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クリーンルームとは

クリーンルームとは、IC製造のために汚染レベルを制御した空間です。 空気中の粒子の数を一定以下に保つよう設計され、ろ過した空気を天井から床へ一定の流れで降ろして粒子を流し去ります。広い意味では、日立プラントサービスの定義どおり空気中の微粒子に加え、必要に応じて温湿度、圧力、微量ガス成分、静電気、微振動、電磁波などを制御できる部屋1を指します。清浄度は風量と電力で買うものなので、清浄度を上げるほど費用がかさみます。FOUPでウェハを密閉するボールクリーンルームが部屋全体の水準を緩められたのは、守る範囲を部屋からウェハの周りへ移したからです。

パターンより大きな粒子が1つ乗れば、断線か短絡になる

Section titled “パターンより大きな粒子が1つ乗れば、断線か短絡になる”

半導体の回路はきわめて微小な大きさで作られ、パターンの寸法より大きなパーティクルが1つ乗れば、その場所は断線か短絡になります。東京エレクトロンが特に前工程で非常に高い清浄度が要求されるとするのは2、前工程が微細なパターンを対象とし、より小さな粒子が欠陥になるからです。微細化が進むほど、問題になる粒子の大きさも小さくなります。

粒子の出どころは部屋の中にあります。人の身体や衣服、装置の可動部からは絶えず粒子が出ていて、放置すればウェハの上へ降り積もります。そのため運用では、クリーンスーツの着用やエアシャワーの使用でコンタミナントを室内に持ち込まず、作業レイアウトを工夫して室内で発生させないことが重要3とされています。

清浄度クラスは、1つ大きくなるごとに許される粒子が10倍

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ISOクラスと粒子の上限
0.5µm以上の上限個数/m³(対数)ベイ方式のプロセスエリアFOUP後の部屋全体353523,52035,200352,0003,520,000クラス1つで10倍1345678クラス一方向流非一方向流
0.5 µm以上の粒子の上限は、クラスが1つ上がるごとに10倍になり、クラス3の35個とクラス6の35,200個では1,000倍違います。FOUPの採用で、部屋全体の目標はクラス3から4からクラス6程度へ緩みました。

清浄度クラスは、「汚染レベルを制御した空間」を数で表したものです。クリーンルームの塵埃の制御レベルはISO 14644-1で規格化され、ISOクラス1からクラス9までの上限濃度が決まっています4。0.5 µm以上の粒子について、1立方メートルあたりの上限はISOクラス3が35個、クラス4が352個、クラス5が3,520個、クラス6が35,200個、クラス7が352,000個、クラス8が3,520,000個です。クラスの数字が1つ大きくなるごとに許される個数は10倍になり、クラス3とクラス6のあいだには1,000倍の開きがあります。「クラスが1つ上」は、実際には桁が1つ動く話です。

上限は粒径ごとにも別です。ISOクラス3では、0.1 µm以上が1,000個、0.2 µm以上が237個、0.3 µm以上が102個、0.5 µm以上が35個、1 µm以上が8個です。粒径を小さく取るほど上限の個数は大きくなるので、「クラス3の部屋」どうしは、どの粒径で測った値かをそろえてはじめて比べられます。日立プラントサービスは、清浄度クラスを1m3の空気中に含まれる0.1μm以上の粒子数の指数1で表すとしています。

規格の歴史も短くはありません。工業用クリーンルームの清浄度規格は1963年に制定された米国連邦規格を基本としていましたが、1999年にISO 14644-1が制定され、2001年11月以降はISO規格に統一されています。日本のJIS B 9920もISOと整合していて、同様に用いられています。

測る対象は空気1立方メートルあたりの個数で、ウェハ1枚の表面に付いた粒子の数は別に数えます。空気がきれいでも、装置の中でウェハに触れる部品が粒子を発生させれば、その粒子は空気の測定値に表れないまま増えます。

