コンテンツにスキップ

ポリシリコンとは

ポリシリコンとは、向きの異なる小さな結晶が集まったシリコンの膜です。 多結晶シリコン、poly-Si とも呼びます。粒の境目ごとに電子が散乱するので単結晶より抵抗は高くなりますが、不純物の型と量を変えるだけで、同じ膜からn型にもp型にも、低い抵抗にも高い抵抗にもできます。この選びやすさを生かしてゲート電極、抵抗、配線に使われ、ゲートでは電極側の空乏という弱点が金属ゲートへの置き換えにつながりました。

粒界で電子が散乱し、単結晶より抵抗が高くなる

Section titled “粒界で電子が散乱し、単結晶より抵抗が高くなる”
単結晶と多結晶
単結晶粒界がなく、まっすぐ進む多結晶(ポリシリコン)粒界で散乱し、進路が折れる粒界での散乱単結晶Si結晶粒
単結晶の中では電子は粒界にぶつかりません。ポリシリコンでは粒の境目を越えるたびに散乱され、同じ不純物濃度でも抵抗が高くなります。

ポリシリコンは、向きの異なる小さな結晶が隙間なく並んだ膜で、単結晶の基板の上へ成膜の工程で作ります。粒と粒の境目である粒界では電子が散乱されるため、同じ不純物濃度でも単結晶より抵抗が高くなります。粒を大きくすれば散乱は減るものの、成膜と熱処理の条件が厳しくなります。

膜はLPCVD炉で作り、炉に入れてよい材料が決まっている

Section titled “膜はLPCVD炉で作り、炉に入れてよい材料が決まっている”

ポリシリコンの膜はLPCVDの炉で作ります。ユタ大学ナノファブのLPCVD炉の手順書は、この炉をドーパントを含まないアモルファスシリコンかポリシリコンの膜を堆積する装置としています1。炉にはフォトレジスト、カプトンテープ、金属などの異物を入れてはならず1、スタッフの承認なしに入れられるのは石英、シリコン、酸化膜、窒化膜、ポリシリコンだけです。試料のウェーハとモニターのウェーハのあいだには、7つ以上の空きスロットを置く決まりです。

ハーバード大学CNSのポリシリコン用LPCVD炉は、2〜6インチのウェーハを最大50枚まで載せられます2。同じ資料は、6枚を超えるロットでは成長速度が記載値よりわずかに低くなるとしています。できた膜の評価には、室温での膜応力の測定、AFMによる表面の測定、100秒のスパッタで掘り下げたXPSによる組成の測定を使っています。

成膜した膜をプラズマエッチングでゲートや配線の形に加工するときは、ゲートにつながる広い導体がアンテナとなってプラズマから電荷を集め、ゲート酸化膜の両側に高い電位差を作ります。

反対の導電型を2倍量打ち込めば、同じ膜の導電型が入れ替わる

Section titled “反対の導電型を2倍量打ち込めば、同じ膜の導電型が入れ替わる”
コンペンセイションの流れ
1 n型のpoly-SiPをドープ2 PMOS領域にB注入Pを打ち消す目標濃度の2倍3 p型のゲート電極導電型が逆転n型の膜B・p型の膜
PをドープしたN型のゲートpoly-SiのPMOS領域に目標濃度の2倍のBを注入すると、元のPが打ち消されてP型のゲート電極になります。

注入する領域と反対の導電型のドーパントを注入して導電型を変える技術を、コンペンセイションと呼びます3。例えば、PをドーピングしたN型のゲートpoly-SiのPMOS領域にBをイオン注入すると、P型のゲート電極に変わります。

導電型を変えるには、目標のドーパント濃度の2倍のドーパント量を注入する必要があります3。元のドーパントを打ち消してから、目標の濃度を作るためです。入れ替えを使えば1種類の膜で両方のゲートを作れますが、そのぶん多くのドーパントを打ち込むことになります。

ゲート材料は、しきい値電圧を通じて動作点を決める

Section titled “ゲート材料は、しきい値電圧を通じて動作点を決める”

しきい値電圧の式には、半導体誘電率 εS、酸化膜誘電率 εOX、ゲート酸化膜厚 tOX、基板不純物濃度 NA が入ります4。酸化膜の誘電率は3.84×8.854×10⁻¹⁴ F/cmです。膜厚と誘電率が容量を決め、容量がチャネルの制御を決めます。ゲート電極の材料はこのしきい値を通じて素子の動作点を左右し、ポリシリコンではその値を不純物の型と量で選びます。

電極側の空乏が、金属ゲートへの置き換えを促した

Section titled “電極側の空乏が、金属ゲートへの置き換えを促した”
ポリシリコンゲートの空乏
ポリシリコン電極電極側の空乏層シリコン基板実効的な酸化膜の厚さポリシリコンゲート酸化膜シリコン基板
電圧をかけるとポリシリコン電極の酸化膜側にも空乏層ができ、実効的な酸化膜が厚くなったのと同じ効果が出ます。

ポリシリコンのゲートでは、電圧をかけたときに電極側にも空乏層が生じ、実効的な酸化膜が厚くなったのと同じ効果が出ます。不純物を増やせば抵抗が下がり、この空乏も減ります。しかし固溶度の上限に当たり、ゲート酸化膜へ突き抜ける危険も増えます。

この限界が、仕事関数金属を使う金属ゲートへの置き換えを促しました。抵抗を下げる別の道としては、表面をシリサイドに変えるサリサイドがあります。今でも抵抗や一部の配線、積層メモリの構造材としては現役です。

ポリシリコンとは何ですか?

向きの異なる小さな結晶が集まったシリコンの膜です。多結晶シリコン、poly-Si とも呼びます。

単結晶と何が異なりますか?

粒と粒の境目、つまり粒界があります。電子はこの境目で散乱されるため、同じ不純物濃度でも単結晶より抵抗が高くなります。

何に使いますか?

ゲート電極や抵抗、配線として使います。不純物を入れれば導電型と抵抗を選べます。

導電型は変えられますか?

変えられます。反対の導電型のドーパントを注入して導電型を変える技術を、コンペンセイションと呼びます。

どのくらいの量が要りますか?

導電型を変えるには、目標のドーパント濃度の2倍のドーパント量を注入する必要があります。

どんな場面で使いますか?

PをドーピングしたN型のゲートpoly-SiのPMOS領域にBを注入して、P型のゲート電極に変える例があります。

しきい値電圧とも関係しますか?

します。しきい値電圧の式には酸化膜誘電率やゲート酸化膜厚、基板不純物濃度が入り、ポリシリコンのゲートではその値を不純物の型と量で選びます。

4件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4