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抜き取り検査の間引きとは

抜き取り検査の間引きとは、1ロットから採るサンプルの数を減らすか、検査するロットの回数を減らすことで、検査に使う装置時間と枚数を減らす運用です。 2つの方法では、失うものが異なります。

間引けば検査装置の時間と枚数を生産に回せます。そのかわり、不良ロットが合格してしまう確率(消費者危険)が上がり、変化点での異常を見逃す可能性も高くなります。

抜取検査は、生産者危険αと消費者危険βを許して合否を決める

Section titled “抜取検査は、生産者危険αと消費者危険βを許して合否を決める”

ロットは同じ条件のもとで作られた品物のひとまとまり、サンプルは母集団の性質を調べるために抜き出したものです。サンプルの大きさは、そのサンプルが何個のサンプリング単位でできているかを指します1。母集団は、ふつうサンプルの結果をもとに処置を取ろうとしている相手の集団です。

抜取検査は、ロットから抜いたサンプルを調べ、その結果をロットの判定基準と照らして合否を判定する作業です2。合格とすべきロットが不合格になる確率である生産者危険αと、不合格とすべきロットが合格になる確率である消費者危険βを許容したうえで検査します。半導体では、信頼性試験のように検査すると壊れてしまう場合や、ロットが大きすぎる場合に全数検査が難しく、抜取検査が主に使われています。

間引きの2つの方法
ロットの流れ →毎ロット、同じ数のサンプルを検査1ロットあたりのサンプル数を減らす検査するロットを間引く合否は空欄合否は空欄サンプル削減は判定精度を、ロット間引きは判定記録を失う
同じ8ロットについて、1ロットあたりのサンプル数を減らす方法と、検査するロットの回数を減らす方法を並べています。前者はロットごとの合否判定を粗くし、後者は飛ばしたロットの合否判定をなくします。

サンプル120個の検査でも、不良率5%のロットが14%の確率で合格する

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計数基準型1回抜取検査であるJIS Z 9002で、P0を1.0%、P1を5.0%とすると、サンプルの大きさは120、合格判定個数は3になります2。このときの合格の確率は、不良率1.0%のロットで約0.97、不良率5.0%のロットで約0.14です。5%の不良を抱えたロットが、14%の確率で合格します。

不良率と合格確率(OC曲線)
ロットが合格する確率ロットの不良率 p(%)1.00.50158不良率1.0%のロット ── 合格の確率は約0.97取りこぼす0.03が生産者危険α不良率5.0%のロット ── 合格の確率は約0.14通過する0.14が消費者危険β
JIS Z 9002の例で、サンプルの大きさ120個、合格判定個数3個の抜取検査です。この条件でも、不良率5%のロットは14%の確率で合格します。間引くと、この通過の確率が上がります。

抜取検査の性能は、OC曲線に加えて、検査に回るロットの不良率の平均値と、そのばらつきの大きさに左右されます。

ロットを飛ばすと合否の記録が空欄になり、異常時に遡る範囲が広がる

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スキップロットは、この上に別の代金を重ねます。JIS Z 9015-3:20113は「計数値検査に対する抜取検査手順―第3部:スキップロット抜取検査手順」で、計数値による合否判定の検査に対して、スキップロット抜取検査の手順をひととおり定めた規格です。1999年5月20日に制定され、2011年3月22日に改正された、和文32ページの規格です。

飛ばしたロットは、合否の記録が空欄のまま次工程へ流れます。ロームは、規格外になった場合は生産を速やかに停止し、品質異常品となる範囲を切り出したうえで処置するとしています4。検査するロットの間隔が広いほど、この対象範囲は前の合格ロットまでさかのぼる形になります。

厳しさは品質水準に応じて、ナミ・キツイ・ユルイの3段で切り替える

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AQL指標型の方式は、過去のロットの検査実績など品質水準の程度に応じて、ナミ検査、キツイ検査、ユルイ検査の3つの厳しさへ切り替わります2。ナミ検査は品質水準がAQL付近にあると考えるとき、キツイ検査は品質水準がAQLより確実に悪い側にあるとき、ユルイ検査は品質水準がAQLより確実に良い側にあり、その良さが先も続くと見込めるときです。この方式はJIS Z 9015-1:2006で5、1999年5月20日に制定され、2006年11月20日に改正されました。

ロットの大きさに対するサンプルの大きさの関係を示す検査水準は、通常検査水準IからIII、特別検査水準S-1からS-4の7水準です。特別な指定がある場合を除き、通常は水準IIを用います。検査水準は、検査費用と、ロット間およびロット内の品質の均一性を考えて設定します。

ロットの大きさが5,000でAQLを0.65とすると、サンプルの大きさは200、合格判定個数Ac=3、不合格判定個数Re=4になり、200個を抜き取って不良個数が3個以下なら合格、4個以上なら不合格です。故障率の側では、ロットの大きさが200以上で、1%/1,000hを1,000時間の試験で保証する場合、加速係数を1、合格判定個数C=0とすると、抜取サンプルは231個になります。

