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AlGaN/GaNヘテロ構造とは

AlGaN/GaNヘテロ構造とは、バンドギャップの異なるAlGaNとGaNを重ねた構造です。 その界面に二次元電子ガス(2DEG)ができ、電流の通り道になります。

不純物を入れずに電流の担い手がそろうのは、結晶そのものが持つ分極と、重ねたことで生まれる歪みの分極が、界面へ電荷を呼ぶからです。この仕組みの代価は作りにくさです。2DEGを濃くするほど歪みが増し、耐圧を上げるほど厚いGaNが基板を反らせます。

分極の段差が、界面に正の電荷を固定する

Section titled “分極の段差が、界面に正の電荷を固定する”
2DEGができるしくみ
AlGaN バリア層引張ひずみ界面に沿って動くGaN チャネル層自発分極+ピエゾ分極分極の段差で固定正電荷2DEG(電子のシート)自発分極
引張ひずみを受けたAlGaNにはピエゾ分極が加わり、GaNとの間で分極が急に変わる界面に固定正電荷が生まれます。その電荷が電子をGaN側の界面へ並べ、2DEGになります。

GaNのチャネル層とAlGaNのバリア層の界面には、自発分極とピエゾ分極によってキャリアが走行する層が生成されます1。電子を呼ぶのは不純物ではなく、結晶の巨視的な分極電界です。

自発分極は、結晶の構造そのものが持つ電荷の偏りです。GaNはc軸方向に非中心対称のウルツ鉱型構造で結晶化するため、強い自発分極を示します2。窒化物の結晶は上下が非対称なので、外から何も加えずに分極を保ちます。

ピエゾ分極は歪みから生まれます。AlGaNとGaNは格子定数が異なるため、AlGaN層を厚いGaNバッファ層の上に擬似整合で成長させると、AlGaNに引張ひずみが入り、その歪みが追加の分極を生みます。分極が界面で急に変わるので、界面に大きな固定正のシート電荷が誘起され、この正電荷が電子をGaN側の界面へ集めます。

電子は界面に閉じ込められ、横にだけ自由に走る

Section titled “電子は界面に閉じ込められ、横にだけ自由に走る”

2DEGは、ヘテロ接合界面に捕らえられた、薄く高密度な自由電子のシートです。電子は縦方向には強く閉じ込められ、界面の水平面に沿っては自由に動けます。

この接合をチャネルに組み込んだ電界効果トランジスタがHEMT(高電子移動度トランジスタ)です。Infineonは、GaNのE-HEMTでは2DEGが無添加の純粋な単結晶層の中に物理的に隔離されているため、不純物散乱と表面散乱がなくなり、低い比オン抵抗が得られるとしています。

Si基板から、役割の異なる層を順に重ねる

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層ごとの役割
AlGaN バリア層GaN チャネル層バッファ層(GaN・AlGaN)AlN 核形成層Si 基板分極を生む2DEG:電流の通り道電子を受ける側格子と熱膨張の差を埋める大口径で安い
SiとGaNは格子定数も熱膨張も異なるため、間にAlNの核形成層とバッファ層を挟みます。その上のGaNが電子を受け、いちばん上のAlGaNが分極を生みます。

Si基板の上には核形成層のAlNと、GaN・AlGaNからなるバッファ層があり1、その上にチャネル層のGaNとバリア層のAlGaNが載ります。SiとGaNでは格子定数も熱膨張も異なり、そのまま積むと割れるため、間のバッファ層が差を段階的に埋めます。いちばん上のAlGaNは分極を生んで界面へ電子を呼び、電流そのものはその下のGaN側の界面を走ります。

2DEGの量は、AlGaNの組成と厚みの組で決まる

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分極の強さはAlGaN中のアルミニウムの割合で変わり、割合を上げるほど分極が強くなって、界面へ呼ばれる電子が増えます。厚みが薄いと分極が足りず、厚いと歪みで結晶が緩んで割れます。2DEGの量は組成と厚みの組で決まり、不純物の量で調整する方式とは決まり方が異なります。

2DEGを濃くし耐圧を上げるほど、結晶は作りにくくなる

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imecの300mm基板の使い分け
300mm Si(111):低電圧用途QST 基板:高電圧用途100V650V用途の電圧
imecは300mmのSi(111)を100V以上の低電圧用途の土台にし、650V以上の高電圧用途ではQST基板に替えます。

アルミニウムの割合を上げれば2DEGは濃くなり、オン抵抗が下がります。その代わり歪みが強くなり、結晶が緩んで欠陥が増える向きへ振れます。GaN層を厚く積めば耐圧は上がりますが、Si基板との熱膨張の差で反りと割れが出ます。性能の上げ方が、そのまま作りにくさの増やし方になっています。

基板は電圧で使い分けます。imecは、300mmのSi(111)を基盤プラットフォームとして低電圧用途(100V以上)向けに立ち上げ、650V以上の高電圧用途にはsemi-spec準拠のQST基板を使います3。QST基板はCMOS互換です。imecは300mmへの移行で製造コストが下がるとしており、p-GaNのエッチングとオーミックコンタクト形成のプロセスモジュールを開発しています。

Renesasの白書では、800V直流ラックの電源で、650VのGaNスイッチが整流器とLLC変換器の一次側に入ります。

パワー素子のほか、紫外の発光にも使われる

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AlGaNとGaNの積層は、光る素子にもなります。NISTの研究では、HVPE法でSiC基板の上に多層のAlGaN/GaNエピタキシャル構造を成長させ4、窒化物層の厚さをナノメートルの範囲まで制御しました。p-AlGaNのキャリア注入層にAlNを最大38 mol%、n-AlGaNの発光層に9 mol%含む構造では、ピーク波長340〜350 nmの短波長の紫外エレクトロルミネセンスを測っています。二重閉じ込めのヘテロ構造では、室温の光励起で誘導放出も検出しました。評価にはSEM、SIMS、水銀プローブ、エレクトロルミネセンス、フォトルミネセンスを使っています。

AlGaN/GaNヘテロ構造とは何ですか?

バンドギャップの異なるAlGaNとGaNを重ねた構造です。その界面に二次元電子ガスができ、電流の通り道になります。この接合をチャネルに組み込んだトランジスタがHEMTです。

なぜ電子が集まりますか?

界面に、自発分極とピエゾ分極によってキャリアが走行する層ができるためです。分極が界面で急に変わる段差が大きな固定正電荷を誘起し、その電荷が電子を引き寄せます。

自発分極とピエゾ分極の違いは何ですか?

自発分極は結晶そのものが持つ分極、ピエゾ分極は歪みによって生じる分極です。GaNはc軸方向に非中心対称のウルツ鉱型構造なので強い自発分極を持ち、格子定数の異なるAlGaNをGaNの上に重ねると引張ひずみが入ってピエゾ分極が加わります。

どんな層を重ねますか?

Si基板の上にAlNの核形成層とGaN・AlGaNからなるバッファ層、その上にGaNのチャネル層とAlGaNのバリア層を重ねます。

バッファ層は何のためですか?

SiとGaNでは格子定数も熱膨張も異なります。バッファ層がその差を橋渡しし、上の結晶を割れずに積めるようにします。

どんな基板を使いますか?

imecは300mmのSi(111)を基盤プラットフォームに使い、650V以上の高電圧用途にはCMOS互換のQST基板を使います。研究ではSiC基板の上に積んだ例もあります。

2DEG の量はどう決まりますか?

AlGaNの組成と厚みで決まり、不純物の量で調整する方式とは決まり方が異なります。

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