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ウェットエッチングとは

ウェットエッチングとは、薬液を使って層を溶かし、レジストの開口部分を除去する方法です。 多くの膜では等方的に反応しますが、単結晶Siの結晶異方性を使う方式もあります。対象膜と薬液による速度の差を利用します。寸法の細かさではドライに負け、選択比と装置コストでは勝つ方式で、SCREENセミコンダクターソリューションズがエッチング工程の9割以上をドライとする今も、横への食い込みを許せて残したい膜を守ることが先に立つ除去の工程に残っています。

薬液は全方向へ進むので、膜が厚いほどレジストの土台が細る

Section titled “薬液は全方向へ進むので、膜が厚いほどレジストの土台が細る”

エッチングは、パターン形成したレジストの開口部分にあたる層の一部を、ウェーハ表面から化学的に除去するプロセスです。液体ベースのウェットエッチングとプラズマベースのドライエッチングの2種類があり1、ウェットエッチングは液体の側です。

サイドエッチと膜の厚さ
膜が薄い土台は太く残る膜が厚いサイドエッチ土台が細りレジストが落ちるレジスト削る膜下地
薬液は縦と同じだけ横へも進むので、同じ幅のレジストでも、膜が厚いほど下の土台が細くなります。土台が細り切ると、レジストを支えられなくなります。

薬液を使うことが、削れる向きと材料選択性の両方を決めます。薬液は全方向へほぼ均等に働くため、縦へ掘り進むと同時に横へも広がります。レジストで覆われた部分の下へ削れ込むこの現象がサイドエッチで、仕上がりの寸法が設計より広がります。パターン幅に対して膜が厚い場面ほど、この影響は大きくなります。

SCREENセミコンダクターソリューションズは、ウェットエッチングを硫酸、硝酸、りん酸、フッ酸などの薬液で腐食を行う方法とし2、横方向にも進むため、あまり細かい回路をエッチングするとレジストが落ちてしまうとしています。レジストの下が横に削れ込むと、レジストを支える土台が細くなり、パターンそのものが倒れたり流されたりします。

選択比は、薬液と膜の組み合わせで作る

Section titled “選択比は、薬液と膜の組み合わせで作る”

一方で、材料による溶けやすさの差を大きく取れる点が強みです。薬液を選べば、削りたい層だけを速く溶かし、下の層をほとんど残せます。この比が選択比です。

ステラケミファによると、フッ化水素酸はシリコン酸化膜をエッチング除去する特質を持ち3、半導体製造ではシリコンウェハのウェットエッチングとウェット洗浄に使われます。同社は、これを半導体シリコン基板の洗浄プロセスの中でも不可欠な微細加工技術としています。

シリコンそのものを削るには、アルカリの薬液を使います。関東化学のSiエッチング用の高純度アルカリ4は任意の濃度に希釈して使い、品目は48%のNaOH(水酸化ナトリウム)であるNaOHLMと、NaOHへ添加剤を加えたNaOHLM-CXの2つです。NaOHLM-CXについて同社は、添加剤の効果でウエハへの金属不純物の吸着を低減できるとしています。単結晶シリコンを結晶方位で削るKOH・TMAH系では、液体を使っても面方位による異方性が出ます。

金属膜には、材料ごとに別の薬液があります。関東化学のエッチング液には、金・銀・銅・ルテニウム・クロム・アルミ・チタン・ニッケル・ITO・金属酸化物・シリコン・圧電薄膜という材料別のシリーズがあります5。削りたい材料の数だけ薬液の系統が商品として存在することが、ウェットエッチングの選択比の高さを支えています。

薬液の仕様には、削りたい膜とあわせて残したい膜も書かれます。関東化学はチタンエッチング液TIシリーズを、Tiの選択除去が可能で、サイドエッチングが少なく高精細なパターニングに向く液としています6。TI-8Aの選択性はAl・Au・Cu・Ni・SiN・SiO2に対するもので、これらの膜を残したままチタンだけを除去する用途の薬液です。TI-8Aは過酸化水素の分解を抑えたアルカリ性でTiNやTiWにも使え、TI-101は過酸化水素を含まない酸性で液ライフが長いと同社はしています。製品仕様のうえで、選択比はこの「残したい膜の一覧」として書かれます。

窒化膜を除く熱リン酸系も同じ考え方です。芝浦メカトロニクスは、熱リン酸のウェットエッチング装置を先端ロジック向けの窒化膜エッチング装置として発展させているとしています7。酸化膜を除くHF系、SiNを除く熱リン酸系、シリコンのKOH・TMAH系、金属向けの薬液では、反応と残す材料が違います。

削る量は速度と時間で決まり、BHFは濃度で速さを約100倍動かす

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削れる量は、エッチング速度と時間の積です。所定の量まで削った時点でウェーハを液から引き上げるため、速度の大きさと、速度を動かす要因が、そのまま仕上がりの寸法になります。

ウェット薬液のエッチング速度(対数目盛)
約100倍BHF 洗浄用数十Å/minBHF エッチング加工用数千Å/minTI-8A(Ti、40℃撹拌)約170 nm/min1101001000エッチング速度(nm/min)
同じバッファードフッ酸でも、洗浄用の毎分数nmからエッチング加工用の毎分数百nmまで、濃度の組み合わせだけでおよそ100倍動きます。

