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高純度材料(イレブンナイン)とは

イレブンナインとは、99.999999999%という材料純度の水準です。 半導体は意図して加えた不純物で性質を作るので、出発点の材料からは、もともと混じっているものを桁違いに減らしておきます。ただし純度の数字は、数えた不純物から逆算した保証の値です。何を数えたか、その材料がどこに入るかを見ずに9の個数だけを比べても、必要な純度は決まりません。

加えた不純物だけが性質を決めるよう、出発点を極端に純粋にする

Section titled “加えた不純物だけが性質を決めるよう、出発点を極端に純粋にする”

半導体は、微量の不純物を加えることで性質を作り替える材料です。加えるものによって、電流を運ぶ主体が自由電子になるか正孔になるか(n型とp型)が変わります。この作り替えが成り立つのは、加えたものだけが性質を決めているときです。最初から別の不純物が混じっていれば、設計したのとは別の性質になり、狙って入れた量より混じっていた量のほうが多ければ、設計そのものが意味を失います。

だから出発点を極端に純粋にします。ICなどの半導体デバイスの製造にはイレブンナインの純度の材料が要り1、代表的な半導体材料のシリコンは、この純度ではほとんど電気を通さなくなります。高純度のシリコンは電気伝導性を自由に調整できるので2、半導体に使われます。シリコンウェハは、99.999999999%の純度の円柱状インゴットへ溶融したうえで、厚さ1mm未満の円盤へスライスして作ります3。

9の個数と残る不純物
残る不純物(対数)9の個数99%99.9%99.999%99.9999999%99.999999999%235911
9が1つ増えるごとに、残る不純物は10分の1になります。99%から99.999999999%まで、9の個数がそのまま不純物の桁を表します。

9が11個並ぶこの純度が、イレブンナインです1。99%と99.9%は数字の上では0.9%の差ですが、残る不純物の量は10分の1になります。9が2つの99%から、9が9つの99.9999999%、11個の99.999999999%まで、ものを言うのは比のほうなので、9の個数で数えたほうが実態に合います。

5Nは数えた不純物から逆算した保証の床で、数える範囲は会社ごとに違う

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材料メーカーのカタログは、99.999%を「5N」と書きます。Nの前の数字が9の数を表し、3Nは純度99.9%、6Nは純度99.9999%を意味します2。純度は主金属材料の純度を指し、金属不純物を100から差し引いた値です。式は「100−金属不純物=純度(%)」で、これを差数法と呼びます。

式の向きが手がかりになります。純度の数字は、主成分を直接量った値というより、分析で数えた不純物から逆算した値です。高純度化学研究所の不純物分析表は主含有元素を表示し、純度は最低保証値です。カタログの5Nは、その材料の代表値というより、そこを保証の床として示した数字です。

何を差し引くか
金属だけを数えるガス成分も数える金属不純物ガス成分(O,N,H)主成分差し引く純度差し引く純度
金属不純物だけを100から差し引くと、ガス成分は純度の側に入ります。ガス成分(O,N,H)まで不純物に数えると、同じ9の個数でもガス成分は純度の外に出ます。

何を不純物として数えたかで同じ材料の表示が動き、数える範囲は会社と材料で異なります。東邦亜鉛は、自社の電解鉄(高純度鉄)を世界トップの品質とシェアとしたうえで、その純度を「ガス成分(O,N,H)を含めた上で」量産品99.95%(3N5)〜99.999%(5Nグレード)としています4。酸素・窒素・水素まで数に入れたうえでの5Nで、金属不純物だけを数えた5Nとは、同じ表示でも中身が異なります。

ガスも同じ骨組みです。日本酸素の電子機材ガス事業部は、高純度ガスを「特定の不純物が一定濃度以下で保証された固有の性質を持つ単成分の圧縮ガスおよび液化ガス」5と定義しています。ここでも純度は、名指しした不純物についての保証です。

純度は、元素を数えるか、電気の通り方で測る

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純度を確かめる道は、大きく二つあります。一つは、混じっているものを直接数える道です。高純度化学研究所は、複数ポイントから採った試料をICPなどの分析で測定して組成を定めています2。ICPは、試料を高温のプラズマへ送り込み、元素ごとの量を測る分析です。数えた元素の合計を100から引けば差数法の純度になり、純度の数字は不純物分析表と一対一で結びつきます。

