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ランダム欠陥とは

ランダム欠陥とは、設計や場所と結び付かず、ウェーハ上のどこにでも確率で入り込む欠陥です。 パーティクルの付着が代表で、同じ場所や同じ形のパターンに繰り返し出る系統欠陥と対になります。チップはウェーハに降りかかるランダム欠陥でも、工程や設計の不備でも不良になります1。

発生源が同時にいくつもあるため、1件ずつ原因をたどる進め方には工程の数だけ時間がかかります。そこで現場は数そのものを予算として装置へ配ります。その数がダイ面積と掛け合わさって歩留まりを決め、落ち方の急さは欠陥の散らばり方で変わります。

発生源は多くても、管理する数字は欠陥密度1つにまとめる

Section titled “発生源は多くても、管理する数字は欠陥密度1つにまとめる”

歩留低下を引き起こす汚染や機構には、環境中もしくは装置内で発生した気中分子状汚染、無機および有機のパーティクル、プロセス中で発生するパーティクル、欠陥、重ね合わせ不良、ストレスなどがあります2。洗浄で取り除く汚れも、工場の外気などから付着するゴミ、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜と多岐にわたり3、ゴミのサイズは最大で数μm、最小では0.1μm以下です。半導体業界では、この小さなゴミを一般にパーティクルと呼びます。

現場は発生源の区別をいったん脇へ置き、単位面積あたり何個という1つの数字にまとめます。これが欠陥密度で、1cm²あたりの欠陥数で表すことが多い値です。ウェーハ歩留まりは、ウェーハ上のダイの数と欠陥密度で決まる確率変数4として扱われます。欠陥の予算は工程モジュールごとに目標の欠陥密度を割り当て、改善の持ち場を技術者に持たせる5形で配ります。

歩留まりは面積と欠陥密度の積で落ち、固まり方で落ち方が変わる

Section titled “歩留まりは面積と欠陥密度の積で落ち、固まり方で落ち方が変わる”

最も簡単な式はポアソンモデルのY=exp⁡(−D0A)Y=\exp(-D_0A)で5、YYはダイ歩留まり、D0D_0は1cm²あたりの平均欠陥密度、AAはcm²単位のダイ面積です。このモデルは欠陥がウェーハ全体に一様かつ独立に散ると仮定します。実際の欠陥は装置のパーティクル、工程の逸脱、ウェーハ端の影響の周りに固まりやすく、IEEEの解説はポアソンモデルを悲観的すぎるとしています。固まり方まで表すには、局所の欠陥密度にガンマ分布を使う負の二項モデルがより正確とされています。ランダム欠陥の中にも、互いに相関しない欠陥と、クラスタリングで相関する欠陥があります4。

歩留まりの式では、ダイ面積が大きいほど、欠陥密度が大きいほど、クラスター因子が大きいほど歩留まりは低くなります6。不良ダイがランダムに一様に散るほどクラスター因子が大きくなり、最後はポアソン分布に行き着きます。一様に散るという性質そのものが、面積に対する落ち方の急さを決めています。

散り方と面積の掛け算
050100124816統合したダイ数歩留まり(%)85.9375.0050.7831.2512.5031.25局所に集まった分布一様に散った分布
同じ85.93%のウェーハでも、不良が一様に散っていると、ダイを16個ぶんにまとめた大きなチップの歩留まりは12.50%まで下がります。不良が局所に集まっていれば31.25%が残ります。

同じ論文には、512個のダイのうち良品が440個で歩留まり85.93%のウェーハについて、隣り合うダイを統合していったときの歩留まりを計算した例があります。不良が一様に散った分布では、2ダイぶんで75.00%、4ダイぶんで50.78%、8ダイぶんで31.25%、16ダイぶんで12.50%です。同じ16ダイぶんでも、局所に集まった分布は31.25%を保ちます。ランダムに散っている状態ほど、大きなチップを作る製品には厳しく響きます。

