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オゾン水洗浄とは

オゾン水洗浄とは、純水にオゾンを溶かした液で、有機物を酸化分解して落とす洗浄です。 強酸を使わずに有機物へ働くため、薬液の使用量と排水処理の負荷を抑えられます。

かわりに、濃度に天井があり、作った先から減っていきます。レジスト本体には濃度が足りず、軽い有機汚染と表面の酸化を受け持ちます。

全室温の洗浄で、SPMの薬液と排水を減らす

Section titled “全室温の洗浄で、SPMの薬液と排水を減らす”

オゾン水が答える課題は、薬液のコストと環境負荷です。有機物を落とす代表的な薬液のSPM洗浄は、硫酸と過酸化水素水を高温で使います。分解力は高い一方で、使用量が多く、排水処理の負担も大きくなります。洗浄技術は、こうした課題に応じて変化してきました1。

RCA洗浄系の薬液は希フッ酸以外すべて高温で用いるため、エネルギー消費と濃度の維持が難しいと以前から指摘されてきました2。その答えが、SPMとHPMを酸化力の強いオゾン水で代用し、微粒子は微量のアルカリを加えた水素水の超音波洗浄で落とす全室温の洗浄プロセスです。

オゾン水は超純水を基本にします。オゾンは強い酸化力を持ち、有機物を酸化して分解します。強酸を避けられるため薬液コストが下がり、排水も軽くなります。常温付近でも働くため、加熱の設備も軽く済みます。SCREENは、オゾンなどを含んだ純水でウェーハを洗う機能水洗浄が普及すれば、毒性や腐食性の強い廃液が減るとしています3。現在の洗浄は、ほぼ99 %がウェット洗浄です。

同じ有機物落としでも、後始末の重さが変わります
SPM硫酸と過酸化水素水高温で使います加熱が要ります排水処理の負担が大きくなります薬液の使用量が多くなります高い分解力オゾン水純水にオゾンを溶かした液常温付近でも働きます加熱の設備も軽く済みます排水の後始末も軽くなります薬液コストが下がりますオゾンの強い酸化力管の太さは負担の大小を表した絵で、実寸の目盛りとは無関係です
SPMは硫酸と過酸化水素水を高温で使うため、使用量が多く、排水処理の負担も大きくなります。オゾン水は純水を基本とし、常温付近でも働くため、薬液コストと排水の負担を抑えられます。

濃度は、作った先から減っていく

Section titled “濃度は、作った先から減っていく”

オゾン水の難しさは、液を作る側にあります。オゾンは気体で供給され、超純水へ溶かして初めて薬液になります。住友精密工業は、板型放電方式のオゾン発生機で業界トップクラスの400 g/m³(N)というガス側の濃度を得て4、放電面の高純度セラミックスでパーティクルと金属コンタミネーションの発生を抑えているとしています。同社のオゾン水製造装置は、このオゾンガスを超純水へ溶解させ、原料ガスの酸素に加えて、濃度減衰の抑制対策として二酸化炭素を添加します。

溶かし方そのものが清浄度を左右します。日本ゴアのオゾネーションモジュールは5、延伸多孔質PTFEのメンブレンを通したガス圧の差による拡散で溶解させます。同社は、無気泡で最高200 mg/Lの溶存オゾン濃度が得られ、0.40 MPaまでの耐水圧を実現したとしています。同社は、エジェクターやスタティックミキサーのような機械混合方式ではガスを直接注入するため気泡が生じ、ガス中のパーティクルがそのまま液へ入り、水とガスの圧力変動で生成濃度が揺れると比較しています。

減衰は配管の中でも進みます。住友精密工業は、ユースポイントの近くで溶解させて配管移送中の濃度減衰を抑え、オゾン発生機1台から複数の溶解部へガスを供給できるとしています。オゾン濃度計と組み合わせたフィードバック制御と、使用後のオゾンガスとオゾン水を無害化する分解器も同社の製品にあります。作る、運ぶ、測る、壊すの4点が装置構成に並ぶ薬液です。

調整するつまみは濃度、水温、供給量と液性

Section titled “調整するつまみは濃度、水温、供給量と液性”