バッファードフッ酸(BHF)は、超高純度フッ化水素酸(HF)とフッ化アンモニウム溶液(NH4F)の混合水溶液で8、半導体・FPD製造プロセスでは主に絶縁膜のエッチングや洗浄等の工程で使われます。ステラケミファは、50%のHF水溶液と40%のNH4F水溶液を任意の配合比でブレンドし、HF濃度とNH4F濃度の制御によって、数十Å/min程度の遅いエッチレートを示す洗浄用薬液から、数千Å/min程度の早いエッチレートを示すエッチング加工用薬液まで、広範囲に対応できるとしています。

1Å(オングストローム)は0.1nmなので、数十Å/minは毎分数nm、数千Å/minは毎分数百nmです。同じフッ酸系の薬液が、2成分の濃度の組み合わせだけで、速さにおよそ100倍の幅を持ちます。この幅があるので、ゆっくり削って表面を仕上げる用途と、厚い膜を一気に抜く用途を、同じ薬液系の中で作り分けられます。金属の例では、関東化学のTI-8Aが40℃・撹拌の条件でTiを約170nm/minで削るとしています6。

速度の単位Å/minが毎分あたりの膜厚の減りを表す通り、ウェットエッチングで測る量は膜厚です。エッチングの前後で膜厚を測り、その差を時間で割ると速度が求まります。その速度は薬液の状態とともに動きます。LAL BHFは、NH4F濃度を通常品の約半分である17〜20%程度に下げて組成を最適化した製品で、ステラケミファは長寿命化を特徴に掲げています。薬液の寿命が製品の特徴になるのは、液を使い込むほど組成が動き、速度も動くからです。

装置は洗浄と同じウェットステーションで、50枚まとめるか1枚ずつか

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バッチ式と枚葉式
バッチ式:50枚をまとめて槽へ浸す薬液A純水薬液B純水薬液C純水乾燥枚葉式:1枚ずつ回して液をかけるノズルウェーハ薬液純水
バッチ式は通常50枚をまとめ、薬液と純水の槽へ順に浸してから乾かし、枚葉式は1枚ずつ回しながらノズルで液をかけます。

ウェットエッチングは洗浄装置と同じ系列に含まれることが多い領域で、薬液洗浄のときと同じウェットステーションを使えます2。芝浦メカトロニクスのSC / MC / ARES / CDEは7、ウェットおよびドライのプロセスシステムです。

装置は、ウェーハを何枚まとめて薬液へ入れるかで2つの形式に分かれます。一度に多数のウェーハをまとめて洗浄するウェットステーションのような装置を、業界ではバッチ洗浄装置と呼び、通常は50枚をまとめます9。バッチ式の利点は、生産性が高く1枚あたりのウェーハのコストが安い点です。ウェーハを1枚ずつ洗浄する枚葉洗浄装置は多品種少量生産に向き、エッチングでも小ロットのウェーハや1枚ごとに特殊なエッチングをするときはスピンプロセッサを使います。

ウェットステーションの中身は、槽の順序として組まれます。複数の汚染を取り除く場合の構成例は「薬液A-純水-薬液B-純水-薬液C-純水」で、1つの槽で薬液洗浄と純水による水洗の両方を行うワンバス型もあります。薬液の槽と純水の槽が交互に入るのが基本の形です。液体を使う工程なので、最後にウェーハを乾かす段がセットで付きます。洗浄後の乾燥ユニットはスピンドライヤとIPAベーパドライヤで、より厳しい洗浄では窒素ガスの中で乾燥させる方法もあります。この乾燥の段は、ウェット側に固有の工程です。

コストと生産性では、ドライ側に対する優位が公表値で出ています。SCREENセミコンダクターソリューションズは、ウェットエッチング装置の価格を1億円〜3億円程度とし、薬液も半導体関連材料としては安く、1度に50枚などのバッチ処理もできるとしています2。ドライエッチング装置の価格はウェットの2倍以上としています。寸法の細かさがドライを要求する水準へ届くまでは、金額の面からもウェットを選ぶ理由があります。

ウェット洗浄とは、目的と速さで分かれる

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ウェットエッチングとウェット洗浄は、薬液も装置系列も共有し、目的で分かれます。対象の層を所定の量だけ除去するのがエッチング、表面に付いた汚れや粒子を取り除くのがウェット洗浄です。

この区分は速さにも出ます。バッファードフッ酸の速さの幅も、数十Å/min程度の洗浄用と数千Å/min程度のエッチング加工用に分かれていました。希フッ酸洗浄は現在の多段洗浄工程の最終洗浄に用いられ3、半導体ウェットエッチングの中でも非常に高いクリーン度が要求されます。同じ希フッ酸が、酸化膜を溶かす液としても、仕上げの洗浄液としても登場します。

