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仕事関数とは

仕事関数とは、電子を固体の中から外へ取り出すのに要る最小のエネルギーです。 ゲート電極の材料でこの値が動くと、チャネル側のバンドの曲がり方が変わり、しきい値電圧がそのぶん移ります。

ゲート電極とチャネルの間の膜が薄くなるほど、電極側の電子のエネルギー準位がチャネルの反転条件へ直接届くため、材料表に載る量がそのままデバイスの性能指標になります。一方、先端世代の電極は多結晶で、粒ごとに値が動きます。

n形とp形で、要る実効仕事関数は0.30eV離れる

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0.30eVの差が、n形とp形を隔てます
金属の仕事関数が、しきい値電圧を定めます4.44.64.8実効仕事関数 eVn 形 4.47p 形 4.770.30 eVゲート長 20nm でしきい値電圧 ±0.2V に対応します
同じ構造でしきい値電圧を逆符号へそろえるために、必要な実効仕事関数は0.30eV離れます。金属の種類と厚みが、この差を作ります。

産業技術総合研究所の研究グループは2026年に、ゲート長20nmでしきい値電圧をおよそ+0.2VにするにはGAAFETのn形で4.47eV、−0.2Vにするにはp形で4.77eVの実効仕事関数が要るとしました1。同じ形のトランジスタで逆符号のしきい値電圧をそろえる要求が、電極側では0.30eVの差になります。

実効仕事関数は、金属単体の値に、high-k膜や界面層との反応で生じた分を足し込んだ量です。材料表の数字をそのまま使える範囲は狭く、積層の組み合わせごとに測り直します。

多結晶の粒ごとに値が動き、ばらつきの主因になる

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粒の大きさが、ゲート長と同じ桁です
多結晶の粒ごとに、値が動きます結晶粒 数nm〜10nmhigh-k 膜チャネルゲート長 30nm 以下粒の向きが動くと仕事関数の値も動きます粒の位置と大きさはランダムですRDF を消した後に主要なばらつき要因として出ます向きA向きB向きC
多結晶金属は粒ごとに向きが変わり、粒ごとに別の仕事関数を持ちます。粒の大きさは数nmから10nm程度で、ゲート長30nm以下の世代とは同じ桁です。

多結晶金属では、結晶粒ごとに配向が異なると、粒ごとに別の仕事関数値を持ちます2。結晶粒の大きさは数nmから10nm程度で、FinFETが導入された技術世代のゲート長30nm以下と同じ桁です。粒の配向、位置、大きさはランダムで、ランダムドーパントゆらぎを排除した後には、この仕事関数ばらつきがランダムばらつきの要因として表に出ます。チャネル側のゆらぎを構造で消した先に、電極の結晶学が新しいばらつき源として待っていたことになります。

下地の平坦さが、粒の向きを左右する

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ゲート電極の多結晶金属の配向性は、金属膜が成長する下地の平坦性に大きく影響を受けます2。反応性イオンエッチングで加工したフィンの側壁をチャネルに使うFinFETでは、側壁の平坦性が多結晶金属ゲートの特性を左右します。

反応性イオンエッチングで加工したフィンと、異方性ウェットエッチングによるSi(111)の平坦化で理想的な形にしたフィンに同じTiNをゲート電極として成膜し、特性ばらつきを比較した例もあります。エッチングの側壁品質が、そのまま電気的なばらつきにつながります。

先端世代では、積層の厚みで値を動かす

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材料を変える代わりに、積層の厚みで値を動かす手が使われます。産総研の同じ研究では、仕事関数金属のTiN/TiAlC/TiN積層でTiAlCを厚くするほど実効仕事関数が系統的にシフトし1、下部TiNを1nm、TiAlCを1.6nmとした組み合わせでn形の目標に届きました。

imecは、ナノシートの置換メタルゲートの内容を、ナノシート層の周囲と層間への仕事関数金属の成膜とパターニングとしています3。厚みでつまみを回す以上、その厚みを入れるすき間の寸法が、そのまま可変幅の上限になります。

電極で作り分ける自由度は、ばらつきと引き換えになる

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仕事関数を電極側で作り分ければ、チャネル濃度に触らずにしきい値電圧を定められます。その代わりに、多結晶の粒に由来するばらつきと、high-k膜との反応で実効値が動く合わせ込みを抱えます。プロセス担当は、材料表の値に代えて、その積層で測った実効値を基準に選定します。

仕事関数とは何ですか?

電子を固体の中から外へ取り出すのに要る最小のエネルギーです。ゲート電極の材料でこの値が動くと、チャネル側のバンドの曲がり方が変わり、しきい値電圧が動きます。

実効仕事関数とは何が違いますか?

金属単体の値に、high-k膜や界面層との反応で生じた分を足し込んだ、素子として観測される値です。材料表の値から離れることがあるため、デバイスでは実効値を使います。

先端世代ではどのくらいの値が要りますか?

産業技術総合研究所の研究グループは2026年の論文で、ゲート長20nmでしきい値電圧±0.2Vを得るには、n形GAAFETで4.47eV、p形GAAFETで4.77eVの実効仕事関数が要るとしています。

なぜばらつきの原因になるのですか?

多結晶金属では、結晶粒ごとに配向が異なると粒ごとに別の仕事関数値を持ちます。粒の配向、位置、大きさはランダムです。

粒はどのくらいの大きさですか?

結晶粒は数nmから10nm程度で、FinFETが導入された技術世代のゲート長30nm以下と同じ桁の大きさです。

ランダムドーパントゆらぎとの関係は何ですか?

FinFETはチャネル中の不純物ドーピングを省ける構造なので、ランダムドーパントゆらぎを基本的に排除できます。それを排除した後に残る主要因が仕事関数ばらつきです。

粒のばらつきを抑える手はありますか?

多結晶金属の配向性は下地の平坦性に大きく影響を受けます。反応性イオンエッチングで加工したフィンと、異方性ウェットエッチングで平坦な側壁にしたフィンとで、FinFETの特性ばらつきを比較した例があります。

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