コンテンツにスキップ

四探針法(シート抵抗)とは

四探針法とは、測りたい面に4本の針を一直線に立て、外側の2本で電流を流し、内側の2本で電圧を測って、電気の通しにくさを求める方法です。 半導体の製造現場では、この方法で薄い層のシート抵抗を測り、イオン注入や成膜の結果が目標どおりかを調べます。

装置が数えた注入量ではなく、アニールを経て実際に働いている担い手を電気で測る点に価値があります。そのかわり、針を当て、加熱を待ち、深さの情報を手放します。

針を4本にするのは、接触抵抗を測定値から外すため

Section titled “針を4本にするのは、接触抵抗を測定値から外すため”

シート抵抗は、薄膜やイオン注入でできた拡散層のような薄い膜の電気の通しにくさを表す量で、単位はΩ/sq(オームパースクエア)です1。抵抗率を厚さで割った値にあたります。

2本の針で測ると、電流を流し込むところで試料と電極の界面に接触抵抗と呼ばれる電圧降下が生じ、二端子法では抵抗が高く出ます2。電流を流す端子と電圧を測る端子を切り分けると、この影響を取り除けます。針を増やす目的は感度の向上よりも、測りたい対象だけを電圧へ反映させることにあります。

針が4本ある理由は、測りたい対象だけを電圧へ反映させるためです
2本の針で測ります測りたい薄い層電流と電圧電流と電圧界面に接触抵抗が出ます接触抵抗が測定値へ上乗せされます表面の状態で変動し、切り分けが困難です4本の針で測ります測りたい薄い層電流電流電圧この間の電位差を測ります電流は外側の2本だけを通ります針を押し当てるだけで測れます
2本の針で電流と電圧を兼ねると、針と試料の界面に生じる接触抵抗が測定値へ上乗せされます。電流を流す2本と電圧を測る2本を切り分けると、電流は外側の2本だけを通りますので、層そのものの抵抗が電圧に出ます。

装置が数えた「入れた数」と、ウェーハで「働いている数」は別物

Section titled “装置が数えた「入れた数」と、ウェーハで「働いている数」は別物”

イオン注入で入れた原子が電気の担い手になるには、もう一段の加熱が要ります。活性化アニールは注入した原子を格子位置へ入れて電気的に働かせる加熱で、温度が高いほど活性化する割合は高くなる一方、ドーパントが深さ方向へ拡散します3。先端デバイスは拡散を抑えつつ活性化させるために、高温でミリ秒程度の短い加熱を用います。

シート抵抗は、働いている数のほうを電気で測ります。値は注入層の濃度と深さの両方で決まり、イオン注入装置の品質管理の手法として広く使われています1。

測定を省くと、ずれは後の工程まで潜みます。ウェーハ面内の均一さも、同じ条件で流した複数のウェーハの間の再現性も、シート抵抗やダメージ測定で測ります4。複数の注入機を持つ量産工場では、どの装置で注入しても同じ特性が得られるよう、ドーズ係数を変えて合わせ込む作業があり5、その指標がサーマルウェーブやシート抵抗やデバイス特性データです。装置ごとの癖を数字で詰める作業が、ここに要ります。

手順は3段で、補正係数が端の値を左右する

Section titled “手順は3段で、補正係数が端の値を左右する”

手順そのものは単純で、4本の針状の電極を直線上に立て、外側の2本に一定電流を流し、内側の2本に生じる電位差を測って抵抗を求めます6。ナプソンの4探針測定システムはJISおよびASTM規格に準拠した測定方法と補正方法を使い、準拠先には、シリコン単結晶とシリコンウェーハの抵抗率測定を定めたJIS H 0602-1995などがあります。

補正が要るのは、電流が試料の中で三次元に広がるためです。抵抗率補正係数(RCF)は試料の形状や寸法や測定位置によって変化し、試料が小さいときや測定位置が端へ近づいたときは、電界が試料の内側にとどまって抵抗が高く出ます2。無限に大きく無限に薄い試料に対しては4.532という値が求められていて、実際には形状とサイズと位置を入力して補正係数を計算します。ウェーハの縁の値だけが上ぶれするとき、原因は装置の不調よりもこの効果であることがあります。

面内マップにすると、注入とアニールの偏りが形として出る

Section titled “面内マップにすると、注入とアニールの偏りが形として出る”