冷やすと残る抵抗
抵抗率温度4.2K低純度高純度熱振動による抵抗不純物・欠陥による抵抗
温度を下げると熱振動による抵抗が小さくなり、4.2Kでは不純物や欠陥による抵抗が残ります。残る抵抗が小さいほど純度が高く、RRRは大きくなります。

もう一つは、材料の性質そのものから測る道です。日本軽金属は、極低温(4.2K)での電気の通り易さの指標として残留抵抗比(RRR、Residual Resistivity Ratio)6を使います。アルミニウムは電気伝導に優れ、純度が上がるほどその傾向が強くなります。抵抗の低い高純度アルミニウムを極低温へ入れると、熱振動に起因する抵抗も無視できる程度まで小さくなり、RRRが大きくなります。この性質から、高純度アルミニウムは超伝導体の安定化材にも使われます。

4.2Kは摂氏でおよそマイナス269度です。ここまで冷やすと原子の熱振動による抵抗が引っ込み、残るのは不純物や欠陥による抵抗です。だからRRRは、混じりものが電気の流れをどれだけ乱しているかを一つの数字で返します。分析は「何がどれだけ混じっているか」を元素の名前つきで返し、RRRはその乱れをまとめて返します。用途がどちらを気にするかで、材料メーカーがカタログの先頭に示す数字も入れ替わります。

純度には、α線を出さないという別の軸がある

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純度が要る理由は、電気的な性質のほかにもあります。JX金属は、High Purity Metalsという製品カテゴリの中にLow α Tinを持っています7。α線を出しにくい錫です。

錫は実装の材料として回路のすぐ近くに来ます。材料に含まれる放射性の同位体がα線を放つと、その粒子が通った跡で電荷が発生し、記憶している値を反転させることがあります。回路そのものは壊れず、値だけが変わる、追いかけにくい種類の誤りです。

Low α Tinは、材料の側でα線源を減らすための品種です。「純度」という同じ言葉が、電気的な不純物の少なさと、放射線源の少なさという二つの意味で使われています。何を不純物と見なすかは、その材料がどこに入るかで変わります。

要る桁は材料の入る場所で決まり、アルミ合金の99.7%からウェハの11Nまで離れている

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日本軽金属の製品のアルミニウム(合金)は、ほとんどが99.7%の純度のアルミニウムをベースにした材料で、高純度アルミニウムはその99.7%を精製して作ります8。同社は99.999%(5N)以上を超高純度アルミニウムと呼んでいます。5Nはスパッタリングターゲット材や蒸着材などエレクトロニクス分野を中心に既に使われ、99.9999%(6N)も最先端の分野で一部使われ始めています。

アルミ合金のベースが99.7%、半導体の成膜に使う金属材が5N、その先端が6N、ウェハの母材が11Nです。同じ「高純度」の一語で呼ばれていても、要る桁は材料ごとに何桁も離れています。「超高純度」という区切りも、日本軽金属が「我々は呼んでいます」と書くとおり、業界共通の目盛りというより各社が自社の製品系列へ付けた名前です。社をまたいで比べる手がかりは、そこに付いた数字のほうです。

純度が効くのは電気だけではありません。東邦亜鉛は、電解鉄は不純物が極めて少ないので溶けやすく、溶解歩留りが上がって真空溶解に最適で、インゴットに非金属介在物ができにくく強度などの機械特性がよいとしています。不純物の原子が少なく転位が動きやすいので軟らかく展延性に富み、その加工性は電解鉄を使った合金にも引き継がれるとしています。磁気の面でも、同社は純度が高いほど保磁力が小さく透磁率が高い、良好な軟磁性材料になるとしています。

高純度材料には気体も入ります。日本酸素の高純度ガスは、キャリアガス、プラズマの発生、半導体製造プロセスの酸化材や希釈など5に使われ、酸化や燃焼の防止、分析機器の校正にも使われます。ウェハやターゲットが工程へ持ち込む高純度材料なら、ガスは工程の最中に流し込む高純度材料です。

