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検査(半導体)とは

検査とは、ウェーハやマスクの上に設計の想定外にある異物や欠陥があるかを探し、あれば位置と種類を報告する工程です。 数値を返す計測に対し、検査は欠陥の有無と場所を返します。

探すのは粒子の付着、膜の剥がれ、パターンの断線や短絡、傷など、本来そこには無縁のものです。設計値からのずれというより、そのチップを直接不良にする要因なので、検査は歩留まりへ最短距離でつながる工程です。

欠陥は比べて差として拾い、レビューで正体を決める

Section titled “欠陥は比べて差として拾い、レビューで正体を決める”

無地のウェーハなら、表面にあるものはすべて異物です。パターンがあるウェーハでは正常なパターンと欠陥を区別する必要があるため、隣のチップの同じ位置や設計データと比べ、差分として生じたものを欠陥の候補にします。

検査装置は位置と大きさを高速に見つけますが、それがパーティクルなのか膜の異常なのかまではわかりません。より高い倍率で観察するレビュー装置で種類を特定し、どの工程から来たかをたどります。

検査 ─ 比べて差を見つけ、レビューで正体を知る
1. 比べるチップAチップB隣のチップまたは設計データと同じ位置を照らし合わせる2. 差分が欠陥候補位置と大きさが分かるただし、正体はまだ不明高速に広い面積を検査する3. レビューで特定高倍率で観察粒子か、膜の異常かどの工程から来たかをたどる
検査は隣のチップや設計データと突き合わせ、差分を欠陥候補として抽出します。位置と大きさは分かりますが正体は不明なため、レビュー装置で高倍率観察して種類を特定し、発生した工程をたどります。

欠陥とは、通常の製造ばらつきを超えた設計との差

Section titled “欠陥とは、通常の製造ばらつきを超えた設計との差”

実物と設計の間には必ず差が生じ、欠陥かどうかはその差が通常の製造ばらつきの範囲を超えるかで決まります。歩留向上の立場から、Defectは「プロセス/レイアウト設計から期待されるチップ上の形状/プロファイルと、実際に製造工程で作り出された実物との差異について、通常の製造ばらつきの範囲を超えるもの」1と定義されています。

欠陥は構造からMissing-Material(あるべきものが欠けた側)とExtra-Material(余分なものが付いた側)に大別され、さらにウェハテスト時にチップを不良に至らしめるFaultと、物理形状・プロファイル上の異常に留まるものに分かれます。前者が一般にキラー欠陥と呼ばれ、「半導体デバイスに致命的なダメージを与える欠陥。製品により異なるがウェハの結晶欠陥など」2を指します。検査装置が数える件数は、この両方が混ざるぶん不良チップの件数より多く出ます。

異物の正体にも幅があります。異物は「基板やペリクル上に付着したパターン以外の物体。ヘイズ、浮遊塵埃、レジスト、オイルミストなどがある」とされ3、成長性の膜から油の霧まで含みます。

欠陥と呼ぶ範囲 ─ 設計との差から、チップの不良まで
1. 実物と設計の差設計から期待された形と実物との差どのウェーハにも出ます2. ばらつきの範囲と比べる通常のばらつきの内側そのまま次の工程へばらつきの範囲を超えた差= 欠陥Missing-Material / Extra-Material3. チップを不良にするかウェハテストで不良= キラー欠陥形状の異常のみキラー欠陥とは区分が別検査装置が返す件数には、右の2つが混ざったまま入ります。出典:JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会 平成21年度報告 第13章
設計との差のうち、通常の製造ばらつきの範囲を超えたものが欠陥です。欠陥はさらに、ウェハテストでチップを不良にするキラー欠陥と、形状の異常のみのものへ区分されます。検査装置が返す件数には、この両方が混ざったまま入ります。

光学式は速さを、電子線式は分解能を取る

Section titled “光学式は速さを、電子線式は分解能を取る”

光学式は広い面積を速く見られる一方、光の波長より小さい欠陥は捉えにくくなります。電子線式は微細な欠陥を捉えられますが、走査に時間がかかります。

速く広く検査するか、小さいものまで検査するかで異なります
光学式捉えにくい点広い面積を速く見られます光の波長より小さい欠陥は捉えにくくなります速さ分解能どちらを取るかで使い分けます電子線式小さい点も検出されます微細な欠陥を捉えられます走査に時間がかかります区切りの数は作図上の目安です
同じ面積を見たときの見え方を並べた図です。光学式は広い面積を速く見られる一方で光の波長より小さい欠陥は捉えにくく、電子線式は微細な欠陥を捉えられる一方で走査に時間がかかります。