一方向に流せば粒子は床へ抜け、非一方向流では渦が残る

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一方向流と非一方向流
一方向流FFU装置人グレーチング床リターンシャフト非一方向流吹き出し口渦・滞留排気口清浄な気流粒子
天井一面から床へまっすぐ流せば、装置や人から出た粒子は床下へ運ばれて天井へ循環し直します。吹き出し口が一部だけだと、吹き出さない部分で気流が滞り、渦の中に粒子が残ります。

クリーンルームの気流は、ろ過された空気が天井から床へ向かって一定の流れで降ります2。空気が渦を巻けば、いったん浮いた粒子は長く漂い、ウェハの上へ落ちる機会が増えます。上から下へ一定に流せば、発生した粒子はそのまま下流へ運ばれ、床の吸い込み口から排出されます。

クリーンルームの空気の流れは、一方向流方式と非一方向流方式に大きく分かれます4。一方向流方式はエアーフィルタを通過した清浄空気が一定方向に流れる方式で、多くの場合、天井全面から吹き出した空気が床下全面に吸い込まれます。日立プラントサービスの説明では、天井のファンフィルタユニットから清浄空気を一方向に流し、グレーチング床下からリターンシャフトを通じて天井に戻して循環させます1。清浄度はファンフィルタユニットの配置や運転台数を変えることで容易に変更できるとしています。

非一方向流方式では、天井面に分散配置した吹き出し口から清浄空気が吹き出し、床下または壁に分散配置した吸い込み口に吸い込まれます。興研は、この方式を清浄空気を室内に供給し、室内で発生したコンタミナントを希釈して排出する構造3と説明しています。弱点は気流の偏りで、吹き出す部分と吹き出さない部分が混在するため、ところどころ気流が滞留して渦が発生し、製品が汚染されるリスクが高くなるとしています。

一方向流方式は高い清浄度(クラス1から5)を確保でき、非一方向流方式はクラス6から8程度のクリーンルームに採用されています。天井全面から床全面へ空気を通すほど部屋の空気は一様に降り、粒子が横へ回り込む余地が小さくなります。

代償は風量です。一方向流式のクリーンルームは、換気回数が200回から300回以上/hを要します3。換気回数は部屋の容積と同じ量の空気を1時間に何回送るかを表し、200回なら部屋200杯ぶんの空気が1時間で通ります。興研は、一方向流式ではイニシャルコストとランニングコストがともに高くなり、クリーンゾーンの拡張や移動も難しいとしています。

部屋の圧力も条件のひとつです。半導体用クリーンルームは、外調機から導入する給気量とクリーンルームから排出する排気量のバランスをとり、常にクリーンルーム外よりも高い空気圧を保って、外部からの汚染物質の流入を防いでいます4。扉が開いた瞬間、空気は中から外へ向かって動き、給気と排気の差がそのまま扉での流れの向きになります。

フィルタは粗い順に何段も通し、化学成分は粒子より先に取る

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外調機のエアーフィルタは、上流側から順に、粗塵除去を対象としたプレフィルタ、大気中の塵埃を除去する中性能フィルタ、0.3 µmを除去対象粒径としたHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタで構成されます。粗い粒子を手前で捕るほど、最終段のフィルタが詰まるまでの時間が延びます。クリーンルームと循環空調系では、塵埃の管理レベルに応じて、除去対象粒径が0.3 µmのHEPAフィルタと、対象粒径が0.1 µmのULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ4を使い分けます。管理レベルが厳しい場所ほど、対象粒径の小さいULPAフィルタの側になります。

汚染は粒子のほかにもあります。大気中のNOx、SOx、アンモニアなどの化学成分を除去するため、外調機の中にケミカルフィルタを設置することもあります。アンモニアなど水溶性化学物質の除去のために導入外気と純水を気液接触させるエアワッシャも、化学汚染物質の制御の必要なクリーンルームでは一般的になってきています。ULPAフィルタやHEPAフィルタなどの高性能フィルタはケミカルフィルタより下流に置く最終段で、化学成分を先に取ってから粒子を最後に取る順です。

