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有機・化学汚染とは

有機・化学汚染とは、ウェハや装置の表面に、粒子より小さな分子の形で付く汚れです。 炭素を含む有機物や、酸・アルカリのガスが、空気や薬液を通って表面に届き、そこにとどまります。分子は粒子用のフィルタの網を素通りするので、空気の側では吸着で捕まえます。そして汚れを止めるはずのフィルタや部材そのものが発生源になるため、何を入れるかの管理と吸着剤の交換が、費用として続きます。

粒子は網で止まり、分子は網を素通りする

Section titled “粒子は網で止まり、分子は網を素通りする”
ろ過と吸着
ろ過(HEPA・ULPA)空気の流れ分子は抜ける粒子は止まる吸着(ケミカルフィルタ)表面に捕まる吸着剤の粒粒子分子
粒子は網の目の手前で止まりますが、分子は網の目を通り抜けます。分子を止めるのは、吸着剤の粒の表面に捕まえるケミカルフィルタです。

洗浄で落とす相手は、パーティクル、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜1と何種類もあります。有機汚染の中身は、人のフケや垢に含まれる炭素や、工場で使う薬液に含まれる微量の炭素分子です。純水配管の中にバクテリアがあれば、それも有機汚染の一つになります。

パーティクルは網の目に引っかかるので、フィルタのろ過で減らせます。分子は網の目より小さく、そのまま通り抜けるため、空気の側では吸着で捕まえます。ケミカルフィルタは、活性炭に代表される吸着作用を強化した吸着剤を使う有害ガス除去用のエアフィルタです2。ニッタは、ガス状の酸性、アルカリ性、有機性などの汚染物質に合う吸着剤を選び、処理風量、除去効率、寿命からフィルタシステムを設計するとしています。

微細化の世代が進むごとにクリーンルームの清浄度管理は厳しくなり、清浄度の基準でも、塵埃だけでなく化学物質成分の低減が重要な課題になっています3。

表面に凝縮した分子は、電気特性とドーピングを狂わせる

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EAGは、重要な工程部材に凝縮した汚染物質が「AMC欠陥」につながり得るとし、ウェハの電気特性の変化、制御されないボロンやリンのドーピング、エッチングレートのずれ、しきい値電圧のずれ4、ウェハとステッパ光学系の曇り、高いコンタクト抵抗を挙げています。AMCは気中分子汚染のことです。しきい値電圧のずれのように、デバイスの動作そのものに表れる欠陥が並びます。

逆向きの事例もあります。ニッタは、製品不良の原因だった装置内の有機物、酸性物質、アルカリ性物質を除去したことで、不良品の発生率が下がり、歩留まりが改善して生産性が大きく向上した事例を紹介しています。

空気の側は、外調機と循環系のケミカルフィルタで止める

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外気を取り入れる外調機には、上流からプレフィルタ、中性能フィルタ、HEPAフィルタが並びます。大気に含まれるNOx、SOx、アンモニアなどの化学成分を除くためにケミカルフィルタを外調機の中へ入れることがあり、アンモニアのような水溶性の化学物質には、外気と純水を接触させるエアワッシャを使うことが一般的になってきました。微細化の進んだプロセスでは、循環する空調系にもケミカルフィルタを入れることが多くなっています。

汚れを減らす部品そのものが、汚れの発生源になることもあります。1990年頃までの高性能フィルタは、塵埃については十分な捕集効率を達成していた一方で、フィルタそのものから出る化学物質にはほとんど未対策で、むしろ化学汚染の発生源になっていました。1995年以降に化学汚染対策を行った高性能エアーフィルタが開発され、現在も広く使われています。

フィルタに限りません。EAGは、クリーンルームに持ち込むあらゆる材料が気中分子汚染の発生源になり得るとしています4。同社はさまざまなクリーンルーム材料から出る凝縮性のAMCをFTIR、GC/MS、TOF-SIMSで調べ、直接の接触による汚染物質の移動も調べました。接触による移動は、汚染物質をクリーンルームの広い範囲へ広げるおそれがあるためです。

ガスの種類ごとに、発生源も測り方も変わる

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有機ガスの沸点と発生源
150℃300℃沸点アルコール・溶媒シロキサン類リン酸エステル類フタル酸エステル類洗浄液シリコーンシール剤難燃剤プラスチックの可塑剤
有機ガスは沸点150℃と300℃で3つに区切られ、低い側の発生源は洗浄液、中ほどはシール剤や難燃剤、高い側はプラスチックの可塑剤です。

除去の対象は有機ガス、酸性ガス、アルカリ性ガスなどに分かれ、それぞれに合うろ材があります5。有機ガスは沸点で3つに区切られます。沸点150℃以下にはアルコール類やアセトン、トルエンなどの有機溶媒が入り、主な発生源は洗浄液です。沸点150〜300℃にはシロキサン類やリン酸エステル類が入り、発生源はシリコーンシール剤や難燃剤です。沸点300℃以上にはフタル酸エステル類が入り、発生源はプラスチックの可塑剤です。沸点が上がるほど、発生源は工程の薬液から部材へ移ります。

