FDCとは
FDC(Fault Detection and Classification)とは、装置の稼動データをリアルタイムに解析して異常を検出し、その種類まで分類する仕組みです。 装置が止まる前に保全へ入るために使います。装置が止まると、処理中のウェーハも失います。壊れてから直すだけでは損失を防げないので、止まる前に異常の兆しをつかむことに価値があります。成否を分けるのは、どのデータをどこまで細かく持ち、どこにしきい値を引くかです。
守る対象は、装置より中を流れる製品
Section titled “守る対象は、装置より中を流れる製品”FDCは、装置の稼動データを細かく取得してリアルタイムに解析し、故障の予兆をつかんで、装置が止まる前に保全を行う技術です1。目的は製品のスクラップや品質の劣化を防ぐことで、守る対象は装置よりも、中を流れる製品です。
故障間隔の平均をMTBF、修理にかかる時間の平均をMTTRと呼びます。予兆の段階で止められれば、修理を生産への影響が小さい時間帯に計画できます。決めた間隔で手入れする予防保全と違い、FDCはデータに兆しが出た時点で保全を入れます。
種類まで分類すると、打つ手が決まる
Section titled “種類まで分類すると、打つ手が決まる”FDCは各装置の出力を監視して異常を検出し、その結果を統計処理して異常の種類を分類します2。検出だけでは「何かがおかしい」ことしか分かりません。分類まで進めば、部品の消耗か、ガス流量のずれか、チャンバー内の付着物かといった見当が付き、打つ手が決まります。
市販のFDCでは、仕分ける対象が具体的に挙がっています。PDF Solutionsは自社のFDCモジュールについて、装置センサの段階の診断で外れたイベントを自動で検出し、プロセスや計測値のシフト、パラメータのドリフト、予防保全、消耗品のイベントまで掘り下げるとしています3。同社は、このモジュールで6インチ、8インチ、12インチの工場の4万台を超える製造装置を管理し、FDCの市場でトップ3だと説明しています。
APC・SPC・FDCなどを使った先進的な装置制御を、AECと総称します1。異常の検出と分類、その後の条件調整は、一つの制御の仕組みとして組み合わせて使われます。PDF Solutionsも、要因を1段で絞り込み、歩留まりやデバイスのパラメータ、計測値との相関を装置の制御へ返す仕組み(dynamic SPC)3を同じ製品に載せています。
センサデータは代表値にまとめて集め、細かい波形を手放す
Section titled “センサデータは代表値にまとめて集め、細かい波形を手放す”製造装置には装置やプロセスのパラメータを測るセンサが付いていて、FDCはそのデータで装置とプロセスをリアルタイムに監視します4。多数の装置が出す時系列のセンサデータは、F-EESで平均値や標準偏差などの代表値にまとめてから集めます。
代表値にすればデータ量が小さくなり、工場全体で集められます。その代わり、秒単位の細かい波形の情報は失われ、細かい波形にしか現れない異常は見逃します。どの代表値を選ぶかで、見つけられる異常の種類が変わります。
集める側の設計にも選択があります。PDF Solutionsは、前工程と後工程のデータをデータ交換網で自動的に集めて統合する工場中心のやり方を取り、装置ごとに分散して入れるより効率よく展開でき、装置と工場の両方の単位で判断と制御ができるとしています3。
しきい値を厳しくすれば誤報で、緩めれば見逃しで損をする
Section titled “しきい値を厳しくすれば誤報で、緩めれば見逃しで損をする”設備の総合効率(OEE)を上げるには、故障やメンテナンス1、NPWの処理に費やす時間を減らす必要があります。しきい値を厳しくすれば予兆を早くつかめますが、正常な装置まで保全に回すことになります。誤報で装置を止めればこの時間も増え、稼動時間が減ります。緩めれば誤報は減りますが、本当の予兆を見逃します。見逃した故障で装置が止まれば、処理中のウェーハを失います。
分類まで作り込めば対処は速くなりますが、異常の種類ごとに学習データと知見を蓄える必要があります。傾向の判定では、SPC(統計的プロセス管理)にWestern Electric RulesのWE1からWE10というルールがあります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”FDC とは何ですか?
装置の稼動データをリアルタイムに解析して異常を検出し、さらにその種類を分類する仕組みです。
何のために使うのですか?
故障の予兆をつかんで装置が止まる前に保全し、製品のスクラップや品質の劣化を防ぐためです。
分類まで行う理由は何ですか?
異常の種類が分かれば、部品の交換なのか、ガス系の点検なのか、チャンバーの清掃なのか、打つ手が決まるからです。
SPC とはどう異なりますか?
SPCは測定工程のデータを統計的に管理して傾向を見ます。FDCは装置そのものの稼動データを見ます。
AEC とは何ですか?
APC・SPC・FDCなどを使った先進的な装置制御の総称です。
どんなデータを集めるのですか?
温度・圧力・流量・電力など、装置のセンサが出す時系列データです。多数の装置のデータは、F-EESで平均値や標準偏差などの代表値にまとめてから集めます。
予防保全とは何が異なりますか?
予防保全は決めた間隔で手入れします。FDCはデータに兆しが出た時点で保全を入れるので、手入れの時期が前後します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 予防保全とシーズニングとは── 決まった間隔で手入れする保全
- SPCとは── 測定データの傾向を統計で管理する
- APCとは── 異常や測定結果を受けて装置条件を調整する
- 装置稼働率とは── 誤報による停止も稼働率を下げる
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- 1日本半導体製造装置協会(SEAJ):半導体製造装置用語集(工場:Factory)seaj.or.jp abc
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- 4岡崎隼也:半導体製造工場における Virtual Metrology 技術(応用数理 Vol.29 No.1、2019年)jstage.jst.go.jp ↩