コンテンツにスキップ

工程能力指数(Cp・Cpk)とは

工程能力指数(CpC_\mathrm{p}・CpkC_\mathrm{pk})とは、規格の幅が工程のばらつきの何倍あるかを表す数字です。 規格へどれだけ余裕を持って入っているかを数えるために使います。

検査の合格は、今日そのロットが規格へ入ったという事実を示すだけです。ばらつきが規格の幅いっぱいまで広がった工程と、規格の半分に収まった工程は、どちらも今日は合格します。違いが表に出るのは、材料が変わったときや装置を替えたときです。この差を先に数字にしておくのが工程能力指数で、規格が決まっている以上、数字を上げる手段は工程の最適化で、一般には中心を合わせるか、ばらつきを削るかです。

Cpは、規格の幅に6σが何個入るかを数える

Section titled “Cpは、規格の幅に6σが何個入るかを数える”
Cp=1の工程
下限規格上限規格99.73%外側計0.27%平均規格の幅=6σ
Cpが1の工程では、平均±3σがちょうど規格の端に届きます。99.73%が規格の内側に入り、両側の裾に合計0.27%の不適合品が出ます。

工程能力はその工程だけが持つ実力で1、標準化が十分に進んでいること、異常の原因が取り除かれていること、統計的な管理状態のもとで動いていることの3つがそろった工程についてだけ数えられます。対象の品質特性が正規分布とみなせるなら、その実力は平均値±3σ\pm3\sigma、幅で言えば6σ6\sigmaで表せます。σ\sigmaは標準偏差です。

工程能力指数は、対象とする特性に許された公差を工程能力の6σ6\sigmaで割った値です。規格が片側にしか無い製品では、平均値から規格値までの隔たりを3σ3\sigmaで割って表す場合もあります。CpC_\mathrm{p}は「規格の幅の中に、工程のばらつき全体が何個分入るか」を数えた値です。

CpC_\mathrm{p}が1なら規格の幅は6σ6\sigmaにちょうど等しく、平均±3σ\pm3\sigmaが規格の端に届きます。3σ3\sigmaの内側には全検査数の99.73%が入り、残る0.27%が不適合品です。

Cpkは、近い側の規格までの余裕を数える

Section titled “Cpkは、近い側の規格までの余裕を数える”
中心のずれとCpk
下限規格上限規格4σCp=1.33Cpk=1.331σずれ3σCp=1.33Cpk=1.0
山の幅が同じなので、2つの工程のCpはどちらも1.33です。下の工程は平均が1σずれて上限規格までの余裕が3σになり、その差はCpkにだけ1.33から1.0への低下として表れます。

CpC_\mathrm{p}の勘定に入るのは許された限界と工程のばらつきの2つだけで、工程の平均がどこにあるかはCpkC_\mathrm{pk}側で数えます。規格の中心から工程の平均がどれだけずれているかを織り込んだ指数を一般にCpkC_\mathrm{pk}と呼び、上限規格値から平均値を引いた上側公差幅と、平均値から下限規格値を引いた下側公差幅のそれぞれを、工程能力の半分にあたる3σ3\sigmaで割り、小さいほうの値を採ります。CpkC_\mathrm{pk}は「近い側の規格まで、ばらつきの半分が何個分あるか」を数えた値です。

具体的な数に当てはめると、規格の幅が8σ8\sigmaで中心の合った工程は、Cp=8σ÷6σC_\mathrm{p}=8\sigma\div6\sigmaで1.33、近い側までが4σ4\sigmaなのでCpkC_\mathrm{pk}も4σ÷3σ4\sigma\div3\sigmaで1.33です。同じばらつきのまま平均が1σ1\sigmaずれると、CpC_\mathrm{p}は1.33のままで、近い側までが3σ3\sigmaになったCpkC_\mathrm{pk}は1.0に下がります。JMPの解説では、CpkC_\mathrm{pk}が1を下回る工程は能力不足とされ、規格外の結果が出ると見込まれます2。

同じ解説は、σ\sigmaの見積もり方でも指数を呼び分けています。CpkC_\mathrm{pk}の系統は短期のσ\sigmaを、PpkP_\mathrm{pk}の系統は長期のσ\sigmaを使い、工程が安定していれば両者は実質的に等しくなるとしています。

規格を動かせないなら、工程そのものを直すしかない

Section titled “規格を動かせないなら、工程そのものを直すしかない”

目標値の置き方には取引があります。工程能力指数の目標値は1.33とされますが3、通常は検査や品質向上にかけられるコスト・時間に限度があるため、工程能力指数を判断基準にして目指すべき精度や工程を決定する場合もあります。

規格の限界が決まっているとき、工程能力を上げる手段は工程の最適化だけで、一般には中心を合わせるか、ばらつきを減らすか、その両方です2。ばらつきを削るには投資が要ります。2つは打つ手がまったく別なので、CpC_\mathrm{p}とCpkC_\mathrm{pk}を並べて見て、どちらが足りないのかを先に見分けます。

数字だけを上げる近道もあります。CpC_\mathrm{p}は規格の幅を6σ6\sigmaで割った値なので、規格を広げれば計算上は上がります。同じことは前提の側にも言えます。標準化・異常原因の除去・統計的管理状態という条件が崩れた工程では、計算した数字は工程の実力から離れます。

余裕が数字になるまでは、最後の検査の選別で品質を守る

Section titled “余裕が数字になるまでは、最後の検査の選別で品質を守る”

余裕の大きさが数字になるまで、品質は最後の検査で選り分けて守ることになります。ロームは、ワイドラインに代表される大量生産システムでは最終工程での選別に加え、自工程完結型検査を導入することで品質レベルを担保しているとしています4。新しいフレキシブルラインでは、あえて加工点から見直しを図る方針を採り、打ち出したコンセプトは「加工点で品質を作り込む」ことで、そのポイントは5M1Eのばらつきの極小化にあるとしています。

