半導体工場の排水処理とは
半導体工場の排水処理(Semiconductor Wastewater Treatment)とは、工程で使った水から対象成分を除去し、排出や回収に適した状態へ整える支援工程です。 排水の成分を系統で分け、中和、分離、回収などを組み合わせます。フッ素排水の薬品費と汚泥処分費を左右するのは、流入濃度の変動です。濃度が大きく上下するので、凝集剤を最大濃度に合わせて入れると、濃度が低い時間帯に余った分が汚泥と処分費になります。
排水は発生源で系統を分け、成分ごとに取り出せる形へ変える
Section titled “排水は発生源で系統を分け、成分ごとに取り出せる形へ変える”排水処理が扱うのは、使った後の水です。超純水の製造が使う前の水を整えるのに対し、排水処理は工程から出た水を受け取ります。酸・アルカリ、フッ素、金属などの対象成分に合わせて処理を選び、化学反応で分離できる形へ変えてから、固液分離などで水から取り除きます1。
異なる排水を混ぜると、除去と回収が難しくなる場合があります。混合してからでは回収しにくくなる成分は、発生源で分けます。一方で、系統を細かく分けるほど設備が要るので、構成は発生源と成分を基に決めます。
処理は、発生源で排水を分けて流量と成分を確認し、必要な処理と分離を行い、処理後の水質を確認して排出または回収系へ渡す順に進みます。管理する量は、流量、pH、対象成分の濃度、処理剤、固形物、処理後の水質です。洗浄の薬液と使用量が変われば、排水の負荷も変わります。
フッ素排水は、凝集剤でフロックにして沈め、汚泥として出す
Section titled “フッ素排水は、凝集剤でフロックにして沈め、汚泥として出す”フッ素排水は、フッ素系のガスと洗浄液を使うエッチングと洗浄の工程から出ます。栗田工業は、半導体製造のエッチングと洗浄でフッ素系の洗浄薬液が大量に使われるとしています2。
処理の要は、浮遊物を沈められる大きさの塊に変えることです。凝集槽で無機凝集剤と高分子凝集剤を排水に注入し、浮遊物を大きな塊(フロック)にまとめます2。フロックは沈殿槽で沈め、汚泥として引き抜いたうえで脱水し、産業廃棄物として処分します。
フッ素濃度の変動に合わせて注入しないと、余った凝集剤が汚泥を増やす
Section titled “フッ素濃度の変動に合わせて注入しないと、余った凝集剤が汚泥を増やす”フッ素濃度は、生産ラインの稼働状況で使うフッ素系洗浄剤の量が変わるのに応じて、大きく上下します。安定して処理するには、無機凝集剤をフッ素の最大濃度に合わせて注入する必要があります2。濃度が低い時間帯にはこれが過剰注入になり、薬品由来の汚泥が増えて、汚泥処分費と薬品費がかさみます。工程切替えで一時的に高濃度の排水が出ることもあるので、平均値だけでなく流入の変動を見て、処理能力と回収設備への負荷を確認します。
栗田工業は、凝集槽に置いた凝集センサーでフロック間の濁度とフッ素濃度を連続で測り、その結果をS.sensing CSへリアルタイムで戻して、無機凝集剤の注入量を最適化しています。同社は、この方式で無機凝集剤の使用量と薬品由来の汚泥発生量がともに約50%減ったとしています2。濃度の山に合わせるか、濃度を測って追従させるかで、同じ排水から出る汚泥の量が変わります。
窒素はANAMMOX細菌で除き、汚泥と脱窒の薬品を減らす
Section titled “窒素はANAMMOX細菌で除き、汚泥と脱窒の薬品を減らす”排水中の窒素成分を除く従来法は2段です。1段目の硝化でアンモニアを亜硝酸、さらに硝酸へ酸化し、2段目の脱窒で硝酸を窒素ガスへ分解します3。硝化では硝化細菌を育てるために大量の空気を送り込むので、その電力が大きくかかります。
栗田工業は2003年にANAMMOX細菌を使う窒素除去システムを開発し、2006年に大型半導体工場で実機を稼働させました。同社は、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合を生物膜の中で育てる独自のグラニュール化技術によって、反応槽の効率を上げ、高い負荷でも窒素除去を安定させられるとしています。連続1段法では、グラニュール、ガス、処理水を分けるGSS(気固分離装置)付きの反応槽で、硝化と窒素除去を同時に進めます。同社は、連続1段法の建設費と設置面積が従来の連続2段法よりそれぞれ30%小さく、維持管理もしやすいとしています3。
同社によると、ANAMMOX細菌が出す余剰汚泥は少なく、汚泥処理の費用が大きく下がります。窒素濃度が高く有機物をほとんど含まない排水にも使え、脱窒用の薬品費を削れるとしています。
回収を増やすほど、追加の分離と再処理が要る
Section titled “回収を増やすほど、追加の分離と再処理が要る”回収を増やせば水と資源の消費を減らせますが、そのぶん追加の分離と再処理が必要です。処理済み排水がそのまま製造用の超純水になるわけではなく、工程へ戻す水は、戻す用途が要求する水質まで再処理します。どの成分をどこまで回収するかは、成分ごとの回収価値と品質、設備負荷を比べて決めます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”半導体工場の排水処理は何をする工程ですか?
工程で使った水から対象成分を除去し、排出や回収に適した状態へ整える支援工程です。発生源で成分ごとに系統を分け、中和、凝集・沈殿などの分離、回収を組み合わせます。
どの段階で行いますか?
発生源で排水を分けて流量と成分を確認し、必要な処理と分離を行います。処理後の水質を確認してから、排出または回収系へ渡します。
何を管理しますか?
流量、pH、対象成分の濃度、処理剤、固形物、処理後の水質です。フッ素排水は生産ラインの稼働で濃度が大きく上下するので、凝集剤の注入量を濃度に合わせられるかが汚泥の量と薬品費を左右します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”3件を表示
- 1半導体工場の排水処理の公式資料organo.co.jp ・ 2026年10月12日閲覧 ↩
- 2栗田工業:半導体製造工程のフッ素排水における凝集剤注入の最適化事例kurita-water.com abcd
- 3栗田工業:ANAMMOX法による窒素除去システムのニュースリリースkurita-water.com ab