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除害装置とは

除害装置とは、半導体の製造装置の排ガスを、大気へ放つ前に壊したり捕らえたりする装置です。 可燃性ガス、ふっ素化合物、温室効果の強いガスが相手になります。排ガスを壊すには熱をかければよいように見えますが、従来の方式で温めていたのは、燃やすべきガスよりはるかに多い、爆発を避けるために足した窒素でした。省エネの鍵は熱の工夫ではなく、薄めずに済ませる前提の立て方にあります。

大気圧で加熱する方式は、爆発を避ける窒素まで温めていた

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流量とエネルギー
ガス流量従来窒素で75倍以上に希釈モノシラン減圧方式総流量 1/50〜1/100排ガス処理のエネルギー従来減圧方式約75%減
従来は爆発を避けるためにモノシランを窒素で75倍以上に薄め、その全量を加熱していました。減圧で希釈をやめると、総流量は50分の1〜100分の1になり、エネルギーは約75%減ります。

危険なガスを無害化する方法として主に使われてきたのは、約1000度以上に加熱して分解する熱酸化反応です1。従来の除害装置は大気圧下で高温加熱処理を行うため、膨大なエネルギーが必要でした1。

窒素が要る理由は爆発です。モノシランガスは、爆発下限界(LEL)となる1.3パーセント以上の濃度では、空気に触れるだけで爆発的な反応を起こします1。そこで爆発を防ぐため、モノシランガスは窒素ガスによって 75 倍以上に希釈する必要がありました。希釈で大量になった排ガスを高温に加熱するので、爆発を避けるための希釈が、加熱すべき量を 75 倍にしていました。

減圧にすると爆発下限界が上がり、窒素希釈が要らなくなる

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減圧プラズマ方式の構成
製造装置減圧 約10kPa装置のポンプLELが上がる窒素希釈は不要アークプラズマ炉内壁を水洗浄真空ポンプ大気へ
製造装置のポンプ出口から除害装置の中までを約10kPaに保つと、配管内の爆発下限界が上がって窒素を足さずに済みます。排ガスは減圧下で立てたアークプラズマで壊します。

この方式を開発したのはカンケンテクノで、代表研究者は東京大学大学院工学研究科の一木隆範教授です。科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)企業主導フェーズ NexTEP-Aタイプの課題「減圧プラズマによる高効率除害装置」(2017-2020)1として進められました。

試作機は、製造装置から有毒ガスを排出するポンプ出口から排ガス処理装置内までを真空ポンプで10キロパスカル程度に減圧し、配管内のガスの爆発下限界を上げて化学反応を起こさない環境を作り、窒素ガスでの希釈を不要にします1。方式も燃焼式からプラズマ式へ変えています。

減圧にすると希釈の要否が変わり、流量が変わり、加熱すべき量が変わります。差が付いた場所は、熱のかけ方よりも前提の立て方です。JSTは、窒素ガスによる希釈が行われない分、除害装置に流れ込むガスの総流量が50 分の 1〜100 分の 1 程度になり、排ガス処理にかかるエネルギー消費を約 75 パーセント削減できるとしています1。

この構成の要は、減圧でプラズマを保つことです。アークプラズマは通常、大気圧(地上では101.3キロパスカル)で発生させます。この開発では、0.1〜10 キロパスカル程度の減圧状態でも安定して発生させられる最適条件を見出しました1。実際の排ガス処理では、無害化処理で生じる副生成物が反応炉の内壁に付着することが問題になるので、反応炉内を水洗浄する仕組みも取り入れています。

PFCは不燃で安定なので、壊すほど条件が厳しくなる

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PFC は不燃性でとても安定で、なかでもCF4(PFC-14)は炭素数 1 で最も分解しにくいガスです2。燃えにくいものを燃焼で壊そうとすれば、より高い温度か別の原理が要ります。

PFC の温室効果は二酸化炭素の 6,500〜9,200 倍で、HFC・SF6 とともに京都議定書の排出削減対象物質です2。壊し切れなかった分は、そのまま温室効果に加算されます。PFCを出口で壊すのではなく、出どころで減らす選択肢もあり、成膜装置のチャンバークリーニングではNF3の遠隔プラズマでPFCの排出を95%以上減らした報告があります。

