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キャリア濃度とは

キャリア濃度とは、半導体の中で実際に電気を運ぶ電子や正孔の数密度です。 入れた不純物の原子数とは、別の量になります。ドーズ量を増やせば濃度が上がる、と考えたくなりますが、電気を運ぶのは格子の位置に収まった原子で、それ以外は数の外にとどまります。上限は温度で決まる固溶度が、数を増やす熱処理の代償は分布の広がりが決めます。

入れた数と運ぶ数は別の方法で測り、その比が活性化率になる

Section titled “入れた数と運ぶ数は別の方法で測り、その比が活性化率になる”
SR法の斜め研磨
注入層基板斜め研磨面2本の針深さ研磨面に沿って広がる
試料を斜めに研磨すると、浅い注入層の深さが研磨面の上では長い距離に広がります。その面に2本の針を立てて抵抗を測り、深さごとのキャリア濃度に直します。

SR法は、斜めに研磨した試料の拡がり抵抗を測定して、深さ方向のキャリア濃度分布を測る手法です1。研磨面に立てた2本の針の間の抵抗を測定して比抵抗を求め、その比抵抗とキャリア移動度の関係からキャリア濃度を求めます。比抵抗から換算するため、電気を運ぶ側の数だけを拾います。斜めに研磨するのは深さ方向を引き伸ばすためで、通常の拡がり抵抗プローブは5 gの荷重で5〜10 nm入り込みます。

一方のSIMSは、入れた原子の数を深さごとに数え、格子の位置にいるかどうかとは無関係です。同じ試料でも2つの分布は別の形になり、SIMSによる注入イオンの分布と合わせると活性化率を求められます。入れた数と運ぶ数の比が、活性化率です。

シート抵抗は、この濃度分布を深さ方向に積分した量に対応し、1枚の数字で層全体を比べるときに使います。

入れられる上限は、温度で決まる固溶度

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入れた原子と運ぶキャリアの深さ分布
濃度(対数)深さ固溶度SIMS:入れた原子SR法:運ぶキャリア格子の位置にない原子
SIMSは格子の位置にいるかどうかに関係なく原子を数え、SR法は電気を運ぶ分だけを数えます。固溶度を超えた分は格子間へ析出するので、運ぶ側の分布はその線の下に収まります。

固溶度は物質中に許容される不純物濃度で、温度によって決まります2。Si半導体に一般に用いられるB・P・Asは固溶度が大きく、この3つが選ばれる理由の1つになっています。固溶度以上に導入された原子は、格子間へ析出します。イオン注入のドーズ量を増やしても、この線から上は析出の側へ回ります。

熱処理は活性化を進め、同時に分布を広げる

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注入の直後、原子の多くは格子からずれた場所にいます。熱処理で結晶を回復させると、格子の位置へ収まった原子が電気を運び始めます。

熱処理の過程で通常の拡散よりも速く拡散する現象を増速拡散と呼び、イオン注入では、過剰な格子間シリコンからなる{311}欠陥との相互作用でドーパントが異常拡散します3。この現象が過渡増速拡散(TED)です。熱を掛けるほど活性化は進みますが、分布も同時に広がります。

注入量を増やせばキャリア濃度が上がり、抵抗が下がります。その代わり固溶度の上限に当たり、超えた分は格子間へ析出して欠陥になります。熱処理を強めれば活性化が進むものの、増速拡散で分布が広がり、接合が深くなります。熱を弱めれば分布は保たれますが、活性化率が下がります。

ホール測定は層全体の濃度を出し、条件を外すと値が崩れる

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ホール測定でも、キャリア濃度と移動度を求めます。NISTは、ホール測定と抵抗率測定の手引きで、電極の平均直径Dと試料の厚さdを電極間の距離Lより十分小さくする必要があり、Dが有限であることによる相対誤差はD/L程度になるとしています4。

機材として、NISTは500〜5000ガウスの永久磁石か電磁石、10 µAから100 mAの定電流源、高精度の測定では分解能0.1 °Cの試料温度計を挙げています。比抵抗がおよそ10の7乗Ω·cmの半絶縁性GaAsでは、1 nAまで下げられる電流源が要ります。電流は試料での消費電力が5 mWを超えない値、できれば1 mWに設定し、データは内部の整合性、オーミック接触の質、試料の均一性で確かめるとしています。

1つの層に複数の種類のキャリアがいると、1つの数字では足りなくなります。Lake Shore Cryotronicsは、HEMTは構造上複数の種類のキャリアを持ち、磁場を1点だけで測る古典的なホール測定ではバルクの移動度とキャリア濃度しか取り出せないとしています5。同社は、磁場を変えた測定とQMSAという解析を組み合わせると、キャリアの種類ごとの移動度と濃度を取り出せるとしています。

キャリア濃度とは何ですか?

実際に電気を運ぶ電子や正孔の数密度です。入れた不純物の原子数とは別の量で、格子の位置に収まった原子の分だけが数に入ります。

なぜ入れた数と差が出るのですか?

格子の位置に入って初めて電気を運ぶからです。格子間にいる原子や、固溶度を超えて析出した原子は数の外にいます。

どうやって深さ方向を測りますか?

斜めに研磨した試料の拡がり抵抗を測るSR法を使います。研磨面に立てた2本の針の間の抵抗から比抵抗を求めます。

比抵抗からどう換算しますか?

求めた比抵抗とキャリア移動度の関係から、キャリア濃度を求めます。移動度の値を置かないと濃度は決まりません。

活性化率はどう求めますか?

SR法で求めたキャリアの分布を、SIMSによる注入イオンの分布と合わせると、活性化率を求められます。

上限はありますか?

あります。物質中に許容される不純物濃度を固溶度と呼び、温度によって決まります。Si半導体に使うB・P・Asは固溶度が大きい元素です。

上限を超えるとどうなりますか?

固溶度以上に導入された原子は、格子間へ析出します。入れても、電気を運ぶ側からは離れたままです。

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