PPA(電力・性能・面積)とは
PPAとは、チップや製造プロセスを評価する電力(Power)、性能(Performance)、面積(Area)の3つの指標です。 3つは同時には良くなりにくく、どれを優先するかで設計もプロセスも変わります。
ファウンドリは新しい世代を、同じ電力での速度向上、同じ速度での電力削減、密度の向上という形で示します。数値には「同じ電力で」「同じ速度で」という条件がつくので、条件をそろえずに並べると誤解につながります。
速度の改善と電力の削減は、同じ改善の言い換え
Section titled “速度の改善と電力の削減は、同じ改善の言い換え”TSMCは2022年6月、N2(2nm世代)がN3と比べて、同じ電力で10〜15%速く、または同じ速度で25〜30%電力が少なくなる1と発表しました。N2はナノシートトランジスタを使い、2025年に生産を始める予定とされていました。
「または」のとおり、2つの数値は同じ改善を別の条件で表したもので、足し合わせられません。論文や発表の数値を比べるときは、同じ電力か同じ速度か、どの世代と比べているかを確かめます。
面積は密度で表し、寸法以外の縮め方もある
Section titled “面積は密度で表し、寸法以外の縮め方もある”TSMCの7nm世代は10nm世代と比べて、ロジック密度が1.6倍を超え、速度が約20%上がり、電力が約40%下がりました2。面積は、同じ回路をどれだけ小さく作れるかを示す密度で表します。
面積を縮める方法は寸法の縮小だけではありません。セル高さ(トラック数)を減らす方法や、フィンの本数を減らす方法もあり、これらはDTCOで検討されます。
コストを加えるとPPACになる
Section titled “コストを加えるとPPACになる”imecは、半導体の各世代に求められる改善を、電力・性能・面積・コストの改善としています3。寸法の縮小だけでこれらの改善が得られた時代は終わり、10nm世代からはDTCOで補っています。
コストを加えてPPACと書くこともあります。面積が小さくなれば1枚のウェーハから取れるチップは増えますが、新しい構造を作る工程が増えると、ウェーハ1枚の製造コストは上がります。
1つの世代の中でも、セルごとにPPAを選び分ける
Section titled “1つの世代の中でも、セルごとにPPAを選び分ける”TSMCのFINFLEXは、性能を重視する3-2フィン、電力効率とトランジスタ密度を重視する2-1フィン、その中間の2-2フィンの標準セルを用意しています。フィンを増やせば速くなりますが、セルが大きくなり電力も増えます。どのセルをどこに使うかは、チップの設計者が回路ごとに決めます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”PPAとは何ですか?
電力(Power)、性能(Performance)、面積(Area)の3つの指標で、チップの設計やプロセス世代を評価するときに使います。
新しい世代のPPAはどう示されますか?
同じ電力でどれだけ速いか、同じ速度でどれだけ電力が少ないか、密度が何倍か、という形で示します。TSMCはN2をN3と比べて、同じ電力で10〜15%速く、同じ速度で25〜30%少ない電力としています。
速度と電力の改善は足し合わせられますか?
足し合わせられません。「同じ電力で速い」と「同じ速度で電力が少ない」は同じ改善を別の条件で表したもので、どちらか一方を取る形になります。
面積はどう表しますか?
ロジック密度やトランジスタ密度で表します。TSMCの7nm世代は、10nm世代よりロジック密度が1.6倍を超えています。
PPACとは何ですか?
PPAにコスト(Cost)を加えた呼び方です。imecは各世代に求められる改善を、電力・性能・面積・コストの改善としています。
1つの世代の中でPPAを選べますか?
選べます。TSMCのFINFLEXでは、性能を重視する3-2フィン、電力効率と密度を重視する2-1フィン、中間の2-2フィンの標準セルを使い分けます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- DTCO(設計と技術の協調最適化)とは── 設計とプロセスを一緒に最適化してPPAを改善する取り組み
- セル高さ(トラック数)とは── 面積を決める標準セルの高さ
- FinFETとは── フィンの本数で性能と面積が変わるトランジスタ
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