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OCD(光学的寸法計測)とは

OCD(光学的寸法計測)とは、ウェーハに光を当て、返ってきた回折光のスペクトルから、パターンの線幅や高さや側壁の角度を逆算する計測です。 スキャトロメトリとも呼ばれます。装置が受け取るのは光のスペクトルだけで、形が光に残した痕跡から形を当てにいきます。

切れば形は分かるが、量産ラインでは切らずに測る

Section titled “切れば形は分かるが、量産ラインでは切らずに測る”

半導体の出来ばえには、上から見た線幅のほかに3つの寸法がかかわります。側壁の傾き、底の細り、膜の厚さがそろって、はじめて狙った特性になります。

形をいちばん確かに知る方法は、ウェーハを切ることです。日立ハイテクの技術者は、立体の形を測る方法のうち、いま最も広く使われているのはデバイスを切り出して断面を観察する断面TEM法だとしています1。この方法は不良チップの故障解析や開発時の出来ばえ計測に多用されますが、ウェーハを壊すので、切ったウェーハはそのまま解析用の試料になります。製造を止めずに測るインラインには別の手法が要り、同じ技術者はインラインで広く使われている方法としてOCDを挙げています。可視光のスポットを当て、戻ってきた光のスペクトルの変わり方から、当てた範囲にあるパターンの形を逆算します。

想定した形の計算波形を一覧にし、実測にいちばん近いものを選ぶ

Section titled “想定した形の計算波形を一覧にし、実測にいちばん近いものを選ぶ”

OCDは光回折を利用したCD計測です。相手にするのはウェーハ上に作った一次元回折格子のような周期構造で2、試料の表面すれすれの角度から光を入れ、戻ってきた反射回折光を分光して受けます。形が変われば分光の波形も動くので、周期の間隔だけは実測波形からそのまま求まります。

線幅や高さや角度や膜厚まで求めるには、もう一段の手続きが入ります。はじめにナノ構造の形を想定して計測用のパラメータを一式決め、それを少しずつ振りながら計算を繰り返して分光波形の一覧を作ります。その中から実測の波形といちばん近いものを選び、各パラメータを確定します。

OCDが受け取るのは光のスペクトルです。そこに残った痕跡から形を当てにいきます
測ります解きます答えます周期パターンへ光を当てます反射回折光を分光します分光波形が出てきます計算済みの棚と照らし合わせます線幅・高さ・角度膜厚が決まります答えは棚に並ぶ形の中から選ばれます装置が受け取るのは、光のスペクトルだけです
OCDは測って解いて答える三段構えで動きます。棚を作る段でどんな形を想定したかが答えの上限になるため、答えは棚に用意した形の中から選ばれます。

作って照らして合わせるこの流れは、膜厚の計測でも同じです。分光エリプソメトリーは、測定データを得たうえで光学モデルを作り、そこから計算した値を測定データにフィッティングして各層の膜厚と光学定数を求めます3。スキャトロメトリはレフレクトメトリやエリプソメトリを発展させる形で生まれた技術で4、OCDは平らな膜に対するこの考え方を、周期的な溝の形へ広げたものにあたります。

得られた数値は工程へ返します。産業技術総合研究所は、OCDが各種の計測技術の中でいちばん速く、装置も安く済むため、微細加工の前と後でインライン測定にかけ、プロセスのモニタとしてよく使われているとしています。エッチングの前後で測れば、その工程が形をどれだけ動かしたかが分かり、APCのように加工条件を直す仕組みへ渡せます。

測れるのは周期構造だけで、答えはスポット内の平均になる

Section titled “測れるのは周期構造だけで、答えはスポット内の平均になる”

速さと非破壊のかわりに、OCDは3つのものを差し出しています。1つ目は測れる場所です。測れるのは繰り返しのあるパターンに限られ、ぽつんと1本だけのラインには適用できません。そのため、ウェーハ上に作り込んだ周期構造のテスト図形を測ります。測っているのは、製品の回路のかわりに用意した計測専用の図形です。