破壊の指標は分解効率(Destruction and Removal Efficiency)で2、入れた量のうち、どれだけが残らなかったかを表します。求められる要件は、分解効率の高さのほか、ふっ化物や微量の有害物質を含む排ガス・排水・灰を確実に扱えること、運転管理が容易であること、ふっ化物に対する耐久性、設備費と運転費が適正であることです。

環境省は、半導体製造工場等の除害設備をかなり高い除害効率を有するものとして、ガイドラインの当面の適用対象から外しています2。工場の装置は、すでにこの水準にあるという位置づけです。

使用点で装置ごとに壊し、NOxと粒子は二次処理で受ける

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使用点の除害と二次処理
使用点(POU)の除害エッチングPOU除害CVD装置POU除害6系統までMOCVD・EUVPOU除害二次処理NOx・粒子
除害装置は製造装置ごとに使用点(POU)で置き、CVDでは6系統までを1台で受ける構成もあります。NOxと粒子には、別の段として二次処理の装置があります。

排ガス処理装置メーカーのDAS Environmental Expertは、エッチングとCVDの工程向けに、使用点(POU)で処理するSTYRAX3を出し、燃焼と湿式の組み合わせか、プラズマと湿式の組み合わせかを選べるとしています。同社のUPTIMUMは、異なる分野のCVD工程から最大6つの独立した入口を受けるよう最適化され、さまざまな燃料ガスと洗浄液で動きます。MOCVDとEUVの工程には、使用点向けに専用のLARCHを用意しています。

DASは、TSUGAを半導体産業におけるNOxと粒子状物質の二次処理のための単独装置としています3。粒子を捕らえる側では、EDCが粒子やエアロゾルを含む排ガスを最大270 m³/hまで静電気で集め、DALEAは回転式の微粉じん集じん機を備えて最大390 m³/hの排ガスを扱います。

壊す相手の出どころはエッチングやCVDの装置で、そのガスを工程へ届けるのは別系統のプロセスガス供給系です。

減圧にも高い分解効率にも、別の負担が伴う

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減圧で動かせば希釈が要らなくなり加熱量が減りますが、真空を保つ設備と、減圧でも保たれるプラズマ源が要ります。分解効率を上げれば大気へ出る量は減るものの、投入するエネルギーが増え、そのぶんの排出が別に立ちます。装置ごとに据えれば濃度の高いうちに壊せる一方、台数だけ設備費と保守が増えます。ふっ化物に耐える材料を選べば寿命は伸びますが、部材の費用が上がります。

除害装置とは何ですか?

半導体の製造装置の排ガスを、大気へ放つ前に壊したり捕らえたりする装置です。製造装置の使用点(POU)に置く処理と、NOxや粒子を対象にした二次処理があります。

何が相手ですか?

シランのような可燃性ガス、ふっ素化合物、そして PFC のような温室効果の強いガスです。粒子や NOx を捕らえる装置もあります。

従来はどうしていましたか?

大気圧下で約1000度以上に加熱して分解する熱酸化反応が主で、膨大なエネルギーが必要でした。

なぜ窒素で薄めるのですか?

爆発を避けるためです。モノシランガスは爆発下限界の1.3パーセント以上では空気に触れるだけで爆発的に反応するので、窒素ガスによって 75 倍以上に希釈する必要がありました。

減圧にすると何が変わりますか?

約 10 キロパスカルの減圧状態にすると配管内のガスの爆発下限界が上がり、窒素希釈が不要になります。プラズマも、大気圧ではなく 0.1〜10 キロパスカル程度の減圧で立てます。

どのくらい省エネになりますか?

ガス流量が 50 分の 1〜100 分の 1 程度になり、エネルギーを約 75 パーセント削減できます。

性能は何で測りますか?

分解効率(Destruction and Removal Efficiency)です。入れた量のうち、どれだけが残らなかったかを表します。

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