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APC(Advanced Process Control)とは

APC(Advanced Process Control)とは、測った値をもとにレシピの数値を補正し、プロセスの変動を抑え込む制御のやり方です。 装置は同じレシピなら同じ結果を返すように作られていますが、部品は消耗し、チャンバは汚れ、材料もロットごとに性質が移ります。同じレシピのまま流し続ければ、仕上がりは少しずつ目標から離れます。APCの設計で決めるのは、いつ測り、どの単位で、どれだけ強く直すかの3つです。

APCは、人の判断を待たずに次の1枚のレシピを直す

Section titled “APCは、人の判断を待たずに次の1枚のレシピを直す”

APCは、プロセスの変動をフィードバックとフィードフォワードで抑え込む制御で、工程で出る誤差のうち偶然に散らばる分を取り除く手立てです1。半導体産業では、一般にRun to Run制御を指してAPCと呼びます2。フィードバック制御は加工の結果や今のプロセスの様子から遡って条件を変え、フィードフォワード制御は加工に入る前の情報から先を見越して条件を変えます。装置メーカーのレーザーテックも、リソグラフィーの工程をフィードバックとフィードフォワードで制御するやり方をAPCと呼んでいます3。

APCが無ければ、人が管理図の合図を受けてから原因を切り分け、レシピを直し、装置を立ち上げ直すまで時間がかかります。その間に流れたロットは、目標から離れた値のまま次の工程へ進みます。工程が数百も積み重なる前工程では、1つの工程のずれが次の工程の加工量を増やし、さらに下流の寸法へ響きます。

同じデータを使う仕組みはほかにもあります。SPCは工程の変化を見張って知らせる側で、APCは知らせを待たずにレシピを補正する側です。FDC(Fault Detection and Classification)は、装置の稼働データを細かく取り込んでその場で解析し、壊れる兆しを先につかんで止まる前に保全へ回すことで、スクラップや品質の落ち込みを防ぎます。補正するAPC、装置の異常を切り分けるFDC、工程の変化を見張るSPCは、同じデータを別の目的で使う3つの層です。これらを使った先進的な装置制御を、まとめてAECと呼びます1。プロセス担当は、この役割の違いで3つを使い分けます。

補正の材料は、加工の前・最中・後の3時点から取る

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測る時点と直す先
前工程の測定加工 n回目加工後の測定加工 n+1回目時間実時間制御フィードフォワードフィードバック(R2R)
前工程の測定値は先回りで今回の加工へ、加工後の測定値は次の回の加工へ渡ります。加工の最中は、装置の中で測りながらその場で条件を直します。

加工の前には、前の工程の測定値と装置の状態を使うフィードフォワードが働きます。研磨に入る前の膜厚が厚めだと分かっていれば、研磨の時間を長めに設定するという先回りです。

加工の最中は実時間制御です。ウェーハを加工している間じゅう温度や電圧といった値を見続け、加工の速さや均一性の狂いを小さく抑えるように、フィードバックでプロセスの条件へ手を入れます。測るのは装置の中です。in-situ計測はプロセスチャンバの中でプロセスの状況を測ることで、実時間制御へ使う場合は測るタイミングがプロセスの最中であることが望ましいとされます。測る対象は圧力や温度、研磨膜厚といったプロセスの環境と、エッチング量や膜厚の変化で、結果をプロセス条件へ返して良い条件を保ち、プロセスを進めたり終えたりします4。CMPのEPD(終点検出)は、ポリシングの最中に研磨量が目標へ達したこと、または近づいたことを自動で検出します5。目標へ達した時点で加工を切り上げる働きも、この時点の制御です。

加工の後がRun-to-Run制御です。枚葉なら1枚、バッチなら1バッチを流し終えたところで膜厚の分布などの結果を測り、次の回のずれが小さくなるようレシピへ手を入れます。

補正の単位は、ロットからウェーハ、ウェーハ内へ細かくなる

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Run-to-Run制御の「1回」が指す単位は、細かくなる方向にあります。2013年の半導体技術ロードマップITRSは、制御できる単位がロットからウェーハ(W2W制御)、さらにウェーハ内(WIW制御)へ移り、制御の粒度が上がるとしています6。ウェーハ内の制御の例として挙げているのが、リソグラフィーのショットごとの制御です6。

同じロードマップは、ウェーハ単位のRun-to-Run制御はすでに使え、枚葉の製造に限らないとしています6。ウェーハ単位で制御するには、ある程度の時刻の同期が要る場合があります。

補正の単位
ロット単位ウェーハ単位ウェーハ内補正 1回/ロット補正 1回/枚補正 1回/ショット補正をかける点
補正をかける単位は、ロットごと、1枚ごと、ウェーハ内のリソグラフィーのショットごとの順に細かくなります。

APCが動かせるのは、レシピにあらかじめ開けた窓の中だけ

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APCが動かすのはレシピの中の数値です。RaP(Recipe and Adjustable Parameters)は、装置をそろえながらAPCも当てやすくするためのレシピの組み立て方で、SEMIのE139などの標準で決められています。可変パラメーターは、レシピ本体に含まれる決められた設定値のうち、実際の値を外から入れてよいものです。APCが触れる範囲は、この窓の中に限られます。

装置の側にも条件があります。ITRSは、装置がAPCを内蔵していなくても、生産性とコスト削減の目標を満たすには、装置の内外どちらかのAPCの能力を使う必要があるとしています6。そのため装置には、必要なデータを遅れずに出し、制御側からの操作を受け入れること6が求められ、計測システムも工場の情報・制御システムへ完全に統合する必要があるとしています6。