面内の複数点を測ってマップにすると、注入やアニールの偏りが形として出ます。ナプソンの全自動の薄膜シート抵抗測定システムWS-3000は7、12インチ対応で、シート抵抗の測定レンジは1mΩ/sqから10MΩ/sq、薄膜3nmの測定実績があり、FOUPロードポートとGEM/SECSに対応するとしています。測定対象はシリコンやポリシリコン、SiC、メタルやITOの導電性薄膜、拡散サンプル、シリコン系エピタキシャルおよびイオン注入サンプルです。測定器が工場の搬送と通信へつながると、この値は人の手を介さずにプロセス制御へ渡ります。

装置が数えた量よりも、ウェーハが返した答えを測ります
サーマルウェーブは、アニールを省いて速く測ります代償として、高い注入量では値が飽和しますイオン注入入れた数を数えます活性化アニール格子位置へ入れます四探針法で測りますシート抵抗面内のマップばらつきが形で出ますドーズ係数を直し、装置間の差を詰めます四探針法は、加熱という一手間を払って働いている数を測ります
イオン注入で入れた原子の数は装置の側でも数えられますが、電気の担い手として働くかどうかは活性化アニールを経て決まります。四探針法はアニール後のシート抵抗を面内で測り、その偏りをドーズ係数の補正へ渡します。アニールを省けるサーマルウェーブは速い代わりに、高い注入量では値が飽和します。

針を当て、加熱を待ち、深さを手放す

Section titled “針を当て、加熱を待ち、深さを手放す”

1つ目の代償は、針を当てることです。上下のプローブの間に試料を入れて測る渦電流法は、サンプルを傷めずに測れる方式で8、接触の有無が方式選びの境目になります。一方で、接触式の四探針法が1mΩ/□から1GΩ/□のレベルまで測れるのに対し、非接触の渦電流法は1mΩ/□から10kΩ/□のレベルです6。触れずに測る側は、測れる幅が狭くなります。

2つ目は、加熱を待つことです。サーマルウェーブは注入で生じたダメージをレーザー光の反射率の変化から測り、注入後のアニールが要らないのでシート抵抗測定より簡略にQC管理を行える一方、注入量が多くなると値が飽和するため、比較的低い注入量の領域で用います9。四探針法はアニールという一手間と待ち時間を払い、その代わりに高い注入量でも働いている数に沿った答えを得ます。

3つ目は、深さを手放すことです。シート抵抗は層をまとめた1つの値なので、深さごとの担い手の量は別の手法へ回ります。深さ方向のキャリア濃度分布は、斜めに研磨した試料を2本の針で測る拡がり抵抗法10で測り、SIMSによる分布と合わせると活性化率が求められます。速さと手軽さと引き換えに、断面の情報は別の装置へ委ねます。

四探針法とは何ですか?

測りたい面に4本の針を一直線に立て、外側の2本で一定の電流を流し、内側の2本で電位差を測って抵抗を求める方法です。求めた抵抗へ補正をかけて、シート抵抗や抵抗率へ換算します。

なぜ針が4本なのですか?

電流を流す端子と電圧を測る端子を切り分けるためです。電流を流し込むところでは試料と電極の界面に接触抵抗が生じ、二端子法では抵抗が高く出ます。端子を切り分けると、この影響を取り除けます。

シート抵抗とは何ですか?

薄い層の電気の通しにくさを表す量で、単位はΩ/sq(オームパースクエア)です。抵抗率を厚さで割った値で、その測定には一般に四探針法を使います。

半導体の現場では何のために測るのですか?

イオン注入とアニールの結果が目標どおりかを測るためです。シート抵抗の値は注入層の濃度と深さの両方で決まり、イオン注入装置の品質管理の手法として広く使われています。

測る位置で値は変わりますか?

変わります。抵抗率補正係数は試料の形状や寸法や測定位置によって変化し、試料が小さいときや測定位置が端へ近づいたときは抵抗が高く出ます。そのため、形状とサイズと位置を入力して補正係数を求めます。

非接触で測る方法はありますか?

あります。渦電流法なら、サンプルを傷めずに測れます。ただし測れる抵抗の範囲は、接触式の四探針法より狭くなります。

深さ方向の分布も測れますか?

深さ方向は別の手法へ回します。シート抵抗は層をまとめた1つの値です。深さ方向のキャリア濃度分布は、斜めに研磨した試料を2本の針で測る拡がり抵抗法で測り、SIMSによる分布と合わせると活性化率が求められます。

10件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10