フィルタ自身が汚染源だった時期もあります。1990年頃までの高性能フィルタは、塵埃については十分な捕集効率を達成していた一方で、フィルタそのものから発生する化学物質にはほとんど未対策で、むしろ化学汚染の発生源でした4。1995年以降に化学汚染対策を行った高性能エアーフィルタが開発され、現在でも幅広く使われています。粒子の数だけで清浄度を測っていた時期には、この汚染は測定値に表れていませんでした。いまはアウトガスによる分子汚染も評価の対象で、空調設備を手がける新菱冷熱工業は、極微量分析技術でアウトガスなどによる分子汚染を評価し、対策に貢献するとしています5。

FOUPがウェハを密閉し、部屋はクラス6程度まで緩んだ

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搬送方式と部屋の清浄度
オープンカセット主体SMIF発表ベイ方式が主流化学汚染対策フィルタFOUP・ボールルーム1980199019952000クラス3クラス4クラス5クラス6プロセスエリア部屋全体上限1,000倍
ウェハが空気にさらされる場面がSMIF、FOUPと減るにつれ、部屋に求める水準はベイ方式のプロセスエリアのクラス3から4から、ボールクリーンルーム全体のクラス6程度まで緩みました。

部屋全体を最高の清浄度に保つのは、面積が大きいほど費用がかさみます。そこで清浄にする範囲を分担します。搬送中のウェハはFOUPが密閉して守り、装置の内部はFFU(ファンフィルタユニット)が清浄な空気を流して守ります。ローツェのEFEM「ACE EFEM」も、消費電流にFFUを含みます6。ウェハが外気へさらされる場面が減れば、部屋そのものへ求める水準は一段緩められ、設備の費用と守るべき対象の重要度が釣り合う点を選べます。

分担の歴史は搬送方式の歴史です。1980年代頃までの半導体製造のウェーハ搬送はオープンカセット方式が主体で、ウェーハ表面の清浄度はクリーンルームの清浄度に依存していました4。部屋の清浄度がそのままウェハの清浄度だった時代です。1980年代中頃には、ウェーハを保管・搬送できる樹脂製のSMIF(Standard of Mechanical Interface)が発表され、ウェーハが直接クリーンルームの空気に触れる場面が減りました。1990年頃からは、非一方向流方式と一方向流方式を混在したベイ方式が主流となり4、プロセスエリアはISOクラス3から4でした。

2000年以降の300 mmウェーハ対応の量産工場では樹脂製のFOUPが採用され、FOUPの搬送もOHT(Overhead Hoist Transfer)などの自動搬送システムで行われるようになりました。2000年頃からは、クリーンルーム内に間仕切壁をほとんど設置しないボールクリーンルームが主流になります。FOUPの採用でウェーハがクリーンルームの空気と隔離され、ボールクリーンルームでは部屋全体をISOクラス6程度のクリーン度まで緩和できるようになりました4。クリーン度を緩めれば循環風量も削減でき、FOUPを用いたボールクリーンルームでは、従来型のクリーンルームと比べて約40%程度のランニングコスト低減を達成したという報告があります。

緩めた部屋の中にも、水準を高く保つ場所があります。生産装置内部やストッカー、移載装置など、ウェーハが直接さらされる部位では高度なクリーン度を確保しています4。緩んだのは部屋の側で、ウェハの周りは高いままです。

風量は、粒子だけでなく装置の熱でも決まる

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クリーン度の点からは循環風量を減らせても、装置発熱などの熱負荷を除くために循環風量を減らせないこともあります4。部屋の空気は粒子を運ぶ役と装置の熱を運ぶ役を兼ねていて、清浄度の要求が緩んでも装置の発熱が同じなら、風量は熱の側で決まります。