測る道具もガス種ごとに別々です。有機ガスはTHC計(全炭化水素計)、吸着管に捕集してからのGC分析、GC/MS分析で測ります。酸性ガスやアルカリ性ガスでは、液体に捕集してからのイオンクロマトグラフ分析やNOx計、SOx計、アンモニア計を使い、ボロンでは液体に捕集してからのICP/MS分析を使います。何を疑うかで、使う装置が入れ替わります。

ウェハの側は、工程の隙間を大気から遮って落とす

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多槽型とワンバス型
通常のウェットステーション空気中を搬送薬液槽水洗槽搬送中に不純物に触れるワンバス型液を入れ替え同じ槽のまま大気に触れない薬液純水ウェハ
通常のウェットステーションではウェハが槽から槽へ空気中を運ばれ、その間に不純物に触れて汚染されるおそれがあります。ワンバス型はウェハを同じ槽に入れたまま薬液を純水へ入れ替えるので、大気に触れません。

空気を整えても、表面には汚れが付きます。特に高い洗浄度が求められる成膜工程の直前などでは、多槽型に代えてワンバス型のウェットステーションが使われます1。通常のウェットステーションでは、ウェハを槽と槽の間で搬送するとき、その表面が空気中の微量な不純物に触れてかすかに汚染されるリスクがあります。ワンバス型は薬液で洗ったあと、その薬液を純水で入れ替えてから水洗するため、ウェハが大気から遮られます。厳しい洗浄のあとの乾燥を窒素ガスの中で行う方法も普及しています。工程と工程の隙間が、そのまま汚染の量になります。

薬液そのものでも落とします。室温四工程洗浄の第1工程では6、5ppmのオゾンを含み炭酸を加えてpH4にしたオゾン水で有機汚染を除去し、一部の金属汚染も除去できます。SEAJの用語集には、オゾン純水(20ppm)を流しながらウェハを5分間洗って有機汚染を除くオゾン水洗浄の手順も載っています。薬液で落とす洗浄の基礎は1970年頃に米RCA社が開発したもので、一般にRCA洗浄と呼ばれます。

クロスコンタミネーションは、同一装置内の一連の異種プロセス間で、それぞれの生成物などが他のプロセス環境を汚染することです。銅の付いたウェハを洗った洗浄槽で銅と無縁のウェハを洗うと、銅の汚染が生じます。装置を共用するほど、この経路が増えます。

代償は、吸着剤の寿命と交換の費用

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吸着剤は使うほど埋まり、いつか交換が要ります。日本無機は、ケミカルフィルタの初期除去効率を約90%とし、対象ガスの種類や濃度などの使用条件によって異なるとしています。

ニッタは、環境を調査して対象ガスに合う吸着剤を選び2、導入後は分析によって除去の具合を確かめ、寿命やフィルタ交換の周期を推定します。同社は、フィルタシステムを再利用でき、中身の吸着剤の交換だけで済むため、ランニングコストの削減につながるとしています。清浄な空気の費用は、据え付けたあとも交換のたびに続きます。

フィルタ自体が出すガスも代償です。日本無機は発ガス対策のフィルタとして低ボロン、低有機、ボロンレスの品目をそろえ、フィルタや部材から出る有機物の発生量を測る項目も設けています。部材が自分から放つガスはアウトガスと呼びます。

有機・化学汚染とは何ですか?

ウェハや装置の表面に、粒子より小さな分子の形で付く汚れです。洗浄で取り除く汚れは、粒子(パーティクル)、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜の五つに分かれます。

パーティクルと何が違いますか?

止め方が違います。粒子は網の目に引っかかるので、フィルタのろ過で減らせます。分子は網の目より小さいため通り抜けるので、空気の側では吸着剤で捕まえます。

どこから来ますか?

人と薬液と部材から来ます。人のフケや垢に含まれる炭素や、工場で使う薬液に含まれる微量の炭素分子が有機汚染になり、純水配管の中にバクテリアがあればそれも有機汚染の一つになります。クリーンルームに持ち込む材料は、どれも気中分子汚染の発生源になり得ます。

空気の側ではどう止めますか?

外気を取り入れる外調機にケミカルフィルタを入れることがあり、アンモニアのような水溶性の化学物質には、外気と純水を接触させるエアワッシャを使うことが一般的になってきました。ケミカルフィルタは、ガスの種類に合う吸着剤を選び、処理風量、除去効率、寿命から設計します。

何で測りますか?

相手によって道具が変わります。有機ガスはTHC計や、吸着管に捕集してからのGC分析、GC/MS分析で測り、酸性・アルカリ性ガスは液体に捕集してからのイオンクロマトグラフ分析などで測ります。

ウェハに付いたものはどう落としますか?

薬液で落とします。室温四工程洗浄の第1工程では、5ppmのオゾンを含み炭酸でpH4にしたオゾン水で有機汚染を除去し、一部の金属汚染も除去できます。

差し出すものは何ですか?

吸着剤の寿命です。日本無機はケミカルフィルタの初期除去効率を約90%とし、対象ガスの種類や濃度などの使用条件によって異なるとしています。吸着剤は使うほど埋まるため、交換の周期が要ります。

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