TLM(伝送線路モデル法)とは
TLM(Transfer Length Method)とは、間隔を変えて並べた電極の組の抵抗を測り、金属と半導体の接触抵抗と、半導体のシート抵抗を分けて求める測定法です。 2本の電極の間の抵抗を1回測るだけでは、半導体の抵抗と接触の抵抗が混ざって区別できません。しかも電流は電極の端に集中して流れるので、電極の面積で割って接触抵抗率を計算すると値がずれます。TLMは、この2つの問題を扱うための方法です。
距離ゼロに外挿した値が、接触抵抗の2倍になる
Section titled “距離ゼロに外挿した値が、接触抵抗の2倍になる”電極の金属の抵抗は接触抵抗より十分小さいので無視でき、2つの電極の間の全抵抗は、接触抵抗の2倍と、半導体のシート抵抗に電極間距離Lと電極の幅Wの比を掛けた値の和になります1。
全抵抗は電極間距離に比例して増えるので、距離の違う電極の組をいくつか作って測り、グラフにします。薄膜の抵抗は電極間距離がゼロになるとゼロになると考え、距離ゼロに外挿した値を接触抵抗の2倍とみなします2。直線の傾きからは、半導体のシート抵抗が求まります。
電流は電極の端に集中し、実効的な接触面積は伝達長で決まる
Section titled “電流は電極の端に集中し、実効的な接触面積は伝達長で決まる”電流は電極の下を均一には流れず、半導体側から見た電極の端に集中し、端から離れるほど少なくなります1。この現象を電流集中と呼びます。そのため、電極の物理的な長さと幅から接触面積を決めることはできません。
電子や正孔が電極の下の半導体を進んでから電極に流れ込むまでの平均の距離を伝達長(transfer length)と呼び、接触抵抗率をシート抵抗で割った値の平方根で表されます。伝達長が電極の長さより短い場合は、実効的な接触面積を伝達長と電極の幅の積として計算します。接触抵抗率は接触抵抗と接触面積の積で、単位はΩ・cm²です。グラフの横軸との交点は、伝達長の2倍にマイナスを付けた値になります。
試料は、電極と同じ濃度でドープした薄い長方形の上に作る
Section titled “試料は、電極と同じ濃度でドープした薄い長方形の上に作る”TLMの試験パターンでは、電極部分と同じ濃度でドープした長方形の領域を1つ作り、その上に間隔を変えた電極を並べます1。基板は薄膜で、その厚みは電極間距離に対して薄いほうが適しています。
PVEducationは、接触抵抗率の値の例として、多層のヘテロ接合シリコン構造で10〜500 mΩ・cm²、拡散接合の太陽電池では1 mΩ・cm²まで下がるとしています1。先端のトランジスタでは接触面積が小さくなるので、接触抵抗率がオン電流に大きく影響します。
前提を満たす専用パターンは、実際のコンタクトと形が違う
Section titled “前提を満たす専用パターンは、実際のコンタクトと形が違う”TLMは簡単な構造で接触抵抗とシート抵抗を分けられますが、半導体層が電極間距離より十分薄いこと、電極の下と電極の間でシート抵抗が同じことが前提です。前提を満たすために専用の試験パターンを作るので、実際のトランジスタのコンタクトとは形や大きさが違う構造で測ることになります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”TLMとは何ですか?
間隔を変えて並べた電極の組の抵抗を測り、金属と半導体の接触抵抗と、半導体のシート抵抗を分けて求める方法です。
どうやって接触抵抗を取り出しますか?
電極間の抵抗を電極間距離に対してプロットし、距離ゼロに外挿します。その値が接触抵抗の2倍です。
グラフの傾きは何を表しますか?
半導体のシート抵抗を電極の幅で割った値で、傾きからシート抵抗が求まります。
伝達長とは何ですか?
電子や正孔が電極の下の半導体を進んでから電極に流れ込むまでの平均の距離です。接触抵抗率をシート抵抗で割った値の平方根で表されます。
なぜ電極の面積で割るだけではいけないのですか?
電流が電極の端に集中して流れるため、実際に電流が流れる面積は電極の面積より小さくなるからです。
試料には何が必要ですか?
電極と同じ濃度でドープした長方形の領域に、間隔を変えた電極を並べます。半導体層は電極間の距離より十分薄くします。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 接触抵抗率とは── TLMで求める、面積あたりの接触抵抗
- 四探針法とは── 接触抵抗を含めずにシート抵抗を測る方法
- ショットキー障壁とは── 接触抵抗を大きくする金属と半導体の障壁
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- 1PVEducation:TLM measurementpveducation.org abcd
- 2山形大学 廣瀬研究室:第10章 半導体デバイス評価方法 講義資料(2022年10月)fhirose.yz.yamagata-u.ac.jp ↩