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アウトガスとは

アウトガスとは、真空チャンバーやその中の部品から放出される気体です。 漏れをすべて塞いでも圧力が途中で止まったままになるのは、ガスが容器そのものの内側から出ているためです。到達真空度の1桁は、部品を先に焼く熱と時間で払います。

ガスは表面・材料内部・外部の3か所から出てくる

Section titled “ガスは表面・材料内部・外部の3か所から出てくる”
アウトガスの3つの経路
真空側容器の壁大気側表面に吸着主に水材料内部から拡散水素など外部から透過
アウトガスは、壁の表面に吸着したガス、材料の内部に溶け込んだガス、壁の外から透過するガスの3経路で出てきます。どれも容器そのものが出どころなので、漏れを塞いでも止まりません。

圧力が途中で止まるとき、最初に疑うのは漏れです。アウトガスの経路は真空容器表面に吸着しているガス、材料内部に溶け込んでいるガスの拡散、チャンバー外部から透過してくるガス1の3つで、どれも容器そのものを出どころにします。漏れを塞ぐ作業とは別の手当てが要ります。

成分は材料で大きく違い、ステンレス鋼では内部に二酸化炭素などが溜まっていることがあります2。真空チャンバー内で使うものはアウトガスのわずかなものを選ぶ必要があり、対処は部品の選定から始まります。

10のマイナス6乗パスカル台までは、残るガスのほとんどが水

Section titled “10のマイナス6乗パスカル台までは、残るガスのほとんどが水”

チャンバーを排気し始めてからしばらくは、どのガス種も一様に値が高くなります。真空度が10のマイナス6乗パスカル台に到達するまでに表面から放出されるガスの主成分は、内面に吸着している水です。表面には主に水分が吸着していることが多く、チャンバー内を数時間高温にさらすベーキングでアウトガスを減らせます2。北野精機は、短時間で超高真空領域に到達させるには吸着した水を効率よく排気することが重要で、ベーキングが非常に有効だとしています。

ベーキングで水などのガスを排気すると、水素だけが残留ガスとして残ります。この水素は真空容器の材料内部からの拡散で発生しており1、北野精機はこの状態を理想的な超高真空環境としています。

圧力を1桁下げると、表面が汚れるまでの時間は10倍に伸びる

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到達圧力と表面のもち時間
単原子層が付くまでの時間(対数)到達圧力(Pa)1.33×10⁻⁴1.33×10⁻⁵1.33×10⁻⁶1.33×10⁻⁷1.33×10⁻⁸1.33×10⁻⁹約1秒約10秒約100秒約1000秒約2.78時間約27.83時間
1.33×10⁻⁴ Paで約1秒だった単原子層の付着時間は、圧力を1桁下げるごとに10倍へ伸び、1.33×10⁻⁹ Paでは約27.83時間になります。到達真空度は、洗った表面で作業できる時間そのものです。

分析や成膜の対象物は、残留ガス分子の吸着によって短時間で汚染されます3。北野精機はこれを大きな問題とし、目標とする到達真空領域以上に、より質の良い真空環境の作成と維持へ注意を払う必要があるとしています。

ラングミュア式で、10平方ミリメートルの試料表面に単原子層が吸着するまでの時間を比べると、1.33×10のマイナス4乗パスカルで約1秒、マイナス5乗で約10秒、マイナス6乗で約100秒、マイナス7乗で約1000秒、マイナス8乗で約1万秒(約2.78時間)、マイナス9乗で約1667分(約27.83時間)です。圧力の桁は、洗ったばかりの表面が何秒そのままでいられるかに直結します。到達真空度を1桁上げる作業は、作業できる時間を10倍に伸ばす作業でもあります。

到達真空度の1桁は、部品を先に焼く熱と時間で買う

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2台のチャンバーの加熱履歴
BチャンバーAチャンバー真空ベーキング炉 450℃約3時間で昇温24時間冷却リボンヒーターリボンヒーター約200℃約200℃36時間36時間24時間後に測定約1桁の差
2台は同じリボンヒーターのベーキングを受けますが、Bだけはその前に真空ベーキング炉で450℃まで焼かれています。この前工程の差が、到達真空度の約1桁の差になりました。

北野精機は、同じ工程(機械加工、溶接加工、バフ研磨、電解研磨)で作った2台の実験用チャンバーを比べました4。Aはリボンヒーターによる通常のベーキングを約200℃で36時間行い、Bは真空ベーキング炉に入れて約3時間で450℃まで昇温させ、24時間の冷却を経て取り出したうえで、Aと同じベーキングを行いました。ベーキング終了から約15分後にイオンポンプを入れ、約24時間後の到達真空度を測ると、初期排気と到達真空度にともに約1桁の差が出ました。

