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DRIE(深堀り反応性イオンエッチング)とは

DRIE(Deep Reactive Ion Etching、深堀り反応性イオンエッチング)とは、シリコンへ深い溝や穴を垂直に掘るためのドライエッチングです。 エッチングと側壁保護を交互に切り替えるので、深さが増しても穴が広がりにくくなります。切り替えの周期、プラズマのパワー、バイアス、圧力、ウェーハ温度のどれを動かしても、レートと引き換えに側壁の形や選択比、ダメージのどれかが動きます。側壁の波形を直接決めるのは、1段の長さです。

深く掘るほど、入口に近い側壁が削られ続ける

Section titled “深く掘るほど、入口に近い側壁が削られ続ける”

通常のドライエッチングでも縦方向が速く進みますが、横方向の除去も同時に進みます。底へ向かって掘り進む間、入口に近い側壁はずっと反応種とイオンにさらされ続けます。深さが増すほどこの時間差が広がり、穴が上ほど広い形になります。シリコン深堀エッチング(DSiE)とも呼ぶDRIEは、ウェハや基板に深い穴や溝を作る高度な異方性エッチングで、高いアスペクト比の加工に使います1。

掘る段と守る段を交互に繰り返し、底だけを掘り進める

Section titled “掘る段と守る段を交互に繰り返し、底だけを掘り進める”

シリコンのDRIEはボッシュプロセスを使います。プラズマの化学種をエッチング(SF₆)と側壁保護(C₄F₈)の段の間で繰り返し切り替え2、シリコンへ異方性の溝や穴を作る手順です。保護膜を作る段を挟むことで側壁が守られ、底だけが掘り進みます。

ボッシュプロセスの1サイクル
① 等方性エッチSF₆② 保護膜の堆積C₄F₈③ 底の膜を除去異方性エッチ繰り返した断面スキャロップ→→→シリコンマスク保護膜
等方性エッチ、保護膜の堆積、底の膜を除く異方性エッチの3段を繰り返すと、側壁を守ったまま底だけが掘り進み、1段ごとの窪みがスキャロップとして残ります。

手順を3段に分けると、第1段がシリコンの等方性エッチング、第2段が保護膜の堆積、第3段がシリコンの異方性エッチングで3、第3段の入口で底面の保護膜を取り除きます。エッチング側にSF₆、保護膜側にC₄F₈を主に使い、高い選択比を保ったまま高異方性のエッチングを成り立たせます。

勘所は第1段が等方性であることです。1段のなかでは横方向にも削れ、横へ伸びた分が側壁の細かい窪みとして写ります。これがスキャロップです。振幅は1段あたりの掘り込み量にほぼ対応し、1段を短く切れば小さく、長く取れば大きくなります。サムコはRIE-800iPBで4、0.1秒でのガス切り替えにより低スカロップの加工を成り立たせるとしています。この0.1秒が、側壁の振幅を左右する一次のつまみです。

1段の長さとスキャロップ
長い段切り替え 少ない中間の段中間短い段切り替え 多い振幅
1段を短く切るほどスキャロップの振幅は小さくなり、同じ深さに要る切り替えの回数が増えます。

TSVやMEMSのように、深い構造そのものが要る用途で使う

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ボッシュプロセスはRobert Bosch GmbH(ドイツ)が1992年に開発した技術で、サムコは2003年に日本の半導体製造装置メーカーとして初めてこのライセンスを取得したとしています。同社のシリコン深掘り装置は、この特許をライセンス導入して開発したシリコン深掘り専用のICPドライエッチング装置です3。

用途は、加速度センサーやジャイロセンサーなどのMEMS、3次元パッケージで使うTSV、インクジェットプリンターヘッド、シリコンパワーデバイス、μTASなどの医療機器分野です。Lam ResearchのSyndionも、TSVやCMOSイメージセンサーの深い溝、パワーデバイスやMEMSの溝を掘るDRIE装置です。KLAは、1,500台を超えるDRIEプロセスモジュールの設置実績を持ち、深堀りシリコンエッチングで長年の専門性を積んできたとしています。

同社のSPTSブランドは、DSi-vをシリコンマイクや圧力センサのような大きな空洞を掘る用途に向く装置としています2。DRIEで個片化するプラズマダイシングは、刃やレーザーを使う従来の切断の代わりになり、SPTSは切りしろが狭いぶん、ダイの大きさによってはウェーハ1枚あたりのダイを80%超増やせるとしています2。

ボッシュプロセスは、1μmより大きく10μmより深い形状を受け持つ

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Oxford Instrumentsは、MEMSの深堀りに使う技術をボッシュプロセスとクライオプロセスの2つとし、ボッシュプロセスは一般に1μmより大きい形状に、深さでは10μmを超える領域に使うと記しています1。クライオのシリコン深堀りエッチングは平滑な側壁、ナノエッチング、テーパー形状に、混合プロセスは深さの小さい低アスペクト比の微細構造に割り当てています。1μmより細い形状や深さ10μm以下の加工では、同社の割り当てはボッシュプロセスから別の方式へ移ります。