同社は、これまで熟練作業員の経験やカンに頼っていた部分も多かったとし、数値化することで品質はもとより、さまざまなトラブルを未然に防ぐという点でも大きな効果が期待できるとしています。工程のそれぞれの場所で品質を上げるために、設備面・材料面・作業面のすべてを洗い直すところから始めたとも述べています。工程能力指数は、この数値化の出口にあたり、あと何割の余裕が残るかという言い方ができるようになります。

余裕が数字になるまでは、規格の端で作り続けていることに気づくのが、不良がまとまって出た日まで遅れます。投資の向きが決まるまでにも時間がかかります。中心のずれとばらつきの大きさでは、打つ手がまったく別だからです。取引先へ示せる材料も、合格したという事実だけになります。明日も合格する根拠は、余裕の大きさの側にあります。

半導体の現場は3σで測り、管理図で日々の異常を拾う

Section titled “半導体の現場は3σで測り、管理図で日々の異常を拾う”

半導体の現場には、ばらつきを3σ3\sigmaで語る習慣が先にあります。パターン寸法均一性(CDU)は、ウェーハ内の複数点のCDを計測してばらつきを3σ3\sigma値(標準偏差の3倍)で表記することが多く5、ラインエッジラフネスやレジストライン幅ラフネスも同様です。工程能力指数は、この3σ3\sigmaを規格の幅と突き合わせ直したものにあたります。

管理図に出る異常
上方管理限界中心線下方管理限界中心線の上に9点の連6点連続の上昇限界の外ロットの順
限界の外へ出た1点は誰でも気づきますが、異常はその手前で点の並び方として表に出ます。中心線の片側に9個以上続く連や、6個連続の上昇がその例です。

日々の判断には管理図を使います。管理図は、工程における偶然原因によるばらつきと異常原因によるばらつきを区分して工程管理するもので、1本の中心線(CL)と、その上下に合理的に決められた管理限界線(UCL、LCL)から構成されます。すべての点が上下の管理限界線の内側に癖なく並んでいれば、統計的管理状態にあるとみなせます1。工程平均のかたよりを監視するX管理図と、ばらつきを監視するR管理図を併用するのがX-R管理図です。

管理図から最初に確かめる情報は「異常」で、限界の外へ出た点のほかに、中心線より上または下に9個以上続く「連」や、連続して上昇または下降する6個の打点、管理限界線に接近している連続3点中の2点6といった打点のパターンがあります。これらのパターンはJIS Z 9021に示されています。

異常が出たあとの動きも決まっています。FDCは、それぞれの半導体製造装置出力のモニターを行い、異常を検出した場合にその結果を統計的な手順にかけて異常の種類を分類する技術です7。APCは半導体産業では一般的にRun to Run制御の意味で使われ、結果をもとに戻ってプロセスを変更するフィードバック制御と、前情報から予測して変更するフィードフォワード制御があります。測り、分類し、次のロットの条件へ反映する流れです。

管理を厳しくすればラインを余分に止め、緩めれば不良を流す

Section titled “管理を厳しくすればラインを余分に止め、緩めれば不良を流す”

管理の厳しさには、両側に損があります。正常と異常の判断は2種類の誤りを伴い、正常な工程を異常と判断して対策を取る第一種を「あわて者の誤り」、異常が生じた工程を正常と判断して対策を見送る第二種を「ぼんやり者の誤り」と呼びます。限界を狭めれば前者が増えてラインを余分に止め、広げれば後者が増えて不良を流します。

工程能力指数とは何ですか?

規格の幅が、工程のばらつきの何倍あるかを表す数字です。対象とする特性に許された公差を、工程能力の6σで割った値で、σは標準偏差です。

CpとCpkはどう違いますか?

Cpは幅だけを、Cpkは幅と位置の両方を数えます。Cpは許された限界と工程のばらつきの2つだけから求め、規格の中心から工程の平均がどれだけずれているかを織り込んだ指数を一般にCpkと呼びます。Cpkは、上側公差幅と下側公差幅のそれぞれを3σで割り、小さいほうを採った値です。

工程能力はいつでも計算してよいのですか?

前提があります。工程能力は、標準化が十分に進んでいること、異常の原因が取り除かれていること、統計的な管理状態のもとで動いていることの3つがそろった工程についてだけ数えられる、その工程だけの実力です。特性が正規分布に従うことも前提です。

Cpが1のときはどういう状態ですか?

規格の幅が6σにちょうど等しく、平均±3σが規格の端に届く状態です。3σの内側に全検査数の99.73%が含まれ、残りの0.27%が不適合品になります。Cpkが1を下回る工程は能力不足とされ、規格外の結果が出ると見込まれます。

いくつを目標にするのですか?

目標値として1.33が挙げられます。検査や品質向上に割ける費用と時間には普通は限りがあるため、この指数を物差しに使って、目指す精度や工程を選ぶ場合もあります。

半導体の現場では何を測るのですか?

ばらつきを3σで語る習慣が先にあります。パターン寸法均一性は、ウェーハの中の何点かで寸法を測り、その散らばりを3σで書き表すことが多く、ラインエッジラフネスやライン幅ラフネスも同じです。

管理図を厳しくすれば良いのですか?

厳しさには両側の損があります。正常な工程を異常と判断して対策を取る第一種の誤りを「あわて者の誤り」、異常が生じた工程を正常と判断して対策を見送る第二種の誤りを「ぼんやり者の誤り」と呼びます。

7件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7