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クロスコンタミネーションとは

クロスコンタミネーションとは、ある工程やあるウェーハに付いていた汚染が、装置や容器や配管を通って、別の工程や別のウェーハへ移ることです。 汚れが検出された場所と、汚れが生まれた場所が離れます。そのため、検出した場所を洗っても止まらず、共有している装置、箱、配管という経路を断つ設計が要ります。経路を断つ手段にはそれぞれ代価があり、隔離を強めれば箱の中が新しい汚染の場になり、洗浄を増やせば装置の稼働率を差し出します。

汚れは、共有した装置、箱、配管を通って次の相手へ渡る

Section titled “汚れは、共有した装置、箱、配管を通って次の相手へ渡る”

一枚のウェーハだけが汚れたのなら、その一枚を捨てて済みます。厄介なのは、汚染の出どころが別の場所にあることです。前のロットで使った金属が次のロットの表面へ回り、手前の工程で流したガスが箱の中で隣のウェーハへ移ります。通り道は3本あります。チャンバの内壁やチャックや薬液槽といった装置、ウェーハを運ぶ容器と搬送系、薬液とガスと超純水の配管です。

渡った先では、ウエハ上の金属不純物が半導体デバイスの電気的特性を致命的に劣化させ、PN接合の電流リーク、酸化膜の耐圧不良、キャリアライフタイムの低下を招きます。パーティクルは構造欠陥を生じさせ、デバイスの信頼性や歩留まりの低下を引き起こす要因になります。

部屋の側の対策は、この持ち回りの裏返しです。半導体プロセスのクリーンルームは、工程の障害となる塵埃や化学成分などの汚染物質を排除し、供給される材料や薬液の清浄度も保ち、温湿度や振動も制御した空間です1。この定義の参考文献はJIS Z8122「コンタミネーションコントロール用語」です。ICを製造するための清浄化された空間で、フィルターを通した清浄な空気を天井から床面へ向けてオールダウンフローで流し続け2、特に前工程用には高い清浄度が要ります。部屋で汚染を外から防ぐ設計と、共有物を通じた持ち回りを断つ設計は、同じ考え方の表と裏です。

装置の内壁は、イオンのエネルギーしだいで汚染源になる

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チャンバ内壁へのイオンエネルギー
内壁を照射するイオンスパッタが始まる内壁が汚染源01012〜13イオンエネルギー(eV)
各種金属材料は12〜13 eV程度でスパッタされ始めます。接地したチャンバ内表面に当たるイオンを10 eV程度以下に抑えれば、内壁が削れて汚染源になることはありません。

装置を共有すると、チャンバの壁そのものが次のウェーハへの汚染源になり得ます。各種金属材料がイオン照射でスパッタされ始める臨界照射エネルギーは12から13 eV程度です。そのためプラズマ装置で、接地状態にあるチャンバ内表面を照射するイオンエネルギーが10 eV程度以下であれば3、内表面がスパッタされて汚染源になることは完全に排除されます。壁が汚れを出すかどうかは、条件で決まります。

壁を清浄に保つ手立ては、新しい洗浄技術、その場でのチャンバモニタリング、材料開発、改善された部品クリーニング技術です4。これらがウェーハ1枚ごとのチャンバ清浄度の維持と、チャンバのウェットクリーニング頻度の大幅な低減に役立ち、装置の稼働率も向上させます。1999年版ロードマップは、半導体プロセスへのCuの使用が新たな汚染物質を導入する可能性も挙げています。

箱の中では、隣のウェーハの裏面と箱の樹脂が汚染源になる

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1980年代頃までは、ウェーハをカセットに入れたまま工場内を運ぶオープンカセット方式が主流で、ウェーハ表面の清浄度はクリーンルームの清浄度に依存していました。1980年代中頃に樹脂製のSMIFが登場し、2000年以降の300 mm量産工場では樹脂製のFOUPとOHTなどの自動搬送が採用されました。ウェーハを部屋の空気から隔てた代わりに、箱の中が汚染の新しい通り道になりました。