ボッシュプロセスの受け持ち
1μm10μmボッシュプロセス混合プロセス浅い低AR微細構造形状の大きさ深さ
Oxford Instrumentsは、ボッシュプロセスを1μmより大きく深さ10μmを超える形状に、浅い低アスペクト比の微細構造を混合プロセスに割り当てています。

ボッシュプロセスの長所は高いエッチングレートと選択性、異方性です。Oxford Instrumentsは、シリコン深堀りエッチング全体としては、高いエッチングレート、フォトレジストや酸化物に対する高い選択比、高アスペクト比、平滑な側壁、マスクアンダーカットの最小化を利点に並べています。

つまみを動かすと、得るものと差し出すものが同時に動く

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段の時間を短くすると、1段あたりの掘り込み量が減り、側壁のスキャロップの振幅が小さくなります。差し出すのは切り替え回数です。保護膜を張る段と底の膜を破る段が増え、合計時間のうち掘る段の割合が下がります。長く取るとレートが伸びる代わりに、1段の等方エッチングが横へ伸びて振幅が大きくなります。マスク直下でこの振幅が大きくなると、開口の寸法が設計より広い側へ動き、CD均一性バジェットを食います。

ICP側のパワーを上げると、プラズマ密度が上がってSF₆から出るフッ素ラジカルの量が増え、レートが伸びます。サムコはRIE-800iPBで、ボッシュプロセス専用のICPコイルによって5,000WのRFパワーを効率よく印加するとしています。SPTSのRapierは、独立に制御する主・副2つのプラズマ領域と、別々の2系統のガス導入口を持つ2設計です。差し出すのはマスクとチャンバ壁の消耗です。ラジカル量が増えるとレジストの後退も速くなり、目標の深さへ届く前にマスクが尽きる側へ近づきます。パワーを下げれば、レートが落ちる代わりに両方の負荷が軽くなります。

基板側のバイアス(イオンエネルギー)

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基板側のRFを上げるとイオンエネルギーが上がり、第3段で底の保護膜を破る力が増します。深い穴の底まで力が届くのはこの経路です。差し出すのは選択比とダメージです。Oxford Instrumentsは、低いイオンエネルギーによって選択性とダメージを制御するとしています5。裏返せば、上げる側では両方が悪い方向へ動きます。バイアスを下げると、マスクは守られる代わりに底の保護膜が残り、掘り進みが途中で止まります。現場でエッチストップと呼ぶ、深さが伸びなくなる状態です。

気体分子がまっすぐ飛べる距離(平均自由行程)は、大気圧の10⁵ Paで700Å、10¹ Paで0.7mm、10⁻¹ Paで7cm、10⁻² Paで70cm、10⁻³ Paで7mです6。蒸着装置は普通10⁻² Paから10⁻³ Paを使い、装置の幅や高さが1mから2mなので、飛び出した分子がまっすぐ基板へ届きます。

圧力を下げると平均自由行程が伸び、イオンが向きを変えずに穴の底へ届く割合が増えます。Oxford InstrumentsはICP RIEについて、低圧を保てることを優れたプロファイル制御の理由に挙げています。差し出すのはレートです。反応種の数そのものが減るため、単位時間あたりの除去量が落ちます。圧力を上げるとレートが伸びる代わりに、平均自由行程が縮んで斜めに入るイオンが増え、穴の中腹が膨らむボウイングや、上ほど広い裾引きが出やすくなります。

東京エレクトロンは、プラズマのエネルギーでウェーハの温度が上がりすぎる分を抑えるため、装置内へ低温のブライン(不凍液)を流しています7。現行機のブライン温度は0度から用途により80度で、クライオジェニックエッチングではマイナス数十度のブラインを流せます。同社は、この極低温によって深さ10μmを超える穴を従来の2.5倍の速さでまっすぐ掘れるようになり、40%以上の低消費電力化も達したとしています。対象は3D NANDのメモリチャネルホール、つまり絶縁膜で、シリコンのボッシュプロセスとは加工対象が別です。

温度を下げる側では、側壁の保護膜が安定して形が締まる方向になります。クライオが平滑な側壁の用途に割り当てられるのも、この向きです。差し出すのは装置側の冷却能力と、マイナス数十度を保つ静電チャックまわりの設計です。

サムコの公表値は45μm/min以上、選択比1対500以上

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サムコは装置ごとに、レート、選択比、アスペクト比、深さの実データ、ウェーハ径、面内の傾きの6項目を公表しています。