第一のつまみは溶存オゾン濃度です。明電舎はピュアオゾン水生成装置で6、ほぼ100 %のピュアオゾンガスと減圧生成方式によって50〜300 mg/Lのオゾン水を安定的に連続生成し、主要金属イオンをsub-pptレベルに保つとしています。用途は、半導体ウエハの高イオン注入レジスト除去です。濃度を上げれば有機物の分解が速くなり、代わりに発生機の消費電力と分解器の負荷が増えます。

第二のつまみは水温です。明電舎の同じ仕様は水温5〜15℃を条件にしています。オゾンは低い水温ほど溶けやすく、高い水温では分解が速くなります。温度を下げれば濃度を稼げますが、有機物との反応そのものは温度が低いほど鈍くなるため、冷却設備と洗浄時間のどちらで払うかという配分になります。

第三のつまみは供給量と液性です。明電舎の仕様は流量0.5〜5 L/minです。東北大学の大見教授の研究グループが開発した室温四工程洗浄は、第1工程でオゾン水(5 ppm O₃、炭酸添加でpH4)によって有機汚染を除き、一部の金属汚染も落とします7。一方、過酸化水素とオゾンはアルカリ性の雰囲気では分解するため、高い酸化還元電位を持つアルカリ洗浄液の開発は難しいものでした8。オゾン水をSC-1・SC-2のようなアルカリ側の薬液へ足す道は、この分解のために閉ざされています。

副作用が使い道になる点も特徴です。オゾンは有機物を分解すると同時に、シリコン表面へ薄い酸化膜を作ります。この酸化膜は続くDHFで狙って除けるため、酸化と除去を交互に繰り返す組み合わせが取れ、表面を大きく削らずに清浄化を進められます。荏原製作所は、UFPのめっきおよびオゾン水装置9を半導体向けとして掲載しています。

オゾン水と DHF ─ 酸化と除去を交互に
汚れた表面シリコン有機汚染軽い有機物が載るオゾン水純水 + O₃シリコン有機物を分解し薄い酸化膜を作るDHF希フッ酸シリコン酸化膜を汚染ごと除く清浄な面が残る必要なら繰り返す
オゾン水は有機物を分解すると同時に、シリコン表面へ薄い酸化膜を作ります。DHFがその酸化膜を汚染ごと除きます。酸化と除去を交互に繰り返すことで、表面を大きく削らずに清浄化を進められます。

DHFと秒単位で交互にかけ、バッチでは分単位で浸す

Section titled “DHFと秒単位で交互にかけ、バッチでは分単位で浸す”

ソニーが開発した枚葉式スピン洗浄のSCROD法は、オゾン水とdHFをジェットノズルから回転中のウェーハ面へ交互に供給します7。1回の薬液をかける時間は約10秒で、繰り返し回数はウェーハの汚染の程度と目的とする清浄度に応じて決めます。微細なパターンのあるウェーハへ適用するため、メガソニックは外しています。物理力を捨て、酸化と溶解の往復で清浄度を積み上げる形です。

バッチ側では、欧州のデバイスメーカーが発表したDDC法が室温で流れます。オゾン純水20 ppmで5分洗って有機汚染を除き、1 %のHFと1 %のHClの混合液と30秒のオーバーエッチで酸化膜と金属を落とし、純水リンスの後にオゾン純水3 ppmで10分、最後に0.01 %のHClを含むオゾン水で7分の仕上げをします。IMECクリーンの第1工程は、90℃のSOM(硫酸とオゾン)または純水とオゾンで有機物を除きながら、次工程のパーティクル除去のためのchemical oxide膜を作ります。濃度はppmの桁で、時間は分の桁です。

濃度の桁で、落とせる相手が変わります
溶存オゾン濃度(mg/L または ppm)軽い有機汚染と表面の酸化この濃度域で届きますレジスト本体には濃度が不足SPMは90〜130℃の硫酸過水学会が示す上限 100 ppm前後装置が公称する高濃度域5201002003005 ppm:室温四工程洗浄の第1工程(炭酸添加 pH4)20 ppm:DDC法の第1段(5分)/3 ppm:第3段(10分)200 mg/L:日本ゴアのモジュール公称300 mg/L:明電舎の生成装置の公称上限
現場のレシピで使われるオゾン水は5 ppmから20 ppmの桁で、濃度の上限は100 ppm前後です。装置の公称は200 mg/Lから300 mg/Lへ伸びていますが、レジスト本体の剥離はいまも高温のSPMが担います。