2つ目に、答えは平均です。日立ハイテクの技術者は、OCDがスポット光の大きさ、およそ10マイクロメートルの範囲をならした形を返す点を欠点に挙げています。歩留まりを管理するには1つ1つのパターンの崩れを追う必要があるので、狭い範囲を測る計測が要ります。ビームスポットの中を平均して線幅を求める以上、ライン1本ごとのライン・エッジ・ラフネスは対象になりません。

OCDが返すのは、スポットの中を平均した一組の数値です
OCDはスポットの中を平均します直径は約10μm平均した一組の数値になります細った1本は埋もれます測長SEMは1本を測ります狭い視野で測りますその1本の値がそのまま出ますOCDは最も速い代わりに平均を返し、局所の崩れは平均に埋もれます
OCDが速いのは、広いスポットを一度に読んで一組の答えにまとめるからです。同じ理由で、1本だけ崩れた場所は平均の中に隠れます。

3つ目に、細かく見ようとするほど計算が増えます。どこまで細かい違いを見分けられるかは、棚を作るときに与えた形状パラメータの数と、その刻みの細かさで決まり、上げようとすれば計算量が膨れ上がります。形が入り組むほど数値計算の時間もデータ量もかさみ、棚を先に用意する時間が延びます。トレンチホールのような立体構造も測れますが、その場合は棚を作るのに時間がかかります。

数値の正しさは、標準試料と別の計測で裏づける

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OCDが手にするのは光のスペクトルなので、出てきた数値が実物と合っているかは別に確かめる必要があります。シミュレーションに頼る計測で気をつける点は3つです。土台にする物理モデルに信頼できるものを選ぶこと、形の分かっている標準試料を別途測って答えを裏づけること、パラメータを増やすほど計算の手間がかさむことです。

ITRS 2007年版のメトロロジの章は、条件をもう一段細かく挙げています。スキャトロメトリーの計算は、ラインパターンについても下地の材質についても、光学的な性質が場所によらず一様であることを前提にしています5。表面に異常があったり、ドーパントの分布が偏っていたりすると答えが動きうるので、同章はモデルの校正と定期的な検証を必須としています。特殊なテスト構造で測る以上、SEMやAFMやTEMといった他のCD計測技術で、テスト構造の寸法と回路の中のパターンの寸法との相関を取る必要もあります。

産総研は、製造の現場ではインラインで測りたい場面が多く、形を追ったり工程の異常を見つけたりするモニタ役には測定の速いSEMやOCDが向き、寸法そのものの絶対値を求めるならAFMがいちばん向くとしています。速く測る道具と、正しさの基準を与える道具は別に要ります。OCDは前者を担い、計測の全体はその組み合わせで成り立っています。

OCDとは何ですか?

ウェーハに光を当てて、返ってきた回折光のスペクトルから、パターンの線幅や高さや側壁の角度や膜厚を逆算する計測です。スキャトロメトリとも呼ばれます。

なぜ断面を切らずに測るのですか?

切ったウェーハは破壊計測の試料になり、そこで工程から抜けるためです。断面TEM法なら立体の形を直接見られますが、ウェーハを壊してしまうので、製造を止めずに測るインラインには別の手法が要ります。

どうやって形を求めるのですか?

事前に計算しておいた分光波形の一覧と、実測した波形を照らし合わせます。形を想定してパラメータを決め、それを少しずつ振りながら計算を重ねて一覧を作り、実測の波形といちばん近いものを選びます。

どんなパターンでも測れますか?

測れるのは繰り返しのあるパターンです。ぽつんと1本だけのラインには適用できないので、ウェーハ上に専用の周期構造のテスト図形を作り込んで測ります。

OCDと測長SEMはどちらが速いですか?

OCDです。産総研は、OCDが各種の計測技術の中でいちばん速く装置も安く済むため、微細加工の前後のインライン測定によく使われるとしています。

OCDの弱点は何ですか?

答えがスポットの中の平均になることです。スポット光の大きさ、およそ10マイクロメートルの範囲をならした形が出てきます。

出てきた数値はそのまま使ってよいですか?

別の裏取りが要ります。ITRS 2007年版のメトロロジの章は、計測モデルの校正と定期的な検証を要件に挙げ、SEMやAFMやTEMでテスト構造の寸法と回路中のパターンの寸法との相関を取る必要があるとしています。

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