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TCAD(テクノロジーCAD)とは

TCAD(テクノロジーCAD)とは、半導体のプロセスとデバイスの開発に使うコンピュータ・シミュレーションです。 熱プロセス、素子の形状、デバイスの電気特性に対応する、プロセス、形状、デバイスの3つのシミュレーションで構成されます1。

TCADは、開発の方向を計算で決めて試作回数を減らし、実験では見えにくい素子の内部を調べる道具として使われます。

プロセスの計算で構造を、デバイスの計算で電気特性を求める

Section titled “プロセスの計算で構造を、デバイスの計算で電気特性を求める”
プロセスから電気特性までの計算の流れ
プロセス条件プロセス計算構造デバイス計算電流・容量SPICEモデル注入・拡散・酸化・エッチング・成膜・応力を計算
プロセスシミュレーションで工程条件から構造を求め、デバイスシミュレーションでその構造の電気特性を計算します。結果は回路設計に使うSPICEモデルにまとめられます。

SilvacoのTCADでは、プロセスシミュレーションがイオン注入、拡散、酸化、エッチング・成膜・エピタキシャル成長、露光、応力を扱います2。デバイスシミュレーションは、ドリフト拡散モデルによる直流・交流・過渡解析や、TCADと回路シミュレータ(SPICE)を組み合わせた解析を扱います。

プロセスとデバイスのシミュレーションは実用的なモデルが市販され、デバイス開発に広く使われてきました。一方、形状シミュレーションには当時、市販レベルで実用的なモデルがなく、加工形状を正確に予測できなかったため、プロセス開発に十分使えませんでした。

3つの計算を重ねると、エッチング形状が実験の傾向と一致した

Section titled “3つの計算を重ねると、エッチング形状が実験の傾向と一致した”

東芝は、酸化膜のドライエッチングの形状を予測するために、3つの計算を組み合わせました。まずプラズマシミュレーションでイオンやラジカルの密度と運動エネルギーを求め、次にシースシミュレーションでウェーハへの入射角度とエネルギーの分布を求め、最後に表面反応シミュレーションで加工形状を求めます。すべての計算に原子・分子の動きを再現するモンテカルロ法を使い、プラズマ診断と表面分析の実測データを組み込んでいます。

C₅F₈とO₂の混合ガスによる酸化膜エッチングでは、C₅F₈の流量を2倍にするとポリマーが増えてエッチングが止まり、O₂の流量を2倍にするとレジストの下のボーイングが横に大きくなるという、実験と同じ傾向が再現されました。膜厚3.0μmの条件で380秒後の深さを比べると、計算で2.12μm、実験で2.05μmでした。

開発の方向を計算で決め、試作回数を減らす

Section titled “開発の方向を計算で決め、試作回数を減らす”

デザインルールが0.1μmを切るころには、工程ごとの技術的な難しさが増し、工程数も増えて開発期間が長くなっていました。この期間を短くするために、TCADで開発の方向を決め、試作回数を減らすことが期待されていました。

Silvacoは、TCADが新しいプロセスとデバイスの開発でコストと製品化までの時間を大きく減らすとしています。実験では何が起きたかしか分からず、なぜ起きたかは見えにくいことがあるのに対し、TCADでは素子の内部を見て、たとえばパワーデバイスの降伏がどの領域で起きているかを調べられます。

結果はモデルの精度で決まり、先に実験で校正する手間がかかる

Section titled “結果はモデルの精度で決まり、先に実験で校正する手間がかかる”

TCADの結果はモデルの精度に左右されます。当時の市販TCADには加工形状を正確に予測できるモデルがなかったため、東芝はプラズマ診断と表面分析の実測データを組み込んでモデルを作りました。試作を減らすには、先に実験でモデルを校正する手間がかかります。

TCADとは何ですか?

半導体のプロセスとデバイスの開発に使うコンピュータ・シミュレーションです。プロセス、形状、デバイスのシミュレーションで構成されます。

何のために使いますか?

開発の方針を計算で絞り込み、試作の回数を減らして開発期間とコストを抑えるために使います。

プロセスシミュレーションでは何を計算しますか?

イオン注入、拡散、酸化、エッチング、成膜、エピタキシャル成長、露光、応力などの工程を計算し、できあがる構造を求めます。

デバイスシミュレーションでは何を計算しますか?

求めた構造に電圧をかけたときの電流や容量などの電気特性を計算します。実験では見えない素子の内部で何が起きているかも調べられます。

エッチング形状も予測できますか?

東芝は、プラズマ、シース、表面反応のシミュレーションを組み合わせて酸化膜エッチングの形状を計算し、深さの計算値2.12μmが実験値2.05μmとよく一致したと報告しています。

注意点はありますか?

結果はモデルの精度に左右されます。実験データでモデルを校正する必要があります。

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