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前駆体の純度保証は受入時点まで|Matheson特許、残量減で水分約125 ppm

前駆体が受入規格に合格したことだけでは、ウェーハに届く組成が合格だとは決まらない。Nippon Sanso / MathesonのWF6データシートは1、同じシリンダーでも気相と液相に別々の純度規格を置き、金属はロットごとに液相から、ガス不純物はシリンダーごとに分析するとしている。受入規格が保証するのは、決められた相と分析単位ごとの値だ。

使い始めた後も組成は動く。Mathesonは液化ガスの供給方法の米国特許2の背景で、HCl容器から取り出した気相HClの水分が初めはppm未満だったのに、容器の残りが2.0%になった時点で約125 ppmまで上がった例を挙げている。受入の規格値、届く蒸気の組成、膜の組成は、それぞれ別の量になる。どの相から何が届くかという前駆体の供給の全体像は成膜の総説にある。

WF6のデータシートは、純度を相ごとに、金属はロット、ガス不純物はシリンダーごとに保証する

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WF6のULSI Plusグレードは、気相純度99.998%、液相純度99.99995%1を掲げる。気相の項目にはHFの10 ppmvや、O2+Ar、N2、CO2、CF4などの各1.0 ppmvが並び、液相の項目には金属の合計500 ppbw以下と、Cr・Fe・K・Naの各10 ppbwが並ぶ。上位のGigabitグレードでは、HFが1.0 ppmv、金属の合計が100 ppbw以下になる。同じデータシートは、保証した純度を保つためにニッケルかニッケル内張りのシリンダーとニッケルのバルブで供給するとし、交換点を、液相が尽きて気相だけが残る量(フェーズブレーク)を基にした0.8 lb(59 kg充填のシリンダー)としている。WF6には業界規格のSEMI C70もある3。

常温で液体の前駆体でも、データシートは項目ごとの規格を並べる。EntegrisのUltraPur TEOSのデータシートは4、アッセイ99.99%、水分5 ppm(検出下限1.3 ppm)、塩化物50 ppb、ICP-MSによる元素別のppb規格、粒子数、標準の保存期間24か月を1枚にまとめている。Entegrisはこの液体を、液面センサーを付けられるステンレスのキャニスターやアンプルで出荷する。

Mathesonの特許は、液化ガスの水分が残量の減少とともに上がった2例を挙げる

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液化ガスは、液の上の蒸気を取り出して使う。Mathesonの特許の背景は2、液を部分的に気化させる従来の方式では容器の中で1段の蒸留が起き、液に溶けた不純物が液の側に溜まっていくと説明する。同特許は、ton unit(436 L)のHCl容器で気相HClの水分が初めppm未満から残り2.0%で約125 ppmに上がった例と、アンモニアで初めの液相の水分38 ppmが、液化ガスがすべて気化した時点で1,000 ppmを超えることがある例を挙げる。

同特許によれば、従来の供給系では不純物の蓄積によって、その濃度が時間、温度、圧力、流量に応じて大きく変動する。溜まった不純物のために、使用者は元の液の10〜30%を捨てることになるとも書いている。2つの例では、水分が大きく上がったのはどちらも容器の残りが少なくなってからだった。

前駆体の組成を測る3つの段階を左から並べた図。受入の容器では純度、水分、金属、粒子を測る。残量が減ることと加熱して送ることで、供給される蒸気では液に残った不純物の濃縮と容器や配管での分解が起きる。成膜の温度と反応ガスによって、膜では残留した炭素やハロゲンと抵抗率が変わる。
受入の容器で測った組成は、残量の減少と加熱した供給で蒸気の段階で変わり、成膜温度と反応ガスで膜の段階でまた変わる。3段の組成は別々の量になる。

加熱して送る前駆体の分子は、反応室へ運ばれる間に分解しうる

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Anらは、ALD用のZr前駆体CpZr(NMe2)3の蒸気が反応室へ運ばれる間の熱分解を、FT-IRと四重極質量分析で追った5。100〜250°Cで分子のメチル基が減ってCH2とC=N結合が増え、250°Cでは新しい分解生成物ができたとみられる。

分子の種類によって、この弱さは変わる。東ソーの報文は6、アミド型のTDMAHやTEMAHが酸素や水分に敏感で熱に弱いこと、固体のHfCl4が揮発しにくく膜にハロゲンを持ち込むことを、新しいHf前駆体を設計した出発点に挙げている。

届く量も、容器の使い方で動く。NISTの測定では、固体の前駆体PDMATを入れたベーパードロー容器で、連続して注入するうちに供給効率が下がり7、最初の注入でほぼ1だった値が、最大値の約1/2〜1/3で落ち着いた。

膜の不純物は、同じ前駆体でも成膜条件で変わる

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前駆体が同じでも、膜に残る元素は成膜の温度と反応ガスで変わる。東ソーの報文では、Ts-Hf3とO3のALDで、250°Cの膜に炭素が1 at%残り、350°Cと400°Cの膜ではC、N、Siが検出下限未満だった6。TU/eのPd(hfac)2によるALDでは8、O2プラズマの段を省いてH2プラズマだけにすると膜に炭素が10%を超えて混入し、膜の抵抗率が上がった。

膜になる前の表面でも、温度で反応が変わる。NISTはTEMAHとH2OによるHfO2のALDを表面の赤外分光で調べ、340°Cでアルキルアミド配位子の熱分解の証拠を観察した9。約100°CのSiO2表面は最初のサイクルで飽和したが、より高い温度では何サイクル後も被覆が不完全だった。溝の中の被覆が前駆体と反応ガスでどう変わるかはALDの段差被覆と前駆体で比べている。

データシートの保証値が及ぶのは受入の段までだ

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ここまでの資料が示す変化は、3つの段に分かれる。受入の段では、WF6のデータシートが相ごと、ロットごと、シリンダーごとの値を保証し、EntegrisのTEOSデータシートも製品の液体の分析項目を並べる。届く蒸気の段では、Mathesonの特許のHClとアンモニアの例で水分が容器の終わり近くに上がり、Anらの測定ではCpZr(NMe2)3の分解が輸送中の温度で進んだ。膜の段では、東ソーとTU/eの例で、同じ前駆体でも成膜温度と反応ガスで膜の炭素が変わった。データシートの値はこのうち最初の段の比較の根拠になり、後の2段の組成は別に測った値で比べることになる。モニターウェーハの使い方はテストウェーハとモニターウェーハで扱っている。

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