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プリカーサとは

プリカーサとは、作りたい薄膜の元素を、気体の形で反応室まで運び込むための化合物です。 日本語では前駆体と呼びます。ハフニウムの酸化膜を作る装置へ入っていくのは、ハフニウムを中心に持つ一個の分子です。膜の名前と、買う材料の名前は別物です。

装置へ入るのは膜そのものでなく、膜の成分を抱えた分子

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CVDは、目的の薄膜の成分を含む原料ガスを反応室へ供給し、化学反応によって基板の表面へ狙った膜を堆積する方法です1。この「成分を含む原料ガス」の中身がプリカーサで、装置へ入るのは膜の成分を抱えた別の物質です。

CVD材料には二つの条件が課されます。一つは、蒸気圧を持ち、ガスにできることです2。もう一つは、気相での化学変化を経て、目的の物質が膜になることです。この二つを同時に満たす分子を作るのが、プリカーサのメーカーの仕事です。

買う材料は、膜の元素を運ぶ分子です
気体で運び、基板の上で目的の物質へ変えます1 プリカーサの分子元素まわりの部分が蒸気圧を与えます中心の元素が膜の成分になります2 基板の上で化学変化ウェハ元素まわりの部分は反応で取れます酸化剤などの相手と反応させます3 残ってほしいものウェハ目的の物質の膜膜に残したいのは、中心の元素だけですまわりの部分の行き先は、膜の外ですこの差が、材料選びの主題になります
プリカーサは、中心にある目的の元素と、それを気体にするためのまわりの部分からできています。気相での化学変化を経て、目的の物質だけが膜として残ります。

気体になれるかが最初の関門で、要る温度は材料ごとに90℃まで離れる

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金属も珪素も、そのままでは室温で固体です。配管で送るには蒸気圧が要ります。

ADEKAのALD/CVD材料では、High-k膜向けでアルミニウムを中心に持つTMAが25℃で16Torrです3。同じHigh-k膜向けでも、ハフニウムを運ぶTDMAHは86℃で10Torr、ジルコニウムを運ぶTEMAZは90℃で1Torrです。酸化膜と窒化膜に使うTDMASは50℃で25Torr、Low-k膜向けのTMCTSは20℃で7Torrです。

同じ「気体で運ぶ材料」でも、その蒸気圧が出る温度は室温付近から90℃まで散らばります。気体にしやすいかどうかが、プリカーサ選びの最初の関門です。

気体にするために要る温度が、材料ごとに離れます
横軸は、その蒸気圧が得られる温度です(ADEKA公表の同社製品の値)0℃25℃50℃75℃100℃TMCTSLow-k20℃で7TorrTMAHigh-k25℃で16TorrTDMAS酸化膜と窒化膜50℃で25TorrTDMAHHigh-k86℃で10TorrTEMAZHigh-k90℃で1Torr室温に近い側温めて初めて蒸気になる側
ADEKAの製品の蒸気圧を、その値が得られる温度の順に載せました。ハフニウムやジルコニウムを運ぶ材料は、温度の高い側に位置します。

融点は室温のすぐ隣にあり、水分に弱い材料もある

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高純度化学研究所が物性表に示す、高誘電体と電極を作るための材料の融点は2、タンタルを運ぶTa(OC2H5)5が21℃、ハフニウムを運ぶHf(O-t-C4H9)4が8℃、ルテニウムを運ぶRu(C5H4C2H5)2が6℃です。鉛を運ぶPb(C11H19O2)2は130℃で、室温では固体です。融点が室温をまたぐ位置にあるので、容器と配管の温度が数℃動くだけで、中身の状態が固体と液体を行き来します。

タンタルとハフニウムとアルミニウムのアルコキシドは、大気中の水分と反応して加水分解します2。ルテニウムと鉛の化合物は、大気中で比較的安定です。空気から切り離す必要のある材料と、大気中で比較的安定な材料が、同じ表の中に同居します。

CVD材料はシリンダーで供給するのが一般的で、高純度化学研究所は使用量や装置仕様に合わせた容器の設計と製作にも応じるとしています。ガラス製のアンプルは、アルコキシドやハロゲン化物を少量だけ供給する容器としてよく使われます。プリカーサは、容器と一緒に決まる材料です。