この差は回路の種類ごとの欠陥密度にも出ます。130nm世代の実績値に当てた近似曲線の欠陥密度は、アナログ回路が0.2個/cm²、ロジック回路が0.3個/cm²、ROMが0.8個/cm²、SRAMが3.0個/cm²、DRAMが15.0個/cm²で、どれもクラスター因子を2として引いた曲線の値です。SRAMの3.0個/cm²を1cm²のダイに当てはめると、クラスター因子2の曲線では約16%、ポアソンの式では約5.0%になり、固まりを無視した見積もりは3分の1ほどに沈みます。

回路ごとの欠陥密度と歩留まり
05010000.51ダイ面積(cm²)歩留まり(%)アナログ 0.2ロジック 0.3ROM 0.8SRAM 3.0DRAM 15.0SRAM 3.0 ポアソン
欠陥密度が大きい回路ほど、ダイ面積を広げたときの歩留まりの落ち方が急になります。SRAMの3.0個/cm²で比べると、欠陥が一様に散ると仮定するポアソンの式は、固まりを入れた曲線より低い歩留まりを出します。

欠陥が同じ数だけ降っても、チップごとの受けやすさは違います。ランダム欠陥による歩留まり損失は、欠陥のレベルとチップの感度から見積もれます1。チップの感度は、クリティカルエリアと、単一のビアやコンタクトの数で測ります。

残る欠陥は冗長救済で受け止め、出荷品質にも効く

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メモリ回路の歩留まりが極端に低いため、これらの面積が大きい場合は冗長救済が用いられます。適正な冗長回路が用意されれば、歩留まりが10%以下でも冗長救済によって90%以上の歩留まりを得ることができる6とされています。メモリのビット救済は、面積と回路を足すかわりに欠陥が入ることを前提にする設計への取り引きです。

影響は出荷の側にも及びます。検査の品質を欠陥レベルという指標で表すと、同じ故障検出率でも歩留まりが高いほど検査品質は高くなります。ランダム欠陥を減らす仕事は、歩留まりを上げる仕事であると同時に、出荷後の品質を上げる仕事でもあります。

管理の単位は、装置1台ごとの付着数の枠

Section titled “管理の単位は、装置1台ごとの付着数の枠”

2008年10月のJEITA会合では、サーベイ用の記入案7が協議されました。塗布現像やリソグラフィのスキャナ、熱処理炉やRTPといった装置タイプごとに、歩留まりへの影響度を高・中・低で選び、ウェーハ1パスあたりの付着数、いわゆるPWPの管理レベルを1000未満、1000〜1999、2000以上(個/m²)の区分で記入する形です。影響度と枠はどちらも3段階で、記入欄では別々の列に並びます。

枠を守る操作は、工程の側と環境の側に分かれます。工程の側では洗浄が中心で、薬液の槽と純水の槽を並べた多槽型のウェットステーションと、特に高い洗浄度が求められる成膜工程直前の洗浄が分かれます3。後者には、ウェーハが大気に触れずに済むワンバス型が使われます。環境の側では超純水中の金属不純物に管理値があり、Ag・Au・Ca・Cu・Fe・Na・Ni・PtはCritical metalsとして1ppt未満、そのほかの金属は10ppt未満です。ITRS2009年版への日本側提案が反映された値です。

粒子の大きさと動き方
ブラウン拡散静電気・熱泳動が支配的外気などから付着するゴミ50nm0.1μm1μm数μm粒子の大きさ
付着するゴミは0.1μm以下から数μmまで広がり、50nm以下では重力や慣性力より、ブラウン拡散、静電気、熱泳動が粒子の動きを決めます。

粒子が小さくなると、働く力そのものが入れ替わります。50nm以下の粒子では重力や慣性力よりもブラウン拡散や静電気や熱泳動による移動が支配的になります2。粒子が小さくなるほどミニエンバイロメントの清浄度維持は難しくなり、数を減らす道具立てもサイズに合わせて組み替える必要が出ます。