桁を1つ上げるたびに、精製の手間と費用は上がります。だから「できるだけ純粋に」と「どこまで必要か」のうち、材料メーカーが答えるのは後者です。判断の材料は2つで、その材料がデバイスのどこに入るかと、混じりうる不純物が何を乱すかです。ゲート絶縁膜の直下に入る材料と、パッケージの外側に使う材料では、同じ元素が混じっても影響がまったく違います。材料メーカーの製品カタログが純度で細かく品種を分けているのは、この判断を顧客ごとに引き受けているためです。

届いたあとの純度は、洗浄工程が守る

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純度を守る仕事は、高純度の材料が工場へ届いたあとも続きます。仕入れたウェーハから洗浄工程で取り除く汚れは、工場の外気などから付着したゴミ、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜です9。付着したゴミのサイズは最大で数μm、最小では0.1μm以下で、半導体業界では一般にパーティクルと呼びます。

金属汚染は、蒸発した汗に含まれるナトリウム分子や、工場内で使っている薬液に含まれる微量な重金属原子などです。有機汚染は、人のフケや垢に含まれる炭素、工場内で使う薬液に含まれる微量の炭素分子、純水配管の中のバクテリアなどです。自然酸化膜は、ウェーハが大気に触れて表面にできる10〜20nmの酸化膜で、大気中の不純物を含むため、これも汚染に数えます。厳しい洗浄のあとの乾燥でも、ウェーハが大気に触れて汚れないよう、窒素ガスの中で乾かす方法が普及しています。

汚染源は、人と工場そのものです。イレブンナインのウェーハでも、工場に入った時点から表面には別のものが付き続けます。純度は出荷時の一点の値で、そこから先はSCREENのような装置メーカーの洗浄工程が引き受けます。「材料を純粋にする」と「純粋さを保つ」は、別の会社が別の装置で担う仕事です。

イレブンナインとは何ですか?

99.999999999%という材料純度の水準です。9が11個並ぶ純度を指す言葉で、ICなどの半導体デバイスの製造に求められます。

なぜそこまでの純度が要るのですか?

半導体が微量の不純物で性質を作り替える材料だからです。シリコンはイレブンナインの純度ではほとんど電気を通さなくなり、そこへ意図して加えたものだけで性質が決まる状態を作れます。

シリコンウェハの純度はどのくらいですか?

シリコンウェハは、99.999999999%の純度の円柱状インゴットへ溶融し、厚さ1mm未満の円盤へスライスして作ります。

9の個数で語るのはなぜですか?

桁が問題になるためです。99%と99.9%は数字の上では0.9%の差ですが、残る不純物の量は10分の1になります。ものを言うのは比のほうなので、9の個数で数えたほうが実態に合います。

5Nや6Nという書き方は何を指しますか?

9の個数です。Nの前の数字が9の数を表し、3Nは純度99.9%、6Nは純度99.9999%を意味します。

同じ5Nでも中身が異なることはありますか?

あります。高純度化学研究所は純度を、金属不純物を100から差し引いた値(差数法)で示します。東邦亜鉛は電解鉄の純度を、ガス成分(O,N,H)を含めた上で99.95%(3N5)〜99.999%(5Nグレード)としており、何を不純物として数えたかで同じ表示の中身が異なります。

純度はどうやって測るのですか?

二つの道があります。高純度化学研究所は複数ポイントから採った試料をICPなどで測定して組成を定め、日本軽金属は極低温(4.2K)での電気の通り易さの指標として残留抵抗比(RRR)を使います。

イレブンナインのウェーハは、工場でもその純度のままですか?

表面は工程の中で汚れます。洗浄工程では、外気から付着したゴミ(パーティクル)、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜を取り除き、乾燥でも大気に触れないよう窒素の中で乾かす方法が普及しています。

電気特性以外にも純度が要りますか?

要ります。JX金属はHigh Purity Metalsの製品カテゴリにLow α Tinを持っています。α線を出しにくい錫で、放射線が回路の動作を乱すことを避けるための品種です。

純度を上げれば上げるほど良いのですか?

用途で決まります。桁を1つ上げるたびに精製の費用は上がるため、その材料がデバイスのどこに入り、混じりうる不純物が何を乱すのかを見て必要な桁を決めます。

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    日本酸素:高純度ガスnsc.jp.nipponsanso.com ab
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