KLAはeSL10の電子ビーム欠陥検査について4、小さなスポット径で高いビーム電流密度を実現することが先端design nodeデバイスの高感度検査に不可欠だとしています。Yellowstoneスキャンモードは1スキャンあたり100億ピクセルの情報を生成し、高分解能で重要なギャップ欠陥を特定して、プロセスの学習サイクル時間を短縮できるとしています。

マスク側にも専用の装置があります。レーザーテックの製品は、EUVマスク向けのACTIS、EUVマスクブランクス向けのABICS、DUVマスク向けのMATRICSおよびMAGICS、ウェーハ向けのSICA、GALOIS、CIRIUS、LXの各シリーズ5に分かれます。

光学式の分解能は、波長と開口数で決まる

Section titled “光学式の分解能は、波長と開口数で決まる”

光学的に2点間が離れていることを見分けられる距離を解像度あるいは分解能6と呼び、顕微鏡の分野では R=k×λ(2×N.A.)R = \frac{k \times \lambda}{(2 \times \mathrm{N.A.})} で表します。λ\lambdaは光源の波長、N.A.はレンズの開口数で、係数kkは通常の光学顕微鏡で0.61程度です。開口数はN.A.=n×sin⁡θ\mathrm{N.A.} = n \times \sin\thetaで7、θ\thetaは物体の1点から出た光が対物レンズの最も外側に入る角度の半分、nnは試料と対物レンズ間の媒質の屈折率(空気は1)です。

分解能RRを小さくする道は、波長λ\lambdaを短くするか、開口数N.A.を大きくするかの2本です。光学式の欠陥検査装置が短い波長の光源を積むのはこのためで、DUV(遠紫外線)は波長248nmと266nm、UV(紫外線)は波長365nm8の光源として使われます。この式にλ=266\lambda=266nm、開口数0.9を仮定して当てはめて計算すると、RRは約90nmです。λ=365\lambda=365nmなら約124nmになります。

RRは2点が離れていることを見分けられる距離で、1個の異物があるかを知る条件とは別です。散乱は「光が物質に入射した際にそれを中心にさまざまな方向に広がっていく現象」で9、暗い背景のなかで散乱光を拾えば、RRより小さい異物も明るい点として検出されます。ただし手に入るのは点の位置と明るさなので、形と寸法はレビュー装置での高倍率観察に回ります。

シリコンウェーハのメーカーであるSAS Global Wafers Japanは、ポリッシング・アニール・洗浄を経たウェーハに対し、高輝度スポットライトをウェーハ表面にあてる外観検査と、装置による平坦度、比抵抗、表面に付着した極微小粒子の数などの検査10を行います。ファブに届く時点で、表面の粒子の数はすでに数えられています。マスク側でも、レーザーテックの製品系列がマスクブランクスの段(ABICS)とマスクの段(ACTIS、MATRICS、MAGICS)に分かれているのは、材料の段でも完成品の段でも検査が入るためです。

加工が始まると、成膜・リソグラフィ・エッチング・CMPといった加工の後ろに検査が入ります。加工の直後で拾うのは、欠陥を作った工程をその場で特定するためです。全ロットを毎回検査するかわりに、頻度を落とす運用(抜き取り検査の間引き)もあります。

見つけた欠陥は分類され、工程管理へ返る

Section titled “見つけた欠陥は分類され、工程管理へ返る”

検査装置が返す座標は2つの段を通ります。1段目は分類です。ADR(Automatic Defect Review、自動欠陥レビュー)は、ウェーハ検査装置で検出した異物や欠陥の形状と成分をより詳しく観察、分類、分析します。続くADC(Automatic Defect Classification、自動欠陥分類)は、画像サーバに格納された欠陥画像情報を事前に定めたルールに基づいて分類ソフトウエアで欠陥発生原因ごとにクラス分けし、分類サーバに再格納します。欠陥1個ずつの画像が、発生原因ごとの箱へ入っていく段です。

2段目は工程管理です。SPC(Statistical Process Control)は、各測定工程で収集したデータをコンピュータへ送り、統計の手法で製造条件や測定データのバラツキを傾向管理します。APC(Advanced Process Control)はプロセス変動をフィードバックやフィードフォワード制御によって制御し11、YMS(Yield Management System)はウェーハ毎の機能試験の歩留まり解析システムです。検査の出力はこの3つに流れ込み、欠陥の件数が装置の設定と歩留まりの解析へ返ります。

表面の検査とプローブテストは、段も測る対象も違う

Section titled “表面の検査とプローブテストは、段も測る対象も違う”

日本語の「検査」は、表面を光や電子線で調べる工程と、電気を流して調べる工程の両方を指します。プローブテストはウェーハのボンディングパットにプローブを当てておこなう電気的試験で12、回路ができあがったあとの段で、パターンの形のかわりに電気の値を測ります。パラメトリックテストは、被測定デバイスの電圧、電流や時間など、具体的な値を測定するテストです。

