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極浅接合とは

極浅接合とは、ソースとドレインの接合の深さを小さく抑えた構造です。 接合を浅くすると、ドレインの電界がゲートの下に回り込むのを抑えられます。短チャネル効果を抑えるために世代ごとに薄くなってきた構造で、注入エネルギーを下げるだけでは浅さが足りず、分布の深い側に伸びる裾が浅さを崩します。裾を伸ばす原因は、注入の段階ではチャネリング、熱処理の段階では増速拡散の2つです。

チャネリングの裾が、浅く作った接合を深くする

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深さ方向の濃度分布
濃度(対数)表面からの深さ浅く止まる深くまで届くチャネリングの裾裾を抑えた分布
結晶軸に沿って入ったイオンは分布の深い側に裾を引き、裾を抑えた分布より深い位置まで不純物が届きます。極浅接合では、この裾を抑えます。

接合が深いほど、ドレインの電界がゲートの下に回り込みやすくなり、しきい値が下がってオフ時のリーク電流が増えます。注入エネルギーを下げれば接合は浅くなります。ところが結晶の軸に沿って入ったイオンは原子との衝突を避けて奥まで届くので、エネルギーを下げても深い側に裾が残ります。浅い接合を作る工程は、この裾を断つ工程でもあります。

裾を抑えた拡散は、トランジスタの複数の場所で必要です。Axcelisの資料は、熱処理中の拡散を小さくすることが特にハロー(ポケット)、ソース・ドレインのエクステンション、ソース・ドレインの各領域で大事だとしています。

結晶の軸に沿って入ったイオンは、原子を避けて奥まで届く

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イオンの通り道
チャネル方位に沿う角度を外す先に非晶質化奥まで届く浅く止まる浅く止まるSiやGeを先に注入
チャネル方位に沿ったイオンは原子の列の間を抜けて奥まで届きます。角度を外すか、先に結晶を非晶質にしておけば、イオンは浅い位置で原子に当たって止まります。

単結晶には、結晶軸や結晶面に沿った方向に原子間隔の広いチャネルがあり1、それぞれ軸チャネル、面チャネルと呼ばれます。その方向に沿って注入すると、大部分のイオンは原子と衝突せず、電子との小角散乱を繰り返しながら結晶の奥まで入り込みます。これがチャネリングで、浅い接合ではこのイオンが分布のテールになります。

避ける方法の1つ目は、チルト角とツイスト角をチャネル方位から外して注入することです。チャネリングが起こる臨界角は、注入イオンのエネルギーが高いほど、また原子番号が小さいほど小さくなります。臨界角が小さいほど、角度を外す精度が要ります。浅くするために低いエネルギーを選べば、その分だけ角度の許容は広がります。深い位置まで入る性質を積極的に使うチャネリング注入もあり、同じ現象を目的に応じて使い分けます。

2つ目は、チャネルそのものをなくす方法です。ドーパントの注入前に結晶を非晶質化するプロセスをプリアモルファス化2と呼びます。質量数の大きい元素ほど少ない注入量で非晶質化でき、電気特性にも影響しないので、SiデバイスではSiやGeのイオンを使います。崩した結晶は後で回復させる必要があり、その結晶回復のプロセスでは、非晶質の層とドーパントの位置関係が重要なパラメータになります。崩す工程と回復させる工程を合わせて1つの技術です。

熱処理では、過剰な格子間シリコンがドーパントを異常拡散させる

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熱処理後の分布
炭素なし炭素を共注入注入直後増速拡散で深くなる拡散が抑えられる注入したドーパント熱で広がった範囲Si基板格子間Si炭素
注入で生じた過剰な格子間シリコンとの相互作用でドーパントが異常拡散し、層が注入直後の深さより下へ広がります。共注入した炭素がこの格子間シリコンを捕まえると、BやPの過渡増速拡散が抑えられます。

