ロードロックとは
ロードロックとは、反応室へウェーハを入れるために設けた、ゲートバルブ付きの前室です。 大気が反応室へ入るのを防ぎます。扉を開けて直接入れると、反応室を大気へさらすたびに真空を引き直すことになり、装置が動ける時間が細っていきます。前室を挟めば引き直すのは前室だけになり、今度はその前室を大気から真空へ引き切る時間が、ウェーハの出入りの待ちになります。
バルブを片方ずつ開き、大気と反応室を常に隔てる
Section titled “バルブを片方ずつ開き、大気と反応室を常に隔てる”ロードロックは、反応室にウェーハを導入するためのゲートバルブ付前室を設けて、大気の反応室への混入を防止する方法です1。Kurt J. Leskerは、ロードロック室を反応室に通常ゲートバルブを挟んで取り付けた補助の部屋で、自前の高真空排気系とベントを持つ2ものと説明しています。中には通常、複数の試料を載せられるホルダーと、試料を反応室との間で動かす搬送機構があります。
手順は、大気側のバルブを開けてウェーハを入れ、閉じてから前室を真空に引き、引き切った後で反応室側のバルブを開けます。Kurt J. Leskerは、大気圧のロードロック室に試料を入れ、高真空まで引いてから反応室とのゲートバルブを開ける2手順を示し、処理を終えた試料は前室へ戻すとしています。2つのバルブを片方ずつ順に開くので、大気と反応室は常にどちらかの壁で隔てられ、反応室は真空を保ったまま使い続けられます。
前室は、真空の質と立ち上げ時間を守る
Section titled “前室は、真空の質と立ち上げ時間を守る”反応室の真空の質が守られ、一度作った清浄な状態を、ウェーハの出し入れのたびに崩さずに済みます。Pfeiffer Vacuumは、ウェーハが装置に出入りし、反応室の間を移動する際のパーティクル汚染を防ぐため、ロードロックと搬送室は真空を保たなければならないとしています3。
立ち上げにかかる時間も守られ、搬送と加工を重ねて回せるのでスループットも保てます。大きな反応室を引き直すより、小さな前室を引くほうが短時間で済みます。水分や酸素の持ち込みも抑えられます。壁に吸い付いた水分を抜く作業は、部屋が大きいほど長引きます。
前室は数分かけて引き、搬送を始めると反応室の圧力が一時的に上がることがある
Section titled “前室は数分かけて引き、搬送を始めると反応室の圧力が一時的に上がることがある”前室をどれだけ速く引けるかが、出し入れの速さを決めます。Pfeiffer Vacuumは、ロードロックへの主な要求を、高いスループットを得るための速い真空排気としています3。
ジョージア工科大学の研究用真空装置の手順では、窒素ガスを流してベントし、大気圧で試料ホルダーを搬送機構に載せ、約1×10⁻² Torrに達するまで約5分間粗引きを続けます4。ベントには全金属製のアングルバルブを使います。前室の電離真空計で圧力を確かめてから搬送機構を反応室へ上げますが、動かし始めは両室の圧力差によって反応室の圧力が一時的に上がることがあります。
枚葉式の装置では、ロードロックが工場の搬送と真空をつなぐ
Section titled “枚葉式の装置では、ロードロックが工場の搬送と真空をつなぐ”ウエハの大口径化に伴い、一枚ごとに行う枚葉式へ移り、ロボットでロードロック室からウエハを一枚ごとに搬送する装置技術が確立されました5。1枚ずつ出し入れするたびに反応室を大気へ開ける運転は成り立たず、前室は枚葉式と対で生まれた仕掛けです。
Pfeiffer Vacuumは、典型的な半導体製造装置をロードロック2室、メインフレーム(搬送室)1室、複数の反応室3で構成されるものとしています。ウェーハはロードロックを通って装置に出入りし、ロードロックがウェーハの置かれる圧力を大気から低圧へ、またその逆へ切り替えます。搬送室は、ロードロックと反応室の間や反応室どうしの間でウェーハを自動で受け渡します。
大気側では、FOUPがSEMI スタンダード E47.1 に規定されている、300mm ウェーハ用の搬送と保管を目的としたキャリアです6。EFEMは、FFU を備えたフレーム内に大気搬送ウェーハロボットを設置し、前面にロードポートを取り付けたモジュール機器で、プロセス装置の前面に設置されます。FOUP が運び、EFEM が取り出し、ロードロックが真空へ渡します。クリーンルームの搬送と装置の真空は、この3つでつながっています。
前室を挟むと、装置の大きさと費用が上がる
Section titled “前室を挟むと、装置の大きさと費用が上がる”前室を挟むと、部屋とバルブとポンプが一組ずつ増え、装置の大きさと費用が上がります。前室を小さくすれば引く時間は短くなるものの、一度に入れられる枚数が減ります。引く時間を短くしようと急げば、舞い上がった粒子がウェーハへ付く危険が増します。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ロードロックとは何ですか?
反応室にウェーハを導入するためのゲートバルブ付前室を設けて、大気の反応室への混入を防止する方法です。前室は反応室とは別に、自前の排気系とベントの系統を持ちます。
なぜ前室が要るのですか?
反応室を直接開けると、そのたびに大気が入って真空を引き直すことになるためです。前室だけを大気と真空の間で往復させれば、反応室は真空のまま使い続けられます。
バルブはいくつありますか?
大気側と反応室側に1つずつ、合わせて2つです。片方ずつ順に開くので、大気と反応室は常にどちらかのバルブで隔てられます。
何が守られるのですか?
反応室の真空の質と、立ち上げにかかる時間です。水分や酸素の持ち込みも抑えられ、ウェーハの出入りや移動に伴うパーティクル汚染も防ぎます。
枚葉式とどう関わりますか?
枚葉式の装置では、ロボットでロードロック室からウエハを一枚ごとに搬送する装置技術が確立されています。典型的な構成は、ロードロック2室、搬送室1室、複数の反応室です。
FOUP とは何が違いますか?
FOUP は工場内でウェーハを運ぶ容器です。ロードロックは、その中身を装置の真空へ受け渡す部屋です。
EFEM とは何ですか?
FFU を備えたフレーム内に大気搬送ウェーハロボットを設置し、前面にロードポートを取り付けたモジュール機器です。FOUPから取り出したウェーハを、大気側からロードロックへ渡します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- EFEMとは── 大気側で受け渡す装置
- FOUPとは── 工場内で運ぶ容器
- ターボ分子ポンプとは── 真空を作る側
- クリーンルームとは── 外側の環境
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- 1SEAJ:半導体製造装置用語集(ウェーハプロセス)seaj.or.jp ↩
- 2Kurt J. Lesker:ロードロックチャンバーに関するFAQlesker.com ab
- 3Pfeiffer Vacuum:半導体製造のウェーハハンドリングpfeiffer-vacuum.com abc
- 4ジョージア工科大学:機関リポジトリ所蔵の研究文書(試料導入用ロードロックの操作手順)repository.gatech.edu ↩
- 5精密工学会:堀勝「高密度プラズマプロセッシングの現状と将来展望」精密工学会誌 Vol.73 No.9(2007年)jstage.jst.go.jp ↩
- 6SEAJ:半導体製造装置用語集(工場)seaj.or.jp ↩