膜を所定量削るエッチングとは目的が違う工程も、同じ薬液処理の並びにあります。デスミアは穴あけ後の樹脂残渣と表面を整える工程、PERRは加工残渣を除く工程です。

微細な回路はドライへ移り、ウェットは除去の工程に残った

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SCREENセミコンダクターソリューションズは、業界ではラフな回路はウェットエッチング、微細な回路はドライエッチングという使い分けをしているとし、半導体回路の微細化でラフな回路が減ったため、現在のエッチング工程の9割以上はドライで行われているとしています2。ウェット側が退場したというより、寸法の細かさという1つの軸でドライへ担当が移った関係です。

用途は、微細なパターン形成よりも、犠牲層の除去、酸化膜の除去、洗浄と一体で行う表面処理が中心です。パターン幅に対して深さが小さく、横方向の食い込みが許容できる場面に向きます。

細かさ以外の症状は、薬液側の製品仕様から読み取れます。ステラケミファは、バッファードフッ酸に界面活性剤を添加したLL BHFで、微細パターンでの不良率低減、基板表面のラフネス増加の抑制、粒子付着の抑制等の効果が得られるとしています。裏返すと、対策を入れる前のウェット工程で起きやすい症状は、微細パターンの不良、表面ラフネスの増加、粒子の付着です。

この用語に対応する装置と製造メーカー

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ウェットエッチングとは何ですか?

薬液を使って層を溶かし、レジストの開口部分を除去する方法です。エッチングには、液体ベースのウェットエッチングとプラズマベースのドライエッチングの2種類があります。

ウェットエッチングとドライエッチングの違いは何ですか?

削れる向きの偏りが異なります。多くの非晶質膜などでは薬液の反応が全方向へ進んでマスク下へも横に食い込みますが、単結晶SiをKOHやTMAHで削る方式では結晶面ごとの速度差が形を決めます。ドライエッチングはイオンが基板へ向かって入射するため異方性になり、縦方向へ選択的に削れます。

サイドエッチとは何ですか?

レジストで覆われた部分の下へ、横方向に削れ込む現象です。等方性のウェットエッチングでは避けにくく、仕上がりの寸法が設計より広がり、パターン幅に対して膜が厚いほど影響は大きくなります。

ウェットエッチングの強みは何ですか?

材料による溶けやすさの差を大きく取れる点です。薬液を選べば削りたい層だけを速く溶かして下の層をほとんど残せ、この比が選択比です。装置構成が単純で加工枚数を稼ぎやすく、SCREENセミコンダクターソリューションズは装置価格を1億円〜3億円程度、ドライをその2倍以上としています。

ウェットエッチングはどこで使われますか?

微細なパターン形成よりも、犠牲層の除去、酸化膜の除去、洗浄と一体で行う表面処理で使われます。パターン幅に対して深さが小さく、横方向の食い込みが許容できる場面に向き、先端ロジックでは熱リン酸による窒化膜のエッチングにも使われます。

ウェットエッチング装置のメーカーはどこですか?

洗浄装置と同じ系列に含まれることが多い領域です。芝浦メカトロニクスのSC / MC / ARES / CDEはウェットおよびドライのプロセスシステムで、当サイトの装置カタログDBでも洗浄とエッチングを兼ねる製品familyを引けます。

ウェットエッチングにはどんな薬液を使いますか?

削る膜ごとに専用の薬液を使い、硫酸、硝酸、りん酸、フッ酸などで腐食させます。シリコン酸化膜にはフッ化水素酸やバッファードフッ酸、シリコンには48%の水酸化ナトリウム水溶液などの高純度アルカリ、金属膜には金・銀・銅・チタンなど材料別の薬液が、材料メーカーの品目にあります。

ウェットエッチングのエッチング速度はどのくらいですか?

薬液の濃度で大きく動きます。ステラケミファは、バッファードフッ酸のHF濃度とNH4F濃度を制御して、数十Å/min程度の洗浄用から数千Å/min程度のエッチング加工用まで対応できるとしています。1Åは0.1nmなので、毎分数nmから毎分数百nmの幅で、関東化学のTI-8Aは40℃・撹拌でTiを約170nm/minで削ります。

ウェットエッチングの装置はバッチ式ですか、枚葉式ですか?

両方あります。ウェットステーションのようなバッチ洗浄装置は通常50枚をまとめ、生産性が高く1枚あたりのコストが安くなります。1枚ずつ処理する枚葉洗浄装置は多品種少量生産に向き、小ロットや特殊なエッチングにはスピンプロセッサを使います。

ウェットエッチングとウェット洗浄は何が違いますか?

目的と速さで区分します。対象の層を所定の量だけ除去するのがエッチング、表面に付いた汚れや粒子を取り除くのが洗浄で、同じバッファードフッ酸を濃度の制御で数十Å/min程度の洗浄用と数千Å/min程度のエッチング加工用に作り分けます。薬液も装置も共通するため、工程表のうえでは隣り合います。

ウェットエッチングでレジストが落ちるのはなぜですか?

横方向の削れ込みが、レジストを支える土台を細くするためです。ウェットエッチングは横方向にも進むので、あまり細かい回路をエッチングするとレジストが落ちてしまいます。業界では、ラフな回路はウェットエッチング、微細な回路はドライエッチングと使い分けています。

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