FOUPの中の汚染の経路
隣のウェーハとの間で移る樹脂のアウトガスHFFOUP(樹脂)FOUP材料とHFの移り方高い群中程度低い群ウェーハへのHF移行ウェーハ
箱の中では、隣り合うウェーハの間で金属とパーティクルが移り、樹脂の壁からはアウトガスが出て、FOUPからウェーハへHFが移ります。Entegrisの比較では、HFの移る度合いがFOUPの材料で3つの群に分かれました。

FOUPなどボックスを用いたシステムはパーティクル汚染の制御を中心に考えられており、ボックスを構成する樹脂からのアウトガスやプロセスガスなどによるクロスコンタミネーションでの箱内汚染への手当ては、今後の課題として残ります。ボックス内のクリーン化では、クリーンドライエアーなどを用いた技術に注目が集まっています。

材料の差は大きく出ます。インテグリスのニュースレターは、FOUPを材料で比べると、AlCuのウェーハへHFを移す度合いが高い群、中程度の群、低い群の3つに分かれた5と報告しています。同社は、同じ汚染の出来事でも、FOUPの材料しだいでFOUPからウェーハへのHFのクロスコンタミネーションと欠陥の出る確率が非常に大きく増えることを示したとしています。

キャリアおよびポッドの設計や材料選択は、雰囲気からウェーハを隔離して汚染の影響を無くすために、さらに厳しくなります。工程間でクロス汚染が起こりにくい材料と設計も要り、密閉技術、低アウトガス、非吸着性の材料開発がウェーハ隔離技術の鍵です。

箱の中ではウェーハが縦に重なるため、ウェーハ裏面から隣のウェーハ表面への金属とパーティクルのクロス汚染が、装置開発の課題のひとつに挙がります。掴むための面が、そのまま隣の一枚への通り道になります。

配管は、薬液とガスと超純水に乗せて汚染を運ぶ

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高純度薬品は、薬品メーカーで精製されてから、容器、薬液供給システム、配管、半導体製造装置を経由してユースポイントでウエハ上へ届くまで、品質を保つ必要があります。容器や部材には、耐薬品性、清浄度、寿命、強度の観点から主にポリエチレン樹脂とフッ素樹脂が使われ、小型容器では不純物の溶出レベルが数pptに到達しています。

ガス中の不純物で製造プロセスへ最も大きな影響を与えるのは水分です。水分の存在下で塩化水素などのハロゲン系ガスが容易に解離し、金属汚染を引き起こす一因になります。配管に残った水分が、ガスを変質させ、金属汚染へつながります。

半導体薬品の管理水準
金属不純物10 ppb一桁ppt1980〜1990年代現在液中粒子径0.5μm0.05μm以下1980〜1990年代現在
現在は金属不純物を一桁ppt、液中粒子径を0.05μm以下で管理する半導体薬品もあり、1980〜1990年代の10 ppb、0.5μmから、それぞれ3桁以上、1桁下がった水準です。

薬液では、金属不純物と液中粒子径を測ります。1980年代から1990年代の半導体薬品では、金属不純物が10 ppb、液中粒子径が0.5マイクロメートル程度でした。現在は用途や工程によって異なるものの、金属不純物が一桁ppt、液中粒子径が0.05マイクロメートル以下で品質管理されているものもあります。10 ppbをpptに直すと10,000 pptなので、金属不純物の管理水準は3桁以上下がった計算です。歩留まりに影響する粒子サイズは、一般に最小パターン寸法の5分の1から10分の1と言われます。

超純水では、比抵抗と各成分の含有量を測ります。一般に18.1メガオーム以上の比抵抗と、イオン化合物、有機物、シリカ、パーティクル、バクテリアの含有量がTOCを除いて1 ppb以下に収まることが要ります。CaやFeはレベルが低くてもウェーハ上に凝集しやすいため、重要な項目です。

雰囲気では、ウェーハ環境制御の要求から、重要な工程における酸性物質、アルカリ物質、凝縮性有機物質、ドーパント、金属などの目標レベルが決まります。不活性ガス中でのウェーハ保管と搬送を真っ先に要する工程は、ゲート酸化前の洗浄、コンタクト形成前の洗浄、サリサイド工程です。