感度を上げるほど、疑似欠陥を選り分ける手間が増える

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疑似欠陥という語には2つの意味があります。1つは検査装置が疑似的に検出したもの、もう1つは実在してもデバイスに無害なため無視してよいものです。欠陥検査の感度を上げるほど、この2種が検出結果に混ざります。システム欠陥の抽出には、疑似欠陥をも含む大量の検出欠陥の中からいかに抽出し分類するかという問題があるとされています。

そのため感度は、場所ごとに向きを変えて設定します。JEITAの平成20年度報告のDDC改定は、電子ビーム検査装置でのVC欠陥検出感度を厳しく、エッジ検査の感度を緩く、SEMレビューでの座標精度と再検出感度を厳しく見直しました。

選り分けを速くする道具が自動欠陥分類(ADC)です。ADCは欠陥画像をあらかじめ定めたルールで発生原因ごとにクラス分けし8、分類された情報は歩留り管理システム(YMS)や工場ホストに上げて、欠陥の発生原因の追求や解析に使われます。粒子の中身まで調べるときは、欠陥領域に電子線を当てて元素固有の特性X線から構成元素を同定するEDXを使います。ランダム欠陥の管理は、数を減らす投資と、増えた検出結果を選り分ける投資の両方で回り、それでも残る数を冗長救済が受け止めます。

ランダム欠陥とは何ですか?

設計や場所と結び付かず、ウェーハ上のどこにでも確率で入り込む欠陥です。原因には気中分子状汚染、無機・有機のパーティクル、プロセス中に出るパーティクルや欠陥、重ね合わせ不良、ストレスなどがあります。

どのくらいの大きさのゴミが問題になりますか?

工場の外気などから付着するゴミは最大で数μm、最小では0.1μm以下で、業界では一般にパーティクルと呼びます。50nm以下の粒子では重力や慣性力よりもブラウン拡散、静電気、熱泳動による動きが支配的になります。

ランダム欠陥は歩留まりへどう影響しますか?

ダイ面積と欠陥密度の積で効きます。最も簡単なポアソンモデルでは歩留まりはexp(−D₀A)です。固まり方まで入れた式では、ダイ面積、欠陥密度、クラスター因子が大きいほど歩留まりは低くなります。一様に散った不良分布の計算例では、1ダイぶんの85.93%が16ダイぶんでは12.50%まで下がります。

回路の種類で欠陥密度は違いますか?

違います。130nm世代の実績値に当てた近似曲線では、アナログ回路0.2個/cm²、ロジック回路0.3個/cm²、ROM0.8個/cm²、SRAM3.0個/cm²、DRAM15.0個/cm²で、どれもクラスター因子を2とした曲線の値です。

現場では何を管理するのですか?

工程モジュールや装置ごとに割り当てた欠陥の枠です。2008年10月のJEITA会合で協議したサーベイ用の記入案は、装置タイプごとに歩留まりへの影響度を高・中・低で選び、ウェーハ1パスあたりの付着数(PWP)の管理レベルを1000未満、1000〜1999、2000以上の区分で記入する形です。

検査の感度は上げるほど良いのですか?

上げるほど疑似欠陥が混ざるため、場所ごとに向きを変えて決めます。JEITAの平成20年度報告のDDC改定は、電子ビーム検査装置でのVC欠陥検出感度を厳しく、エッジ検査の感度を緩く、SEMレビューでの座標精度と再検出感度を厳しく見直しました。疑似欠陥には、装置が疑似的に検出したものと、実在してもデバイスに無害なものの2つの意味があります。

ランダム欠陥へ払う費用に逃げ道はありますか?

冗長救済があります。適正な冗長回路が用意されれば、歩留まりが10%以下でも冗長救済によって90%以上の歩留まりを得られるとされています。面積と回路を足すかわりに、欠陥が入ることを前提にする設計です。

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