欠陥レビューとは
欠陥レビューとは、欠陥検査が出した座標へ高分解能の顕微鏡を動かし、そこにある1個の欠陥の形と成分を調べて種類を確定する作業です。 検査が「どこにあるか」を答えるのに対し、レビューは「それが何か」を答えます。
レビューは1個ずつしか進まないため、検査の感度を上げて意味があるかどうかは、その先で何個まで正体を確かめられるかで決まります。
地図だけでは、原因の工程と装置にたどり着けない
Section titled “地図だけでは、原因の工程と装置にたどり着けない”ウェーハの表面欠陥検査装置が返すのは、欠陥マップと欠陥の個数どまりです1。欠陥を減らす手を早く打つには発生源の工程と装置を特定することが要で、そこへ届くには欠陥の形と成分という、もう一段具体的な情報が要ります。
点が10個増えたことは地図から分かります。その10個が搬送でついたパーティクルなのか、CMPで入った傷なのか、エッチングの残りなのかは、地図からは分かりません。原因のプロセスと原因の装置を特定するには、1個を開いて中身を確かめます。
流れは、走査の速い光学式の検査装置でウェーハ全面から欠陥を拾い、拾った先を電子線による走査電子顕微鏡式のレビュー装置2へ回して高い分解能で見て、種類ごとに分けて管理する、というものです。工程ごとの検査結果を並べて突き合わせれば、欠陥の起源と原因までたどり着けます。
無地のウェーハでは、座標のずれが視野よりはるかに広い
Section titled “無地のウェーハでは、座標のずれが視野よりはるかに広い”手順は4つです。表面の欠陥検査で欠陥を見つけて位置座標を記録し、検査装置とレビューSEMの座標系を突き合わせて合わせ込み、レビューSEMでその欠陥を探して観察し、最後にEDS(エネルギー分散型X線分析装置)で欠陥に含まれる元素を調べます。
壁になるのは座標です。パターン付きのウェーハなら、中に作られたデバイスチップの原点を目印にできるので、位置合わせは比較的たやすく取れます。パターン無しのシリコンウェハには目印が無く、ウェーハの外形だけが手がかりになるため、検査機とレビュー側の座標系を高い精度で重ねることが難しくなります。検査装置が出した座標はレビューSEM側でおよそ200マイクロメートル1ずれうる一方、一般的なSEMの低倍の視野は10マイクロメートル程度です。200マイクロメートルずれうる場所を、10マイクロメートルの窓で探すことになります。
日立ハイテクノロジーズは、欠陥レビューSEMのRSシリーズへ広視野光学顕微鏡機能を載せ、まず光学顕微鏡でマクロに見つけてからSEMでミクロに観察する二段構えにしました。視野を600マイクロメートル、13.5マイクロメートル、2.25マイクロメートル、SEMの高倍で0.16マイクロメートルと絞り、鏡面ウェーハの欠陥観察の効率がおよそ100倍に上がったと同社はしています。ウェーハ上の600マイクロメートル角の視野に入った70ナノメートルの欠陥を自動で捕まえられ、一般の欠陥検査装置と組んだときの位置合わせ誤差200マイクロメートル以下という条件に対して、十分な余裕があるともしています。
正体を確定する段では、形のほかに成分が要る場面があります。RSシリーズにはEDS機能をオプションで載せられます。欠陥へ電子線を当てて出てきたX線から元素を割り出し、その元素の組み合わせを登録済みの物質ライブラリと照らせば、欠陥が何でできているかまで決められると同社はしています。表面の三次元形状が要るときはAFMを使い、高さ方向を0.1ナノメートルのオーダーの分解能で観察できると同社はしています。
開けるのは点の一部なので、擬似欠陥がレビューを空回りさせる
Section titled “開けるのは点の一部なので、擬似欠陥がレビューを空回りさせる”検査が数千個の点を返しても、レビューで開けるのはその一部にとどまります。RSシリーズも、感度を上げた検査装置が返す膨大な結果を短い時間で効率よくさばくために開発されました。
擬似欠陥を拾う数が増えるほど、レビューにどれだけ力を入れても本当に調べるべき欠陥へ行き当たらなくなり、検査結果そのものの値打ちが落ちています3。調べるべき重要な欠陥はDOIと呼ばれ、ノイズにまぎれたDOIをうまくより分けられる次の工程、つまりレビューがさばける個数は上がり始めています。
そのため検査側にも要求がかかります。ITRS 2007年版の目標は、パターン付きウェーハの擬似欠陥率をすべてのプロセスで5パーセント以下、虚報の欠陥数を研究開発段階で5パーセント以下、歩留り立上げ段階と量産期間ではそれぞれ1パーセント以下とするものです。ここでの虚報は、検査装置のレシピ設定に使う欠陥レビュー用の光学系で見直すと実体が空振りになる報告を指します。欠陥分類が満たすべき条件は、再現性95パーセント、精度85パーセント、純度80パーセントの組み合わせです。
