パーティクルとは
パーティクルとは、ウェーハに付いてしまう、肉眼の限界より小さいごみのことです。 大きいもので数マイクロメートル、小さいもので0.1マイクロメートル以下です。管理値は「何個」で示されますが、その厳しさは何マイクロメートル以上を数えたのかが決まって、はじめて定まります。落とす力を上げるほど微細なパターンは壊れやすく、数える道具にも検出できる大きさの下限があります。
パーティクルは、工程が正常なときにも供給され続ける
Section titled “パーティクルは、工程が正常なときにも供給され続ける”SCREENセミコンダクターソリューションズは、ウェーハから取り除く汚れをゴミ、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜の5つに分けています1。業界でパーティクルと呼ぶのは1つ目のゴミで、ウェーハを梱包から取り出すときや運ぶときに、工場の外気などから付きます。
現場では、人が動き、装置が動き、液が流れるたびにパーティクルが供給され、工程が正常なときにも発生します。そのためクリーンルームは、フィルターで清浄にした空気を、天井から床へ向かう一方向の気流(オールダウンフロー)で送り続けます2。とくに前工程では高い清浄度が要ります。パーティクル管理は、発生を抑える仕組みと、付いたものを落とす洗浄の二段構えです。
洗浄の途中にも付着の機会があります。ウェットステーション1は薬液や純水の槽を並べた装置で、通常は50枚のウェーハをまとめて浸します。SCREENは、槽と槽の間でウェーハを運ぶとき、表面が空気中の微量な不純物に触れてかすかに汚染されるリスクがあるとしています。厳しい洗浄の後の乾燥では、大気に触れるのを防ぐために窒素ガスの中で乾かす方法も普及しています。
同じ「5個」でも、数える粒径が半分になれば別の管理値になる
Section titled “同じ「5個」でも、数える粒径が半分になれば別の管理値になる”純水は電気伝導率とシリカの測定値で定義されますが、超純水は有機物、生菌、微粒子なども一定基準以下であることが求められます3。栗田工業がDRAMの集積度ごとにまとめた超純水の水質では、微粒子の欄が次のように並びます。256k世代は0.1マイクロメートルで50〜500個/L、1M世代は同じ粒径で10〜20個/L、4M〜16M世代は同じ粒径で5個/L未満です。同じ4M〜16M世代から0.05マイクロメートルの欄が始まり、10個/L未満となります。0.05マイクロメートルの欄は16M〜64M世代で5個/L未満、64M〜256M世代で1個/L未満へ下がります。64M〜256M世代では0.03マイクロメートルで10個/L未満の欄が始まり、256M〜1G世代では0.03マイクロメートルで5個/L未満、0.02マイクロメートルの欄が加わって括弧付きで10個/L未満と示されています。
数える粒の大きさは、世代ごとに下へ動いています。0.1マイクロメートルで5個/L未満という欄から、0.05マイクロメートルで5個/L未満という欄へ移ると、許容個数は5個のままで、その5個を数え始める大きさだけが半分になります。
落とす道具は、ブラシから超音波と二流体ノズルへ比率が移っている
Section titled “落とす道具は、ブラシから超音波と二流体ノズルへ比率が移っている”落とす道具は、ウェーハを回しながら表面に何かを当てる形が基本です。ゴミ取り洗浄に使うスクラバは、ウェーハを回しながら表面を柔らかいブラシで掃いて汚れを掻き出し、そのごみを純水で流す装置です4。ブラシの材質にはPVAやモヘアがあり、ウェーハ表面にある膜の種類に合わせて選びます。微細化が進んだ近年は、より小さなダメージまで避ける必要から、ブラシに代えて超音波や二流体ノズルで粒子を落とす仕様の比率が高まっています。二流体ノズルは、流速の速いガスに液体を混ぜ、強力な霧吹きのように働くノズルです。
東京エレクトロンのCELLESTA MS2は、2流体スプレーとブラシで物理的に洗う機能を持ち、同社独自のウェーハ保持技術でウェーハの最外周からベベル部までを洗えるとしています5。ウェーハの端は搬送のたびに触れられる場所で、そこに残った粒子は次の工程で表面へ回り込みます。枚葉式洗浄が1枚ずつ洗う理由の1つが、この端と裏の作り分けです。
流し取る側の水も管理の対象です。超純水に微粒子の項目が入っているのは、洗う液そのものが粒子を持ち込めば、洗浄がそのまま汚染の供給になるためです。
落とす力を上げると、パターンと費用を差し出すことになる