濃度の天井、設備、削り量、ほかの機能水との分担を引き受ける

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第一に、濃度の天井を受け入れます。オゾン水は非常に高い酸化還元電位を持ちながら、せいぜい100 ppm前後という濃度の低さ、つまり酸化種の量の少なさに限界を持ち、レジストのような濃厚な有機物の除去には濃度が不足します2。だからレジスト剥離ではSPMが使われ続けてきました。代替の道は硫酸の電解です。オゾン水が置き換えられるのは、フォトレジスト本体より手前の軽い有機汚染です。

第二に、設備を1式増やします。オゾン水や電解イオン水などの機能水を用いた洗浄技術は一部の洗浄プロセスへ採用されていますが、機能水や超臨界流体を作るには新たな設備の導入が要ります10。薬液そのもののコストは下がっても、発生機、溶解部、濃度計、分解器という設備側の投資と保守が加わります。明電舎が仕様に添えた120時間ごとに5時間の自動再生も、その保守の一部です。

第三に、表面を削ります。オゾン水が作る酸化膜をDHF洗浄で除く往復は、1回ごとにシリコン側を薄く消費します。ウェーハは大気に触れるだけで10〜20 nmの酸化膜ができ、そこに大気中の不純物も含まれるため、SCREENはこの酸化膜も汚染の一つに数えています3。狙って作る酸化膜も放置でできる酸化膜も、最後はDHFの削り量として跳ね返ります。ゲート酸化膜の下地になる面では、この往復回数そのものがマージンの上限になります。

第四に、別の機能水と組み合わせる前提になります。水素水は軽度の微粒子汚染の除去には有効ですが、基板表面の溶解を要する強い汚染は水素水の範囲外です2。オゾン水も同じ枠の中にあり、パーティクル側はメガソニック洗浄などの物理力へ振り分けます。

オゾン水洗浄とは何ですか?

純水にオゾンを溶かした液で、有機物を酸化分解して落とす洗浄です。強酸を使わずに有機物へ働くため、薬液の使用量と排水処理の負荷を抑えられます。

SPM洗浄との違いは何ですか?

SPMは硫酸と過酸化水素水の混合液を高温で使い、オゾン水は純水ベースで常温付近でも有機物へ働きます。分解力ではSPMが上ですが、薬液コストと排水負荷ではオゾン水が有利です。

オゾン水は何に働きますか?

軽い有機汚染と、表面を酸化させたい場面です。オゾンは有機物を酸化して分解し、同時にシリコン表面へ薄い酸化膜を作り、この酸化膜は続くDHFで狙って除けます。

濃度はどのくらいですか?

オゾン水は非常に高い酸化還元電位を持つ一方で、濃度はせいぜい100 ppm前後にとどまります。装置側では明電舎が50〜300 mg/L、日本ゴアが最高200 mg/Lを公称値としています。

DHFと組み合わせるのはなぜですか?

オゾン水で作った酸化膜ごと汚染を持ち上げ、DHFでその酸化膜を落とすためです。ソニーが開発したSCROD法は、オゾン水とdHFをジェットノズルから回転中のウェーハ面へ交互に供給し、1回の薬液をかける時間を約10秒とします。

オゾン水洗浄の弱点は何ですか?

濃度の上限と、水中での減衰です。使う直前に発生させて供給し、濃度と温度を管理する必要があります。レジストのような濃厚な有機物には濃度が足りないため、レジスト剥離ではSPMが使われ続けてきました。

濃度を保つには何をしますか?

溶かす場所と原料ガスと水温を管理します。住友精密工業はユースポイントの近くで溶解させて配管移送中の減衰を抑え、原料ガスの酸素へ二酸化炭素を加えて減衰を抑えます。明電舎は水温5〜15℃を運転条件にしています。

アルカリ性の薬液へオゾンを混ぜられますか?

分解が速くなります。過酸化水素とオゾンはアルカリ性の雰囲気では分解するため、高い酸化還元電位を持つアルカリ洗浄液の開発は難しいとされてきました。オゾン水は酸性側または中性付近で使う薬液です。

オゾン水の装置はどこが作っていますか?

荏原製作所はUFPのめっきおよびオゾン水装置を半導体向けとして掲載しています。オゾン発生機は住友精密工業、超高濃度のオゾン水生成装置は明電舎、溶解用の膜モジュールは日本ゴアが製品として公開しています。当サイトの装置カタログDBでは、洗浄と表面処理の製品familyを横断して引けます。

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