同じ元素でも、工程ごとに別の分子になる

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トリケミカル研究所の一覧では、チタンを運ぶ材料としてTiCl4、TDMAT、TDEATが4、タンタルを運ぶ材料としてTaCl5とPDMATが並びます。元素が同じでも、狙う膜と工程が変われば、別の分子になります。

理由の一端は、高純度化学研究所が挙げるALDに向く材料の条件にあります。同社によると、ALDは酸化膜や窒化膜を原子の層の単位で基板へ積み、10nm程度の薄さを制御しながら作る場面で使われます。この方式に向くのは、酸化剤とはよく反応し、金属アルコキシドのように酸化剤との反応を経て初めて酸化膜になる材料です。ゲート絶縁膜やバリア膜では窒化膜が有効なため、金属アミド、金属イミド、金属塩化物が使われ、TEMAZ、TDMAH、TBTEMT、ZrCl4、HfCl4、WCl6、AlCl3が一般的な例です。

反応してほしい相手とだけ反応し、それ以外の場面では形を保ちます。この注文の中身が工程ごとに別になるため、同じ元素でもプリカーサの品種が増えます。

不純物はそのまま膜へ入るので、純度は桁で語られる

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ADEKAの層間絶縁膜用アデカスーパーTEOSは、純度99.999995%以上、沸点166℃です。同社は、ALD/CVD材料の開発へ業界に先駆けて着手したとしています5。

トリケミカル研究所は、6N(99.9999%)以上の超高純度化学薬品の専門メーカー6だと自社を位置づけ、約2000種の少量多品種に対応できる開発体制と生産設備を持つとしています。品種の数が示すのは、工程ごとに材料を作り分ける産業の形です。

プリカーサの選定では、膜の組成に加えて、蒸気圧、融点、水分への反応、容器、純度が同時に条件へ入ります。そのすべてを満たした分子が装置へ届きます。

プリカーサとは何ですか?

作りたい薄膜の元素を、気体の形で反応室へ運び込むための化合物で、日本語では前駆体と呼びます。ハフニウムの酸化膜を作る装置へ入るのは、ハフニウムを中心に持つ一個の分子です。

なぜ元素を分子の形にして運ぶのですか?

気体にする必要があるためです。CVDは、目的の薄膜の成分を含む原料ガスを反応室へ送り、化学反応で基板の表面へ膜を積む方法です。金属や珪素を配管で送るには、蒸気圧を持つ分子の形が要ります。

蒸気圧はどのくらい材料ごとに違いますか?

ADEKAの製品では、TMAは25℃で16Torr、TDMASは50℃で25Torr、TDMAHは86℃で10Torr、TEMAZは90℃で1Torrです。気体にするために要る温度は、材料ごとに大きく離れます。

プリカーサは空気に触れるとどうなりますか?

材料によります。タンタルとハフニウムとアルミニウムのアルコキシドは大気中の水分と反応して加水分解し、ルテニウムと鉛の化合物は大気中で比較的安定です。加水分解する材料は、空気から切り離した容器と配管で送ります。

同じ元素なのに材料名が複数あるのはなぜですか?

狙う膜と工程ごとに、求める反応性が別になるためです。トリケミカル研究所はチタン材料としてTiCl4、TDMAT、TDEATを、タンタル材料としてTaCl5とPDMATを供給しています。

プリカーサはどんな容器で届きますか?

CVD材料はシリンダーで供給するのが一般的で、高純度化学研究所は使用量や装置仕様に合わせた容器の設計と製作にも対応するとしています。ガラス製のアンプルは、アルコキシドやハロゲン化物を少量だけ供給する容器としてよく使われます。

純度はどのくらい要りますか?

桁で語られます。ADEKAの層間絶縁膜用アデカスーパーTEOSは純度99.999995%以上、沸点166℃です。トリケミカル研究所は、6N(99.9999%)以上の超高純度化学薬品の専門メーカーだと自社を位置づけています。

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