このベーキング炉は、最高温度が450℃、到達圧力が1×10のマイナス5乗パスカル以下、排気にターボ分子ポンプ(500 L/s)を使い、ワーキング寸法は700ミリメートル角です。差し出すものはこの炉の熱と、昇温と冷却に費やす時間で、到達真空度の1桁は部品を作る段階で先に払っておく形で買うことになります。

同じ結論は放出速度の測定にも出ています。NISTは304ステンレス鋼の部品で組んだチャンバーで、真空中の中温ベーキングが10のマイナス11乗Pa・L/cm²/s台の放出速度を与え、同じ温度・同じ時間の大気中ベーキングより約1桁低かった5と報告しています。その部品をさらに430℃の大気中で24時間焼くと、放出速度はほぼ半分になりました。別の同型チャンバーを415℃の乾燥空気中で48時間焼くと、熱処理をしないチャンバーより4分の1以下に下がりました。NISTの測定では、焼く温度と時間が同じでも、雰囲気を真空にするか大気にするかで放出速度が約1桁違いました。

炉に入れられない樹脂は、材料と雰囲気で手当てする

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450℃の炉に入れられる部材は、金属や石英に限られます。FOUPなどボックスを用いたシステムはパーティクル汚染の制御を中心に考えられており、ボックスを構成する樹脂からのアウトガスやプロセスガスなどによるクロスコンタミネーションでのボックス内汚染は、対策が完全にはとられておらず、今後の課題です6。ボックス内の清浄化には、クリーンドライエアーなどを用いた技術が注目されています。

樹脂の部材は、材料を選ぶ側と、中の雰囲気を入れ替える側で手当てします。石英や金属で作れるところは石英部材などに寄せ、樹脂が要るところは低アウトガスの品目を選ぶ、という順序になります。

出る量は、加熱して出たガスをGC-MSで測る

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GC-MSはガスの定性・定量分析を行える装置で7、加熱して発生するガスや臭気物質の分析に使われます。ニチアスは、製品から使用中の加熱で発散するごくわずかな付着物・残存成分の測定や、作業環境などの空気を捕集したガスの測定に多用しています。前処理の方法ごとに加熱温度の範囲は異なり、35〜210℃から50〜1050℃までの区分があります。

装置の外へ出たアウトガスは、そのままクリーンルームの化学汚染になります。

アウトガスとは何ですか?

真空チャンバーやその中の部品から放出される気体です。出どころが容器や部品そのものなので、真空チャンバー内で使うものはアウトガスのわずかなものを選びます。

漏れ(リーク)とどう違いますか?

出どころが違います。漏れは容器の外から入るので塞げば止まりますが、アウトガスは容器や部品そのものから出るので、出し切るまで排気するか、先に加熱して減らしておきます。

何が出ていますか?

容器表面に吸着しているガス、容器の材料内部に溶け込んでいるガスの拡散、外部から透過してくるガスの3つです。10のマイナス6乗パスカル台に到達するまでの主成分は内面に吸着した水で、ステンレス鋼では内部に二酸化炭素などが溜まっていることもあります。

ベーキングとは何ですか?

容器を高温にして、吸着したガスを気体として排気する工程です。チャンバー内を数時間高温にさらすとアウトガスが減り、水が抜けたあとは材料の内部から拡散する水素が残ります。

ベーキングでどれくらい変わりますか?

北野精機の検証では、リボンヒーターによる約200℃・36時間のベーキングだけを行ったチャンバーと、その前に真空ベーキング炉で450℃まで昇温させたチャンバーとで、初期排気と到達真空度にともに約1桁の差が出ました。NISTも304ステンレス鋼の部品で、真空中の中温ベーキングが大気中の同条件ベーキングより放出速度を約1桁下げたと報告しています。

樹脂の部材はどうしますか?

材料を選ぶ側と、中の雰囲気を入れ替える側で手当てします。FOUPを構成する樹脂からのアウトガスなどによるボックス内の汚染は、対策が完全にはとられておらず今後の課題で、クリーンドライエアーなどを用いた技術が注目されています。

何で測りますか?

加熱して出たガスを捕まえて分析します。GC-MSはガスの定性・定量分析を行える装置で、前処理の方法ごとに35〜210℃から50〜1050℃までの加熱温度の区分があります。

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