落とす側は、リソグラフィ工程の2〜3倍の回数で洗う

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経路を断ちきれなかった分は、洗って落とします。半導体生産におけるウェーハの洗浄回数はフォトリソグラフィ工程数の2から3倍で6、近年のLSI製造では100回を優に超えます。過酸化水素水にアンモニア水を加えたSC1が微粒子除去に、塩酸を加えたSC2がウェーハ上の金属汚染の除去に、硫酸を加えたSPMが濃厚な有機汚染の除去に使われます。シリコン酸化膜を溶かす希フッ酸を組み合わせると、酸化膜に取り込まれた金属まで除去できます。

隔離と洗浄を強めるほど、別のものを差し出す

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隔離は余得も生みました。FOUPの採用でウェーハがクリーンルームの空気から隔離され、ボールクリーンルームの塵埃レベルを、ベイ方式のプロセスエリアのISOクラス3から4という水準から、クリーンルーム全体でISOクラス6程度へ緩和できるようになりました。清浄度が緩和されると循環風量も削減でき、従来型のクリーンルームと比べて約40パーセントのランニングコスト低減が達成できているという報告もあります。

代わりに、箱の中が新しい密閉空間になり、樹脂のアウトガスとプロセスガスによる箱内汚染への手当てが課題のまま持ち越されます。装置側でも同じ形の取引が起こります。ウェットクリーニング頻度の大幅な低減が装置の稼働率を向上させる以上、頻度を上げれば清浄度は保てるかわりに稼働率を差し出します。どの経路をどこまで断つかは、隔離の費用と箱の材料、洗浄の頻度と稼働率を並べて決めることになります。

クロスコンタミネーションとは何ですか?

ある工程やあるウェーハに付いていた汚染が、装置や容器や配管を通って、別の工程や別のウェーハへ移ることです。汚れが検出された場所と、汚れが生まれた場所が離れる点が、この汚染の特徴です。

汚染が移ると何が起きますか?

ウエハ上の金属不純物は半導体デバイスの電気的特性を致命的に劣化させ、PN接合の電流リーク、酸化膜の耐圧不良、キャリアライフタイムの低下を招きます。パーティクルは構造欠陥を生じさせ、デバイスの信頼性や歩留まりを下げる要因になります。

どこを通って移りますか?

装置の内壁やチャックや薬液槽、ウェーハを運ぶ容器と搬送系、薬液とガスと超純水の配管の三本です。同じ装置、同じ箱、同じ配管を共有した相手へ、汚染が渡ります。

装置の内壁も汚染源になりますか?

なります。各種金属材料がイオン照射でスパッタされ始める臨界照射エネルギーは12から13 eV程度で、接地状態のチャンバ内表面を照射するイオンエネルギーが10 eV程度以下なら、内表面がスパッタされて汚染源になることは完全に排除されます。

FOUPを使えば防げますか?

途中までです。FOUPなどのボックスを用いたシステムはパーティクル汚染の制御を中心に考えられており、樹脂からのアウトガスやプロセスガスによる箱内汚染への手当ては今後の課題として残ります。Entegrisの報告では、同じ汚染の出来事でも、FOUPの材料によってウェーハへのHFの移り方と欠陥の出る確率が大きく変わりました。

何を測って管理しますか?

薬液では金属不純物と液中粒子径を測ります。1980年代から1990年代に金属不純物10 ppb、液中粒子径0.5マイクロメートル程度だった水準は、現在は用途や工程によって異なるものの、金属不純物一桁ppt、液中粒子径0.05マイクロメートル以下で品質管理されているものもあります。超純水では比抵抗と各成分の含有量を測ります。

隔離を強めると何を差し出しますか?

稼働率と設備の手間です。FOUPの採用でクリーンルーム全体の清浄度をISOクラス6程度へ緩和でき、従来型と比べて約40パーセントのランニングコスト低減が達成できているという報告もあります。そのかわり箱の中の汚染への手当てが課題として残り、装置側ではウェットクリーニングの頻度を上げるほど稼働率を差し出します。

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