IDDQテストは、物理欠陥によって引き起こされる異常電流を検出して不良選別する手法で、両者をつなぎます。物理的な欠陥が作る異常電流を電気側で拾うので、表面の観察では届かない欠陥を捉える手段の一つになります。

光学検査とSEMレビューをすり抜ける欠陥がある

Section titled “光学検査とSEMレビューをすり抜ける欠陥がある”

光学式の検査とSEMレビューの組み合わせで可視化しにくい欠陥をNVD(Non-Visual Defect、非可視欠陥)と呼び、微細化の進行に伴い増加傾向にあります1。範囲は当時も検討の途中でしたが、NVDと呼ばれるものは次の5つです。

  • 汚染起因の欠陥(金属や有機物の汚染、プラズマダメージ、チャージアップなど)
  • 埋もれた欠陥(ボイド、非導通など)
  • HAR(High Aspect Ratio、高アスペクト比)構造のLine & Spaceパターン底のブリッジや、コンタクトホール底の欠陥
  • リーク系(結晶欠陥、インプラエラー、NiSiパイピングなど)や高抵抗系の欠陥
  • 極微小のため、その時点の検査技術の検出限界より小さい欠陥

異物やスクラッチなどの物理欠陥は、光学的な検査手法で検出してからSEMなどの高倍率観察が可能なツールでレビューし、分類や解析を行ってきました。NVDには、この手順とは別に存在を顕在化させる手法が要ります。検出した領域を元素や組成の分析へ回し、周囲と異なる挙動の原因までたどる道筋です。ITRS2009年版の改定では、16nm以上の世代のHARI(High Aspect Ratio Inspection)が3D Inspectionという語に改められ、対象がNon Visible Defectを含むまで広がりました。

すり抜けた欠陥が表に出るのは、多くの場合ウェハテストの段で、IDDQテストのような電気的な手法がその受け皿になります。

この用語に対応する装置と製造メーカー

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装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 15社/23family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22

出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。

半導体の検査とは何ですか?

ウェーハやマスクの上に、設計の想定外にある異物や欠陥があるかを探し、あれば位置と種類を報告する工程です。数値を返す計測に対し、検査は欠陥の有無と場所を返します。

何を欠陥と呼びますか?

本来そこには無縁の異物と、本来の形から崩れたものです。粒子の付着、膜の剥がれ、パターンの断線や短絡、傷などを含み、歩留まりを直接下げます。

パターン付きと無地ウェーハの検査は違いますか?

異なります。無地のウェーハでは表面にあるものはすべて異物です。パターンがあるウェーハでは正常なパターンと欠陥を区別するため、隣のチップや設計データと比べて違いを探します。

検査したあとは何をしますか?

見つかった欠陥をレビューします。検査装置は位置と大きさを高速に見つけますが、正体まではわかりません。より高い倍率で観察するレビュー装置で種類を特定し、どの工程から来たかをたどります。

光学式と電子線式はどう使い分けますか?

速度と分解能のどちらを取るかで使い分けます。光学式は広い面積を速く見られますが、光の波長より小さい欠陥は捉えにくくなります。電子線式は微細な欠陥を捉えられる一方で時間がかかります。

検査装置のメーカーはどこですか?

KLA、Applied Materials、ASML、レーザーテック、Camtek、Onto Innovationなどです。装置カタログDBでは、検査に一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。

検査で見つかった欠陥の件数は、そのまま不良チップの件数になりますか?

なりません。検査装置が数える件数には、ウェハテスト時にチップを不良に至らしめるFaultと、物理形状・プロファイル上の異常に留まる欠陥が混ざります。前者が一般にキラー欠陥と呼ばれます。

光学式の検査の分解能は何で決まりますか?

光源の波長とレンズの開口数です。顕微鏡の分野では分解能を R = k × λ / (2 × N.A.) で表し、係数kは通常の光学顕微鏡で0.61程度です。波長が短いほど、また開口数が大きいほど、Rの値は小さくなります。

表面の検査と、ウェーハテスト(プローブテスト)はどう違いますか?

段も測る対象も別です。表面の検査はウェーハの加工の途中で形と異物を調べます。プローブテストは回路ができたあとの段で、ウェーハのボンディングパットにプローブを当てておこなう電気的試験です。

検査をすり抜ける欠陥はありますか?

あります。光学式の検査とSEMレビューの組み合わせで可視化しにくい欠陥をNVD(Non-Visual Defect、非可視欠陥)と呼び、汚染起因の欠陥、埋もれた欠陥、高アスペクト比構造の底の欠陥、リーク系や高抵抗系の欠陥、極微小の欠陥の5つがあります。

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