のデッドタイムでは、電流がこの経路を通ります。逆回復の電流は相手側の素子のターンオンに重なり、損失と雑音になります。還流ダイオードとして使う場面では、順電流の直後に逆電圧がかかると、回路と動作条件によってはMOSFETが壊れることもあります。

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