  • レートは45μm/min以上です(RIE-800iPB、シリコン深掘り)。
  • 選択比はレジストとシリコンで1対500以上です(同装置)。
  • アスペクト比はRIE-800iPBで100以上、RIE-400iPB8で30以上です。
  • 深さの実データは、RIE-800iPBで深さ450μmのピラー加工、量産用RIE-800iPBCで深さ400μmの高アスペクト加工、RIE-400iPBでアスペクト比23の深掘りと深さ500μmの貫通加工です。
  • ウェーハ径はRIE-800iPBが最大ø8インチ、RIE-400iPBが最大ø4インチで、いずれもロードロックを備え、1枚ずつ流す枚葉方式です。
  • 面内の傾きについて同社は、RIE-800iPBがチルトを抑制しø8インチウエハで良好な均一性を実現するとしています。

RIE-800iPBは非ボッシュプロセスにも対応し、側壁形状を柔軟に制御できるとされ4、スカロップフリー加工と順テーパー加工もこちらの方式です。RIE-400iPBについて同社は、MEMS、マイクロ流路、光学部品など研究用途の加工に対応し、ICPソースを交換すればSiO₂の高速加工もできるとしています8。

深い穴は、面内均一性と環境負荷と引き換えになる

Section titled “深い穴は、面内均一性と環境負荷と引き換えになる”

深さを稼ぐほどチルトとばらつきが積もり、ø8インチでの均一性は装置側の設計項目になります。東京エレクトロンは、400層を超える積層構造へのメモリチャネルホールでエッチング深さ10μmを33分で加工し9、地球温暖化係数を従来比84%削減したとしています。地球温暖化係数の高いC₄F₈などのCF系ガスを91%までHFガスへ置き換え、クライオジェニックエッチングの第一世代機に対してカーボンフットプリントを80%以上削減したともしています。深い穴と環境負荷は、同じレシピの表と裏です。

工程の分割も引き換えの一つです。東京エレクトロンは、現状がアスペクト比1対100の工程を複数組み合わせる段取りで、目標は一度で1対200を掘ることだとしています。

この用語に対応する装置と製造メーカー

Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”

装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 3社/3family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-21

出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。

DRIEとは何ですか?

DRIE(Deep Reactive Ion Etching、深堀り反応性イオンエッチング)は、シリコンへ深い溝や穴を垂直に掘るためのドライエッチングで、DSiE(シリコン深堀エッチング)とも呼びます。シリコンのDRIEはボッシュプロセスを使います。

ボッシュプロセスとは何ですか?

プラズマの化学種をエッチング(SF₆)と側壁保護(C₄F₈)の段の間で繰り返し切り替え、シリコンへ異方性の溝や穴を作る手順です。3段に分けると、第1段がシリコンの等方性エッチング、第2段が保護膜の堆積、第3段が底面の保護膜を除いてからの異方性エッチングです。

なぜ交互に切り替えるのですか?

深く掘るほど側壁が削られる時間が長くなるためです。エッチングの段だけを続けると、底へ進む間に側壁も削れて穴が広がります。保護膜を作る段を挟むことで側壁を守り、底だけを掘り進められます。

DRIEはどこで使われますか?

TSV(シリコン貫通電極)やMEMSのように、アスペクト比の高い深い構造が要る用途です。加速度センサーやジャイロセンサーなどのMEMS、TSV、インクジェットプリンターヘッド、シリコンパワーデバイス、μTASなどの医療機器分野のほか、プラズマダイシングにも使います。KLAは1,500台を超えるDRIEプロセスモジュールの設置実績を持つとしています。

DRIEとRIEの違いは何ですか?

掘る深さと手順が異なります。RIEは通常の層の除去に使い、化学反応とイオン衝撃を同時に働かせ続けます。DRIEはエッチングと側壁保護を交互に切り替えることで、深い構造を垂直に掘ります。

DRIE装置のメーカーはどこですか?

KLA(SPTS Omega Rapier / DSi-v)、ラムリサーチ(Syndion)、SAMCO、Plasma-Thermなどです。装置カタログDBで、DRIEや深堀りシリコンエッチングに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。

DRIEのエッチレートや選択比はどのくらいですか?

サムコはRIE-800iPBについて、45μm/min以上のシリコン深掘り、レジストとシリコンの選択比1対500以上、100以上のアスペクト比加工を公表しています。RIE-400iPBでは30以上のアスペクト比加工と、深さ500μmの貫通加工の実データを示しています。

スキャロップを小さくするにはどうしますか?

ガスの切り替えを速くして1段を短くします。サムコはRIE-800iPBで、0.1秒でのガス切り替えにより低スカロップの加工を成り立たせるとしています。代わりに保護膜を張る段と底の膜を破る段の回数が増えます。非ボッシュプロセスでのスカロップフリー加工と順テーパー加工もあります。

ボッシュプロセスはどの寸法から使いますか?

Oxford Instrumentsによると、一般に1μmより大きい形状に、深さでは10μmを超える領域に使います。平滑な側壁やテーパー形状にはクライオのシリコン深堀りエッチングを、深さの小さい低アスペクト比の微細構造には混合プロセスを使います。

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