欠陥検査の感度をむやみに上げると、レビューの列が伸びるだけで歩留まりは元のままです。感度は、後ろに控えるレビューがさばける個数と釣り合う点に合わせます。
人の目に頼った分類を、深層学習で自動化する
Section titled “人の目に頼った分類を、深層学習で自動化する”分類は長く人の目に頼ってきました。工程が込み入るほど見た目の種類が増えて新しい欠陥が次々に出てくるようになり、それまでの機械学習では精度が足りず、工程を管理するには人が目で確かめるしかありませんでした4。
欠陥画像に関わる仕事は3つです。検査工程で撮った画像をあらかじめ決めておいた種類へ振り分けること、種類ごとに出てくる頻度を追って傾きの変化を見張ること、管理値を超えて動いた種類だけを抜き出し、もう一段細かく分けて発生原因を特定することです。この細分類は作業そのものの頻度が低いうえに似た見た目の種類を見分ける必要があり、製造工程への深い知識を要する難しい仕事です。
東芝グループの技術者が深層学習で組んだ分類では、半導体工場の実データを使った比較で、正解率の平均値が既存手法の77.2パーセントに対して開発手法は87.3パーセントでした。学習の早期打ち切りと複数のGPUによる並列計算を組み合わせ、学習時間は40時間から4時間へ短縮されました。
検査が細かくなるほど、レビューで見に行く点は増える
Section titled “検査が細かくなるほど、レビューで見に行く点は増える”レビューの負担は、前段の検査がどれだけ細かく欠陥を拾うかで決まります。日立ハイテクはウェーハ表面検査装置LS9600について5、ベアシリコン上での最高感度が15ナノメートル、最高速度が1時間あたり120ウェーハだとしています。複数の検出センサーから来る信号の演算手順を練り直し、致命的な欠陥をより正確に抜き出せるようになったと同社はしています。
検出できる欠陥が小さくなるほど、レビューで見に行くべき点も小さく、数も増えます。光では拾えない欠陥を拾う電子ビーム検査のような手段が加われば、その分だけ正体を確かめる仕事が増えます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”欠陥レビューとは何ですか?
欠陥検査が出した座標へ高分解能の顕微鏡を動かし、そこにある1個の欠陥の形と成分を調べて種類を確定する作業です。検査が場所を答えるのに対し、レビューは正体を答えます。
検査が返す欠陥マップだけで対策を打てますか?
もう一段の情報が要ります。表面の欠陥検査装置が返すのは欠陥マップと個数どまりで、対策を打つには欠陥の形と成分という具体的な情報が要ります。
レビューには何を使いますか?
走査電子顕微鏡を使ったレビュー装置が中心です。元素を調べるEDSをオプションで載せられ、三次元形状が要る場合はAFMを使います。
検査の座標へ行けばすぐ見つかりますか?
探す手間がかかります。検査装置が出した座標はおよそ200マイクロメートルずれうる一方、一般的なSEMの低倍の視野は10マイクロメートル程度です。
どうやって欠陥にたどり着くのですか?
視野を段階的に絞ります。視野600マイクロメートルの広視野光学顕微鏡でまず見つけ、13.5マイクロメートル、2.25マイクロメートル、SEMの高倍で0.16マイクロメートルと絞ります。
擬似欠陥が多いと何が困りますか?
レビューの時間が無駄になります。擬似欠陥を拾う数が増えるほど、レビューにどれだけ力を入れても重要な欠陥へ行き当たらなくなり、検査結果の値打ちが落ちます。
分類の自動化はどこまで進みましたか?
進んでいます。深層学習を使った欠陥分類では、半導体工場の実データによる正解率の平均値が既存手法の77.2パーセントに対して開発手法は87.3パーセントでした。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 欠陥検査とは── 場所を答える側で、レビューへ座標を渡します
- 電子ビーム検査とは── 光の届く範囲の外にある欠陥を拾い、レビューの対象を増やします
- 断面観察とは── 表面の下に隠れた層の中を確かめる、さらに深い段です
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- 1日立評論:ウェーハ表面検査・解析システムソリューション(2006年)hitachihyoron.com ab
- 2東芝レビュー:光学式ウェーハ欠陥検査シミュレーション技術(2010年)global.toshiba ↩
- 3JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会:ITRS 2007年版 歩留り改善 和訳semicon.jeita.or.jp ↩
- 4東芝レビュー:深層学習を用いて自動化した半導体製造プロセスの欠陥分類システム(2019年)global.toshiba ↩
- 5日立評論:半導体製造・検査装置(2023年)hitachihyoron.com ↩