そこで手が入るのは装置の側です。生産装置の排気量を削減できれば外気導入量も削減でき、装置発熱をクリーンルーム空気で空冷する代わりに冷却水で水冷すれば、クリーンルームの熱排気量を削減できます。製造装置側の条件を十分に踏まえた計画が、今後の課題とされています。レイアウトの変更も気流と温度を動かすので、新菱冷熱工業はHPCサーバーによるシミュレーションで、レイアウト変更による気流と温度への影響を事前に確かめるとしています5。

送風の側にも変化がありました。ベイ方式のクリーンルームは大型の軸流ファンで送風し、風速が高速になると発生騒音が大きくなるため消音器の設置が必要で、搬送動力と消費電力量が大きくなっていました。この搬送動力を下げるために考案されたのがFFU方式で、小型のファンとエアーフィルタを一体化したユニットを天井面に多数配置して清浄度を確保します4。大きな送風機1台で天井全体へ送るかわりに、小さな送風機を天井いっぱいに並べる方式です。

クリーンルームとは何ですか?

IC製造のために汚染レベルを制御した空間です。空気中の粒子の数を一定以下に保つよう設計された部屋で、必要に応じて温湿度、圧力、微量ガス成分、静電気、微振動、電磁波なども制御します。

空気はどう流れますか?

上から下へ流します。天井のファンフィルタユニットからろ過された空気が床へ一定の流れで降り、床下からリターンシャフトを通って天井へ戻って循環します。

なぜ一方向に流すのですか?

粒子を流し去るためです。空気が渦を巻けば、いったん浮いた粒子が長く漂い、ウェハの上へ落ちる機会が増えます。上から下へ一定に流せば、発生した粒子はそのまま下流へ運ばれます。

前工程と後工程で清浄度は違いますか?

違います。特に前工程では非常に高い清浄度が要求されます。前工程では微細なパターンを対象とするため、より小さな粒子が欠陥になります。

なぜ粒子が問題になるのですか?

パターンの寸法より大きな粒子が乗れば、その場所が断線や短絡になるためです。微細化が進むほど、問題になる粒子の大きさも小さくなります。

FOUPとどう役割を分けますか?

清浄にする範囲を分担します。搬送中のウェハはFOUPが密閉して守り、装置の内部はFFUが清浄な空気を流して守ります。RORZEのACE EFEMも消費電流にFFUを含み、部屋全体を最高の清浄度にするより費用が下がります。

ISOクラスの数字は何を表しますか?

空気1立方メートルあたりに許される粒子の個数です。ISO 14644-1の表では、0.5 µm以上の粒子について、ISOクラス3が35個、クラス5が3,520個、クラス8が3,520,000個までで、クラスの数字が1つ大きくなるごとに許される個数は10倍になります。

HEPAフィルタとULPAフィルタはどこが異なりますか?

対象とする粒子の大きさです。HEPAフィルタの除去対象粒径は0.3 µm、ULPAフィルタの対象粒径は0.1 µmで、塵埃の管理レベルに応じて使い分けます。

一方向流と非一方向流はどちらを使いますか?

目標のクラスで選びます。一方向流方式はクラス1から5の高い清浄度を確保でき、換気回数200回から300回以上/hを要します。非一方向流方式はクラス6から8程度に採用され、吹き出す部分と吹き出さない部分が混在するので気流の渦が生じます。

クリーンルームの中はなぜ外より気圧が高いのですか?

外からの流入を防ぐためです。外調機から導入する給気量と、クリーンルームから排出する排気量のバランスをとり、常に外よりも高い空気圧を保つことで、外部からの汚染物質の流入を防いでいます。

部屋の清浄度を緩めると電力は下がりますか?

下がる場面があります。FOUPを用いたボールクリーンルームで、従来型と比べて約40%程度のランニングコスト低減を達成したという報告があります。ただし装置の発熱を運ぶために循環風量を減らせない場面もあり、風量は熱の側でも決まります。

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