Section titled “落とす力を上げると、パターンと費用を差し出すことになる”差し出すものの1つはパターンそのものです。Lam Researchは、マルチパターニングには倒壊のない乾燥とダメージのない粒子除去が求められるとしています6。東京エレクトロンは、CELLESTA-iMDがダメージレス洗浄によって最先端の微細なパターンに対応し、粒子の除去性能を大きく高めたとしています5。同社はさらに、洗浄を終えたあとのチャンバー内の雰囲気を制御する技術と、同社独自のIPAの吐出技術を採り入れ、ごく微細なパターンでも倒壊を抑えた乾燥ができるとしています。落ちた粒子の数だけを追うと、倒れたパターンという別の不良を作ります。
もう1つは費用です。数える粒径を下げれば、超純水も、薬液も、装置も、検査も、そろって水準を上げる必要が出てきます。栗田工業の表で、粒径が下がるほど許容個数まで下がっていくのは、この同時進行を示しています。管理を1段厳しくする判断は、水処理から欠陥検査まで全体へ波及します。
数えられる大きさにも下限があり、10 nm未満には検出の空白がある
Section titled “数えられる大きさにも下限があり、10 nm未満には検出の空白がある”数えるための道具にも下限があります。Entegrisは、最先端の液中パーティクルカウンターは低濃度でも20 nmの粒子を確実に検出できる一方、ウェーハ上の検出は13〜14 nmの欠陥が限界だとしています7。同社は、10 nm未満では液中でもウェーハ上でも検出に空白があるとしています。
管理値を下の粒径へ動かすには、その粒径を数える道具が先に要ります。数えられない大きさの粒子は、ウェーハ外観検査をすり抜けたまま歩留まりと信頼性を脅かします。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”パーティクルとは何ですか?
ウェーハに付いてしまう、肉眼の限界より小さいごみです。半導体業界では、この小さなごみを一般にパーティクルと呼びます。
どれくらいの大きさですか?
大きいもので数マイクロメートル、小さいもので0.1マイクロメートル以下です。マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1です。
どこから来るのですか?
ウェーハを梱包から取り出すときや運ぶときに、工場の外気などから付きます。槽から槽へ運ぶ間に空気へ触れることも汚染のリスクで、クリーンルームは天井から床への気流で粒子を下流へ運び、この付着を減らします。
「パーティクルが5個」と言われたら何を確かめますか?
何マイクロメートル以上を数えた5個なのかを確かめます。栗田工業が示す超純水の水質目安では、0.1マイクロメートルで5個/L未満という欄と、0.05マイクロメートルで5個/L未満という欄が別の世代に並び、同じ5個でも厳しさが違います。
どうやって取り除きますか?
ウェーハを回しながら表面を柔らかいブラシで掃くスクラバで掻き出し、掻き出したごみは純水で流します。ブラシに代えて超音波や二流体ノズルで落とす仕様も増えています。
強く当てれば良いのですか?
強くするほどパターンが壊れる側の心配が増えます。東京エレクトロンは、CELLESTA-iMDがダメージレス洗浄によって最先端の微細なパターンに対応し、粒子の除去性能を大きく高めたとしています。落とす力とパターン保護は、別方向へ引き合う要求です。
超純水とはどう関係しますか?
洗い流す水そのものが粒子を持ち込むためです。純水が電気伝導率とシリカで定義されるのに対し、超純水には微粒子の数まで基準があり、栗田工業の表ではDRAMの集積度が上がるほど数える粒径が小さくなります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”7件を表示
- 1SCREENセミコンダクターソリューションズ:洗浄工程screen.co.jp ab
- 2東京エレクトロン:半導体用語集 クリーンルームtel.co.jp ↩
- 3栗田工業:水処理教室 No.014 純水よりはるかに純度が高い超純水kcr.kurita.co.jp ↩
- 4SCREENセミコンダクターソリューションズ:洗浄(ゴミ取り洗浄)screen.co.jp ↩
- 5東京エレクトロン:洗浄 CELLESTAシリーズtel.co.jp ab
- 6Lam Research:EOS 製品ページlamresearch.com ↩
- 7Entegris Scientific Report 2022entegris.com ↩