熱処理の過程で通常の拡散より速く拡散する現象を、増速拡散3と呼びます。イオン注入では、過剰な格子間シリコンからなる{311}欠陥との相互作用でドーパントが異常拡散し、この現象は過渡増速拡散(TED)と呼ばれます。酸化やシリサイド化で過剰な格子間シリコン原子が供給された場合も、ドーパントが過剰シリコンと対を組んで通常より速く拡散します。浅く作った接合も、後の工程で深くなることがあります。

対策の1つは、余った格子間シリコンを捕まえることです。炭素は過剰な格子間原子を捕らえ、BとPの両方の過渡増速拡散を抑えます4。拡散を抑える目的での炭素の典型的な注入量は3×10¹⁴〜1×10¹⁵ cm⁻²です。多すぎる炭素はデバイスのリークを生む欠陥を作ることがあり、そのリークは注入量のわずかな違いに非常に敏感な場合があるので、注入量の最適化が要ります。Axcelisは、同社のOptima HDxのようなスポットビーム注入装置なら、ウェーハ温度−30〜−50℃で炭素を注入してSiを容易に非晶質化できるとしています。

フッ素も炭素と似た働きをし、Bの拡散と活性化の両方を抑えます。活性化まで抑えてしまうため、Axcelisは、一部のp型ソース・ドレインやエクステンションの注入で、フッ素によるBの不活性化を避けるためにBF2からBへの切り替えが進んでいるとしています。

抵抗・深さ・リークの3つを、同時に小さくしなければならない

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注入のエネルギーを下げれば接合が浅くなり、短チャネル効果を抑えられます。その代わりシート抵抗が上がり、寄生抵抗が増えます。プリアモルファス化すれば裾が抑えられる一方、崩した結晶を回復させる熱処理が加わります。熱を強めれば活性化は進みますが、増速拡散で接合が深くなります。アニールの時間がミリ秒、ナノ秒へ縮んできた最初の理由も、接合を浅く保ちながら活性化を上げることでした。

Axcelisは、エクステンションやソース・ドレインの前に入れる共注入の目的を、3つの量を同時に最小にすることだとしています。オン電流を大きくするための横方向の寄生抵抗、DIBLを小さくするための接合深さ、オフ電流を小さくするための接合リークです。浅さを詰めれば抵抗が上がり、熱で活性化を上げれば深くなるので、極浅接合の設計は3つの釣り合いを取る作業になります。浅い層は測る側にも制約があり、通常の四探針は針が層を突き抜けやすく、比較ではほぼ全試料で測定に失敗しています。

極浅接合とは何ですか?

ソースとドレインの接合の深さを小さく抑えた構造です。短チャネル効果を抑えるため、世代ごとに薄くなってきました。

なぜ深さを抑えるのですか?

接合が深いほど、ドレインの電界がゲートの下に回り込みやすくなるからです。しきい値が下がり、オフ時のリーク電流が増えます。

何が邪魔をしますか?

注入ではチャネリング、熱処理では増速拡散です。チャネリングは分布の深い側にテールを引かせ、増速拡散は浅く作った分布を後の工程で押し広げます。

チャネリングとは何ですか?

結晶軸や結晶面に沿った方向にある原子間隔の広いチャネルにイオンが入り、原子との衝突を避けて結晶の奥まで入り込む現象です。臨界角は注入エネルギーが高いほど、原子番号が小さいほど小さくなります。

どうやって避けますか?

チルト角とツイスト角をチャネル方位から外して注入します。

結晶を先に崩す手もありますか?

あります。ドーパントの注入前に結晶を非晶質化する方法をプリアモルファス化と呼び、SiデバイスではSiやGeのイオンを使います。質量数の大きい元素ほど少ない注入量で非晶質化できます。

熱処理でも分布が動きますか?

動きます。過剰な格子間シリコンからなる{311}欠陥との相互作用でドーパントが異常拡散する、過渡増速拡散が起きます。炭素を共注入すると格子間シリコンが捕まり、BとPの過渡増速拡散が抑えられます。

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