4Mが変わる変化点は、間引きの対象から外す

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作業者の交替、材料の交換、生産品種の切り替えのように4Mが変化するタイミングは、異常が起きやすい変化点です4。ロームはこのとき、4Mが変化した後も出来栄えが同じ範囲に収まっていることをその場で確認します。始業点検でも、作業開始前に前回の作業時と同じ4M条件になっているかを点検し、ずれを検出した場合は、規格内であってもアンドン等ですぐに関係者を呼び、原因を調べます。変化点は、間引きの対象から外すべきタイミングです。

ソニーセミコンダクタソリューションズは、開発段階で作り込んだ摩耗故障に関する信頼性の水準が量産以降も維持されていることを確認するため、量産品を抜き取って定期的に製品レベルの信頼性試験を行います6。サンプリングは、ウェーハプロセス、組立プロセス、製造場所などの組合せを考えて、各製品ファミリーから行います。間引きの単位は、ロットの順番よりもこの組合せで決まります。組合せが1つ増えると、同じ頻度のままでは1組合せあたりのサンプル数が減ります。

ロームは、全数・全ロットを信頼性試験に回すのは難しいため、実績のある条件を維持して生産を続けることが市場での信頼性問題を未然に防ぐ手段になるとしています。間引きは、工程が安定していることを前提にしています。

サンプル数、検査間隔、切り替え規則の3つで、βと検査の負担を取り合う

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1つ目の条件は、1ロットあたりのサンプルの大きさです。大きくすると、同じ不良率のロットが合格する確率、つまり消費者危険βは下がりますが、検査に使う時間と枚数が増えます。小さくすると検査費用は下がりますが、βは上がります。検査水準IからIIIは、このバランスをロットの大きさごとに表にしたものです。

2つ目の条件は、検査するロットの間隔です。管理項目、管理値、サンプリング頻度は、工程実力の改善などに合わせてPDCAサイクルで定期的に見直します。間隔を広げると、検査装置の時間とサイクルタイムを生産に回せますが、規格外を検出したときに遡って調べる範囲が広がります。間隔を狭めると遡る範囲は狭くなりますが、検査装置がボトルネックになりやすくなります。

3つ目の条件は、切り替えの規則です。ユルイ検査へ移す根拠になった見込みが実際と違っていた期間は、そのまま消費者危険が大きくなります。ロームがABC管理で示すBの領域、つまり規格内でありながら工程実力の範囲から外れた状態は、この見込みを更新するための情報になります。A・B・Cの区分の基準は、工程実力とリスクに基づいて設定されます。

間引きの程度は、欠陥検査やウェーハ外観検査に使う装置台数と、歩留まり学習の速さの両方を左右します。SPCの管理図に打つ点の間隔も、この頻度で決まります。

抜き取り検査の間引きとは何ですか?

1ロットから採るサンプルの数を減らすか、検査するロットの回数を減らして、検査に使う装置時間と枚数を減らす運用です。前者はロットごとの合否判定を粗くし、後者はそのロットの合否判定そのものをなくします。

サンプルを削る向きと、ロットを飛ばす向きはどこが異なりますか?

失うものが違います。サンプルを減らすと、そのロットの合否判定は残りますが、不良率に対する合格確率の変化が鈍くなります。ロットを飛ばすと、そのロットの合否判定はありません。後者の手順はJIS Z 9015-3が定めています。

間引くと、不良を抱えたロットはどれくらい通りますか?

JIS Z 9002の計数基準型1回抜取検査でP0を1.0%、P1を5.0%とすると、サンプルの大きさは120、合格判定個数は3になり、合格の確率は不良率1.0%のロットで約0.97、不良率5.0%のロットで約0.14です。5%の不良を抱えたロットが14%の確率で合格します。

スキップロット抜取検査という規格はありますか?

あります。JIS Z 9015-3:2011「計数値検査に対する抜取検査手順―第3部:スキップロット抜取検査手順」が、計数値による合否判定の検査に対してスキップロット抜取検査の手順をひととおり定めています。1999年5月20日に制定され、2011年3月22日に改正された、和文32ページの規格です。

検査の厳しさはどう切り替わりますか?

AQL指標型の方式は、過去のロットの検査実績など品質水準の程度に応じて、ナミ検査、キツイ検査、ユルイ検査の3つへ切り替わります。ユルイ検査へ移すのは、品質水準がAQLより確実に良い側にあり、その状態が今後も続くと見込めるときです。

必ず検査する回はどこですか?

ロームは、作業者交替、材料交換、生産品種切り替えのように4Mが変化するタイミングを異常が発生しやすい変化点とし、4Mが変化した後も出来栄えが同じ範囲に収まることをその場で測ります。ソニーセミコンダクタソリューションズは、量産品のサンプリングを、ウェーハプロセス、組立プロセス、製造場所などの組合せを考えて各製品ファミリーから採ります。

検査頻度は一度設定したあと、どう見直しますか?

ロームは、管理項目と管理値、サンプリング頻度を、工程実力の改善などに合わせてPDCAサイクルで定期的に見直します。工程実力が上がった分だけ緩める余地が生まれ、トラブルが起きた分だけ詰める先になります。

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