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仕事関数金属とは

仕事関数金属(WFM)とは、ゲート絶縁膜の直上へ成膜する金属層で、その実効仕事関数によってトランジスタのしきい値電圧が決まります。 置換メタルゲートの溝の中で、high-k膜の直上へ最初に成膜される層です。

nFETとpFETは同じ形をしていても、しきい値電圧は符号が逆で大きさが同じになるようにそろえる必要があります。チャネルの不純物濃度でそろえる方法はばらつきの面で使いにくくなったため、金属側で作り分けます。一方、ナノシートGAAでは、その金属を入れる隙間が10nm未満まで狭くなっています。

しきい値電圧±0.2Vの目標は、n形4.47eV、p形4.77eV

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ナノシート間の隙間の使い方
上のナノシート Si下のナノシート Si10 nm 未満金属 5 nm 未満界面層high-k仕事関数金属充填金属
同じ層が上下のシート両面から入るので、10nm未満の隙間は2回消費されます。中央に残るのが充填金属で、仕事関数を動かす金属積層に許される合計は5nm未満です。

産業技術総合研究所 先端半導体研究センターの研究グループが2026年に公開した論文によると、ゲート長20nmでしきい値電圧をおよそ+0.2Vにするにはn形GAAFETで4.47eVの実効仕事関数が、−0.2Vにするにはp形で4.77eVが要ります1。実効仕事関数(EWF)は、金属単体の仕事関数に、high-k膜や界面層との反応で生じた分を足し込んだ、素子として観測される値です。

金属の種類だけで狙った値に届くなら簡単です。TiN、TiAl、TiAlN、TiAlCはhigh-k/メタルゲート積層の仕事関数金属として注目されてきましたが、同グループは、TiN/TiAlC積層が10nm前後の狭いナノシート間隔で十分な仕事関数の調整幅を持つかどうかは体系的には調べられていなかったとしています。

厚さで値を合わせるが、積層の合計は5nm未満に収める

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TiAlCの厚さと実効仕事関数
p 形 4.77 eVn 形 4.47 eV4.44.64.8TiAlC 1.6 nmTiAlC を厚くする →実効仕事関数 eV下部 TiN 1 nm 固定、ゲート長 20 nm
TiAlCを厚くすると実効仕事関数は系統的に下がります。下部TiN 1nmとTiAlC 1.6nmの組み合わせがn形の目標へ届き、p形はその反対側に0.30eV離れた帯に入ります。

同じ論文は、GAAFETがFinFETを上回るにはナノシート間の垂直間隔を10nm未満にする必要があり、金属積層の合計はおよそ5nm未満に収める必要があるとしています。上下のシート両面から同じ層が入るので、片面あたりに使える厚さはさらに半分になります。

その条件で、TiAlCを厚くするにつれて実効仕事関数は系統的に変わり、下部TiNを1nm、TiAlCを1.6nmにした組み合わせでn形の目標値に届きました。同グループは、TiAlC中のAlが下部TiNから酸素を引き抜く酸素スカベンジングを、TiAlC/TiNメタルゲートにおけるn形実効仕事関数の新しい機構として提案しています。ALDによる1nm以下の膜厚制御が、そのまましきい値電圧の制御になります。

シートの周囲と層のあいだに回り込ませ、隙間を詰めるほど性能が上がる

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imecは、ナノシートがFinFETと異なる4つの主要工程の1つが置換メタルゲートで、ナノシート層の周囲と層のあいだに仕事関数金属を成膜してパターニングするとしています2。平面やフィンのように上から被せる形ではなく、浮いたシートの裏側まで回り込ませる形です。

imecは間隔を詰める効果も数値で示しています。2018年の成果として、2つの垂直方向のナノシート間のスペーサを13nmから7nmへ縮めたときにAC性能が10%改善したとし、2021年のフォークシートの実証では、デュアル仕事関数金属により17nmのn-p間距離を達成したとしています。隙間を詰めるほど性能は上がり、同じだけ金属積層の予算は減ります。

平面世代では金属を4層重ね、役割を分けて積めた

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中国科学院微電子研究所のグループが2017年に公開した22nm PMOSの論文では3、約8Å厚の界面層の上へALDで20ÅのHfO2層を成膜したあと、メタルゲートをALD TiN、PVD Ti、CVD TiN、ALD Wの4層で構成しています。溝の幅に余裕があった世代では、仕事関数を担う層と、抵抗を下げる層を別々に積めました。

ナノシート間の隙間では、同じ役割を1nm台の層で分担することになります。この積層はすべて置換メタルゲートの溝の中、チャネルリリースのあとに作られます4。前の工程でシートの間隔が決まった時点で、仕事関数金属に許される厚みも決まります。

仕事関数金属を使うと、同じ構造のままn形とp形のしきい値電圧を作り分けられ、品種ごとに複数のしきい値を用意できます。代わりに、10nm未満の隙間で積層を5nm未満に収めること、1nm台の膜厚を上下両面で再現するALDの制御性、high-k膜との反応で実効値が変わることへの調整が必要です。プロセス担当は、シート間隔の設計値が決まった段階で、この積層が収まるかどうかを見積もります。

仕事関数金属とは何ですか?

ゲート絶縁膜の直上へ成膜する金属層で、その実効仕事関数(EWF)によってトランジスタのしきい値電圧が決まります。置換メタルゲートの溝の中で、high-k膜の直上に最初に成膜される層です。

どのくらいの値が要るのですか?

産業技術総合研究所の研究グループが2026年に公開した論文によると、ゲート長20nmでしきい値電圧±0.2Vを得るには、n形GAAFETで4.47eV、p形GAAFETで4.77eVの実効仕事関数が要ります。

どうやって値を動かすのですか?

積層の厚さです。この論文のTiN/TiAlC/TiNの積層では、TiAlCを厚くするにつれて実効仕事関数が系統的に変わり、下部TiNを1nm、TiAlCを1.6nmにした組み合わせでn形の目標値に届きました。

なぜナノシートだと難しいのですか?

隙間が狭いためです。GAAFETがFinFETを上回るにはナノシート間の垂直間隔を10nm未満にする必要があり、その隙間に界面層、high-k膜、仕事関数金属を上下両面から入れることになります。

金属積層の厚さはどのくらいに収めますか?

金属積層の合計を5nm未満に収める必要があります。仕事関数を調整するための厚さと、隙間に収まる厚さが直接ぶつかります。

なぜTiAlCで値が動くのですか?

TiAlC中のAlが下部TiNから酸素を引き抜く酸素スカベンジングが、TiAlC/TiNメタルゲートでのn形実効仕事関数の機構として提案されています。

imecはどう位置づけていますか?

imecは、ナノシートがFinFETと異なる4つの主要工程の1つに置換メタルゲートを挙げ、その内容をナノシート層の周囲と層間への仕事関数金属の成膜とパターニングとしています。

隙間を詰めると何が良くなりますか?

imecは、上下2枚のナノシートのあいだのスペーサを13nmから7nmに縮めると、AC性能が10%改善したとしています。フォークシートでは、2種類の仕事関数金属を使って17nmのn-p間距離を実証しています。

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