測る手間そのものを減らす作りもあります。IM(Integrated Metrology)は、加工装置の中に組み込まれて加工の結果を測定する装置です。Virtual Sensorは、ウェーハの温度を直に測る代わりに反応室の近くの温度を測り、その値からシミュレーションでウェーハの温度を推定します。実測が届きにくい量を、届く量から推し量って制御へ回す考え方です。測定値を予測するバーチャルメトロロジ(VM)についてNISTの論文は、VMと異常検出やAPCとの連携をさらに改善すれば歩留まりを上げられるとしています7。

YMS(歩留まり管理システム)は4、歩留まりの監視と欠陥検査から解析までをひと続きで行い、その結果を欠陥の出た工程へフィードバックしたり、APCを通じて装置のレシピへ先回りで渡したりしながら、歩留まりを全体として管理し引き上げる統合システムです。APCは、計測と解析の出口にある実行部にあたります。

補正を強めるほどドリフトに追いつき、測定誤差にも振れる

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APCの設計で最後まで残る選択は、直近の結果をどれだけ強く補正へ反映させるかです。移動平均は、一定の時間幅に入る複数の測定値をならしてその時刻を代表する1つの値にまとめ、散らばりの大きいデータでも全体としてどちらへ動いているかを読み取る方法です。平均を取るときに新しい値ほど重く数える重み付き移動平均は、ならしただけの移動平均より急な変化への追いつきが良くなります。

新しい1点を強く反映させるほど、装置のドリフトへ素早く追いつきます。同時に、測定そのものの誤差や1枚ごとの偶然のばらつきにも同じ強さで反応し、補正が行き過ぎて次の回で逆方向へ振れます。反映を弱めるほど動きは落ち着きますが、ドリフトへ追いつくまでに何ロットも要します。

補正の強さ
仕上がり値ロットの順番目標値無補正強い補正弱い補正
強い補正はドリフトにすぐ追いつく代わりに、測定の誤差にも反応して目標の上下へ振れます。弱い補正は落ち着いて動く代わりに、目標から離れた位置に何ロットもとどまります。

測る時間とレシピの管理も、補正の代償になる

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補正の材料には測定値が要るため、測る回数を増やすほど装置と搬送の時間を使います。OEE(設備の総合効率)は、装置が動ける時間のうち製品づくりに回る割合を上げていく考え方で、そのためには故障や保全、NPWを流すのに取られる時間を減らす必要があります。IMやVirtual Sensorは、この時間の勘定を軽くする向きの答えです。

補正の対象を装置ごとに細かく分ける道にも代償があります。RaPは装置をそろえることとAPCを当てやすくすることの両方をねらうため、レシピを装置ごとに細かく分けるほど共通化は薄れ、レシピの管理そのものが仕事として増えます。RMS(Recipe Management System)は、離れた場所から装置をまたいでレシピを直し、その本体を預かり、加工を始めるたびに読み直させるシステムで、うっかりレシピを書き換えてしまったことによるスクラップを避けられます。補正の窓を広く開けるほど、その窓を守る仕掛けも要ります。ITRSは、再利用しやすくし、技術者の手間と時間を減らすために、プロセス制御をよりモデルに基づくものにする必要があるとしています6。

APC(Advanced Process Control)とは何ですか?

測った値をもとにレシピの数値を補正し、プロセスの変動をフィードバックとフィードフォワードで抑え込む制御です。工程で出る誤差のうち、偶然に散らばる分を取り除く手立てです。

Run-to-Run制御とは何ですか?

枚葉なら1枚、バッチなら1バッチを流し終えた時点で膜厚分布などの結果を測り、次の回の偏差が小さくなるようレシピを修正する制御です。半導体産業では、APCは一般にこのRun to Run制御の意味で使われます。2013年のITRSは、補正の単位がロットからウェーハ、ウェーハ内へ細かくなるとしています。

フィードバックとフィードフォワードはどう違いますか?

補正の材料を取る時点が違います。フィードバックは加工の結果や今のプロセスの様子から遡って条件を変え、フィードフォワードは加工に入る前に分かっている情報から先を見越して条件を変えます。前の工程の膜厚が厚いと分かっているときに研磨の条件を先に補正するのが後者です。

実時間制御はAPCの中でどこに当たりますか?

1枚を流している最中の制御です。加工の間じゅう圧力や温度、研磨膜厚といった値を装置の中で測り続け、その結果をプロセス条件へ返して良い条件を保ちます。CMPの終点検出のように、目標に達した時点で加工を切り上げる仕組みも同じ時点で働きます。

APCとSPCはどう役割が違いますか?

SPCは集めたデータを統計処理してでき栄えの推移をモニタ管理し、工程の変化を見張って知らせる側です。APCは数値を補正する側で、AECはAPC、SPC、FDCといった技術をまとめた進んだ装置制御です。

補正は強くかけたほうが良いのですか?

強くかけるほど測定の誤差にも反応します。新しい値ほど重く数える重み付き移動平均は、ならしただけの移動平均より急な変化への追いつきが良く、直近の結果をどれだけ強く反映させるかが追従の速さと落ち着きの釣り合いを左右します。

測定のたびにウェーハを装置の外へ運ぶのは負担になりますか?

負担になるため、加工装置の中に組み込んで加工の結果を測るIM(Integrated Metrology)があります。RaPは装置をそろえながらAPCも当てやすくするためのレシピの組み立て方で、SEMIのE139などの標準で決められています。

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