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ノーマリオフGaNとは

ノーマリオフGaNとは、ゲート電圧が0 Vのときに電流が止まっているGaNトランジスタです。 エンハンスメント型、e-modeとも呼ばれます。AlGaNとGaNを重ねると界面に2DEGがひとりでに生まれ、電流の通り道が最初から通じています。ゲートの下だけ通り道を切れば安全な素子になりますが、切った場所はオン抵抗の一部になり、しきい値の低さは誤動作の余裕を狭めます。どこまで切り、どこまでしきい値を上げるかが設計の分かれ目です。

p型ゲートで2DEGを切ると、0 Vで電流が止まる

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0 V での状態
ノーマリオンソースゲートドレイン0 Vでも導通AlGaN / GaNノーマリオフゲートp型GaN2DEGが切れる2DEGAlGaN / GaN
AlGaN/GaNをそのまま作るとゲート電圧0 Vでも2DEGがつながって電流が流れます。ゲートの下へp型のGaNを載せると、その直下だけ2DEGが切れます。

AlGaN/GaNをそのまま作ると、2DEGは界面の全域へ通じます。ゲート電圧0 Vでソースとドレインが導通した状態が標準になり、これをノーマリオンと呼びます。電源回路では、電源が立ち上がる前やゲート駆動が失われたときに素子が導通したままになるため、この状態が面倒になります。

ゲートの下へp型のGaNを載せると、その直下だけ2DEGが空乏化します。通り道がそこで途切れるため、ゲート電圧0 Vで電流が止まります。ゲート電圧を上げたときだけ、そこが導通します。

パナソニックのGITは、しきい値1.0 Vで200 mA/mmを流す

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ゲート電圧とドレイン電流
0 V1.0 Vゲート電圧ドレイン電流オフしきい値最大 200 mA/mmオン
GITはゲート電圧0 Vから1.0 Vのしきい値まで電流が流れず、しきい値を超えると最大200 mA/mmまで電流が流れます。

パナソニックは、p-AlGaNからAlGaN/GaNヘテロ接合へホールを注入するGate Injection Transistor(GIT)を開発しました。しきい値電圧は1.0 V、最大ドレイン電流は200 mA/mmです1。注入したホールが空乏化したチャネルの電子濃度を上げ、伝導度変調によってドレイン電流が大きく増えます。

同社は、オン抵抗2.6 mΩ·cm²と耐圧800 Vを、GaN系のノーマリオフトランジスタとして報告された中で最良の値1だとしています。

imecは200mmのSiウェーハで650V品を作り、動的オン抵抗の変動を20%未満に抑えた

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動的オン抵抗の変動
オンオフ10 µs90 µs20%0650 V25〜150℃動的オン抵抗の変動ドレイン電圧
imecは、オン10 µs・オフ90 µsの繰り返しで測った動的オン抵抗の変動が、650 Vまで、25℃から150℃の全域で20%を下回るとしています。

imecは、200mmのシリコンウェーハ上で、ノーマリオフのエンハンスメント型として200Vと650Vの品種を開発しました2。要になるのはバッファ層で、AlGaN/GaNとSi基板の間の大きな格子定数と熱膨張係数の違いを受け止めます。imecはバッファの設計で、大口径の200mmウェーハで650V認定のバッファを育てられるようにしたとし、Si基板の厚さとドーピングの選び方と合わせて、200mmでの歩留まりを競争できる水準まで上げたとしています。洗浄と絶縁膜の成膜条件も最適化し、フィールドプレートの設計も詳しく検討しています。

その結果、imecは動的オン抵抗の変動が25℃から150℃の全温度範囲で、650 Vまで20%未満に収まるとしています2。オフからオンへ切り替えた後のオン状態がほとんど変わらないということで、GaNに典型的な課題を抑えた形です。

工程はAuを避けた形で、Siの工場で処理する際のウェーハの取り扱いと汚染の要件に合うとしています2。既存のSiの製造ラインと同じ設備へ載るかどうかが、量産の条件になります。

しきい値が低いと、駆動電力は小さく、誤動作の余裕は狭い

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しきい値の1.0 Vという値は、SiのMOSFETに比べて低い水準で、ゲート駆動の電圧の幅が狭いことを意味します。幅が狭いと、ノイズでしきい値を越えてしまう余裕も狭くなり、駆動回路の設計ではこの余裕をどこまで取るかが条件になります。

いっぽう低い電圧で駆動できることは、ゲートを充放電する電力が小さいという利点でもあります。高い周波数で動かすほど、この差が大きくなります。

安全側の余裕と引き換えに、オン抵抗と駆動電力を払う

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p型ゲートで2DEGを切ると、0 Vで止まる安全な素子になります。その代わりゲートの直下だけ電子を減らすため、そこがオン抵抗の一部になります。しきい値を高く取れば誤動作の余裕は広がりますが、駆動に要る電圧が上がり、ゲートの充放電で払う電力が増えます。

ノーマリオフを得る方法は、ゲートの下で2DEGを切るeモードだけではありません。Renesasは、現在主流のトランジスタはノーマリオフのdモードGaNとeモードGaNの2種類3だとしています。同社は、市販の電源アダプタでeモードGaNを自社のノーマリオフdモード品SuperGaNに置き換えたところ、チップが小さくオン抵抗の定格が30%高いにもかかわらず、効率が上がりケース温度が最大50%下がったとしています。

ノーマリオフGaN とは何ですか?

ゲート電圧が0 Vのときに電流が止まっているGaNトランジスタです。エンハンスメント型、e-modeとも呼ばれます。

なぜ 0 V で止まる必要がありますか?

電源が立ち上がる前やゲート駆動が失われたときに、電流が流れたままになるのを避けるためです。回路を安全側に倒せます。

どうやって実現しますか?

ゲートの下へp型のGaNを載せ、その直下の2DEGを空乏化させます。ゲート電圧を上げたときだけ、そこが導通します。

しきい値電圧はどのくらいですか?

パナソニックが開発したGITでは1.0 Vです。

どのくらい電流が流れますか?

パナソニックのGITでは、最大ドレイン電流が200 mA/mmです。p型ゲートからのホール注入による伝導度変調で、電流が大きく増えます。

量産の寸法まで来ていますか?

imecは、200mmのシリコンウェーハでノーマリオフの200Vと650Vの品種を開発しました。工程はAuを使わずSiの工場の要件に合わせてあり、200mmでの歩留まりを競争できる水準まで上げたとしています。

何が難しいのですか?

AlGaN/GaNをそのまま作ると2DEGが界面全体へ通じるため、電流が流れる状態が標準になります。切れている状態を作るほうが、追加の工夫を要します。

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